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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W093845
管理番号 1389535 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-05 
確定日 2022-09-21 
事件の表示 商願2019−130015拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「SLIDE」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類、第38類及び第45類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年10月4日に登録出願されたものである。
原審では、令和2年12月14日付けで拒絶理由の通知、令和3年3月15日付けで意見書及び手続補正書の提出、同年8月5日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年11月5日付けで本件拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正書が提出されている。
本願商標の指定商品及び指定役務は、原審及び当審における上記手続補正書により、第9類「インターネットによる異性の紹介・結婚又は交際を希望する者への異性の紹介のためのダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,ソーシャルメディアの分野におけるダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,オンラインコンテンツの購読者にステータス更新を通知し、他人と共有できるようにダウンロード可能な電子ファイルをアップロードするためのダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア及び同モバイル機器用アプリケーションソフトウェア,その他のコンピュータソフトウェア,携帯電話機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,携帯型マルチメディアプレーヤー(PMP)及びコンピュータ,写真の撮影用・編集用又はビデオ映像の記録用・編集用のコンピュータソフトウェア,写真・ビデオ映像・画像・オーディオビジュアルコンテンツ・データ・テキスト・メッセージ・コメント・広告・通信の生送信用・生配信用又は非生送信用・非生配信用のコンピュータソフトウェア,グローバルコンピュータネットワークによる写真・ビデオ映像・画像・電子メッセージ・デジタルテキストを他人に送信し受信するためのコンピュータソフトウェア,画像・オーディオビジュアルコンテンツ及びビデオ映像コンテンツ・関連テキスト及びデータを閲覧したり相互にやり取りするためのダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,オンラインによる異性の紹介又はソーシャルネットワーキングに用いられるコンピュータソフトウェア,ソーシャルネットワーキング用のコンピュータソフトウェア,データ及び情報の収集用・編集用・整理用・修正用・送信用・保存用・共有用のコンピュータソフトウェア,ユーザーが住所録・友達リスト・略歴・好み・個人データその他のソーシャルネットワーキング情報を作成し、これにアクセルできるようにするためのコンピュータソフトウェア」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5747179号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成26年5月26日登録出願、第9類「コンピュータ用ペン型データ入力具,その他の電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,電池」を指定商品として、同27年3月6日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類似
ア 商標の類否の判断
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも許される(参照:令和元年(行ケ)第10104号 知財高裁 令和元年12月26日判決)。
イ 本願商標について
本願商標は、「SLIDE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その欧文字は、「なめらかに滑る。滑走する。」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「スライド」の称呼を生じ、「なめらかに滑る。滑走する。」程度の観念を生じる。
ウ 引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、左右に向き合うような2つの三角形の間に略三角形状の山状図形を配置してなる図形と、その右側に「Slide」の欧文字を表してなるところ、その文字部分は、図形部分とは重なることもなく、間隔を設けて配置されているから、それぞれ独立した構成部分との印象を与えるもので、視覚上分離して認識されるものである。
また、引用商標の構成中「Slide」の欧文字部分は、「なめらかに滑る。滑走する。」の意味を有する英語(前掲書)であるが、その図形部分は、何らかのロゴ風の図形を表してなると認識できるとしても、具体的に何を描いてなるのかは明らかではないから、具体的な称呼及び観念を生じるものではなく、両部分に称呼や観念における直接的な関連性はない。
そうすると、引用商標の構成中「Slide」の文字部分は、他の構成部分とは視覚上分離して認識されるもので、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく、また、相応に目立つ態様(大きさ)で表示されているから、取引者及び需要者に対して自他商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえる。
したがって、引用商標は、その構成文字(要部)に相応して、「スライド」の称呼を生じ、「なめらかに滑る。滑走する。」程度の観念を生じる。
エ 本願商標と引用商標の比較
本願商標と引用商標の要部を比較すると、外観においては、その構成文字はつづり(SLIDE、Slide)を共通にするから、語頭以外に大文字と小文字の差異があるとしても、共通する語として認識、記憶されるもので、相紛れるおそれがある。また、称呼(スライド)及び観念(滑走。すべるように動くもの。)を共通にする。
そうすると、本願商標と引用商標は、要部の比較において、外観において相紛れるおそれがあり、称呼及び観念を共通にするから、その他の構成部分(図形部分)の有無に差異があるとしても、それらを総合して需要者、取引者に与える印象、記憶、連想等が近似したものになるため、これらを同一又は類似の商品について使用するときは、その商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきで、類似する商標と認められる。
(2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の比較
本願商標の指定商品中、「携帯型マルチメディアプレーヤー(PMP)」を除く商品、つまり、「インターネットによる異性の紹介・結婚又は交際を希望する者への異性の紹介のためのダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,ソーシャルメディアの分野におけるダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,オンラインコンテンツの購読者にステータス更新を通知し、他人と共有できるようにダウンロード可能な電子ファイルをアップロードするためのダウンロード可能なモバイル機器用アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア及び同モバイル機器用アプリケーションソフトウェア,その他のコンピュータソフトウェア,携帯電話機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,コンピュータ,写真の撮影用・編集用又はビデオ映像の記録用・編集用のコンピュータソフトウェア,写真・ビデオ映像・画像・オーディオビジュアルコンテンツ・データ・テキスト・メッセージ・コメント・広告・通信の生送信用・生配信用又は非生送信用・非生配信用のコンピュータソフトウェア,グローバルコンピュータネットワークによる写真・ビデオ映像・画像・電子メッセージ・デジタルテキストを他人に送信し受信するためのコンピュータソフトウェア,画像・オーディオビジュアルコンテンツ及びビデオ映像コンテンツ・関連テキスト及びデータを閲覧したり相互にやり取りするためのダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,オンラインによる異性の紹介又はソーシャルネットワーキングに用いられるコンピュータソフトウェア,ソーシャルネットワーキング用のコンピュータソフトウェア,データ及び情報の収集用・編集用・整理用・修正用・送信用・保存用・共有用のコンピュータソフトウェア,ユーザーが住所録・友達リスト・略歴・好み・個人データその他のソーシャルネットワーキング情報を作成し、これにアクセルできるようにするためのコンピュータソフトウェア」は、電子計算機たるコンピュータや、コンピュータソフトウェア、アプリケーションソフトウェアの一種である。
他方、引用商標の指定商品中「コンピュータ用ペン型データ入力具,その他の電子応用機械器具及びその部品」は、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであって、電子計算機やその部品、電子計算機用プログラムを含むものである。
そうすると、本願商標の上記指定商品は、引用商標の上記指定商品に包含されているから、それらは互いに重複する、同一又は類似の商品と認められる。
(3)請求人の主張
ア 請求人は、引用商標はロゴ化された図形と「Slide」の欧文字を常に一体的に捉えることから、本願商標「SLIDE」とは、それぞれの構成全体における外観、称呼及び観念は異なるもので、両商標は類似する商標ではない旨を主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、商標の比較においては、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これを他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断する、いわゆる要部観察が可能であるところ、引用商標はその構成中「Slide」の文字部分が自他商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえるから、本願商標「SLIDE」とは、その要部(文字部分)を比較すれば、その他の構成部分(図形部分)の有無に差異があるとしても、その出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきで、両商標は類似する商標といえる。
イ 請求人は、本願商標の指定商品は、主にコンピュータソフトウェアを対象とするものである一方で、引用商標が実際に使用されている商品は、デジタル定規であり、コンピュータ用ペン型データ入力具と一緒に販売されているとして、両商品が類似しない旨を主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、本願商標の指定商品は、コンピュータソフトウェアやアプリケーションソフトウェアだけでなく、電子計算機たるコンピュータも含んでおり、また、引用商標の指定商品「コンピュータ用ペン型データ入力具,その他の電子応用機械器具及びその部品」は、電子計算機やその部品、電子計算機用プログラムを含むから、それらを比較すれば、互いに重複する、同一又は類似の商品といえる。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは類似する商標であって、その指定商品も同一又は類似する商品を含むから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(引用商標)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 矢澤 一幸
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-04-21 
結審通知日 2022-04-22 
審決日 2022-05-09 
出願番号 2019130015 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W093845)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
商標の称呼 スライド 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 宮城 和浩 

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