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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1387680 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-11-05 
確定日 2022-08-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6431305号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6431305号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6431305号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和3年2月25日に登録出願、「建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年8月11日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5014785号商標(以下「引用商標」という。)は、「TERNIUM」の欧文字を書してなり、第6類「金属製管,その他の鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製人工魚礁,金属製養鶏用かご,金属製の吹付け塗装用ブース,金属製セメント製品製造用型枠,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,てんてつ機,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製航路標識(発光式のものを除く。),金属製貯蔵槽類,いかり,金属製ビット,金属製ボラード,金属製輸送用コンテナ,かな床,はちの巣,金属製金具,ワイヤロープ,金網,金属製包装用容器,金属製のネームプレート及び標札,犬用鎖,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製郵便受け,金属製帽子掛けかぎ,金属製貯金箱,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製のタオル用ディスペンサー,金属製建具,金庫,金属製靴ぬぐいマット,金属製立て看板,金属製の可搬式家庭用温室,金属製の墓標及び墓碑用銘板,金属製のバックル,つえ用金属製石突き,アイゼン,カラビナ,ハーケン,金属製飛び込み台,金属製あぶみ,拍車,金属製彫刻」を指定商品として、平成17年12月15日に登録出願(優先権主張:2005年(平成17年)6月30日 アルゼンティン共和国)し、同19年1月5日に設定登録され、現に有効に存続している。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定役務中、第35類「建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立に係る指定役務」という。)は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、英文字「TREMiUM」につき、フォントを多少デザイン化して構成されたものである。デザイン化はされているものの、当該文字を需要者・取引者が認識できないようなものではなく、外観からは英文字「TREMiUM」に係るものと認識できる。当該英文字は特定の意味を有さず、英文字から導き出される最も一般的な称呼は「トレミウム」又は「トレミアム」である。
一方、引用商標は英文字「TERNIUM」からなる。その構成は一般的なフォントによる英文字であることから、外観からは英文字「TERNIUM」に係るものと認識できる。当該英文字は特定の意味を有さず、英文字から導き出される最も一般的な称呼は「トレニウム」又は「ターニウム」である。
両商標に関しては、いずれも、特定の観念を生じさせないものであるところ、これらの英文字の綴りは日本人にとってなじみ深い単語や音を連想させるようなものでもない。したがって、上述の称呼は、英文字の構成を正確に把握した時に初めて生じることができるものである。
しかしながら、本件商標につき、需要者・取引業者にとってその文字構成は、上述のとおりなじみもなく、日本語には「トレミウム」に係る語彙はなく、また何かを連想させるような言葉でもないことから、その英文字構成を正確に記憶するのは容易ではない。特に文字構成の中間にある「R」「E」「M」「i」「U」の構成及び順序を正確に記憶するのは容易ではない。
このように、日本人にとって馴染みがない英文字の場合の称呼においては、「日本人はしばしば「コミュニケーション」と「コミニュケーション」を混同してしまい、うっかり「コミ・ニュ・ケーション」という(原語とはかけ離れた)発音や表記を用いやすい。「シミュレーション」(simulation)もこれと同様に「シュミレーション」(趣味レーション)と言い間違われやすい。」(実用日本語表現辞典)というように、英文字を不正確に記憶して称呼することが生じ得る(甲10)。
本件商標もこのような事情に該当しており、本件商標からは「トレミウム」又は「トレミアム」という一般的な称呼だけではなく、不正確に記憶されて、「トレニウム」(・・・ニウムが、アルミニウムなどの単語からなじみ深い)、「テルミウム」(rとeを入れ違えて発音)など、語呂の良い音によって称呼されやすいものである。
同様に、引用商標「TERNIUM」の英文字の綴りも、日本人にとってなじみ深い単語や音を連想させるものではない。特に文字構成の中間にある「E」「R」「N」「I」「U」の配置を正確に記憶するのは容易ではないことから、引用商標は「テルニウム」という一般的な称呼だけではなく、不正確に記憶されて、「トレニウム」や「テルミウム」など、なじみ深く語呂の良い音により称呼されやすいものである。
したがって、両者は称呼においていずれも「トレニウム」や「テルミウム」などと称呼されうるため、相紛らわしく、互いに類似する。その外観においても、「R」と「E」の配置と、「N」と「M」の文字構成が相違してはいるものの、上述のとおり文字構成を正確に記憶しづらいことから、上記の配置や文字の相違が誤認されやすく、互いに外観において相紛らわしく類似する。
そして、引用商標の指定商品である「金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」は、本件商標の指定役務のうち「建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似する。
よって、本件商標の指定役務のうち、申立に係る指定役務は、商標法第4条第1項第11号に該当し、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標及び「Ternium」の著名性について
引用商標及び「Ternium」は、アルゼンチン及びイタリアを拠点とする財閥であるテチント・グループの鉄鋼及び鉄鋼部門を担う企業群のグループ・ブランドとして使用されている商標である(甲3)。さらに、引用商標及び「Ternium」は、コーポレートブランド・事業ブランドとしても幅広く使用され、主にTernium S.A.がホールディング会社としてファイナンスを統括し、日本における商標の取得は申立人によりなされているが、いずれもテチント・グループの傘下にある法人である(甲4〜甲9)。
テチント・グループの鉄鋼及び鉄鋼製品部門「TERNIUM」は、世界27カ国において18の製造拠点、38の配送拠点、2万人を超える従業員を有し(甲5)、2020年のコロナ禍におかれた厳しい状況下にあっても、売上高が8735百万ドル(約1兆円)、利益高が867百万ドル(約1千億円)を超えた(甲4)。さらに、粗鋼生産量は世界24位であり、アルゼンチンだけではなく、中南米で一位の規模である(甲6)。また、米国にも多くの拠点を有し、2022年にはさらに100億円規模の投資を米国に予定している(甲7)。
このように、引用商標及び「Ternium」は、事業ブランド・コーポレートブランドとして使用されているだけでなく、企業グループを統合したグループ・ブランドとしても使用されていることから、鉄鋼・鉄鋼製品に係るものとして世界的に著名な商標となっているものである。
そして、鉄鋼は「規模の経済」が働く国際競争の激しい分野であり、その材料の取得、製造過程や流通過程、企業間競争が本質的に国際的なものとなる。このことから、例えばTERNIUMグループの一つであるTernium investments S.a.r.l.と新日鉄住金株式会社との共同経営が行われるなどしており(甲8)、世界的に著名な引用商標及び「Ternium」は、日本の鉄鋼業界においても当然によく知られた商標となっているものである。
また、引用商標及び「Ternium」は、鉄鋼そのものだけでなく、建築用又は構築用の金属製専用材料を含めた幅広い鉄鋼製品に使用され、世界的に販売されている(甲9)。
以上の事情により、引用商標及び「Ternium」は、鉄鋼、および建築用又は構築用の金属製専用材料を含めた鉄鋼製品に係る商品について、著名な商標である。
イ 本件商標との出所の混同について
仮に、本件商標と引用商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、上述のとおり、両者は互いに相紛らわしい外観及び称呼となっており、かつ、引用商標及び「Ternium」は、鉄鋼及び建築用又は構築用の金属製専用材料など建築材料に係る商品において著名であることから、もし、本件商標が建築材料の小売について使用された場合、取引者・需要者は、当該役務の出所に関して、テチント・グループの引用商標及び「Ternium」に係る鉄鋼又は建築材料の日本における販売チャネルであるなどと誤認し、出所の混同を引き起こすおそれがある。
したがって、本件商標は、申立に係る役務について、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、「TREM」(「T」と「M」は、ややデザイン化されている。)と「UM」の間に赤い点を有する「i」を配し、全体には「TREMiUM」の欧文字を表してなるところ、まとまりよく表された全体の文字に相応して、「トレミウム」の称呼を生じるというべきであり、当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じない。
他方、引用商標は、「TERNIUM」の欧文字を書してなるところ、当該文字に相応して、「テルニウム」の称呼を生じるというべきであり、当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じない。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標は、ややデザイン化され、その一部に赤色を有する大文字と小文字の構成からなるのに対し、引用商標は、全て大文字からなり、文字つづりにおいても相違するものであるから、外観上相違するものである。
また、本件商標から生ずると認められる「トレミウム」の称呼と、引用商標から生じる「テルニウム」の称呼とは、語頭部分における「トレミ」と「テルニ」の音の差異を有し、ともに5音という短い音構成における3音の差異は、全体の称呼に与える影響が大きく十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、両商標ともに特定の観念が生じないから、これを比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
なお、申立人は、本件商標と引用商標は、なじみがない英文字であって、正確に記憶するのが容易ではないから、両者は外観及び称呼おいて相紛らわしく類似する旨主張するが、本件商標と引用商標とが申立人主張のように混同するといった客観的証拠の提出はなく、また、「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)と規定されていることから、商標の類否については、願書に記載されたそれぞれの商標に基づいて判断すべきと解するのが相当であって、本件商標と引用商標とは、上記のとおり、両商標の外観、観念、称呼等を総合してみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、申立人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標及び「Ternium」の周知性
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、鉄鋼、鋼管、石油等の事業を手掛けるアルゼンチン及びイタリアを拠点とするテチント・グループの主要子会社であり、2020年度の純売上高を8735.4(百万ドル)とし、年間1240万トン以上の完成品を生産しているラテンアメリカを代表する鉄鋼生産会社であって、ホームページには、「Ternium」の表示がされている(甲3〜甲5)。
(イ)ウィキペディアの粗鋼生産ランキングには、テチント・グループが世界24位に位置している(甲6)。
(ウ)「ルイジアナ エコノミック ディベロップメント」のニュースは、2021年12月17日付けの米国投資に関するものであって、本件商標の登録査定後の内容である(甲7)。
(エ)上記からすると、申立人の売上高及び生産量は、世界におけるものであって、また、粗鋼生産ランキングには、テチント・グループに係るものである。
そして、申立人は、鉄鋼製品に「Ternium」を使用しているとしても、我が国における市場シェア、売上高、広告の頒布範囲・回数・方法等については不明である。
そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標及び「Ternium」が、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
イ 本件商標と引用商標及び「Ternium」との類似性の程度について
本件商標と引用商標及び「Ternium」は、上記(1)のとおり、引用商標と同様に観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかな差異を有するものであるから、類似性の程度は低いものというべきである。
ウ 申立に係る役務と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について
申立に係る役務は、「建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、申立人の取扱いに係る商品「鉄鋼製品」とは、役務の提供に供する商品を共通にし、需要者の範囲を共通にする類似する役務といえる。
エ 出所の混同のおそれについて
上記アないしウのとおり、引用商標及び「Ternium」は、申立人の取扱いに係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標及び「Ternium」との類似性の程度も低いことからすれば、たとえ、申立に係る役務が申立人の業務に係る商品と類似し、その需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標及び「Ternium」を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれを申立に係る役務について使用しても、取引者、需要者が、引用商標及び「Ternium」を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
オ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立に係る役務について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲 (本件商標:色彩については原本参照。)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-07-28 
出願番号 2021022085 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W35)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 馬場 秀敏
清川 恵子
登録日 2021-08-19 
登録番号 6431305 
権利者 株式会社mk−corporation
商標の称呼 トレミウム、トレミアム 
代理人 高橋 雅和 
代理人 高橋 剛 
代理人 高橋 友和 
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