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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W093742
管理番号 1387663 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-22 
確定日 2022-06-16 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1498006号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1498006号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1498006号商標(以下「本件商標」という。)は、「JuiceNet」の欧文字を横書きしてなり、2019年1月14日にArgentinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年3月28日に国際商標登録出願、第9類、第37類及び第42類に属する別掲1に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年6月3日に登録査定され、同年7月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5511327号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「JUICE」の欧文字を横書きしてなり、平成23年1月31日に登録出願、第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,携帯電話用充電器,その他の電気通信器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル」を指定商品として、同24年8月3日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 本件商標の要部
本件商標は、「JuiceNet」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の、「Net」は「ネット」と読み、「(1)網、(2)球技で、コート中央やコートに張った網、(3)ネットワークの略、(4)インターネットの略、(5)正味、(6)ネット・スコアの略」と複数の意味を持つ(甲3)が、昨今では、「○○○Net」、「○○○ネット」などと他の用語の後に加えることで、当該「○○○」のネットワークを意味する形で広く一般的に使用されている(甲4、甲5)。このような「Net」という用語の一般的な使用態様からすると、本件商標「JuiceNet」のうち「Net」部分は「ネットワーク」を意味するものであって、通信を用いる機器や通信事業といった場面においては、当該用語単体で出所識別力を有するものではない。
一方、本件商標「JuiceNet」のうち「Juice」(ジュース)は、少なくとも国内においては、「汁。液汁。特に、果物・野菜のしぼり汁。果汁。また、広義にはそれを加工した飲料」を意味し(甲6)、専ら飲料として認識されているが、「Juice」(ジュース)は、口語的に「電気、ガソリン、石油、その他の液体燃料」といったエネルギーを意味する俗語として用いられる語であり(甲7)、本件商標の指定商品である電気製品、電子機器やソフトウェアといった飲食物以外の商品や飲食物に関連しない役務とともに使用するときには「Juice」(ジュース)は、識別力を有する特別な意味合いを生じ、こうした商品や役務の需要者に対しては、商品や役務の出所表示として強い識別機能を有する表記である。
以上から、本件商標は、その指定商品及び指定役務との関係においては、前半の「Juice」の文字部分が本件商標の要部であるといえるから、商標の類否判断において、「Juice」の文字部分を比較対象とすべきである。
2 引用商標
引用商標は、アルファベットの大文字をゴシック体で「JUICE」と表した商標であり、第9類「充電器、その他の配電用又は制御用の機械器具、回転変流機、調相機、電池、携帯電話用充電器、その他の電気通信器具、電子応用機械及びその部品、測定機械器具、電気磁気測定器、電線及びケーブル」を指定商品としている。
3 本件商標と引用商標との比較
上記1のとおり、本件商標において出所識別機能を有する部分は「Juice」の文字部分であるから本件商標と引用商標の類似性の判断に当たっては、本件商標の要部である「Juice」の文字部分と引用商標とを比較するべきである。
そこで、本件商標の構成中の「Juice」の文字部分と引用商標「JUICE」の外観を比較すると、前者が大文字と小文字の両方を含むのに対し、後者は大文字のみの表記となっているが、全く同一のつづりであることから、本件商標の要部である「Juice」の文字部分と引用商標の外観はほぼ共通し、称呼については、両者ともに「ジュース」の称呼を生じ、全く同一である。また、両者は、ともに英語で「ジュース」、すなわち、果物・野菜のしぼり汁という観念を生じることから、観念も同一である。
よって、本件商標の要部である「Juice」の文字部分と引用商標とは、外観、称呼及び観念において共通する。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務のうち、少なくとも、電池・充電器に関連する別掲3の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品とは、類似する商品及び役務である。
よって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商品及び役務につき使用をするものであって、引用商標との関係で出所につき誤認混同が生じるものである。
4 申立人の事業上の不利益
本件商標は引用商標と出所につき誤認混同が生じるものであるが、事実、申立人は、自らが運営するノービル社の事業として、現に引用商標を電池、携帯電話用充電器、充電器等に付して製品を販売又は製造販売を計画している(甲8〜甲11)。そのため、本件商標がその権利者により使用されると、既に販売している製品あるいは今後販売する製品の出所につき誤認混同が生じる現実的な可能性に直面する。殊に、本件商標の権利者であるエネルエスピーエーのウェブサイトには、「Juice,an extended family of charging solutions from Enel X」と記載されており、Juiceに普通名称が組み合わされた商標が登録された場合であっても「Juice」商標が全て同社のものであると認識され、出所に誤認混同が生じるおそれがある(甲12)。このように、申立人は本件商標が存在することにより、自身の事業上の不利益を被ることになる。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件商標の登録出願日前の登録出願に係る他人の商標である引用商標に類似することが明らかであり、また、その指定商品及び指定役務についても引用商標の指定商品と同一又は共通にする。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性ついて
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「JuiceNet」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成各文字は、同書、同大、等間隔に表されており、外観上、まとまりよく一体的に看取されるものであり、また、本件商標の構成文字に相応して「ジュースネット」の称呼が生じるものと認められるところ、当該称呼は冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼できるものである。
そして、本件商標の構成中の「Net」の文字は、昨今では、「○○○Net」、「○○○ネット」等、他の用語の後に加えることで、当該「○○○」のネットワークを意味する形で使用されることがあるとしても、「Net」の文字が、直ちに、本件商標の指定商品の商品名及び指定役務の役務名を表示したものと判断するべき特別な事情はない。
また、本件商標の構成中の「Juice」の文字又は引用商標が、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、申立人あるいは同人が取り扱う商品及び役務を表すものとして、取引者、需要者の間に広く認識されている等の事情もない。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「Net」の文字を捨象し、「Juice」の文字のみに着目するというより、むしろ本件商標の構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握すると判断するのが相当であるから、本件商標は、その構成文字に相応して「ジュースネット」の称呼のみを生じ、「JuiceNet」の文字は、辞書等に載録された成語ではないため、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「JUICE」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「ジュース」の称呼を生じ、「汁。液汁。電気、ガソリン、石油、その他の液体燃料。」(甲6及び甲7)の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、「Net」の文字の有無等の明らかな差異を有することから、明確に区別し得るものである。
次に、称呼においては、両商標は、「ネット」の音の有無の差異を有するものであるから、明らかに相違するものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念は生じないものであるのに対し、引用商標は、「汁。液汁。電気、ガソリン、石油、その他の液体燃料。」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念において相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別し得るものであり、称呼において明らかに相違し、観念において相紛れるおそれのないものであるから、両商標は非類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品及び指定役務中の第9類の指定商品は、引用商標の指定商品中の第9類「充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電子応用機械器具及びその部品,電線及びケーブル」と類似する商品である。
(5)小括
以上のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが類似するものであるとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標の指定商品及び指定役務)

別掲2(引用商標)

別掲3(本件商標の指定商品及び指定役務のうち、少なくとも、電池・充電器に関連する指定商品及び指定役務であって、引用商標の指定商品と類似すると申立人が主張している本件商標の指定商品及び指定役務)

異議決定日 2022-06-10 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W093742)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 小田 昌子
渡邉 潤
登録日 2019-03-28 
権利者 ENEL S.P.A.
商標の称呼 ジュースネット、ジュース、ネット、エヌイイテイ 
代理人 飯島 歩 
代理人 神田 雄 
代理人 町野 静 
代理人 福井 孝雄 
代理人 特許業務法人BORDERS IP 
代理人 横井 知理 
代理人 小暮 君平 

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