• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W1624
管理番号 1386284 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-22 
確定日 2022-06-10 
事件の表示 商願2020− 62288拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ロクシー」の文字を標準文字で表してなり、第16類「キャンバス・画材」及び第24類「キャンバスクロス」を指定商品として、令和2年5月7日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年1月27日付けで拒絶理由の通知がされ、同年3月17日に意見書が提出されたが、同年6月17日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の1ないし3に掲げるとおりであり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。
1 登録第5129555号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ROXY」の文字を標準文字で表してなる商標
登録出願日:平成17年5月12日
設定登録日:平成20年4月18日
指定商品 :第16類に属する別掲1に記載のとおりの商品
2 登録第5273565号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ROXY」の文字を標準文字で表してなる商標
登録出願日:平成20年8月6日
設定登録日:平成21年10月16日
指定役務 :第35類に属する別掲2に記載のとおりの役務
3 国際登録第817139号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「ROXY」の欧文字を横書きしてなる商標
国際商標登録出願日:2003年(平成15年)5月28日
設定登録日:平成18年2月24日
指定商品 :第9類、第16類及び第24類に属する別掲3に記載のとおりの商品
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標と引用商標は、いずれも特殊な態様で表現されたものではなく、片仮名及び欧文字を相互に変更して表記することが我が国において一般的に行われることからすると、これらの商標の外観が相違し、観念は比較することができないとしても、「ロクシー」の称呼が共通することから、これらは、類似する商標であり、本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務とは、それぞれ類似する商品及び役務であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」と認定、判断したものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、上記第1のとおり、「ロクシー」の文字を標準文字で表してなるところ、「ロクシー」の文字を欧文字で表記すると、「Roxy」とつづられるものと認識でき、「Roxy」の語は、英和辞典において「女子の名」(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」発行者:株式会社小学館)を表すものとして載録されていることが確認できる。
したがって、本願商標は、「ロクシー」の称呼を生じ、「女子の名」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「ROXY」の文字を表してなるものであるところ、上記(1)のとおり、英和辞典において「Roxy」の語は、「女子の名」を表すものとして載録され、「ロクシー」と読まれることが確認できる。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「ロクシー」の称呼を生じ、「女子の名」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、片仮名と欧文字の差異があるものの、片仮名及び欧文字を相互に変更して表記することが我が国において一般的に行われることからすると、本願商標と引用商標は、「ロクシー」と読む語を、片仮名で表記するか、欧文字で表記するかの相違にすぎない。
次に、称呼においては、本願商標及び引用商標から生じる「ロクシー」の称呼は同一であり、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標及び引用商標から生じる「女子の名」の観念は同一であり、観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にするものであり、これらの外観が相違するとしても、「ロクシー」と読む語を片仮名及び欧文字で表したにすぎず、これらの外観の相違が、称呼及び観念の共通性を凌駕するというべき事情はないことから、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
ア 本願の指定商品は、引用商標1の指定商品中の第16類「転写紙,ブックカバー,ステッカー,ノートパッド,バインダー,メモパッド,予定表付き手帳,筆記用具,ペン(事務用品),鉛筆,マーカーペン,筆箱,ラベル(布製のものを除く。),その他の文房具類」と類似する商品である。
イ 本願の指定商品は、引用商標2の指定役務中の第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品に含まれるものであって、両者は、小売り等役務とその取扱商品という関係にあり、これらは一般的に、同一の事業者に係るものが多く、その商品の販売場所と役務の提供場所、及び取引者、需要者の範囲を共通にするものであるから、本願の指定商品と引用商標2の指定役務とは、互いに類似するものと認められる。
ウ 本願商標の指定商品は、引用商標3の指定商品中の第16類「Cardboard and cardboard articles, book covers, stickers, decalcomanias, bumper stickers, stationery, note pads, binders, memo pads, writing instruments, pens, pencils, marker pens, cases for pens and pencils, non-textile labels.」及び第24類「Labels in this class, bunting, textiles and fabrics (woven and knitted).」と類似する商品である。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、引用商標は、人名等で用いられる語ではあるが、一般的には、特定の意味合いを有することのない造語商標と理解できる旨、また、「oxy」や「epoxy」は、一般に「オキシ」、「エポキシ」と読み仮名が付けられ、そのように称呼されるところ、同じように称呼すれば、引用商標「ROXY」は、「ロキシー」と称呼される旨主張する。
しかしながら、上記1(1)及び上記(2)のとおり、「Roxy」の語は、「ロクシー」と読み、「女子の名」を意味する語として英和辞典に載録されていることからすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ロクシー」の称呼を生じ、「女子の名」の観念を生じるものである。
(2)請求人は、引用商標に係る「ROXY」は、洋服や各種スポーツウェア等の幅広い商品の商標・ブランドとして使用されており、国内においては、620の店舗で販売されており、引用商標の権利者は、「ロキシー」との称呼をもって取引している旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではなく、その指定商品全体についての一般的・恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、役務についても同様に解されているところ、請求人の主張する上記取引の実情は、商標を実際に使用している具体的な商品及び役務についての実情であるから、特殊的、限定的な取引の実情といわざるを得ないものであり、商標の類否判断にあたり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
(3)請求人は、過去の審決例及び異議の決定例において、「ROXY」の商標からは、「ロキシー」の称呼が生じる旨認定されているから、本件においても同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、当該審決例及び異議の決定例によって,ただちに本件の認定が左右されるものではない。
(4)本願の指定商品は「キャンバス・画材」及び「キャンバスクロス」であり、いわゆる絵画用に特化した商品であるところ、引用商標の商品とは、実際の市場や現実の取引の場においては、商品の販売部門や商品の用途、ターゲットとする需要者層等が大きく異なることから、本願の指定商品と引用商標に係る指定商品は、何ら誤認混同が生ずるおそれもない旨主張している。
しかしながら、本願の指定商品中の「キャンバス」は、「麻などの布地に膠やカゼインなどを塗り、更に亜麻仁油・亜鉛華・密陀僧などをまぜて塗ったもの。木枠に張り油絵を描くのに用いる。画布。」を、「画材」は、「絵をかくための材料。筆・絵具など。」を意味し(いずれも「広辞苑 第7版」発行者:株式会社岩波書店)、「キャンバスクロス」は、別掲4のとおり、「キャンバスとして使用される布地」と理解されるものであるから、これらは、文房具類及び布製品の範ちゅうの商品であると認められる。
そして、引用商標1の指定商品中の第16類「転写紙,ブックカバー,ステッカー,ノートパッド,バインダー,メモパッド,予定表付き手帳,筆記用具,ペン(事務用品),鉛筆,マーカーペン,筆箱,ラベル(布製のものを除く。),その他の文房具類」並びに引用商標3の指定商品中の第16類「Cardboard and cardboard articles, book covers, stickers, decalcomanias, bumper stickers, stationery, note pads, binders, memo pads, writing instruments, pens, pencils, marker pens, cases for pens and pencils, non-textile labels.」及び第24類「Labels in this class, bunting, textiles and fabrics (woven and knitted).」は、いずれも、文房具類又は布製品の範ちゅうの商品であると認められる。
また、引用商標2の指定役務中の第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品には、文房具類及び布製品の範ちゅうの商品が含まれるものと認められる。
したがって、本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務はその生産部門、販売部門及び需要者の範囲等を共通にする類似の商品及び役務というのが相当である。
(5)以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他、請求人の主張を採用するべき事情はない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(引用商標1の指定商品)
第16類 「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,転写紙,ブックカバー,ステッカー,ノートパッド,バインダー,メモパッド,予定表付き手帳,筆記用具,ペン(事務用品),鉛筆,マーカーペン,筆箱,ラベル(布製のものを除く。),その他の文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」

別掲2(引用商標2の指定役務)
第35類 「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,鏡その他の家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具・洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーチェーン及びキーリングの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みビデオディスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,バスマットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯電話機専用ケース及びストラップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯用デジタルオーディオプレーヤー専用ケース及びストラップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ノートブック型コンピュータ専用ケースの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,布製ティッシュボックス用カバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,空気注入式ゴムチェアーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,空気注入式浮き輪の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,潮流計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

別掲3(引用商標3の指定商品)
第9類 「Optical goods in this class, eyewear, sunglasses, spectacles and goggles for sports; parts, fittings and accessories in this class for sunglasses, spectacles and goggles for sports including frames, cases, earstems, replacement lenses, nose pieces and foam strips (for cushioning the glasses or eyewear against the forehead); pre-recorded video tapes, pre-recorded video discs [images and/or sounds are recorded].」
第16類 「Paper; industrial packaging containers of paper, boxes of paper, cardboard and cardboard articles; babies’ diapers of paper; garbage bags of paper [for household use]; banners of paper, flags of paper; hygienic paper, towels of paper, table napkins of paper, hand towels of paper, handkerchief of paper; table cloths of paper; printed matter, books related to the subject of surfing, snowboarding and skiing, book covers, calendars, stickers, decalcomanias, bumper stickers, posters; stationery, note pads, binders, memo pads, agendas, diaries; writing instruments, pens, pencils, marker pens; cases for pens and pencils; non-textile labels; photographs.」
第24類 「Furniture covering of plastic; furniture covering of textile; shower curtains of textile or plastic; face towels of textile; sheets [textile]; table napkins of textile; tapestry [wall hangings] of textile; knitted fabrics; felt and non-woven textile fabrics; personal articles of woven textile [not for wear]; toilet seat covers of textile; seat covers of textile; household linen, bed linen, table linen, towels, handtowels, bed and table covers, serviettes, labels in this class, banners, bunting; textiles and fabrics (woven and knitted).」

別掲4(「キャンバスクロス」が「キャンバスとして使用される布地」と理解される例)
(1)「株式会社ケイエヌトレーディング」のウェブサイトにおいて、「CWK エコノミーキャンバスクロス」の見出しの下、「インクジェット用キャンバスクロス。名画や写真がアートな雰囲気に仕上がります。紙には無い質感が表現の幅を広げます。」との記載及び「材質 キャンバス」との記載がある。
http://www.kncolor.com/products/ikjm/aque/cloth/cwk.html
(2)「YAHOO!ショッピング」の「晴林堂」のウェブサイトにおいて、「布地にプリントできる!インクをすばやく吸収してにじみません キャンバスクロス(布地) インクジェット用 フォーレックス folex FLCVP−5A4」との記載がある。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/seirindou/4513302372042.html
(3)「.Too」のウェブサイトにおいて、「IJML|キャンバスクロス(マット細目)」の見出しの下、「インクジェット加工を施した絵画用キャンバス。油絵やアクリル画の複製や作品制作にご利用いただけます。マットな仕上りの細目タイプ」との記載及び「素材:布」との記載がある。
https://www.too.com/product/original-designtools/ijml/art/canvas-cross-matte-hosome.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。


審理終結日 2022-04-05 
結審通知日 2022-04-06 
審決日 2022-04-22 
出願番号 2020062288 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W1624)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 渡邉 潤
小田 昌子
商標の称呼 ロクシー 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ