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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1387667 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-20 
確定日 2022-08-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6358062号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6358062号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6358062号商標(以下「本件商標」という。)は、「speedmonster」の欧文字を表してなり、令和2年7月2日に登録出願、第28類「運動用具,ゴルフボール」を指定商品として、同3年2月18日に登録査定、同年3月2日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において、引用する登録商標は以下の1ないし7のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 MONSTER(標準文字)
指定商品 第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成22年12月24日
2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」
登録出願日 平成18年6月9日
設定登録日 平成19年6月22日
3 登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品 第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成23年2月25日
4 登録第6148588号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第9類「運動用ヘルメット,運動用保護ヘルメット」及び第25類「汗止めバンド,リストバンド,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第9類、第12類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成30年11月7日(優先日 2018年(平成30年)5月8日、オーストラリア連邦)
設定登録日 令和元年5月31日
5 登録第5788676号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定商品 第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 平成26年12月25日
設定登録日 平成27年8月28日
6 登録第5844119号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定役務 第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成27年1月30日
設定登録日 平成28年4月22日
7 登録第5984838号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 MONSTER ENERGY(標準文字)
指定役務 第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務
登録出願日 平成29年4月14日(優先日 2016年(平成28年)10月19日、アメリカ合衆国)
設定登録日 平成29年9月29日
以下、引用商標1ないし7をまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第449号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」の周知著名性
申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、2002年に「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドを創設し、これ以降、現在に至るまで、「MONSTER」をMONSTERブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)の出所識別標識として使用している。
申立人商品は、2002年に米国でMONSTERブランドの第1号の個別製品「MONSTER ENERGY」を発売後、世界各国における販売も開始し、現在は日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。
2002年以降現在まで継続して、申立人商品には、一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名(例えば、「MONSTER ENERGY」「MONSTER ASSAULT」「MONSTER KHAOS」等)が採用されている。また、これらの個別製品の包装容器(缶、瓶)は同じデザインで統一されており、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立して見る者の目を惹きつける態様で顕著に表示している。
このように、規則的なネーミング法(すなわち「MONSTER」に他の語を結合する方法)で命名された個別製品名と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字を顕著に表示した統一的デザインの包装容器を特徴とする申立人商品は、需要者の間でたちまち人気となり、申立人のMONSTERブランドのエナジードリンク事業は急速に業績を拡大し、その成功は経済界で高い評価を受けている(甲2〜甲33、甲51〜甲58、甲391〜甲393)。
国内では、2012年5月のMONSTERブランド初上陸以降、現在までに、2012年5月8日発売の「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)等を発売し販売を継続している。
申立人商品に関する広告宣伝活動は、幅広く継続的なものであり、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている。
また、申立人は、申立人商品の中心的需要者層である10〜30代の若い世代(特に男性)に人気が高いF1自動車レースなどのモータースポーツなどのエクストリームスポーツの分野を中心にスポンサー活動を行い、また、全16の異なるウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを開設して、こうした若い世代が多く利用するインターネットメディアによる大規模な情報発信を通じてMONSTERブランドを需要者に強くアピールするための効果的な広告を実施している。
複数の第三者が実施したエナジードリンクに関する市場調査及び消費者アンケート調査によれば、既に2013年時点で申立人商品の国内市場占有率は25%を超えており、一般消費者におけるブランド認知度も第2位であった(甲311〜甲322、甲383〜甲385)。
申立人商品は、市場で「モンスター」と称され、「MONSTER」「モンスター」と表示されて認識されている(甲10、甲16、甲17、甲34の1、甲34の2、甲42の3、甲51〜甲53、甲56、甲57、甲58、甲63、甲64、甲69、甲71、甲79、甲90、甲92、甲96、甲98、甲101〜甲103、甲112、甲113、甲117、甲118、甲120、甲124、甲128、甲132、甲135、甲145、甲162、甲165、甲168、甲229、甲232、甲233、甲235〜甲240、甲242、甲244、甲245、甲247、甲248、甲250、甲251、甲256〜甲260、甲262、甲270、甲272〜甲276、甲282、甲283、甲286、甲291〜甲293、甲312、甲320、甲321、甲323、甲324、甲326、甲335〜甲347、甲349、甲351、甲352、甲364、甲371、甲372、甲374〜甲376、甲380、甲391〜甲393)。
以上の事柄に照らせば、申立人の使用に係る「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の製造販売に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標の構成文字「speedmonster」は、英単語の「speed」及び「monster」に通じるものであり、その表音の「スピード」(甲447、甲448)及び「モンスター」(甲445、甲446)が外来語として一般に広く親しまれていることから、「speed」と「monster」の2語を結合したものであると容易に認識、理解されるものである。
本件商標の指定商品に使用される「speed」の文字は、当該商品の品質表示として認識理解されるにとどまり自他商品識別力を欠くから、本件商標においては「monster」の文字部分が独立の出所識別標識として機能し、当該文字部分に基づいて出所識別標識としての「モンスター」の称呼及び観念が生じる。
これに対して、引用商標4からは、その構成中、特徴的な書体で顕著に表示された「MONSTER」の文字部分に基づき、出所識別標識としての「モンスター」の称呼及び観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標4は、「monster」又は「MONSTER」の文字を包含する点で外観が類似し、また、「モンスター」の称呼及び観念を共通にするものであるから、商品出所識別標識として紛らわしい印象を取引者、需要者に与える類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標の構成文字「speedmonster」は、「MONSTER」の文字、「モンスター」の称呼、「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標及び「MONSTER」を使用した申立人商品の個別製品名と一致し、これらの申立人の使用に係る商標と外観、称呼及び観念の印象が類似する。
また、「speedmonster」の文字は、申立人商品に使用されている全ての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「MONSTER」と他の語を結合する方法によって構成されている。
したがって、本件商標は、申立人の使用に係る商標と類似性の程度が極めて高いことが明らかである。
本件商標の指定商品は、引用商標4〜7の指定商品又は指定役務、及び申立人又はその商標ライセンシーが取り扱う各種ライセンス商品等(サーフボード、ヘルメット、リストバンド、スノーボード、スケートボード等を始めとする様々な一般消費者向け商品)と同一又は類似のものであり、また、これらと需要者を共通にする点で関連性が強いものである。
また、2016年11月以降現在に至るまで、申立人がスポンサーを務めている世界的に著名なゴルフプレーヤーのタイガー・ウッズのゴルフバッグには、爪の図柄と「MONSTER」及び「ENERGY」の文字からなる商標が使用されている(甲58、甲449)。本件商標の指定商品の需要者はゴルフプレーヤー及びゴルフ愛好家を多く含むものであるから、タイガー・ウッズが出場するゴルフ競技会等を通じて、本件商標の指定商品の需要者が本件商標の登録出願日前から当該商標及び申立人の「MONSTER」の名に接する機会は多かったといえる。
本件商標の指定商品の需要者は一般消費者であるから、その通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
先に述べたとおり、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」及び申立人を直観し、当該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知著名性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張並びに職権による調査によれば、次の事実が認められる。
ア 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーである(申立人の主張)。
イ 我が国においては、アサヒ飲料を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7〜甲9、甲14)。
ウ その後、2013年(平成25年)5月に「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10、甲15)、2014年(平成26年)8月に「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」(甲59、甲61)、同年10月に「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」(甲60、甲62)、2015年(平成27年)7月に「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ)」(甲101〜甲103)、2017年(平成29年)6月に「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ)」(甲256、甲257、甲263、甲264)、2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA−LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323〜甲326)、2019年(平成31年)4月に「MONSTER PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ)」(甲357〜甲360)の販売を開始し、製品によってはリニューアルしたり、コラボ缶の製品を販売したりした(甲127、甲128、甲253、甲259〜甲261、甲291、甲354〜甲356、甲361)(以下、これらの商品と前記イの商品とをまとめて「申立人使用商品」という。)。
エ 申立人使用商品のうち、「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」には別掲3(2)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標2」という。)、「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」には別掲3(3)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標3」という。)、「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」には別掲3(4)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標4」という。)、「MONSTER CUBA−LIBRE(モンスターキューバリブレ)」には別掲3(5)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標5」という。)、その他の申立人使用商品には別掲3(1)のとおりの態様からなる商標(色彩の異なるものを含む。以下「申立人商標1」という。)が、それぞれの容器に表示されている。
オ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、申立人商標1又は別掲3(6)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標6」という。)若しくは別掲3(7)のとおりの態様からなる商標(以下「申立人商標7」という。)を表示している(甲73〜甲80、甲82 ほか)。
カ 我が国において、申立人商標1、6又は7が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲47、甲48、甲98、甲100 ほか)。
キ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。また、同消費者調査 No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲312)。
ク 有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位の「レッドブル」が550万ケース、2位の「モンスターエナジー」は240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
ケ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTER ENERGY」であった(甲319)。
コ JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)
また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)
サ 申立人使用商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスター、記事等において、申立人使用商品が「モンスター」又は「MONSTER」と表示されているものがあるが、当該ニュースリリース、ポスター、記事等には、申立人商標1、6若しくは7又は「モンスターエナジー」の文字も併せて表示又は記載されている(甲69、甲71、甲79、甲101〜甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124 ほか)。
(2)判断
ア 前記(1)によれば、申立人は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、計9種の申立人使用商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人使用商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人使用商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人使用商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人使用商品はエナジードリンクで3強の一つとされ、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人使用商品は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そして、申立人使用商品には、その容器に申立人商標1ないし5のいずれかが表示されているが、当該商標のいずれにおいても、その構成中には申立人商標7が含まれていること、また、申立人は、申立人使用商品の広告宣伝として、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンにおいて、申立人商標1、6又は7を表示していること、さらに、我が国において、申立人商標1、6又は7が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されていることからすると、申立人商標1、6及び7は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
加えて、エナジードリンクに関する各種の消費者調査において、申立人使用商品を示す場合には、「モンスターエナジー」と称していること、また、申立人使用商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスター、記事等において、「モンスターエナジー」の文字が記載されていることからすると、「モンスターエナジー」の文字からなる商標(以下「申立人商標8」という。)についても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
イ 申立人は、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されている旨主張している。
しかしながら、申立人使用商品の容器には、申立人商標1ないし5が表示されており、当該商標の構成中には、「MONSTER」の文字が含まれているものの、当該「MONSTER」の文字は特殊な書体で表されており、また、「ENERGY」等の他の文字及び需要者の間に広く認識されている申立人商標7が比較的近接して表示されているものである。
また、申立人使用商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスター、記事等において、申立人使用商品が「モンスター」又は「MONSTER」と表示されているものがあるものの、当該ニュースリリース、ポスター、記事等には、需要者の間に広く認識されている申立人商標1、6、7又は8も併せて表示又は記載されている。
加えて、「モンスター」及び「MONSTER」の文字(語)それ自体は、一般に親しまれた既存の語であって、独創的なものではない。
そうすると、「MONSTER」の文字からなる商標又は「モンスター」の文字からなる商標は、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)申立人は、本件商標は、引用商標4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張している。
(2)本件商標について
本願商標は、前記第1のとおり、「speedmonster」の欧文字を表してなるものであり、その構成文字及び意味合いから、「speed」の文字と「monster」の文字とを結合させたものと容易に理解されるものの、全体として、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されているものであって、全体から生じる「スピードモンスター」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、たとえ、その構成中「speed」の文字(語)が「スピード」を意味する語であるとしても、かかる構成及び称呼においては、該文字部分が指定商品の品質を表示したものと認識されるとはいえず、むしろ、「speedmonster」の構成文字全体をもって、一体のものとして認識されるとみるのが相当である。
また、前記1(2)イのとおり、「MONSTER」又は「モンスター」の文字からなる商標が需要者の間に広く認識されているとは認められないことからして、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更「monster」の文字部分から商品の出所識別標識として強く支配的な印象を受けるということもできない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体が不可分一体のものとして認識されるものといわなければならない。
してみると、本件商標は、その構成文字全体から「スピードモンスター」の称呼を生じるものであり、また、観念においては、特定の観念を生じないか又は「スピード」と「モンスター」の意味合いを想起させる場合もあるものである。
(3)引用商標4について
引用商標4は、別掲2のとおり、上段に3本のかぎ爪状の図形、中段に特殊な書体で表された「MONSTER」の文字及び下段に「ENERGY」の文字をそれぞれ表してなるものである。
そして、引用商標4は、申立人商標1とほぼ同一の構成態様からなるものであり、また、前記1(2)アのとおり、申立人商標1は、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
さらに、エナジードリンクと引用商標4の指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」等とは、いずれもその需要者には一般の消費者を含むから、需要者を共通にする場合がある。
そうすると、引用商標4をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人商標1を想起するものといえるから、引用商標4は、その構成全体をもって、「モンスターエナジー」の称呼を生じ、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。
また、引用商標4は、その構成中「MONSTER」の文字部分が、やや中央に、特殊な書体で、他の文字より大きく顕著に表されているものであるから、当該文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうすると、引用商標4は、その構成中「MONSTER」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるといえる。
してみると、引用商標4は、その構成中「MONSTER」の文字部分から、「モンスター」の称呼及び観念を生じるものである。
(4)本件商標と引用商標4との比較について
本件商標と引用商標4とを比較すると、外観においては、その構成態様からして、明らかな差異を有し、相紛れるおそれはないものである。また、引用商標4の構成中「MONSTER」の文字部分との比較においても、「speed」の文字の有無において明らかな差異を有し、相紛れるおそれはないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「スピードモンスター」の称呼と引用商標4から生じる「モンスターエナジー」又は「モンスター」の称呼とを比較すると、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、「スピード」の音の有無又は「エナジー」の音の有無において明らかな差異を有するものであるから、相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないか又は「スピード」と「モンスター」の意味合いを想起させる場合があるのに対し、引用商標4からは「申立人のブランド」又は「モンスター」の観念を生じるものであるから、いずれにおいても相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(5)小括
したがって、本件商標の指定商品に類似する商品が引用商標4の指定商品中に含まれているとしても、本件商標と引用商標4とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と申立人商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
前記2(2)のとおり、本件商標は、「speedmonster」の欧文字を表してなるものであり、「スピードモンスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じないか又は「スピード」と「モンスター」の意味合いを想起させる場合があるものである。
イ 申立人商標1及び6ないし8(以下、これらをまとめて「申立人商標」という。)について
(ア)申立人商標1は、別掲3(1)のとおり、上段に3本のかぎ爪状の図形、中段に特殊な書体で表された「MONSTER」の文字及び下段に「ENERGY」の文字をそれぞれ表してなるものである。
また、申立人商標6は、別掲3(6)のとおり、左に3本のかぎ爪状の図形並びに右の上段に特殊な書体で表された「MONSTER」の文字及びその下に「ENERGY」の文字をそれぞれ表してなるものである。
さらに、申立人商標8は、「モンスターエナジー」の文字からなるものである。
そうすると、申立人商標1、6及び8は、それぞれの構成文字に照応して「モンスターエナジー」の称呼を生じ、また、該商標はいずれも申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるから、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。
(イ)申立人商標7は、別掲3(7)のとおり、3本のかぎ爪状の図形からなるものであり、特定の称呼を生じず、また、該商標は申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるから、「申立人のブランド」としての観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人商標との比較について
本件商標と申立人商標とを比較すると、外観においては、その構成態様からして、明らかな差異を有し、相紛れるおそれはないものである。
次に、称呼においては、本件商標からは「スピードモンスター」の称呼が生じるのに対し、申立人商標からは「モンスターエナジー」の称呼が生じるか又は特定の称呼が生じないものであるところ、「スピードモンスター」の称呼と「モンスターエナジー」の称呼との比較においては、いずれの称呼においても「モンスター」の音を含むものではあるものの、「スピード」の音の有無又は「エナジー」の音の有無において明らかな差異を有するものであるから、相紛れるおそれはないものであり、また、申立人商標から特定の称呼が生じない場合においては、明らかに相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないか又は「スピード」と「モンスター」の意味合いを想起させる場合があるのに対し、申立人商標からは「申立人のブランド」としての観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標と申立人商標とは、たとえ、その構成文字において「monster(MONSTER)」の文字を共通にし、称呼において「モンスター」の音を共通にするとしても、その類似性の程度は、極めて低いといわなければならない。
(2)出所の混同のおそれについて
前記(1)ウのとおり、本件商標と申立人商標とは非類似の商標であって、その類似性の程度は極めて低いものである。
そうすると、たとえ、申立人商標が申立人の業務に係るエナジードリンクを表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える旨主張している。
しかしながら、申立人は、当該主張を裏付ける具体的な証拠を何ら提出していないばかりか、前記1(2)イのとおり、「MONSTER」又は「モンスター」の文字からなる商標が需要者の間に広く認識されているとは認められないことからして、申立人の主張は、その前提において採用することができない。
他に、本件商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 引用商標2


別掲2 引用商標4(色彩については原本参照)


別掲3
(1)申立人商標1


(2)申立人商標2


(3)申立人商標3


(4)申立人商標4


(5)申立人商標5


(6)申立人商標6


(7)申立人商標7



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異議決定日 2022-07-29 
出願番号 2020081789 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W28)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 山田 啓之
小田 昌子
登録日 2021-03-02 
登録番号 6358062 
権利者 株式会社本間ゴルフ
商標の称呼 スピードモンスター 
代理人 柳田 征史 
代理人 桐山 大 
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