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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W3539 |
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管理番号 | 1387594 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-16 |
確定日 | 2022-08-09 |
事件の表示 | 商願2019−152946拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,令和元年12月5日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年11月18日付け:拒絶理由通知書 令和3年2月12日 :意見書の提出 令和3年6月22日付け :拒絶査定 令和3年9月16日 :審判請求書の提出 第2 本願商標 本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第35類「商品の受注事務の代行,オンラインによる受注事務の代行,商取引の受注管理,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,商品の販売に関する情報の提供,価格比較の調査,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,コンピュータによるファイルの管理,コンピュータデータベースへの情報編集,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第39類「車両による輸送,貨物自動車による輸送,二輪自動車による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,物品の配達,物品の保管,倉庫の提供,企画旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行の予約」を指定役務として,登録出願されたものである。 第3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は,「本願商標は,その構成中に「Insta」の文字を含み,この文字は,アメリカ合衆国所在の会社であるインスタグラム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー(以下「インスタグラム社」という。)が出所である「写真・動画を投稿・共有するためのアプリケーションソフトウェア」等の商品及び「オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,広告」等の役務(以下,これらの商品及び役務をまとめて「引用商品・役務」という。)に用いられて本願商標の出願前から広く知られている商標「インスタ」(以下「引用商標」という。)に通じる。そうすると,本願商標をその指定役務に使用するときは,その役務が,あたかも前記会社の業務に係る役務であるかのように,あるいは同会社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 第4 当審の判断 1 本願商標と引用商標の類似性の程度について (1)本願商標 本願商標は,別掲のとおり,赤色の角丸長方形(以下「背景図形」という。)の内部に,買い物かごをモチーフとしたとおぼしき図形(以下「本願図形」という。)を配し,その右側に「InstaShop」の欧文字(以下「上段文字部分」という。)を白抜きで横書きし,さらにその下部に「Convenience delivered」の欧文字(以下「下段文字部分」という。)を黒色で横書きしてなるところ,その構成中,本願図形と上段文字部分及び下段文字部分とは視覚上分離して看取されるものである。 また,上段文字部分と下段文字部分とは,下段文字部分の構成文字は上段文字部分の構成文字よりも小さいことに加え,上段文字部分が白抜き文字で非常に目立つように表されているのに対し,下段文字部分はその構成文字が黒色で表されており,背景図形の赤色とのコントラストが小さく目立たないことから,これらは視覚上分離して看取されるものである。 そして,本願図形,上段文字部分及び下段文字部分のいずれかの組み合わせが,観念的に関連性を有しているものではないし,一連一体となって何らかの称呼が生じるともいえない。 その他,本願図形,上段文字部分及び下段文字部分のいずれかの部分の組み合わせを常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。 さらに,本願図形,上段文字部分及び下段文字部分が,本願の指定役務との関係において,当該役務の質等を表すものともいえない上,このほかに本願図形,上段文字部分及び下段文字部分がそれぞれ単独では役務の出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見あたらない。 そうすると,本願図形,上段文字部分及び下段文字部分のそれぞれの部分が独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。 次に,上段文字部分についてみると,当該部分は,その構成中の1文字目と6文字目のみが大文字で,他の文字は小文字で表されているものの,いずれの構成文字も同じ大きさで,同じ書体をもって,等間隔に,外観上まとまりよく一体的に表されているものである。 そして,上段文字部分の構成中,「Shop」の文字は「小売店」等の意味を有する語(「ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)であるものの,「Insta」の文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを生じることのない一種の造語であると認識されるものであり,これらを結合した上段文字部分全体としては,特定の意味合いを生じることのない一種の造語であると認識されるものである。 さらに,上段文字部分全体から生じる「インスタショップ」の称呼も冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。 そうすると,上段文字部分は,その構成及び称呼からすれば,上段文字部分の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとしてのみ認識し,把握するというのが自然である。 してみれば,本願商標は,その構成中の上段文字部分の構成文字に相応して,「インスタショップ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は,「インスタ」の片仮名からなるところ,当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを生じることのない一種の造語であると認識されるものである。 したがって,引用商標は,その構成文字に相応して,「インスタ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。 (3)本願商標と引用商標の比較 本願商標の要部の一つである上段文字部分と引用商標とを比較すると,「Shop」の文字部分の有無に加え,文字種,文字数等が全く異なるものであるから,外観上判然と区別できるものである。 そして,上段文字部分から生じる「インスタショップ」の称呼と引用商標から生じる「インスタ」の称呼とを比較すると,両者は「ショップ」の有無という顕著な差異を有するところ,この差異が両称呼全体の語調・語感に及ぼす影響は大きいから,両者をそれぞれ一連に称呼するときは,明瞭に聴別できるものである。 さらに,観念においては,両者は共に,特定の観念を生じるものではないから,観念上比較することはできない。 そうすると,両者は,観念において比較することができないとしても,外観において判然と区別し得るものであって,称呼において明瞭に聴別し得るものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。 また,本願商標全体と引用商標とを比較しても,上記の相違点に加え,本願図形や下段文字部分の有無といった相違点もあり,その構成において大きく異なるものであるから,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。 以上からすると,本願商標と引用商標とは,類似性が極めて低いものというべきである。 2 本願商標の指定役務と引用商品・役務との関連及び需要者の共通性について 本願の指定役務中,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と引用商品・役務の需要者は,共に一般需要者を含むものであるから,一部需要者が重なることがあるといえるものの,本願の指定役務と引用商品・役務は,いずれもその商品又は役務の用途,役務の提供の目的,業種等を相違するものといえるから,商品及び役務の関連性があるとはいえない。 3 引用商標の周知性及び独創性 原審において示した新聞記事及びインターネット情報によれば,引用商標は,インスタグラム社の業務に係る引用商品・役務を表すものとして,我が国における需要者のうち,10代ないし20代を中心とする若い世代の間に,一定程度認識されていることは認め得るものである。 また,引用商標は,「インスタ」の文字からなるところ,当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを看取させることのない一種の造語であると認識されるものであるから,独創性が低いとはいえない。 4 出所の混同を生ずるおそれについて 以上によれば,引用商標は,インスタグラム社の業務に係る商品及び役務を表示する商標「Instagram」の略称として使用される場合があり,需要者の間に一定程度認識されていると認め得るもので,その独創性が低いとはいえないものであるが,本願商標と引用商標とは別異の商標というべきものであって,その類似性が極めて低いものであること,さらに,本願の指定役務と引用商品・役務との関連性があるとはいえないことからすると,本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する需要者に,引用商標ないしインスタグラム社を連想又は想起させるとはいえないものであって,その役務がインスタグラム社又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように認識することはなく,その役務の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。 その他,本願商標が引用商標と出所の混同を生じるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。 その他,本願について拒絶の理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標(色彩は,原本参照。) ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審決日 | 2022-07-27 |
出願番号 | 2019152946 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(W3539)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
佐藤 淳 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 須田 亮一 |
商標の称呼 | インスタショップコンビニエンスデリバード、インスタショップ、インスタ、コンビニエンスデリバード、コンビニエンス、デリバード |
代理人 | 辻田 朋子 |
代理人 | 下田 一徳 |
代理人 | 中川 慶太 |
代理人 | 樋口 頼子 |