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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1388485 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-08 
確定日 2022-08-12 
事件の表示 商願2020− 35309拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は,令和2年3月17日に登録出願されたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 9月 1日付け:拒絶理由通知書
令和2年11月 2日受付:意見書,手続補正書
令和3年 6月30日付け:拒絶査定
令和3年10月11日受付:審判請求書

2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。その後,指定商品については,上記1の手続補正書により,第3類「黒色の容器に入れられた家庭用帯電防止剤,黒色の容器に入れられた家庭用脱脂剤,黒色の容器に入れられたさび除去剤,黒色の容器に入れられた染み抜きベンジン,黒色の容器に入れられた洗濯用柔軟剤,黒色の容器に入れられた洗濯用漂白剤,黒色の容器に入れられたかつら装着用接着剤,黒色の容器に入れられた洗濯用でん粉のり,黒色の容器に入れられた洗濯用ふのり,黒色の容器に入れられたつけまつ毛用接着剤,黒色の容器に入れられた塗料用剥離剤,黒色の靴クリーム,黒色の靴墨,黒色の容器に入れられたつや出し剤,黒色の容器に入れられたせっけん類,黒色のせっけん類,黒色の容器に入れられた歯磨き,黒色の歯磨き,黒色の容器に入れられた化粧品,黒色の容器に入れられた香料,黒色の香料,黒色の容器に入れられた薫料,黒色の薫料」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由
原査定は,要旨,以下(1)及び(2)の拒絶の理由に該当すると認定,判断し,本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は,「ノアール」の片仮名及び「nOIR」の欧文字を上下2段に横書きしてなり,構成中の「nOIR」の文字は,ややデザイン化された文字であるものの,全体として,「ノアール」及び「nOIR」の文字をいまだ普通に用いられる方法の域を出ない方法で表示したものである。そして,「nOIR」の文字は,フランス語で「黒色」を意味する基本的な語である「noir」と実質的に同一であり,「ノアール」の文字は「noir」の表音と認められるので,全体として「黒色」の意味合いを容易に理解させる。そうすると,本願商標をその指定商品中,「黒色の靴クリーム,黒色の靴墨」に使用しても,単に商品の品質を表示したものとして認識するにとどまると言わざるを得ない。したがって,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は,次の登録商標と同一又は類似の商標であって,それらの商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
登録第2374414号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和57年8月3日登録出願,第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年1月31日に設定登録され,その後,指定商品については,同14年1月16日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類(「食品香料(精油のものを除く。)」を除く。)」を指定商品とする書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は,別掲1のとおり,「ノアール」の片仮名及び「nOIR」の文字を2段に書してなるところ,その構成中,「n」を小文字で表し,全体としてややデザイン化して表してなるものである。
そして,「ノアール」及び「nOIR」(noir)の文字が原審説示のとおりフランス語で「黒色」等の意味を有するとしても,一般に広く親しまれた平易な語とはいえないから,直ちに当該意味合いを認識させるとはいい難いものである。
また,当審において職権をもって調査するも,本願の指定商品を取り扱う業界において,「noir」及び「ノアール」の各文字が単独で,商品の品質を直接的に表示するものとして,取引上一般に使用されていると認めるに足る事実は見いだせなかった。
さらに,取引者,需要者において,「noir」及び「ノアール」の各文字を商品の品質を表示するものとして認識されるとみるべき事実も発見できなかった。
そうすると,「ノアール」の片仮名及び「nOIR」の欧文字よりなる本願商標は,その指定商品との関係において,商品の品質を表示するものということはできないから,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本願商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化して表した「ノアール」の片仮名及び「nOIR」の欧文字を2段に書してなるところ,かかる構成からすれば,上段の片仮名は,下段の欧文字の読みを表したものと理解されるから,その構成文字に相応して,「ノアール」の称呼を生じるものである。
そして,「nOIR」(noir)及び「ノアール」の各文字は,上記(1)のとおり,一般に広く親しまれた語とはいえないから,需要者において直ちに具体的な意味合いを想起させるものとはいえない。
そうすると,本願商標は,その構成文字に相応して「ノアール」の称呼を生じ,特定の観念は生じない。
イ 引用商標は,別掲2のとおり,「NOIR」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであるところ,引用商標を構成する「NOIR」の文字は,フランス語で「黒」の意味を有するとしても,上記(1)と同様の理由により,需要者において直ちに具体的な意味合いを想起させるものとはいえない。
そして,特定の意味合いを想起させない欧文字からなる商標を称呼するときは,我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風に発音されるのが一般的であるから,引用商標からは,「ノアール」,「ノアー」及び「ノイア」の称呼が生じるというのが相当である。
そうすると,引用商標からは,「ノアール」,「ノアー」及び「ノイア」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
ウ 本願商標と引用商標の比較
本願商標と引用商標を比較すると,外観については,全体の構成及び語頭の「n(N)」については大文字と小文字の差異を有するものの,構成する欧文字のつづりを同じくするうえに,4文字のうち「OIR」の3文字が大文字である点を共通することから,これらの差異が,看者に対し,出所識別標識としての外観上顕著に異なる印象を与えるものとはいえず,相紛らわしいものというべきである。
また,本願商標と引用商標は,いずれも「ノアール」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
そうとすれば,本願商標と引用商標は,観念において比較することができないとしても,外観上相紛らわしいものである上,同一の称呼が生じるから,それぞれの外観,称呼及び観念等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(3)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否
本願の指定商品中,第3類「黒色の容器に入れられたせっけん類,黒色のせっけん類,黒色の容器に入れられた歯磨き,黒色の歯磨き,黒色の容器に入れられた化粧品,黒色の容器に入れられた香料,黒色の香料,黒色の容器に入れられた薫料,黒色の薫料」と引用商標の全ての指定商品は類似のものである。
(4)小括
以上より,本願商標は,引用商標と類似の商標であり,かつ,その指定商品も引用商標の指定商品と類似の商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は「nOIR」の文字が特殊な態様で表されていることによってはじめて,自他商品識別力を発揮する商標であるから,本願商標の類似範囲は,「ノアール」との称呼や「黒色」との観念が生じる商標に対して,広く及ぶものではなく,図案化した文字の外観が類似する商標に対してのみ及ぶものと解するのが妥当であるから,本願商標からは,「ノアール」の称呼及び「黒色」との観念は生じないというべきである。したがって,本願商標と引用商標は,称呼及び観念が共通する商標とはいえない旨述べて「ノアール(ノワール)」,「NOIR(noir)」の使用例を挙げている。
しかしながら,「ノアール(ノワール),「NOIR(noir)」の文字は,本願の指定商品との関係において,商品の品質等を表示するものとはいえないことは,上記(1)のとおりであって,本願商標を構成する「nOIR」及び「ノアール」の文字自体が商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものであるから,本願商標からは,「ノワール」の称呼を生じ,これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断するものである。
また,請求人が挙げた「ノアール(ノワール)」,「NOIR(noir)」の使用例には,該文字が黒の色彩を表しているといった具体的な説明は見当たらない。
イ 請求人は,審決例,判決例を挙げて本願商標と引用商標は非類似の商標である旨主張する。
しかしながら,商標の類否判断は,外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,かつ,具体的な取引状況に基づいて行うものであり,事案ごとの具体的な事実に基づく判断となるものであって,審決例や判決例とは商標の具体的構成において異なるものであるから,それらの例をもって,本願商標と引用商標の類否判断が左右されることはない。
ウ したがって,請求人の主張はいずれも採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しないとしても,同法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標


別掲2 引用商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-06-14 
結審通知日 2022-06-17 
審決日 2022-06-30 
出願番号 2020035309 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
清川 恵子
商標の称呼 ノアール、ノワール 

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