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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W35
管理番号 1389539 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-17 
確定日 2022-09-15 
事件の表示 商願2020−145389拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第35類に属する別掲2に記載のとおりの役務を指定役務として,令和2年11月25日に登録出願されたものである。
本願は,令和3年2月10日付けで拒絶理由の通知がされ,同年4月21日付けで意見書が提出されたが,同年9月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年11月17日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続している。
(1)登録第1642306号商標(以下「引用商標1」という。)は,「フジショウ」の文字を横書きしてなり,昭和55年5月22日登録出願,第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同58年12月26日に設定登録され,その後,平成17年8月31日に指定商品を第29類ないし第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がされ,同25年7月16日に指定商品を第29類,第30類及び第32類に属する別掲3に記載のとおりの商品を指定商品とする存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4529362号商標(以下「引用商標2」という。)は,「フジショウ」の文字及び「浜炊き」の文字を二段に横書きしてなり,平成12年9月14日登録出願,第29類「加工水産物」を指定商品として,同13年12月14日に設定登録されたものである。
(3)登録第4529363号商標(以下「引用商標3」という。)は,「フジショウ」の文字及び「磯炊き」の文字を二段に横書きしてなり,平成12年9月14日登録出願,第29類「加工水産物」を指定商品として,同13年12月14日に設定登録されたものである。
(4)登録第4698769号商標(以下「引用商標4」という。)は,「フジショウ」の文字及び「ピーナツハニー」の文字を二段に横書きしてなり,平成14年9月4日登録出願,第29類「はちみつ入りピーナツみそ」及び第30類「はちみつ入りピーナツペースト,はちみつ及びピーナツ入り菓子及びパン」を指定商品として,同15年8月8日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは,「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,多様な形状,長さの線や点等から構成される幾何学状の図形を上段に,ひときわ大きく筆書き風に表された「ふじ匠」の文字を横書きして中央に配し,その下に,小さく「fujisho」の欧文字を横書きに配してなるものである。そして,「ふじ匠」の文字又は「fujisho」の文字は,辞書等に載録のないものであると共に,特定の意味合いを有するものとして使用又は認識されているといった特段の事情も見いだせない。
また,図形部分と各文字部分とは,視覚上分離して看取し得るものであると共に,上記幾何学状の図形から何らかの観念が生じるとはいえないことから,図形部分と各文字部分は観念上の繋がりも見いだせない。
他方,「fujisho」の欧文字は,「ふじ匠」の「匠」の文字の下方に突き抜けた部分の末端より上に位置するなど,「ふじ匠」の文字と近接して配されており,また,「ふじ匠」の文字の読みを特定したものと無理なく理解できるものである。
そうすると,目立ちやすい中央部分に,ひときわ大きな文字で表された「ふじ匠」の文字が,看者の注意を最も強く引くといえ,同文字とその読みを表した「fujisho」の文字が,独立して自他役務の識別標識として機能し,取引者,需要者に認識,記憶されるから,これらを要部として抽出し,他人の商標と比較することも許されるというべきである。
したがって,本願商標は,「ふじ匠」の文字及び「fujisho」の文字に相応した「フジショウ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1について
引用商標1は,「フジショウ」の文字を横書きしてなるところ,該文字は,辞書等に載録のないものであると共に,特定の意味合いを有するものとして使用又は認識されているといった特段の事情も見いだせない。
したがって,引用商標1は,「フジショウ」の文字に相応した「フジショウ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
(イ)引用商標2について
引用商標2は,「フジショウ」の文字及び「浜炊き」の文字を二段に横書きしてなるところ,「浜炊き」の文字は,特定の意味合いを有する語であるとはいえないものの,「炊き」の文字部分が「米などを水にひたして加熱し、食べられるようにする。かしぐ。(西日本で)食物を煮る。」を意味する「炊く」の語(広辞苑第七版)を連用形で転成名詞化したものであると共に,「水炊き」,「あら炊き」など「○○炊き」といった料理名や,「浜焼き」といった近似した料理名又は調理法があることからすれば,何らかの料理名又は調理法を表したものと理解させるものというのが相当である。
してみれば,「浜炊き」の文字部分は,引用商標2の指定商品との関係で自他商品の識別標識としての機能を強く発する部分であるとはいい難いことから,引用商標2の構成中,自他商品の識別標識としての機能を強く発する部分は,「フジショウ」の文字部分にあるというべきである。そして,「フジショウ」の文字が特定の意味合いを有するものでないことは,上記(ア)のとおりである。
したがって,引用商標2は,「フジショウ」の文字部分に相応した「フジショウ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
(ウ)引用商標3について
引用商標3は,「フジショウ」の文字及び「磯炊き」の文字を二段に横書きしてなるところ,「磯炊き」の文字は,特定の意味合いを有する語であるとはいえないものの,「炊き」の文字部分が「炊く」の語を連用形で転成名詞化したものであると共に,「水炊き」,「あら炊き」など「○○炊き」といった料理名や,「磯焼き」といった近似した料理名又は調理法があることからすれば,何らかの料理名又は調理法を表したものと理解させるものというのが相当である。
してみれば,「磯炊き」の文字部分は,引用商標3の指定商品との関係で自他商品の識別標識としての機能を強く発する部分であるとはいい難いことから,引用商標3の構成中,自他商品の識別標識としての機能を強く発する部分は,「フジショウ」の文字部分にあるというべきである。そして,「フジショウ」の文字が特定の意味合いを有するものでないことは,上記(ア)のとおりである。
したがって,引用商標3は,「フジショウ」の文字部分に相応した「フジショウ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
(エ)引用商標4について
引用商標4は,「フジショウ」の文字及び「ピーナツハニー」の文字を二段に横書きしてなるところ,「ピーナツハニー」の文字は,「ピーナツ」の文字部分が「ピーナッツ」を表したものであると容易に認識することができるものであるから,全体として,「ピーナッツとはちみつ」ほどの意味合いをもって,商品の原材料,品質を表したと理解させるものである。
してみれば,引用商標4の構成中,自他商品の識別標識としての機能を強く発する部分は,「フジショウ」の文字部分にあるというべきであり,また,該文字が特定の意味合いを有するものでないことは,上記(ア)のとおりである。
したがって,引用商標4は,「フジショウ」の文字部分に相応した「フジショウ」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標との類否を検討するに,外観については,本願商標の要部である「ふじ匠」及び「fujisho」の文字と,引用商標1並びに引用商標2,引用商標3及び引用商標4の要部である「フジショウ」の文字部分とは,文字種や書体において相違するものの,我が国においては,商標の構成文字を,同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,書体に変更を加えて表記することが一般的に行われていることを考慮すれば,文字種や書体が異なることによる本願商標と引用商標の外観の相違は,両商標が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではなく,むしろ相互に文字種を変換したり,書体に変更を加えたものであるといった印象を与えるものであるから,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
なお,文字種を相互に変換し又は書体に変更を加えて表記することが一般的に行われることは,本願商標の構成中における,「ふじ匠」の文字と「fujisho」の文字の関係からも,明らかというべきである。
次に,称呼については,本願商標と引用商標は,「フジショウ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念については,本願商標と引用商標は,いずれも特定の観念を有しないものであるから,比較することができない。
そうすると,本願商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において似かよった印象を与え,称呼を共通にするものであることからすれば,本願商標と引用商標の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標は,役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定役務は,引用商標の指定商品と類似する役務である。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定商品と類似の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の「ふじ匠」の文字部分は,特定の観念を生じないものの,「匠」の文字を含むものであることから,本願商標は,「匠」の漢字に相応して,何らかの「技芸に長じた」,「優れた技術を持った」又は「職人」の観念が生じる旨主張する。
しかしながら,請求人主張の意味合いが生じるのは「たくみ」と読む場合の「匠」の語義であるところ,本願商標は,一連の「ふじ匠」の文字及びその読みを特定した「fujisho」の文字を配しており,かかる構成からすれば「ふじ匠」の文字部分は,「フジショウ」の一連の称呼のみが生ずるというべきである。
そうすると,「ふじ」及び「匠」を一体的に結合し,「フジショウ」と一連に称呼する「ふじ匠」の文字について,殊更「匠」の文字のみが着目され,「匠(たくみ)」の語義が際立って認識されるとはいい難いというべきであるから,本願商標から請求人主張の観念が生じることはない。
イ 請求人は,本願商標構成中の図形部分は,平仮名の「ふじ」を配し,全体として漢字の「匠」を図案化して要部を構成するものであるから,本願商標から当該図形部分に応じた「匠」の観念が生じる旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,当該図形は一種の幾何学状の図形と認識されるというのが相当であって,「匠」の文字であると判読できるものとはいい難い。また,仮に請求人が主張するように,当該図形部分が,平仮名の「ふじ」を配して構成されたものであるとしても,そのことをもって,図形全体が「匠」の文字を表したものと認識されることはないというべきである。
ウ 請求人は,小売業界の取引の実情を踏まえると,外観や観念の果たす役割が大きいから,本願商標と引用商標が紛れるおそれはない旨主張する。
しかしながら,本願商標と引用商標が外観上似かよっており,観念において比較することができないことは,上記(1)に加え,上記(2)ア及びイのとおりである。また,引用商標の「フジショウ」の文字は,特段特徴的な字体とはいえないことから,本願商標と引用商標に,時と所を異にして接したときは,相互に文字種や書体に変更を加えたものと捉えるなど,その出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきだから,小売業界の取引の実情を考慮に入れても,両商標は紛れるおそれがあるものである。
エ したがって,請求人の主張は,いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標(色彩については原本参照。)


別掲2 本願商標の指定役務
第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

別掲3 引用商標1の指定商品
第29類「ミネラル類・ビタミン類を主成分とするタブレット状・ペースト状・ゼリー状・液状・粉末状・顆粒状・カプセル状の加工食品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」
第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」
第32類「飲料用野菜ジュース」



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-07-20 
結審通知日 2022-07-22 
審決日 2022-08-03 
出願番号 2020145389 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
茂木 祐輔
商標の称呼 フジショー、フジタクミ、フジ 
代理人 井上 浩 

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