ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W18 |
---|---|
管理番号 | 1388517 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-03-02 |
確定日 | 2022-07-28 |
事件の表示 | 商願2021−102275拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第18類「かばん類」を指定商品として、令和2年8月3日に登録出願された商願2020−95524に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同3年8月18日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年8月23日付けで拒絶理由の通知がされ、同年10月5日付けの意見書が提出されたが、同年12月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同4年3月2日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 1 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下「引用商標」という。)は、次の2のとおりであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 そして、原査定は、本願商標は、引用商標と同一又は類似であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 2 登録第2622449号商標 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成4年2月7日 設定登録日:平成6年2月28日 書換登録日:平成16年6月2日 指定商品:第18類「かばん類」 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類否について ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、「glafit」の欧文字をやや特徴的な書体で表してなるものである。 そして、「glafit」の文字(語)は、辞書に採録されているような既成の語ではなく、また、我が国において特定の意味合いを認識させる語として一般に親しまれているものとも認められない。 そうすると、「glafit」の文字からなる本願商標は、これを英語風に発音した「グラフィット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、上段に「GRAFIT」の欧文字を大きく顕著に表し、下段に「グラフィット」の片仮名を小さく表した構成からなるものである。 そして、引用商標の構成中、上段の「GRAFIT」の欧文字(語)は、辞書に採録されているような既成の語ではなく、また、我が国において特定の意味合いを認識させる語として一般に親しまれているものとも認められない。 また、引用商標の構成中、下段の「グラフィット」の片仮名は、上段の「GRAFIT」の欧文字の読みを記載したものと無理なく理解されるものである。 そうすると、「GRAFIT」及び「グラフィット」の文字からなる引用商標は、その構成文字に照応して、「グラフィット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、片仮名の有無並びに欧文字部分における書体の違い、大文字か小文字かの違い及び2文字目が「l」か「R」かの違いはあるものの、語頭の「g(G)」及び3文字目以降の「afit(AFIT)」のつづり、すなわち、6文字中5文字を共通にするものであるから、両者は近似した印象を与えるものである。 また、両者はいずれも「グラフィット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるから、称呼を共通にし、観念においては比較することができない。 そうすると、本願商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ観念において比較することができないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にする両者は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 (2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 前記第1及び第2の2のとおり、本願商標及び引用商標の指定商品は、いずれも第18類「かばん類」であるから、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一である。 (3)小括 以上により、本願商標は、引用商標に類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、本願商標と引用商標との外観における細部の違いを種々述べた上で、これらの相違が外観に及ぼす影響は大きく、両者の外観上の印象は明確に異なることから、本願商標と引用商標とは、外観において紛れるおそれのない非類似の商標である旨主張している。 ところで、商標の外観上の類否を判断するに当たっては、時と場所を異にして離隔的に観察する方法によるべきである(令和3年(行ケ)第10092号判決)。 また、商標の類否は、指定商品の需要者が通常有する注意力を基準として判断すべきであるところ、本願商標の指定商品である「かばん類」の需要者には、一般の消費者が含まれるものであるから、当該需要者が通常有する注意力はさほど高いとはいえない。 そして、本願商標は、やや特徴的な書体で表されているものの、殊更デザイン化されているものではなく、一般的な書体の範ちゅうに含まれる態様というべきであり、また、引用商標も、一般的な書体で表されているものである。 このような商標に接する一般の消費者を含む需要者は、通常有する注意力がさほど高いとはいえないことからして、商標を構成する文字の書体自体を事細かに記憶するとは到底いえず、外観における印象として需要者の記憶に残るものでもない。 そうすると、時と場所を異にして離隔的に観察する場合には、本願商標と引用商標とは、上記1(1)ウのとおり、外観において近似した印象を与えるというべきである。 (2)請求人は、本願商標は請求人の製品の出所表示として一定程度知られているから、本願商標に接した需要者及び取引者は請求人を想起する旨主張している。 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、請求人は、自転車としても、電動バイクとしても利用できる「電動ハイブリッドバイク」を製造、販売する企業であること(甲1)、請求人は、当該「電動ハイブリッドバイク」に本願商標の使用をしていること(甲2)、当該商品がいくつかのウェブサイトにおいて紹介されていること(甲4、甲6〜甲8、甲10〜甲19)、当該商品がクラウドファンディングで当時の最高記録となる1億2800万円を集めたこと(甲5〜甲7)、請求人が販売した当該「電動ハイブリッドバイク」の「GFR−02」が先行予約販売開始1時間で完売したこと(甲11)、当該「電動ハイブリッドバイク」の開発について、請求人はヤマハ発動機株式会社と業務提携を締結したこと(甲12)、和歌山市観光協会において、当該「電動ハイブリッドバイク」のレンタル体験を行っていること(甲19)が認められる。 これらの事実からすると、本願商標は、請求人の業務に係る当該「電動ハイブリッドバイク」を表示するものとして当該商品の需要者の間に一定程度認識されていることがうかがえる。 しかしながら、このことは本願商標が現在使用されている「電動ハイブリッドバイク」についてのみの特殊的、限定的な取引の実情というべきであって、本願商標と引用商標との類否判断において考慮することのできる「かばん類」についての一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。 (3)請求人は、平成26年(行ケ)第10264号判決を示した上で、「かばん類」の取引においては、需要者及び取引者は、店頭販売、通信販売及びインターネットを介した販売において、商品の外観を見て購入するのが通常であり、その際に、商品、値札、カタログ、商品情報等に付された商標の外観や製造販売元を確認して、商品の出所について相応の注意を払って購入すると考えられるところ、かかる「かばん類」の取引の実情を考慮すると、本願商標と引用商標の類否判断においては、その外観の果たす役割が大きいというべきであると主張している。 しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであるから、仮に、請求人の主張のとおり、本願商標と引用商標の類否判断においてその外観の果たす役割が大きいとしても、上記判断を左右するものではない。 (4)請求人は、本願商標が請求人の商品の出所表示として一定程度知られている点及び指定商品「かばん類」の取引の実情を考慮すれば、本願商標と引用商標の外観及び観念の相違が称呼の共通性を凌駕することから、本願商標をその指定商品に使用したとしても引用商標との間に誤認混同を生じさせるおそれはないと主張している。 しかしながら、上記(2)のとおり、本願商標が請求人の業務に係る「電動ハイブリッドバイク」を表示するものとして当該商品の需要者の間に一定程度認識されているとしても、このことは本願商標と引用商標との類否判断において考慮することのできる「かばん類」についての一般的、恒常的な取引の実情とはいえないこと、及び上記(1)のとおり、本願商標と引用商標とは、外観において近似した印象を与えるものであることからすると、請求人の主張は、その前提において失当である。 (5)請求人は、称呼が共通する商標につき、その外観及び観念の相違が称呼の共通性を凌駕し、取引者及び需要者の間に誤認混同が生じるおそれがなく、両商標は非類似の商標であると判断されたいくつもの審決例を挙げている。 しかしながら、これらの審決例は、その商標の具体的態様において本件とは事案を異にするものであり、本件においては、上記のとおり判断するのが相当である。 (6)以上により、請求人の主張は、いずれも採用できない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標) 別掲2(引用商標) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分に御注意ください。 |
審理終結日 | 2022-05-26 |
結審通知日 | 2022-05-31 |
審決日 | 2022-06-14 |
出願番号 | 2021102275 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W18)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
矢澤 一幸 |
特許庁審判官 |
杉本 克治 山田 啓之 |
商標の称呼 | グラフィット、グラ、ジイエルエイ |
代理人 | 八田国際特許業務法人 |