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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1386398 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-06 
確定日 2022-07-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6392531号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6392531号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6392531号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,令和2年11月10日に登録出願,第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく,魚を主原料とする加工品」を指定商品として,同3年4月8日に登録査定され,同年5月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1005117号商標(以下「引用商標」という。)は,「MSC」の欧文字を横書きしてなり,2009年(平成21年)3月2日に国際商標登録出願,第16類「Printed matter, brochures, periodicals, newsletters, journals; none of the aforesaid for use in relation to computer simulation and computer engineering analysis.」及び第29類「Fish; seafood; food products made with or from fish; salted fish; fish fillets; preserved fish; tinned fish, fishmeal for human consumption; fish extracts; fish spreads; cooked meals and/or chilled meals, containing fish; salted fish; frozen fish, fish products being fresh, preserved or frozen, canned fish, farmed fish products, prepared meals containing fish; edible oils and fats; food products made from fish as snacks; frozen foods made wholly or principally of fish; shrimps (not live); prawns (not live); shellfish (not live); crustaceans (not live).」を指定商品として,平成23年6月3日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)申立人及び引用商標の著名性について
ア 申立人の歴史
申立人は,英国ロンドンを本拠とする「持続可能な漁業」を行う漁業者を認証する制度の運営機関である。
申立人は1990年代初頭にカナダ近海・グランドバンクのタラの漁場が乱獲により壊滅状態になったことを契機に,1997年に世界自然保護基金(WWF)と,タラの加工食品を販売していたユニリーバが主体となって設立された。1999年からは両組織から独立した非営利団体となっている。第三者機関による水産資源保全と海洋環境保全に責任ある漁業者の認証を受けた漁業者は製品に「MSCエコラベル」を表示することができ,世界で消費される天然魚の7%が認証を受けている。日本国内では京都の底曳網漁業や土佐鰹水産の鰹一本釣り漁業などが認証を受けており,環境意識の高まりから日本国外で認証された水産物を含め,MSCエコラベル表示のある製品がイオングループ,西友,生協,セブン&アイグループ,ライフ,マクドナルドなどで流通している(甲4)。
日本における窓口として,一般社団法人MSCジャパンが東京に設立されている。
イ 引用商標
引用商標は,申立人の日本の窓口機関の名称がMSCジャパンであることからも明らかなように,申立人の略称であり,少なくとも2007年1月1日より日本においてその指定商品に関し継続使用されている。
そして,申立人の「MSCエコラベル」(別掲2)は,引用商標である「MSC」が要部を形成するものである。
「MSCエコラベル」によって表示されるMSC認証は,持続可能で適切に管理された漁業でとられた水産物であることを認証する国際的な規準として,広く認識されている。
さらに,引用商標は日本以外でも11か国において登録されており,国際的に保護されているものである(甲5)。
ウ 我が国における申立人の活動
我が国では約900品目が承認登録されており,「MSCエコラベル」を付して流通,販売されている。また,我が国で申立人の認証を受けている者は299業者となっており,現時点で有効な認証発行数は5429におよぶ(甲6)。
また,申立人の「MSCエコラベル」を積極的に掲示使用して啓蒙活動を行っている大手日本企業がある。特に,日本マクドナルド株式会社では,主要商品であるフィレオフィッシュのパッケージにも「MSCエコマーク」(決定注:「MSCエコラベル」の誤記と認める。以下同じ。)を表示している(甲7)。また,日本最大級のスーパーマーケットであるイオンのプライベートブランドであるトップバリュ商品の包装にも「MSCエコマーク」が表示され,同様に日本最大級のコンビニエンスストアであるセブンイレブンを有するセブン&アイのプライベートブランであるセブンプレミアム商品の包装にも「MSCエコマーク」が表示されている(甲8,甲9)。
このような使用を通して,引用商標を要部とする「MSCエコマーク」は広く日本の需要者に認識されている。
エ 日本での売上高等
(ア)日本に拠点を置くライセンス保有者によるMSCラベル付き製品の総申告売上高は,2016年ないし2021年に,年に約3312万ないし約1億6760万英国ポンドであった。(海外での販売に関する売上高を含むが,大半は日本でラベル付けされて販売されている。)
(イ)日本で販売されたすべてのラベル付き製品の売上高は,2016年ないし2021年に,年に約3305万ないし約1億6960万英国ポンドであった。(数字はライセンス保持者の所在地に関わらず,日本で販売された製品の総売上高であるが,大部分は日本でラベルを貼り,販売されている。)
(ウ)日本で販売されたMSCラベル付き製品の総量は,2016年ないし2021年に,年4000ないし2万4000トンであった。
オ 申立人のSNS
申立人は,自ら様々なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用して,申立人の業務に係る周知活動を弛まず継続して行っている。いずれのアカウントにおいても,そのトップページにおいて,顕著に目立つ態様で,引用商標が表示されている。
(ア)YouTubeチャンネル
申立人は,日本向けのYouTubeチャンネルとして,2017年2月に「MSCジャパン」を登録し,現在までに,総計で16万9055回視聴されている。
(イ)Twitter
申立人は,2020年2月に,日本向けのTwitterのオフィシャルアカウントを登録した。現在のフォロワー数は2万6300人である。
(ウ)facebook
申立人の日本向けfacebookアカウントは,現在6432人のフォロワーを有しており,今までに合計で6294人が「いいね!」を送っている。
(エ)Instagram
申立人の日本向けInstagramアカウントは,現在1037人のフォロワー数を有しており,合計で458件の投稿がなされている。
(オ)その他
MSCジャパンはブログも活用して宣伝広告活動を行っている。
カ その他
カナダに本社を有する国際的なコンサルティング会社であるGlobeScan(以下「GlobeScan社」という。)が2020年6月に実施した「MSCエコラベル」の認識度調査においては,日本での認知度は19%と全市場の中で最も低い(世界平均は46%)が,2018年以降,認知度は大幅に上昇(+7ポイント)している。また,MSCラベルヘの日本での信頼度は,MSCを知っている消費者の間では高く,世界平均の76%より低いが,70%以上と2016年の水準をはるかに上回っている(甲10)。
キ 小括
「MSCエコラベル」は,持続可能で適切に管理された漁業で獲られた水産物であることを認証する国際的な規準を表すものとして広く認識されており,該ラベルの要部をなす引用商標も日本の需要者の間で広く認識されている。
以上のとおり,申立人は,引用商標を日本においても広く使用してきており,引用商標は,我が国及び海外で周知著名である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標の特徴について
(ア)外観上の特徴
本件商標は,紺色で図案化された欧文字「MSC」を表記してなり,各文字のサイズが異なり,全体として流線形を形成するように構成されている。
(イ)観念上の特徴
本件商標は欧文字の「MSC」を表記してなるので,本件商標からは,「MSC」の観念が生じる。
(ウ)称呼上の特徴
本件商標は,欧文字の「MSC」を表記してなるので,「エムエスシー」の称呼が生じる。
イ 引用商標の特徴について
(ア)外観上の特徴
引用商標は,ブロック体の欧文字で「MSC」と書してなる構成を有する。
(イ)観念上の特徴
引用商標は,欧文字の「MSC」を表記してなるので,引用商標からは,「MSC」の観念が生じる。
(ウ)称呼上の特徴
引用商標は,欧文字の「MSC」を表記してなるので,「エムエスシー」の称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
称呼については,両商標はともに「エムエスシー」の称呼が生じるから,両商標は,称呼を同一にするものであって,両商標は,称呼上,相紛れるおそれがある。本件商標はブロック体ではなく,図案化された欧文字で表記されているものの,その図案化の程度に鑑みれば,容易に欧文字の「M」「S」「C」を看取し得るものであるから,本件商標に接する需要者は,取引上自然に認識する音ないし称呼として「エムエスシー」と本件商標を称呼するものである。
次に観念においても,本件商標及び引用商標は,欧文字「MSC」の観念を想起させるものであり,観念においても相紛れるおそれがある。
本件商標と引用商標とは,外観においては相違するが,称呼及び観念において同一であり,簡易迅速を伴う商取引においては,全体的総合的に考察すると誤認混同が生じるおそれが大きい。本件商標の欧文字の図案化の程度を勘案すると,本件商標及び引用商標を場所と時間を異にして離隔的に観察した場合,本件商標及び引用商標の称呼及び観念が同一であり,外観においても欧文字「MSC」と理解される構成を有する点が共通することから,商品の出所を誤認混同するおそれが大きい。この点は特に,引用商標が上述のように周知著名である点を考慮すれば,より明らかである。
してみれば,本件商標と引用商標とは類似の商標である。
エ 指定商品の類否について
本件商標に係る指定商品のうち,第29類「食用油脂,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,魚を主原料とする加工品」は,引用商標に係る指定商品のうち,第29類の商品と同一又は類似の関係にある。
オ 裁判例
過去の判決において,ブロック体の欧文字表記の商標と図案化された欧文字表記の商標が類似とされた例がある(甲11)。
カ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標は類似する商標であり,商品の出所を誤認混同するおそれがあるものと認められることは上記のとおりである。また,上記の認定を覆す取引の実情も考えられない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標は,上記(2)のとおり,称呼及び観念において同ーであり,商標全体として,非常に近似した商標である。
イ 引用商標の周知度について
上述のとおり,申立人は,引用商標を日本においても広く使用してきており,引用商標は,我が国及び海外で周知著名である。
ウ 申立人引用商標の独創性等について
引用商標は欧文字3文字からなり,何らの既成語ではなく,非常に印象に残るものであり,独創的である。
エ 申立人商標がハウスマークであるかについて
申立人の使用に係る商標は,申立人の名称の略称として使用されており,実質的に,申立人のハウスマークともいうべきものである。
オ 申立人における多角経営の可能性
本件においては,本件商標に係る指定商品と申立人が引用商標を使用する商品は,そもそも同一・類似の関係にあるので,当該要件を検討する必要性は特にない。
カ 商品間の関連性,商品等の需要者の共通性について
上述のとおり,本件商標に係る指定商品と申立人が引用商標を使用する商品は,そもそも同一・類似の関係にあるものであり,商品間の関連性は非常に高い。また,取引者・需要者も共通する。
キ 小括
本件商標は,上記アないしカの全ての要件において,商品の出所について誤認混同を生じるおそれが肯定される方向にある。
したがって,本件商標に接した取引者,需要者は,本件商標に係る商品について,申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,商品の出所について混同するおそれがある。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次のとおりである。
ア 申立人について(甲4,申立人の主張)
申立人は,1997年に設立された非営利団体であって,英国ロンドンを本拠とする「持続可能な漁業」を行う漁業者を認証する制度の運営機関であり,第三者機関による水産資源保全と海洋環境保全に責任ある漁業者であるという認証を受けた漁業者に対し,その製品に「MSCエコラベル」を表示することを認めており,世界で消費される天然魚の7%が当該認証を受けているとされる。
なお,日本における窓口として,一般社団法人MSCジャパンが東京に設立されている。
イ 日本における「MSCエコラベル」の認証及び使用の状況(甲6〜甲9,申立人の主張)
日本では約900品目が承認登録され,申立人の「MSCエコラベル」(別掲2)を付して流通,販売されており,日本で申立人の認証を受けている者は299業者,有効な認証発行数は5429とされる。
また,日本国外で認証された水産物を含め,MSCエコラベルの表示のある製品が,我が国の複数の企業によって流通,販売されている。
申立人は,複数のSNSにおいて,日本向けのチャネル又はアカウントを登録しており,それらのトップページにおいて,引用商標を表示しているとされる。
ウ 日本における売上高等について(申立人の主張)
日本に拠点を置くライセンス保持者による「MSCエコラベル」付き製品の総申告売上高は,2016年ないし2021年で約3312万ポンドないし1億6760万ポンド,日本で販売されたすべての「MSCエコラベル」付き製品の売上高は,2016年ないし2021年で約3305万ポンドないし1億6960万ポンド,日本で販売された「MSCエコラベル」付き製品の総量は2016年ないし2021年で4000トンないし2万4000トンとされる。
エ 「MSCエコラベル」の認知度及び信頼度について(甲10,申立人の主張)
GlobeScan社が2020年6月に行った「MSCエコラベル」の認知度調査によれば,世界平均が46%であるところ,日本での認知度は19%であり,全市場で最も低い結果であった。また,「MSCエコラベル」に対する信頼度は,世界平均が76%であるところ,日本においては,2016年が59%,2018年が73%,2020年が71%であった。
オ 以上によれば,申立人は1997年に設立された非営利団体であり,第三者機関による水産資源保全と海洋環境保全に責任ある漁業者であるという認証を受けた漁業者に,製品に対し「MSCエコラベル」を表示することを認めている。
そして,日本においては,「MSCエコラベル」が付された商品が複数の企業により生産され,一般に流通,販売されており,2016年ないし2021年に一定程度流通,販売されていたことはうかがえるものの,GlobeScan社による認知度調査によれば,日本における「MSCエコラベル」の認知度は,2020年6月時点で19%であり低いといわざるを得ない。さらに,引用商標が単独でその業務に係る商品について使用されている事実は見いだせない上,申立人の主張する売上高や販売数量を裏付ける証拠を含め,「MSCエコラベル」又は引用商標が使用された商品についての販売数量,売上高,市場シェアなどの販売実績や広告宣伝の方法等,その周知性を客観的に判断するための客観的かつ具体的な証拠の提出はないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時における「MSCエコラベル」及び引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
そのほか,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,「MSCエコラベル」及び引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,日本の取引者,需要者の間で,申立人らの業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって,申立人から提出された証拠によっては,「MSCエコラベル」及び引用商標が,日本において,申立人らの業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおりの構成からなるところ,大きさと太さの異なる3つの曲線図形を横一列に配置したかのように図案化してなるものであり,本件商標全体で,特定の文字として看取されるとはいい難く,また,特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情も認められないことから,本件商標は,特定の称呼及び観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,上記2のとおり,「MSC」の文字からなるところ,当該文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であると認識されるものである。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して「エムエスシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,本件商標が3つの曲線図形からなるのに対し,引用商標は「MSC」の欧文字からなるものであるから,両者は,外観上判然と区別し得るものである。
次に,称呼においては,本件商標からは称呼が生じないのに対し,引用商標は「エムエスシー」の称呼を生じるものであるから,両者は,称呼上相紛れるおそれはない。
さらに,観念においては,両者は共に特定の観念を生じないから,両者は観念上比較することはできない。
そうすると,本件商標と引用商標は,観念上比較することができないとしても,称呼上相紛れるおそれのないものであり,外観上判然と区別し得るものであるから,両者の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は非類似の商標というのが相当である。
その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は,過去における裁判例(甲11)を挙げ,本件商標も引用商標と類似と判断されるべき旨を主張しているが,商標の類否の判断は,査定時又は審決時における取引の実情を勘案し,その指定商品及び指定役務の取引者・需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから,当該裁判例をもって上記判断が左右されるものではない。
したがって,申立人の主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであって,上記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であり,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,その商標権者が,これをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照。)


別掲2 MSCエコラベル


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-06-29 
出願番号 2020138560 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W29)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 須田 亮一
板谷 玲子
登録日 2021-05-21 
登録番号 6392531 
権利者 株式会社南食品
商標の称呼 エムエスシイ 
代理人 門田 尚也 
代理人 吉川 明子 
代理人 中山 健一 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 長嶺 晴佳 
代理人 杉村 憲司 
代理人 吉川 晃司 

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