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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W07
管理番号 1387675 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-31 
確定日 2022-07-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6411578号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6411578号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6411578号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORFELD」の欧文字を標準文字により表してなり、令和3年1月13日に登録出願、第7類「かくはん機,電気掃除機,電気掃除機用集塵袋,電気掃除機用吸い込みノズル,電気式ハンドドリル,電動式ねじ回し,家庭用調理用電動ナイフ,チェーンソー,電気式にかわ接着用ガン,電気式剪断器,電気式はさみ,コーヒー豆ひき器(手動式のものを除く。),台所用電気式グラインダー,家庭用電気式ジューサー,家庭用電気式ミキサー,電気式果汁絞り器,高圧洗浄機」を指定商品として、同年6月18日に登録査定され、同年7月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、別掲に示すとおり、「ORFELD」(「O」と「F」の文字が図案化されている。以下同じ。)の欧文字からなる商標(以下「引用商標」という。)である。
なお、申立人は、引用商標を2019年5月29日から、「電気掃除機」、「かくはん機」、「家庭用電気式ジューサー」などについて使用を開始しており(甲2,甲3)、他の会社に使用許諾し、この商標を日本を含めた諸外国で使用することを許可していると主張するものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
1 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する理由
(1)引用商標は、周知・著名であるということ
ア 海外での使用例
引用商標は、これまでのところ、当該商標を使用した商品について、欧米でオンライン販売しているが、日本市場には進出しておらず、日本で使用されていないが、米国やドイツなどでは広く使用されてきている。
イ 米国やドイツでの使用の事実
引用商標を使用した商品は、その公式ウェブサイトで販売されているほか(甲4)、ネット通販サイトを介して広く販売されており、引用商標を使用した商品「ジューサー」は、ネット通販大手のAmazon米国のBestSellerのランキング10位以内に、2商品もランクインしている(甲5)。同様に、引用商標を使用した商品「電気掃除機」は、Amazonドイツで1、2位を獲得した(甲6)。
申立人は、Amazon米国でのショップ運営者及びAmazonドイツでのショップ運営者に対して、引用商標の使用許可を出しており(甲9、甲10)、ライセンシーを介して、Amazonドイツで2つのショップを出店・運営しており、もう一つのショップ運営者にも引用商標の使用許可を出している(甲11、甲12)。
また、米国、EU、中国での商標登録証及びその訳文を提出する(甲13〜甲17)。
ウ 以上より、引用商標は、本件商標の出願日より前に、この種商品の業界において、申立人の出所標識として、少なくとも米国とドイツにおいては、需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)本件商標と引用商標は同一又は類似であるということ
本件商標と引用商標とは、「ORFELD」の文字を有してなり、その称呼「オルフェルド」において共通するから、本件商標と引用商標は類似する。
したがって、本件商標は、その出願日より前に、この種商品の業界において、申立人の出所標識として需要者の間に広く認識されていた商標と類似する。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標である。
(3)不正の目的について
本件商標は、既に少なくとも米国とドイツにおいて周知となっている引用商標が日本で出願・登録されていないことを奇貨として、引用商標と類似する商標について、高額で買い取らせる、若しくは、申立人の国内参入を阻止し、国内代理店契約を強制したりする目的で出願したものであり、信義則に反する不正の目的で出願したものと考えるのが自然であり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標の権利者は、申立人に係る引用商標が、本件商標の出願時に出願・登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で出願・登録したものであり、不正の目的に基づいた剽窃的行為と評価されるべきものである。
よって、本件商標は、社会の一般的道徳観念に反し、公正な商取引の秩序を乱すものであって、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。


第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
申立人の主張及び証拠によれば、引用商標の構成文字と同じ「ORFELD」の欧文字が、インターネットの米国やドイツの通販サイトにおいて、「電気掃除機」、「ジューサー」の画像と共に表示され(甲4〜甲6)、米国やドイツにおいて当該商品が引用商標の下で販売されていることがうかがえるとしても、それ以外に、我が国又は外国における当該商標に係る商品の販売数量、売上高、広告宣伝の具体的状況等、その周知著名性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていない。
なお、申立人は、ライセンシーを介して、Amazonにショップを出店し、ショップ運営者に引用商標の使用許可を出しており、また、引用商標と同一又は類似の商標が米国、EU、中国において商標登録されているとしても、そのことをもって直ちにその商標が需要者の間に広く認識されているものということもできない。
したがって、申立人の提出に係る証拠によって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国又は外国において、その需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めることはできないものである。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「ORFELD」の欧文字を横書きした構成からなるところ、該文字は、辞書類に載録されている既成の語とは認められないものであるから、これに接する者をして、特定の意味を有することのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「オルフェルド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「ORFELD」の欧文字を横書きした構成からなるところ、「O」と「F」の文字がやや図案化されているとしても、その程度が高いとはいい難く、外観上、「ORFELD」のつづりからなるものと容易に看取されることから、これよりは、上記(1)と同様に、「オルフェルド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標の類否を検討するに、上記(1)及び(2)よりすれば、本件商標と引用商標とは、外観において「ORFELD」のつづりを同じくすることから、外観において紛らわしく、「オルフェルド」の称呼を共通にするものであり、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において紛らわしく、称呼を共通にする類似の商標であるといえる。
3 商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、本件商標が引用商標と類似のものであるとしても、引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人が提出した甲各号証からは、本件商標権者が我が国において不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、これに該当する商標は、「(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである。」と判示されているところである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決参照)。
しかしながら、本件商標は、前記第1の構成態様からなるものであって、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成態様ではないことは明らかである。
また、本件商標の指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するということもできず、他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。
さらに、申立人が提出した証拠及び主張からは、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合に当たるということはいえない。
加えて、申立人が提出した証拠及び主張からは、本件商標の登録出願の経緯が、社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に当たるということもいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当せず、その登録は同条同項の規定に違反してされたものとはいえないものであって、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標


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異議決定日 2022-07-06 
出願番号 2021003259 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W07)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
小林 裕子
登録日 2021-07-05 
登録番号 6411578 
権利者 趙 国勝
商標の称呼 オルフェルド、オーフェルド 
代理人 潮崎 宗 
代理人 原田 貴史 

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