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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W093842
管理番号 1386402 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-06 
確定日 2022-06-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第6407083号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6407083号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6407083号商標(以下「本件商標」という。)は、「D−type」の文字を標準文字で表してなり、令和2年8月13日に登録出願、第9類「コンピュータソフトウェア,アプリケーションソフトウェア,携帯情報端末,電気通信機械器具,電子応用機械器具」、第35類「求人広告のためのインターネット上で広告場所の貸与,インターネットを利用した職業のあっせん及び求人情報の提供,職業のあっせん,求人情報の提供,コンピュータによる文書の作成又はファイルの管理,広告業,広告用具の貸与,コンピュータデータベースへの情報編集」、第38類「電気通信」及び第42類「オンラインアプリケーション及びソフトウェアツールの一時的な使用の提供,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同3年6月9日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標は、申立人の製造に係る自動車の車名として著名性を獲得しているとする「C−type」(引用商標1)、「D−type」(引用商標2)、「E−type」(引用商標3)、「F−type」(引用商標4)、「S−type」(引用商標5)及び「X−type」(引用商標6)の文字よりなるものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」、第38類「全指定役務」及び第42類「全指定役務」(以下「申立に係る商品及び役務」という。)について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の周知性の程度
ア 申立人の著名性について
申立人は、1992年から現在に至るまで、自動車メーカーとして長い歴史を誇り、申立人が製造する自動車は、英国王室で長年使用され続けているだけでなく、誰もが知る有名人にも長く愛用されている自動車として広く認識されている。
また、申立人は、ブランド大使にデビッド・ベッカム氏を迎え(甲2)、世界最高峰のテニス大会であるウィンブルドン選手権の公式自動車スポンサーとなる等、華々しい歴史を誇っている。我が国では、誰もが知るテニスプレーヤーである錦織圭氏をアンバサダーに迎え(甲3)、広く広告宣伝を行っている。
イ 引用商標の著名性について
書籍「名車アーカイブ ジャガーのすべて」(甲4)は、申立人のみを特集した書籍であり、当該書籍では、申立人の歴史とともに、申立人がこれまでに製造してきた歴代の自動車が詳細に紹介されている。
歴代の自動車には、様々な名称が使用されているが、その中でも、申立人は、アルファベット一文字と「type」の文字を組み合わせた車名を複数パターン使用しており、各自動車の車名として引用商標は以下のように紹介されている。
(ア)「C−type」(引用商標1)(甲4の1)
1951年に登場した自動車史上初めて4輪ディスクブレーキを実用化した車種であり、1951年と1953年のル・マン24時間レースで総合優勝を果たした。
(イ)「D−type」(引用商標2)(甲4の1)
1954年に登場した航空機テクノロジーを生かした後継車であり、1955年、1956年及び1957年にル・マンで3連勝という輝かしい成績を収めている。
(ウ)「E−type」(引用商標3)(甲4の2)
1961年に登場し、1975年まで生産されたスポーツカーであり、歴史的傑作と称されている。また、「エンツォ・フェラーリをして「世界一美しい」と言わしめた」、「チャールトン・ヘストン、ディーン・マーチン、スティーブ・マックイーンなどのセレブリティが先を争って注文書にサインをした」等と紹介されており、「E−type」の人気の高さがうかがい知れる。
(エ)「F−type」(引用商標4)(甲4の3)
「F−type」は、2013年から我が国の市場に登場している「E−type」の再来ともいわれるスポーツカーであり、「F−type」は、2013年ワールドカー・デザイン・オブ・ザイヤーを獲得しており、非常に注目を集めている自動車である。
(オ)「S−type」(引用商標5)及び「X−type」(引用商標6)
申立人は、1998年から2007年まで「S−type」(甲4の4)、2001年から2008年まで「X−type」を製造販売している(甲4の5)。
このように、引用商標を冠した自動車は、いずれも自動車業界において華やかな歴史を誇っている。したがって、引用商標は、いずれも自動車並びに自動車に関する商品及び役務との関係において、我が国を含む世界中において広く知られており、著名である。
ウ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標と引用商標は、いずれもアルファベット一文字と欧文字「type」を組み合わせた構成よりなり、構成文字が5文字と比較的短いにも関わらず、4文字が一致しており、外観が近しい。
また、本件商標と引用商標は、「タイプ」の称呼が含まれている点においても一致しており、称呼は近しい。
以上より、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において、近しい関係にあり、類似性の程度は、非常に高い。
エ 商品及び役務の関連性の程度
引用商標は、自動車の車名であるのみではなく、自動車に搭載されたカーナビゲーション装置とも関連して使用される。また、申立人は、リモートアプリケーションを提供しており、申立人のウェブサイトにおけるアプリケーションを立ち上げた画面上には、引用商標4が表示される様子が紹介されている(甲5)。
これらのカーナビゲーション装置、リモートアプリケーションソフトウェア及びソフトウェアの提供は、とりわけ、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類の「コンピュータソフトウェア,アプリケーションソフトウェア,携帯情報端末,電気通信機械器具,電子応用機械器具」、第35類「コンピュータデータベースへの情報編集」、第38類「電気通信」及び第42類「オンラインアプリケーション及びソフトウェアツールの一時的な使用の提供,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」と強い関連性を有する。
オ 小括
以上より、引用商標は、世界中でその名を知られる申立人が製造し、長く華々しい歴史を誇る自動車の車名として、高い著名性を獲得しており、さらに、自動車関連の商品及び役務との関係においても、高い著名性を獲得している。
そうすると、本件商標は、高い著名性を有する引用商標と類似するものであり、類似性の程度は非常に高いものであり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標の商品及び役務は、強い関連性を有している。
(2)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人は、1992年に創業された英国の自動車メーカーであり、2014年以降、申立人が製造する自動車を宣伝広告するため、国内外の有名人をJAGUARブランドのアンバサダー等に迎えたことが確認できる(甲2、甲3)。
(イ)「名車アーカイブ/ジャガーのすべて」(2015年9月7日発行)と題する我が国の書籍の記事によると、申立人が製造販売する自動車の名称として、1951年から「C TYPE」を、1954年から「D TYPE」を、1960年初頭から「E TYPE」を使用し、これらの名称の自動車が販売されたことが確認でき、2013年に「ジャガーFタイプ」がワールドカー・デザイン・オブ・ザイヤーを獲得したこと、1998年から2007年にかけて「ジャガーSタイプ/S−type」、2001年から2008年にかけて「ジャガーXタイプ/X−type」がそれぞれ製造、販売されたことが確認できる(甲4の1〜甲4の5)。
(ウ)申立人のウェブサイトにおいて、申立人の製造、販売に係る自動車として「F−TYPE」が紹介されている(甲5)。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、申立人は、1992年に創業された英国の自動車メーカーであり、申立人は、少なくとも2014年以降、申立人が製造する自動車を宣伝広告するため、国内外の有名なスポーツ選手をJAGUARブランドのアンバサダーに迎えたことが確認でき、申立人が製造販売する自動車の名称として、「C TYPE」、「D TYPE」、「E TYPE」及び「F−TYPE」を使用しており、これらの名称の自動車が販売されたことが確認でき、2013年に「ジャガーFタイプ」がワールドカー・デザイン・オブ・ザイヤーを獲得したこと等からすると、申立人の業務に係る自動車は、自動車の愛好家や取引者の間では、ある程度知られていたといい得るとしても、引用商標を付した申立人の業務に係る自動車の我が国における周知性の度合いを客観的に判断するための証拠、例えば、申立人の業務に係る自動車の広告宣伝の方法、時期及び回数、あるいは、当該商品が販売された地域、規模及び申立人の業務に係る自動車の分野における市場シェア等は、申立人の提出した証拠によっては、確認できないことからすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の商品「自動車」の需要者の間で広く知られていたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標は、上記1のとおり、「D−type」の文字を表してなるところ、その構成文字はまとまりよく一体に表され、これより生じる「ディータイプ」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであって、当該文字は、辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じない造語として看取、把握されるものである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ディータイプ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、それぞれ「C−type」(引用商標1)、「D−type」(引用商標2)、「E−type」(引用商標3)、「F−type」(引用商標4)、「S−type」(引用商標5)及び「X−type」(引用商標6)の文字を表してなるところ、その構成文字はまとまりよく一体に表され、これより生じる称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであって、当該各文字は、辞書等に掲載が認められないことから、特定の観念は生じない造語として看取、把握されるものである。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「シータイプ」、「ディータイプ」、「イータイプ」、「エフタイプ」、「エスタイプ」及び「エックスタイプ」の称呼をそれぞれ生じ、いずれも特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2は、同一の構成文字よりなり、その外観及び称呼を共通にするものであるから、類似性の程度は高いものであるが、本件商標と引用商標1及び引用商標3ないし引用商標6は、その外観及び称呼において明らかな差異を有するものであるから、類似性の程度は低いというべきである。
ウ 申立に係る商品及び役務と申立人の業務に係る商品との関連性及び需要者の共通性について
申立に係る商品及び役務中に、自動車に使用し、自動車メーカーが提供し得る商品が含まれているとしても、申立人の業務に係る商品(自動車)とは、商品の生産部門、販売部門、用途及び需要者の範囲が必ずしも一致するとはいえないものである。
エ 出所の混同のおそれについて
上記アのとおり、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の商品「自動車」の需要者の間で広く知られていたと認めることはできず、上記イのとおり、本件商標と引用商標2とは、類似性の程度が高いものの、本件商標と引用商標1及び引用商標3ないし引用商標6とは、類似性の程度が低いものであり、上記ウのとおり、申立に係る商品及び役務と申立人の業務に係る商品とは、商品の生産部門、販売部門、用途及び需要者の範囲が必ずしも一致するとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその申立に係る商品及び役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないというべきであり、本件商標は、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立に係る商品及び役務について、商標法第4条第1項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-06-03 
出願番号 2020100402 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W093842)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 小田 昌子
渡邉 潤
登録日 2021-06-24 
登録番号 6407083 
権利者 株式会社 キャリアデザインセンター
商標の称呼 デイタイプ、タイプ 
代理人 田中 克郎 
復代理人 両部 奈穂子 
復代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 

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