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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43 |
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管理番号 | 1387601 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-10-13 |
確定日 | 2022-07-21 |
事件の表示 | 商願2020−117189拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、令和2年9月23日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年2月1日付けで拒絶理由の通知がされ、同年3月19日に意見書が提出されたが、同年7月8日付けで拒絶査定がされた。 これに対して令和3年10月13日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4117732号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「福知庵」の文字と「ふくちあん」の文字を二段に横書きしてなり、平成8年3月7日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同10年2月27日に設定登録され、その後、同19年10月16日及び同29年12月26日に存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標 本願商標は、別掲1のとおり、「ふく」の文字をやや大きく表した「ふくちあん」の文字を白い縁のある赤い丸文字で表し、「ちあん」の文字の上部に「大阪」の黒い文字を配してなるものである。 そして、「大阪」の文字は地名であって、一般に役務の提供場所を認識させるものであるから、役務の出所識別標識としての機能を果たし得ない部分である。 これに対し、「ふくちあん」の文字部分は、「ふく」の文字と「ちあん」の文字の大きさに多少の差異があるものの、白い縁のある赤い丸文字のデザインで統一されていることから、一連一体として把握されるといえるものである。 そうすると、本願商標の構成中、「ふくちあん」の文字部分が、取引者、需要者の注意を引く要部であるというべきである。 よって、本願商標は、その要部である「ふくちあん」の文字部分より、「フクチアン」の称呼が生じ、当該文字は辞書等に載録のあるものではないから、特定の観念は生じない。 (2)引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、筆書き風の文字で、「福知庵」の文字と「ふくちあん」の文字を二段に横書きしてなるものである。 そして、上段の「福知庵」の文字と下段の「ふくちあん」の文字は、同じ大きさの文字で表されており、下段の方の文字数が多いことから、下段の文字部分の方が引用商標の全体に占める割合が大きく、容易に判読可能な平仮名であることも相まって、比較的印象に残りやすいといえる。 また、上段と下段が、一定程度の間隔を空けて表されていることから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。 以上を踏まえると、引用商標の構成中、「ふくちあん」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。 その上で、引用商標の構成中、「ふくちあん」の文字部分に着目すると、当該文字部分からは「フクチアン」の称呼が生じ、上記(1)と同様の理由から、特定の観念は生じない。 (3)本願商標と引用商標の類否 本願商標の要部と引用商標の下段の文字部分とを比較すると、文字のデザインにおいて相違はあるものの、「ふくちあん」の平仮名を共通にするものであるから、外観において類似するといえ、共に「フクチアン」の称呼を生じるものである。 そうすると、両商標は、観念において比較できないとしても、外観が類似し、称呼を共通にするものであるから、これらによって取引者、需要者に与える印象、記憶及び連想等を総合して、全体的に考察すれば、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。 (4)本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否 本願の指定役務「飲食物の提供」と、引用商標の指定役務「飲食物の提供」は、同一の役務である。 (5)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標と引用商標の「ふくちあん」の文字部分の外観においても、書体が明らかに異なるだけでなく、本願商標においては「ふく」の文字と「ちあん」の文字の大きさのバランスも明らかに異なるため、需要者は外観上、本願商標を引用商標から明瞭に区別できる旨主張する。 しかしながら、本願商標の要部と引用商標の下段の文字部分とを比較すると、本願商標の「ふく」の文字と「ちあん」の文字の大きさのバランス、両者の文字のデザインにおいて相違はあるものの、「ふくちあん」の平仮名を共通にするものであって、同じ平仮名が同じ順序で横書きで表されているのであるから、目に映る外形が大きく異なるとはいえず、外観において類似すると判断するのが相当である。 イ 請求人は、本願商標からは「大阪のしあわせで安心・安全な賜り物」、引用商標からは「京都府の福知山にある草ぶきの小さな家」の観念が生じる旨主張する。 しかしながら、本願商標の要部である「ふくちあん」の文字と、引用商標の下段の文字部分である「ふくちあん」の比較において、いずれからも観念が生じないことは、上記(1)及び(2)のとおりである。 ウ 請求人は、「飲食物の提供」の取引の実情を見ると、飲食物がどの地方にまつわるものかについては、飲食物の味、態様、及びサービスの嗜好を大きく左右し得る情報であり、消費者は敏感に反応するため、消費者が商標の称呼だけによって、その商標を識別するとまではいえない旨主張する。 しかしながら、本願商標の要部である「ふくちあん」の文字と、引用商標の下段の文字部分である「ふくちあん」の比較において、上記(3)のとおり、両者の類否を称呼の共通性のみで判断するものではなく、外観における類似性も勘案し、これらよって取引者、需要者に与える印象、記憶及び連想等を総合して、全体的に考察すれば、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならないと判断するものである。 (6)まとめ 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定役務も引用商標の指定役務と同一のものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩については原本参照。) 別掲2 引用商標 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2022-05-19 |
結審通知日 | 2022-05-24 |
審決日 | 2022-06-06 |
出願番号 | 2020117189 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W43)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
綾 郁奈子 馬場 秀敏 |
商標の称呼 | オーサカフクチアン、オーサカフクチャン、フクチアン、フクチャン、フク |
代理人 | 前井 宏之 |