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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W05 |
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管理番号 | 1388482 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-10-08 |
確定日 | 2022-08-12 |
事件の表示 | 商願2020− 35312拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は,令和2年3月17日に登録出願されたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月 1日付け:拒絶理由通知書 令和2年11月 2日受付:意見書,手続補正書 令和3年 6月30日付け:拒絶査定 令和3年10月11日受付:審判請求書 2 本願商標 本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。その後,指定商品については,上記1の手続補正書により,第5類「肌を白くするための医療用化粧品,肌を白くするための薬剤,白色の容器に入れられた薬剤」と補正されたものである。 3 引用商標 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第6319184号商標(以下「引用商標」という。)は,「ブラン」の文字を標準文字で表してなり,令和2年3月11日登録出願,第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として,同年11月20日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)本願商標 本願商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化して表した「ブラン」の片仮名及び「BLAnC」の欧文字を2段に書してなるところ,かかる構成からすれば,上段の片仮名は,下段の欧文字の読みを表したものと理解されるから,その構成文字に相応して「ブラン」の称呼を生じるものである。 そして,「ブラン」及び「BLAnC」(blanc)の文字は,フランス語で「白色」等の意味を有するとしても,一般に広く親しまれた語とはいえないから,需要者において直ちに具体的な意味合いを想起させるものとはいえない。 そうすると,本願を構成する文字は,指定商品との関係において,当該商品の品質等を表すものとはいえないから,出所識別機能を有するものというべきである。 したがって,本願商標は,その構成文字に相応して「ブラン」の称呼を生じ,特定の観念は生じない。 (2)引用商標 引用商標は,「ブラン」の文字を標準文字で表してなるから,その構成文字に相応して「ブラン」の称呼を生じるものである。そして,「ブラン」の片仮名は,辞書に掲載された意味があるとしても,需要者において特定の意味合いを有する語として広く親しまれているというべき事情は見いだせないから,直ちに具体的な意味合いを想起させるものとはいい難い。 また,「ブラン」の文字は,指定商品との関係において,当該商品の品質等を表すものともいえない。 そうすると,引用商標からは,「ブラン」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。 (3)本願商標と引用商標の比較 本願商標と引用商標を比較すると,外観については,図案化された欧文字部分の有無においてその構成が異なるものの,両者は「ブラン」の片仮名を共通にするものであって,これらの差異が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないから,両商標は,外観において,似かよった印象を与えるというべきである。 また,本願商標と引用商標は,いずれも「ブラン」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。 以上のとおり,本願商標と引用商標は,観念において比較することができないとしても,外観上似かよった印象である上,同一の称呼が生じるから,それぞれの外観,称呼及び観念等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すると,相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否 本願の指定商品である「肌を白くするための医療用化粧品,肌を白くするための薬剤,白色の容器に入れられた薬剤」と引用商標の指定商品中,「薬剤,医療用試験紙」は類似のものである。 (5)小括 以上より,本願商標は,引用商標と類似の商標であり,かつ,その指定商品も引用商標の指定商品と類似の商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は,本願商標は「BLAnC」の文字が特殊な態様で表されていることによってはじめて,自他商品識別力を発揮する商標であるから,本願商標の類似範囲は,「ブラン」との称呼が生じる商標に対して,広く及ぶものではなく,図案化した文字の外観が類似する商標に対してのみ及ぶものと解するのが妥当であるから,本願商標からは「ブラン」の称呼及び「白色」との観念は生じないというべきである。そして,引用商標とは外観において大きく相違しているから,本願商標と引用商標は,出所の混同を生じるおそれがないことは明らかである旨述べて「ブラン」,「BLANC(blanc)」の使用例を挙げている。 しかしながら,「ブラン」,「BLANC(blanc)」の文字は,本願の指定商品との関係において,商品の品質等を表示するものとはいえないことは,上記(1)のとおりであって,本願商標を構成する「BLAnC」及び「ブラン」の文字自体が商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものであるから,本願商標からは,「ブラン」の称呼を生じ,これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断するものである。 また,請求人が挙げた「ブラン」,「BLANC(blanc)」の使用例には,該文字を含んで使用されていることが確認できるものの,該文字が白の色彩を表しているといった具体的な説明は見当たらない。 イ 請求人は,引用商標の自他商品識別力が認められるのは「ブラン」から生じる意味合いが多義的であるからであって,フランス語の「blanc」及びその表音は自他商品識別力を有しないから,引用商標の類似範囲は,フランス語の「blanc」及び「ブラン」の表示に及ぶものではない旨述べている。 しかしながら,上記アのとおり,「blanc」及び「ブラン」の文字が商品の品質等を認識させ,自他商品識別標識として機能し得ないと判断すべき事情は見いだせない。 また,引用商標を構成する「ブラン」の語が,請求人の挙げる様々な意味合いの語として広く親しまれているとはいい難く,引用商標から,直ちに特定の観念を想起するとはいえないことは,上記(2)で認定判断したとおりであり,本願商標と引用商標の類否については,上記(3)のとおりである。 ウ 請求人は,審決例,判決例を挙げて本願商標と引用商標は非類似の商標である旨主張する。 しかしながら,商標の類否判断は,外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,かつ,具体的な取引状況に基づいて行うものであり,事案ごとの具体的な事実に基づく判断となるものであって,審決例や判決例とは商標の具体的構成において異なるものであるから,それらの例をもって,本願商標と引用商標の類否判断が左右されることはない。 エ したがって,請求人の主張はいずれも採用することができない。 (7)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2022-05-25 |
結審通知日 | 2022-06-03 |
審決日 | 2022-06-30 |
出願番号 | 2020035312 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W05)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
大森 友子 清川 恵子 |
商標の称呼 | ブラン、ブランク |