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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W2930
管理番号 1386372 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-03-15 
確定日 2022-07-19 
事件の表示 商願2020−114061拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月14日に商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月30日付け :拒絶理由通知
令和3年10月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年1月28日付け :拒絶査定
令和4年3月15日 :審判請求書の提出

第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、指定商品については、上記第1の手続補正書により、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),ぬか漬け魚介類,肉又は水産物の漬物,肉製品,加工水産物,野菜及び果実の漬物,加工野菜及び加工果実,こんにゃく,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「ぬか炊きを加味したサンドイッチ,ぬか炊きを加味した角煮まんじゅう,ぬか炊きを加味した中華まんじゅう,ぬか炊きを加味したハンバーガー,ぬか炊きを加味したピザ,ぬか炊きを加味したミートパイ,ぬか床用及び漬物用の調味料,ぬか炊き用たれ,ぬか炊きの煮汁を加味した調味料,ぬか漬の素,ぬか床,ぬか床用ぬか,ぬか炊きを加味した弁当」に補正されたものである。

第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
登録第4137483号商標(以下「引用商標」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成7年12月28日
設定登録日:平成10年4月17日
指定商品 :第30類「漬物用調味料,ぬか床,ぬか床の素」

第4 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、本願商標の構成中、「百年床」の文字部分を分離抽出し、これと引用商標とが類似する商標であるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

第5 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、上段に、白黒の色彩構成からなる円形図形、中段に、ややレタリングした黒色の「百年床」の文字、下段に黒色の「宇佐美商店」の文字を配してなるところ、上段の円形図形とその余の文字部分とは、やや間隔を設けて配置され、それぞれが視覚的に分離して認識され得る構成といえる。
一方で、「百年床」の文字部分と「宇佐美商店」の文字部分とは、黒色一色で表示され、横幅が揃えられた構成であって、視覚的に一体的な印象を与えるものであるから、外観上、中段の「百年床」の文字部分が、「宇佐美商店」の文字部分に比して、強く支配的であるとまではいい難い。
また、当審の職権による調査の結果、「百年床」の文字について、別掲3のとおりの使用状況に関する事実が認められ、これらによれば、「百年床」の文字は、北九州地方において、「100年ものの古いぬか床」の意味合いを表す語として理解されていることが認められる。
そうすると、本願商標の構成中、「百年床」の文字部分は、本願の指定商品中の少なくとも「ぬか」を用いた商品との関係においては、商品の出所識別標識としての機能が強いものとはいえないというのが相当である。
以上によれば、本願商標は、その構成中、「百年床」の文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできず、当該文字部分を本願商標の要部とすることはできないものである。
また、他に、本願商標の構成中、「百年床」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
してみれば、本願商標は、構成全体を一体的に観察するか、又は、「百年床」の文字部分及び「宇佐美商店」の文字部分の両者を一体的に観察して、引用商標との類否を判断するのが相当である。
したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本願商標の構成中、「百年床」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標


別掲2 引用商標



別掲3 本願の指定商品に関係の深い食料品を扱う業界における「百年床」の文字の使用状況に関する事実
(1)2022年5月29日付け「南日本新聞朝刊」において、「[南風録]北九州市で市民の台所として親しまれてきた旦過市場。・・・」の見出しの下、「北九州市小倉の郷土料理に「ぬか炊き」がある。青魚を砂糖やしょうゆで煮込み、最後にぬか床を加えて炊く。漬けていた野菜のエキスや発酵によるほのかな酸味が独特のうまみを引き出す。ご飯にも酒にも合う▼各家庭でぬか床が大切に受け継がれ、「百年床」も珍しくない土地ならではの味だろう。」の記載がある。
(2)2021年12月11日付け「西部読売新聞 朝刊」において、「[解藩知県]古里の遺産(9)歴史に根ざす 地域の味」の見出しの下、「◆「百年床」親から子へ ぬか炊き/北九州市/米ぬかに水と塩などを混ぜて発酵させたぬか床(ぬかみそ)は、北九州市の食文化の象徴だ。多くの家庭が自前のぬか床を受け継いでおり、市教育委員会が1984年にまとめた民俗調査報告書には、家庭によっては「100年続くぬか床」があると記されている。・・・ぬか料理の起源は寛永9年(1632年)、細川家に代わり小倉藩主となった小笠原家が、かつての任地だった信州松本(長野県)から持ち込んだとされる。松本は漬物の産地として知られており、「ぬか床」は同家がこれを床の間に置いたことにちなむという。」の記載がある。
(3)2018年1月1日付け「西日本新聞朝刊」において、「福岡県/ぬか文化 北九州の宝/北九州・京築」の見出しの下、「熟成の「ぬか床」に旬の野菜を漬け込んだ「ぬか漬け」は江戸時代、小倉藩の殿様も好んだと伝わる。新鮮な青魚をぬかで煮込んだ「ぬか炊き」とともに、北九州、京築地方の豊かな食文化を象徴している。そこには、歴史や伝統を守り、創造に挑戦する人たちがいる。・・・●「百年床」 次代へ継承 築上西高「ぬか床部」/ぬか床の食文化をしっかりと受け継ごうとしている若者たちを、築上町の築上西高で見つけた。若者たちは、通称「ぬか床部」と呼ばれるハンドメイド部の部員14人。前身の裁縫・割烹(かっぽう)部が1913年創部という歴史ある部で、ぬか漬け作りは2008年、地元の地域おこし団体が「若者に食文化を継承したい」と、100年もののぬか床を寄贈して始まった。・・・ぬか床は「百年床」に加え、カレー粉を混ぜた「カレー味」、自分たちで隠し味を考えてサンショウや唐辛子などを入れてみた「チャレンジ」を駆使する。」の記載がある。
(4)2013年12月17日付け「朝日新聞 朝刊」において、「(北九州市50年 キタキュー力)受け継ぐ「味」:1 家に根付くぬか床文化/福岡県」の見出しの下、「北九州市小倉南区の貫(ぬき)地区。・・・さん(64)が土間の台所にある甕(かめ)のふたを開けると、独特の甘酸っぱい匂いが漂った。中に手を突っ込み、ぬか床(どこ)を何度も混ぜ返す。・・・義理の祖母までさかのぼれるという「百年床」。みそのように発酵した米ぬかに、香りやうまみを出す山椒(さんしょう)の実や胡椒(こしょう)、ダシ昆布などを入れて、熟成させては家の畑で取れた旬の野菜を漬ける。減れば米ぬかを足してまた味を調える。こうして100年は絶やしていないという代物だ。」の記載がある。
(5)2009年2月27日付け「朝日新聞 朝刊」において、「ぬか漬けに恋をした 記者が「奥深さ」体感 「わが家の味」へ、根気とカン 【西部】」の見出しの下、「食の安全を求める意識に後押しされ、手間やにおいが敬遠されがちだった「ぬか漬け」が見直されている。・・・働く女性向け情報誌アヴァンティが福岡市で開いた「ぬか漬け教室」は、定員40人にキャンセル待ちも出る人気ぶり。20〜30代が中心だ。まずは、ぬか床づくり。・・・古いぬか床を種ぬかとして入れると熟成が早いそうで、店の「百年床」を入れてくれた。独特の酸っぱいにおい。」の記載がある。


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審決日 2022-07-06 
出願番号 2020114061 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W2930)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
渡邉 あおい
商標の称呼 ヒャクネントコウサミショーテン、ヒャクネンドコウサミショーテン、ヒャクネントコ、ヒャクネンドコ、ウサミショーテン、ウサミ 
代理人 特許業務法人樹之下知的財産事務所 

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