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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1416182021242628
管理番号 1387683 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-22 
確定日 2022-07-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6461439号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6461439号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6461439号商標(以下「本件商標」という。)は、「東京24区」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月14日に登録出願、別掲1のとおりの商品を指定商品として、同年10月13日に登録査定され、同月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)は、別掲2のとおりの商標(以下「引用商標1」という。)及び「東京24区」の文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第45号証を提出した。
1 本件商標と引用商標との類似性
(1)本件商標は、「東京24区」を標準文字で表してなるものであり、「東京24区」の称呼、観念を生ずる。
(2)引用商標は、「東京24区」の語句を含む文字と図形の結合商標であり、「東京24区」の称呼、観念を生ずる。
(3)本件商標と引用商標とは、「東京24区」の称呼、観念を共通にする類似のものである。
2 引用商標の周知性獲得
(1)発表からゲームソフト「東京24区」発売まで
申立人は、PC用ゲームソフトの開発及び販売を業として行っており、平成31年(2019年)1月29日に「東京24区」と題するPC用ゲームソフトの発売を発表した(甲2)。
上記の発表から本件商標の登録出願日までの間に、同ゲームは女性向けゲームの情報を扱う隔月刊雑誌「Cool−B」にて複数回にわたり特集が組まれた(甲3〜甲14)。特に令和2年(2020年)2月4日に刊行された「Cool−B」の2020年3月号(Vol.90)では、同ゲームソフトのイラストが表紙に起用され、巻頭特集が組まれた(甲9)。
(2)ゲームソフト発売後の関連商品の展開
令和2年5月29日に同ゲームソフトが発売されると、本件商標の登録出願日に至るまでに、オーディオドラマCD、サウンドトラックCD、Tシャツ、アクリルスタンド、スマートフォン用ケース、缶バッジといった関連商品が申立人ないし申立人のライセンシーにより発売された(甲15〜甲27)。
(3)店舖内床貼り広告の掲出
令和2年7月5日から同月10日までの間、東京都豊島区東池袋にある女性向けゲーム専門店ステラワースの店舗内にて、申立人のゲームソフト「東京24区」の床貼り広告が掲出された(甲28)。
(4)コラボレーションカフェの展開
令和2年10月29日から同年12月13日までの間、アニメイト渋谷、アニメイト吉祥寺パルコ、アニメイト仙台、アニメイト大阪日本橋、アニメイト岡山の各店舗内のカフェにて、申立人のゲームソフト「東京24区」のロゴとキャラクターが印刷されたグラッテ(同店で提供されるドリンクの上のクリームに絵柄を形成してなる飲料の名称)とアイシングクッキーが提供された(甲29)。
(5)ゲーム情報サイトへの掲載
同ゲームソフトは、BL情報サイト「ちるちる」のBLゲーム1年間ランキングにて2020年の4位に掲載されている(甲30)。
(6)出願時点における引用商標の周知性
上記の経緯を踏まえると、本件商標の登録出願日において、引用商標は成人向けPCゲームに関心を持つ需要者の間で、申立人の発売したゲームソフトである「東京24区」及びその関連商品を示す商標として広く知られていたといえる。
(7)本件商標の登録出願後のゲームソフト「東京24区」の展開
申立人は、令和3年(2021年)5月26日に「東京24区」のNintendo Switch版の発売を発表し(甲31)、令和3年(2021年)6月4日に刊行された雑誌「Cool−B」の2021年7月号(Vol.98)にて「東京24区−祈−」のタイトルで正式に発表され、原作PCゲームの制作スタッフのインタビューを含む特集が掲載された(甲32)。
その後、同ゲームについて、令和3年(2021年)8月4日に刊行された雑誌「Cool−B」の2021年9月号(Vol.99)にてディレクターへのインタビューが掲載され、裏表紙には広告が掲載された(甲33)。
さらに、令和3年(2021年)10月4日に刊行された雑誌「Cool−B」の2021年11月号(Vol.100)にて特集が組まれ(甲34)、同年8月20日に刊行された雑誌「B’s−LOG」2021年10月号にも掲載された(甲35)。
(8)ゲームソフト「東京24区」関連商品の展開
本件商標の登録出願日から登録査定日に至るまでに、エプロン、アクリルスタンド、缶バッジといった関連商品が申立人ないし申立人のライセンシーにより発売された(甲36〜甲42)。
(9)登録査定時点における引用商標の周知性
上記経緯を踏まえると、本件商標の登録査定日において、引用商標は成人向けPCゲームに関心を持つ需要者の間で、申立人の発売したゲームソフトである「東京24区」及びその関連商品を示す商標として広く知られていたといえる。
3 商標法第4条1項15号
(1)本件商標と引用商標の類似性
上記のとおり、本件商標と引用商標は類似する。
(2)引用商標の周知性
上記のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願及び登録査定時において、成人向けPCゲームの需要者の間で申立人の発売したゲームソフトである「東京24区」及びその関連商品を示す商標として高い知名度を獲得していた。
(3)他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるか否か
上記から、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標に係るゲーム作品と関連する商品が発売したものとして需要者は誤認混同するおそれがある。
また、アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業においては、原作品を翻案した関連商品・関連サービスが幅広い分野で展開することが多く、申立人(申立人がライセンスをした第三者を含む。)が現実に商標を使用した商品又は役務以外においても、同様に混同が生ずるおそれがある。
事実、氏名不詳の一般人複数名は、本件商標権者の企画するアニメ「東京24区」のティザーサイトが公開された令和3年10月24日のTwitterの投稿(甲43)にあるとおり、本件商標の存在を知った需要者のうち、申立人の「東京24区」に関連するものだと混同した需要者が一定数存在している。
(4)まとめ
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であって、商標法第4条1項15号に該当する。
4 商標法第4条1項19号
(1)本件商標と引用商標の類似性
上記のとおり、本件商標と引用商標は類似する。
(2)引用商標の周知性
上記のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願及び登録査定時において、成人向けPCゲームの需要者間において、申立人の発売したゲームソフ卜である「東京24区」及びその関連商品を示す商標として高い知名度を獲得していた。
(3)不正の目的
本件商標権者は、本件商標の登録出願日以前より、PC用ゲーム作品を原作とするアニメーション作品を複数企画しているほか(甲44)、「ANIPLEX.EXE」のブランド名で自らPC用ノベルゲームを販売、提供していることから(甲45)、本件商標の登録出願日において、引用商標の存在及びその知名度を十分に知り得る立場にあったといえる。
引用商標の周知性及び本件商標の登録出願の経緯等を総合的に考慮すれば、本件商標権者は、申立人の発売したゲームソフトの商標である「東京24区」が商標登録されていないことを奇貨として、これを剽窃的に先取りし、「東京24区」に化体した顧客吸引力、信用、名声を不正に利用し、不正の利益を得る目的をもって本件商標を出願し登録を受けたものといわざるを得ない。
(4)まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条1項19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の主張及び証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、引用商標1よりなるロゴをタイトルとして表示する「東京24区」と題する成人向け(18禁)の「PCゲームソフト」(以下「申立人使用商品」という。)を、2020年(令和2年)5月29日に発売した(甲2、甲10)。
イ 申立人商品は、その発売前から、女性向けゲーム情報を扱う隔月刊雑誌(Cool−B。2019年3月号から2021年1月号。)において、商品紹介記事が掲載された(甲3〜甲14)。
ウ 申立人商品の関連商品(ドラマCD、サウンドトラック、Tシャツ、アクリルスタンドなど)も販売されている(甲15〜甲27)。
エ 女性向けゲーム専門店及びアニメイトの店舗において、申立人商品の広告掲示や、関連飲料の提供がされた(甲28、甲29)。
オ BL情報サイトにおける「BLゲーム 2020年度ランキング」において、申立人使用商品は、4位に位置づけられている(甲30)。
(2)検討
以上の認定事実によれば、引用商標をタイトルとする申立人使用商品(成人向けPCゲームソフト)は、本件商標の登録出願日までに約1年程度の販売実績があり、専門誌や専門店などにおける広報活動や、関連商品の販売もある程度されている実情はうかがえるものの、申立人使用商品の販売実績(販売数、売上高、市場シェア)や広告宣伝実績(広告宣伝媒体、広告宣伝費)の多寡を客観的に把握するための証拠の提出はなく、提出されたランキング情報(何を基準にしたランキングであるかは不明。)にしても極めて限定的な商品分野(BLゲーム)のものである。
そうすると、引用商標は、極めて限定的な商品分野(成人向けのBLのPCゲームソフト)における需要者(成人)の間において、ある程度認知されている可能性はあるとしても、「PCゲームソフト」やその他のゲームソフト全般における一般需要者の間において、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者に広く認識されていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)引用商標の周知性
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時において、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者に広く認識されていたものではない。
(2)本件商標の指定商品と申立人使用商品の比較
本件商標の指定商品は、別掲1のとおりの商品であるところ、申立人使用商品(成人向けPC用ゲームソフト)及びそれに類似する商品を含まない。
したがって、本件商標の指定商品と申立人使用商品は、同一又は類似する商品を含まず、それぞれの関連性の程度は低く、需要者を共通にする範囲も狭い。
(3)検討
ア 以上を踏まえると、本件商標と引用商標は、いずれも「東京24区」の構成文字を含むとしても、引用商標は、我が国の需要者に広く認識されているものではなく、本件商標の指定商品と申立人使用商品の関連性の程度は低く、需要者を共通にする範囲も狭いから、本件商標は、その指定商品について使用したとしても、それに接する需要者が、申立人又はその業務に係る商品との関連性を連想、想起し、同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
イ 申立人は、本件商標権者の企画するアニメ「東京24区」のティザーサイトが公開された時期のTwitterの投稿記事(甲43)を根拠に、本件商標の存在を知った需要者のうち、申立人使用商品に関連するものであると混同した需要者が一定数存在した旨を主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品は、別掲1のとおりの商品よりなるところ、「アニメーションが記録されたビデオディスク」などを含むものではないから、申立人主張の実情は、本件商標及びその指定商品と直接関連する実情とはいえない。
なお、投稿記事(甲43)の内容にしても、申立人使用商品を認知している一部需要者の個人的な感想を示すとしても、本件商標の指定商品に係る一般需要者における認識を示すものとは評価し難い。
ウ 以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性
(1)引用商標の周知性
引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時において、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者に広く認識されているものではない。
(2)不正の目的
申立人は、本件商標権者は、PC用ゲームに関連する事業(甲44、甲45)も行っており、引用商標の存在及び知名度を知り得る立場にあったから、本件商標の登録出願には不正の目的があった旨を主張する。
しかしながら、申立人提出の証拠によっては、本件商標の登録出願日より1年程度前に発売された申立人使用商品の存在を、本件商標権者が知っていたか否かも明らかでないばかりか、仮に知っていたとしても、本件商標の指定商品は申立人使用商品とは関連性の程度が低いことを鑑みても、本件商標権者に不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的)があったか否かは明らかではない。
したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用、登録出願されたものとは認められない。
(3)検討
以上によれば、引用商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ではなく、また、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものとはいえないから、両商標が同一又は類似するかにかかわらず、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標の指定商品)
第14類「キーホルダー,時計,貴金属,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」
第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,文房具類,印刷物,書籍,定期刊行物,紙類,書画」
第18類「かばん類,袋物,傘,皮革製包装用容器,ペット用被服類,携帯用化粧道具入れ,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」
第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,うちわ,扇子,買物かご,家具,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の小像,木製・ろう製・石膏製又はプラスチック製の美術品,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻,風鈴,つい立て,びょうぶ,懐中鏡,マネキン人形」
第21類「鍋類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,膳,栓抜(電気式のものを除く。),大根卸し,タルト取り分け用へら,鍋敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,貯金箱,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,化粧用具,お守り,おみくじ,調理用具,台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。)」
第24類「布製身の回り品,タオル,手ぬぐい,ハンカチ,ふくさ,ふろしき,テーブルクロス(紙製のものを除く。),タペストリー(壁掛け),かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳」
第26類「テープ,リボン,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,装飾用バッジ」
第28類「囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,ペット用おもちゃ」

別掲2(引用商標)




(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-07-15 
出願番号 2021058834 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W1416182021242628)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 阿曾 裕樹
小田 昌子
登録日 2021-10-25 
登録番号 6461439 
権利者 株式会社アニプレックス
商標の称呼 トーキョーニジューヨンク、トーキョーニヨンク 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 相良 由里子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 尾首 智子 
代理人 中村 稔 
代理人 辻居 幸一 
代理人 湯口 文丸 

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