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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1385420 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-21 
確定日 2022-06-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6421340号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6421340号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6421340号商標(以下「本件商標」という。)は,「速攻アタック」の文字を横書きしてなり,令和3年2月10日に登録出願,第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同年7月9日に登録査定され,同月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,これらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1929596号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 アタック
指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 昭和59年2月1日
設定登録日 昭和62年1月28日
書換登録日 平成19年6月20日
なお,引用商標1は,第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として防護標章登録されている。
(2)登録第4197016号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 アタック(標準文字)
指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成9年6月26日
設定登録日 平成10年10月9日
(3)登録第5129012号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 アタック
指定商品 第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成19年9月12日
設定登録日 平成20年4月18日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標はその指定商品中,第3類「全指定商品」(以下「本件申立商品」という。)について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第39号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人の衣料用洗剤(洗濯用洗剤)「アタック」について
申立人は,創業1887年の「石鹸,洗剤やサニタリー製品,ビューティケア製品,機能性食品分野の製品」等を扱う総合日用品メーカーである(甲5)。
申立人は,1987年に世界初のコンパクト衣料用洗剤(洗濯用洗剤)である「アタック」の発売を開始した(甲6)。この「アタック」は,消費者から高い評価を得て爆発的にヒットし,洗剤の歴史を塗りかえた(甲6)。
その後,「アタック」は,多種多様の消費者のニーズに応えるため,「アタック」ブランドとして「アタックZERO(ゼロ)」等の液体洗剤,「アタック シュッと泡スプレー」等の部分洗い用液体洗剤,「アタック 高浸透リセットパワー」等の漂白剤・柔軟剤を配合した粉末洗剤等と商品ラインナップを広げ,30年を超える長きにわたり発売されてきたものであり(甲7),ウェブ版の各社記事においても,「30年間にわたってトップシェアを維持し続けている花王「アタック」の秘訣とは?」(甲8),「花王「アタック」が32年間も首位を譲らない理由」「『アタック』は1987年に発売されたロングセラーブランドだ。」(甲9)のように紹介されているブランドである。
イ 国内でのシェア,人気ランキング,話題性等について
(ア)申立人の「アタック」は,認知度に関する「2019年6月ブランド力調査 マスターブランド:認知トレンド」,シェア率を調査した「2020年7月ブランド力調査 マスターブランド:シェアトレンド」のいずれにおいてもトップである(甲10,甲11)。そして,本件商標の出願日から査定日直前までの期間を含む「2020年8月から2021年6月」までのシェア率を調査した「マスターブランド:シェアトレンド」においても,「アタック」はトップである(甲12)。
(イ)ウェブ版「週刊粧業」による「衣料用合成洗剤ランキング(2021年5月01日〜2021年07年31日)」(市場シェア)においても「アタックEX」がトップである他,10位中5つの位に「アタック」ブランドの商品がランキングしている(甲13)。
(ウ)日経MJ(流通新聞)による2019年上期ヒット商品番付では,容器やCM等について話題となった「アタックZERO」が番付入りした(甲14)。また「洗濯用洗剤」として「アタックZERO ワンハンドタイプ」が,日本産業デザイン振興会主催の2020年度グッドデザイン賞を受賞している(甲15)。
また,雑誌「LEE」の「LEEハピ家事大賞2021」においては,「アタックZERO」が洗濯部門の大賞に選ばれている(甲16)。
(エ)上記の市場シェア等は,2019年から2021年7月31日までのものであるが,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,衣料用洗剤(洗濯用洗剤)である「アタック」ブランドが需要者,取引者間において人気を博しているものであることが容易に認識できる。
かかる事実から,「アタック」ブランドである引用商標は,本件商標の登録出願時と登録査定時において,申立人の商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等を表示するものとして需要者,取引者の間に広く認識されている商標であることが明白である。
ウ 引用商標1の防護標章登録例等について
申立人は,引用商標1について,第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり」などや第5類「薬剤,歯科用材料」などについて,防護標章登録を有している(甲17,甲18)。
さらに,J−PlatPatの「日本国周知・著名商標検索」において,日本国の著名商標として,申立人の「アタック」を検索することができる(甲19)。
かかる防護標章登録からも,引用商標1の著名性は特許庁において顕著な事実であるといえる。
エ 著名性を認めた過去の審決例
過去の審決において,商標「アタック」が申立人の業務に係る商品「衣料用洗剤」を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されている旨認定しているものがある(甲20,甲21)。
これらの審決は2001年と2009年の例ではあるが,上記の2019年から2021年7月31日までの市場シェア,人気ランキング等(甲10〜甲16)に鑑みると,引用商標の著名性は現在においても維持されていることは明らかである。
オ 小括
上述のとおり,特許庁は,無効審判,防護標章登録等により「アタック」が著名であることを認定している。また,ここ数年における「アタック」ブランドに係る商品の市場シェアも常にトップである。
したがって,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標は,申立人の「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用される商標として,著名性を有するものであることは明白である。
(2)本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 本件商標
本件商標は,「速攻」の漢字と,これと文字種の異なる「アタック」の片仮名から構成されるところ(甲1),頭部の「速攻」の文字は「競技や戦いで,相手をすばやくせめたてること。」の語義を有する語であり,後語の「アタック」の文字は「攻撃」等の語義を有する語であるが(甲22),この両語が結びついた既成語はなく,一連一体の語として一般に親しまれていない。
また,「速攻」の文字は,本件商標の指定商品との関係においては「すぐに攻める」,すなわち「肌や髪,衣料,歯をすぐにきれいにする」等といった意味合いで,「速攻」の後の語を誇称する語として理解される語である。
そのため,本件商標を構成する「速攻」の文字部分の識別力が弱いから,自他商品の識別標識として機能するのは,後部の「アタック」の文字部分にある。
特許庁の審査実務においても,「速攻」の漢字と漢字以外の「○○」の文字からなる商標について,「速攻」の文字部分の識別力が弱く,要部が「○○」からなる商標であると判断し,「速攻○○」と「○○」からなる商標が類似すると判断している例がある(甲23〜甲31)。
これらの例は,わずか5年前の2017年に拒絶査定がされているものである。また,これらは,本件商標と同様に「速攻」の漢字と片仮名から構成されているから,本件商標の審査においてこれらの例と異なる基準で審査されなければならない合理的な理由はなく,これらの例は,本件商標を構成する「速攻」の文字部分の識別力が弱く,自他商品の識別標識として機能するのは,本件商標を構成する「アタック」の文字部分にあるとする申立人の主張が正当であることを立証するものである。
さらに,「速攻アタック」の文字は,申立人の著名な商標「アタック」と同一の文字であって,自他商品識別力が強い要部といえる後部の「アタック」と,上記のとおり識別力の乏しい頭部の文字部分「速攻」とが結合したものであるので,かかる結合商標からなる本件商標からは,構成する文字全体から「ソッコーアタック」の称呼が生ずる他,識別力を有し,自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与える本件商標の「アタック」の文字部分から「アタック」の称呼が生ずるものである。
特許庁の審判実務においても,著名商標と他の語が結合する商標について,著名商標に相当する部分と著名商標とを比較して類否判断をし,両者が類似すると判断している例がある(甲21,甲32〜甲34)。
これらの例は,本件商標から「アタック」の称呼が生ずるとする申立人の主張が正当であることを立証するものである。
したがって,本件商標からは「アタック」の称呼が生じ,「攻撃」等の語義,または,申立人が商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用し著名な「アタック」との観念が生じるものである。
イ 引用商標の称呼・観念・外観について
引用商標は,いずれも「アタック」の片仮名から構成されるので,構成する文字に相応して「アタック」の称呼が生じ,「攻撃」等の語義の他に,申立人が商品「衣料用洗剤」等に使用している著名な「アタック」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,引用商標は,「アタック」の片仮名からなり,「アタック」の称呼,「攻撃」等の語義,または,申立人の商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等のブランドとして著名な「アタック」の観念が生じる。
他方,本件商標は上述のとおり,「速攻アタック」の文字からなり,自他商品の識別標識として機能する「アタック」の文字部分から「アタック」の称呼が生じる。また,「アタック」の文字部分は「攻撃」等の語義を有する他,申立人が商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用して著名な引用商標と同一の文字からなることから,需要者・取引者に申立人の商品「衣料用洗剤」等である「アタック」を強く連想させるものである。
したがって,本件商標は,引用商標と称呼及び観念において類似する。
特許庁の審査実務においても,「識別力が弱い語」と「アタック」からなる商標が,「アタック」の称呼が生じる商標と類似すると判断している例がある(甲35,甲36)。
これらの例は,本件商標は「アタック」の称呼が生じ,申立人の商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」である「アタック」を強く連想させるものであるとする申立人の主張が正当なものであることを立証するものである。
したがって,本件商標は,引用商標と称呼及び観念において類似するものである。
また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
エ 小括
以上詳述したとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
ア 引用商標の著名性
上記(1)で述べたとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標は,申立人の商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用される商標として,著名性を有するものであることは明白である。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
上記(2)で述べたとおり,本件商標は,引用商標と称呼及び観念において類似し,また,申立人が商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用して著名な引用商標とも類似するものである。
よって,本件申立商品の分野の需要者は,「速攻アタック」の文字からなる本件商標が,本件申立商品について使用された場合には,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
また,商標法第4条第1項第15号に係る「商標審査基準」(甲37)に鑑みると,本件商標は,申立人の著名な引用商標に「速攻」の文字を結合させているので,構成上一体的であると仮に認識できたとしても,本件商標は既成語ではないので,本件商標を本件申立商品に使用すると,申立人の業務に係る商品と混同のおそれがあると推認されるべきである。
特許庁の異議・審判実務においても,他人の著名な商標を一部に有する商標について,商品の出所について混同を生ずるおそれがあると判断している例がある(甲20,甲38,甲39)。
これらの例は,本件商標は引用商標と類似し,申立人の業務に係る商品と混同のおそれがあるとする申立人の主張が正当なものであることを立証するものである。
したがって,本件商標の指定商品の分野の需要者は,「速攻アタック」の文字からなる本件商標が,本件申立商品について使用された場合には,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
ウ 取引実情
上記(1)で述べたとおり,本件商標に接する需要者は,「速攻アタック」の文字の構成中の「速攻」の文字は「アタック」の文字部分を誇称し,「アタックの成分がすぐに衣類に届く」程の意味合いが生ずると認識し,「アタック」の新シリーズが発売されたものと理解し,申立人に係る商品であるがごとく,その出所について混同するおそれが十分にある。
エ 本件商標の指定商品と引用商標との関連性
本件商標の指定商品中,本件申立商品は引用商標に係る指定商品における「化粧品,せっけん類,歯磨き」と同一の商品である。
また,上述のとおり,「アタック」は,申立人が商品「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」等に使用する著名商標であるが,本件申立商品は日用品であり,スーパーマーケット,ドラッグストア等で販売され,店舗の規模により個々の商品の陳列場所が近いことが多々ある。また,「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」も,日用品でありスーパーマーケット,ドラッグストア等で販売される商品である。さらに,本件申立商品と「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」の需要者は一致し,生産者が一致する場合も多い。
したがって,本件申立商品と,「衣料用洗剤(洗濯用洗剤)」をはじめ,引用商標に係る「化粧品,せっけん類,歯磨き」は,関連性が非常に高い商品であるといえる。
オ 小括
以上詳述したとおり,著名な引用商標と類似する本件商標を,本件申立商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者は,あたかも申立人の「アタック」ブランドのシリーズ商品であるがごとく誤認し,商品の出所について混同するおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(商標登録原簿,インターネット情報など)によれば,次のとおりである。
ア 申立人は,創業1887年の「石鹸,洗剤やサニタリー製品,ビューティケア製品,機能性食品分野の製品」等を扱う総合日用品メーカーである(甲5)。
イ 申立人は,1987年にコンパクト衣料用洗剤(洗濯用洗剤)として「アタック」の発売を開始した(甲6)。その後,「アタック」ブランドとして「アタックZERO(ゼロ)」等の液体洗剤,「アタック シュッと泡スプレー」等の部分洗い用液体洗剤,「アタック 高浸透リセットパワー」等の漂白剤・柔軟剤を配合した粉末洗剤等を発売するなど商品ラインナップを広げ,申立人は引用商標を付した商品を現在まで30年以上にわたり発売している(甲7,申立人の主張)。
ウ 宣伝会議のウェブサイト及び東洋経済ONLINEのウェブサイトにおいては,30年以上にわたり,花王「アタック」が衣料用洗剤のトップブランドであること,あるいはトップシェアを維持していることが紹介されている(甲8,甲9)。
エ 週刊粧業オンラインのウェブサイトに掲載されている2021年9月15日付けの「衣料用合成洗剤ランキング(2021年5月01日〜2021年07月31日」」において,申立人の商品である「アタック抗菌EXスーパークリアジェル 詰替1.35kg」が1位であり市場シェアが8.43%,「アタック抗菌EXスーパークリアジェル 詰替770g」が2位であり市場シェアが5.35%であったことが紹介されている(甲13)。
オ 日経MJ(流通新聞)による2019年上期ヒット商品番付では,申立人の商品「アタックZERO」が番付入りしており,「片手で使える衣料用洗剤。発売後1カ月で従来品の2倍の売れ行き。「イケメン大量CM」も公表」と紹介されている(甲14)。また「洗濯用洗剤」として,申立人の商品「アタックZERO ワンハンドタイプ」が,日本産業デザイン振興会主催の2020年度グッドデザイン賞を受賞している(甲15)。
さらに,雑誌「LEE」の2021年6月号では,「LEEハピ家事大賞2021」においては,申立人の商品「アタックZERO ドラム式専用 ワンハンドプッシュ」が洗濯部門の大賞に選出されている(甲16)。
カ 申立人は,引用商標1について,第3類「洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり」などや第5類「薬剤,歯科用材料」などについて,防護標章登録しており,その更新登録が2019年5月にされている(甲17,甲18,職権調査)。
キ 上記アないしカの事実によれば,申立人は1987年に衣料用洗剤「アタック」(以下「申立人商品」という。)の発売を開始し,2019年まで30年以上にわたり市場シェア1位を維持していたこと,申立人商品には「アタックZERO(ゼロ)」「アタック シュッと泡スプレー」「アタック 高浸透リセットパワー」など,商品名に「アタック」の文字が含まれる複数の商品があること,「アタック」の文字からなり「せつけん類」などを指定商品とする引用商標1は,防護標章登録されており,防護標章の更新登録が令和元年5月になされていること及び申立人商品は現在も販売されていることなどが認められることからすれば,「アタック」の文字は,本件商標の登録出願の日前から,登録査定日はもとより現在においても継続して,申立人の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
そうすると,「アタック」の文字からなり,指定商品に「せつけん類(せっけん類)」を含む引用商標は,いずれも本件商標の登録出願の日及び登録査定日において,申立人の業務に係る商品(衣料用洗剤)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものといえる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
(ア)本件商標は,上記1のとおり「速攻アタック」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字はすべて同じ大きさで等間隔に表されており,外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものであって,本件商標全体から生じる「ソッコウアタック」の称呼も格別冗長ではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標の構成中「速攻」の文字は「競技や戦で,相手をすばやくせめたてること。」の意味を,また,「アタック」の文字は「スポーツで,攻めること。」等の意味を有する語(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であるが,これらを結合した「速攻アタック」の文字は,辞書等に載録されていないものであるから,一種の造語といえるものの,各語の語義より「素早い攻撃」程の一連の意味合いを想起させるというのが相当である。
さらに,当審において職権で調査するも,本件商標の構成中「速攻」の文字部分が,取引者,需要者に対し,本件申立商品との関係において,出所識別標識としての機能を果たし得ないものと認めるに足りる事情,又は「アタック」の文字部分が,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える事情は見いだせない。
してみれば,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「アタック」の文字部分にのみ着目することなく,本件商標の構成全体をもって,一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
そうすると,本件商標はその構成文字全体に相応して,「ソッコウアタック」の称呼のみを生じ,「素早い攻撃」程の観念を生じるものと判断するのが相当である。
(イ)なお,申立人は,本件商標「速攻アタック」の構成中「速攻」の文字は,本件商標の指定商品との関係においては「すぐに攻める」,すなわち「肌や髪,衣料,歯をすぐにきれいにする」等といった意味合いで,「速攻」の後の語を誇称する語として理解される語あって,識別力が弱く,「アタック」の文字は申立人の著名な商標と同一の文字であることなどから,本件商標は「アタック」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとして,本件商標は引用商標と類似する旨主張し,過去の審査・審決例など(甲21〜甲36)を提出している。
しかしながら,「アタック」の文字が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるとしても,「速攻」の文字が,「肌や髪,衣料,歯をすぐにきれいにする」等の意味合いで,「速攻」の文字の後の語を誇張する表示として理解されるといった事情は発見できないし,本件商標は,上記(ア)のとおり,外観上まとまりよく一体的な印象を与えるものであって,それから生じる「ソッコウアタック」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものであること,「速攻アタック」の文字全体から「素早い攻撃」というような一連の意味合いを想起させることをあわせ考慮すれば,本件商標は,これに接する取引者,需要者をして,その構成中「アタック」の文字部分が強く支配的な印象を与えることなく,「速攻アタック」の構成文字全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
さらに,本件商標は,その構成中「アタック」の文字部分を分離抽出し,他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
また,申立人の提示する過去の審査・審決例については,商標の類否の判断は,査定時又は審決時における取引の実情を勘案し,その指定商品の取引者,需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから,それらをもって本件の判断が左右されるものではない。
したがって,申立人のかかる主張は採用できない。
イ 引用商標
引用商標は,上記2(1)ないし(3)のとおり,いずれも「アタック」の片仮名からなるところ,当該文字は,上記アのとおり「スポーツで,攻めること。」等の意味を有する語であること,また,上記(1)キのとおり,申立人の業務に係る商品(衣料用洗剤)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであることから,引用商標は,いずれもその構成文字に相応して「アタック」の称呼,「攻撃」及び「(衣料用洗剤のブランドとしての)アタック」の観念を生じるものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,両者は語頭における「速攻」の文字の有無という明らかな差異があることから,外観上相紛れるおそれはない。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「ソッコウアタック」の称呼と引用商標から生じる「アタック」の称呼とは,前半部における「ソッコウ」の音の有無という明らかな差異を有し,この差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きく,両者をそれぞれ一連に称呼するときは語調,語感が異なることから,両者は,称呼上相紛れるおそれはない。
さらに,観念においては,本件商標が「素早い攻撃」程の観念を生じるのに対し,引用商標は「攻撃」及び「(衣料用洗剤のブランドとしての)アタック」の観念を生じるものであるから,両者は観念上紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものといえるから,両者は紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,本件申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるものであるものの,上記(2)ウのとおり,本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,その商標権者が,これをその本件申立商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の指定商品中,本件申立商品についての登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-05-23 
出願番号 2021015709 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 須田 亮一
大森 友子
登録日 2021-07-27 
登録番号 6421340 
権利者 第一三共ヘルスケア株式会社
商標の称呼 ソッコーアタック 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 江成 文恵 
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