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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1385417 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-26 
確定日 2022-06-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6418114号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6418114号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6418114号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和2年7月9日に登録出願、第9類、第11類、第14類、第18類、第24類、第25類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同3年7月2日に登録査定、同月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5331533号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 ONE & ONLY
指定役務 第36類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成20年11月21日
設定登録日 平成22年6月18日
2 登録第6318013号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定役務 第36類、第39類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 令和元年8月13日
設定登録日 令和2年11月18日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標の類否判断基準
最高裁昭和39年(行ツ)第110号で判示された基準に従って本件商標と引用商標の類否について検討する。
2 本件商標について
(1)本件商標権者
本件商標権者は、芸能事務所をはじめとする芸能関連企業を傘下に置き、経営管理を行う持株会社である。
(2)本件商標の構成
ア 外観
本件商標は、「ONE」「N’」「ONLY」のそれぞれの欧文字が、ゴシック体様のフォントで10度程度右側に傾けた態様で記載されている。また、一段目に「ONE」が、二段目に「N’」が、三段目に「ONLY」が記載された三段併記の構成からなるものである。そして、各文字の底部ないし側部には影が付されている。
イ 称呼
「ONE」からは「ワン」、「ONLY」からは「オンリー」の称呼が生じる。また、英語圏では、「and」の略語として「N」とアポストロフィの組み合わせが使用されることがあり(甲4)、例えば、日本でも人気の高いカジュアルレストランの店名(甲5)や、「rock’n’roll」などの単語での使用例がある(甲6)。アポストロフィ(’)の位置は、通常「N」の左側、または両側に付される。本件商標では、アポストロフィは「N」の右側に付されており、一般的な表記とは異なる。しかし、平均的な日本人は、「and」を意味する「N」とアポストロフィの組み合わせについて、アポストロフィの位置を正確に理解しているとはいえない。したがって、「N」とアポストロフィの組み合わせを見た需要者は、アポストロフィが「N」の右側に付されている場合であっても、「and」を意味する文字であると理解する可能性が高いといえる。
また、「and」の略語として「N」を使用するのは俗語的な表現方法であるから、英語圏の者でもアポストロフィを「N」の右側に付したり、アポストロフィを付さずに「N」のみで表現するなどのパターンで使用することがあり、米国最大級のSNS型レシピサイトにおいて、種々のパターンが確認できる(甲7)。
上述のとおり、「N」とアポストロフィの組み合わせに接した需要者は、「アンド」を意味する語と理解すると考えられるから、本件商標の「N’」部分からは、「アンド」、「エンド」の称呼が生じる。そのほか、英語の口語の傾向として「ド」の部分を明瞭に発音しないこともあることから、「アン」や「エン」などの称呼も生じる。
したがって、本件商標全体からは、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」などの称呼が生じる。本件商標は男性アイドルのグループ名として使用されているものであるが、現に同グループの所属事務所の公式ウェブサイト上でも、「ONE N’ONLY」の文字の上に片仮名で「ワンエンオンリー」の称呼が付されている(甲8)。
ウ 観念
「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もある。したがって、本件商標からはこのような観念が生じる(甲9)。
3 引用商標について
(1)申立人
申立人は、One&Only、Atlantisなどのブランド名を使用し、様々な国において最高級リゾートホテルやホテルに付随するゴルフ場、カジノ施設などの開発・運営を手掛ける国際的な企業である。特に、One&Onlyは申立人が運営する施設の中で最も施設数の多い代表的なブランドであり、世界各地で12の高級ホテルを運営しているほか、同ブランド名のホテルを計3か所建設中である。
(2)引用商標の構成
ア 外観
引用商標1は、「ONE & ONLY」の欧文字をCentury様のフォントの文字で表してなるものである。
引用商標2は、「One & Only」の欧文字をTimes New Roman様のフォントで表し、かつ若干右側に傾けた態様で記載されているものである。
イ 称呼
引用商標いずれからも、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」などの称呼が生じる。
ウ 観念
「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もある。したがって、引用商標いずれからも、このような観念が生じる。
4 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、いずれも「ONE(One)」及び「ONLY(Only)」という同一の文字を含む。また、本件商標と引用商標は、「N’」と「&」という8文字中わずか1文字において相違するにすぎず、相違する文字部分も目に付きやすい商標の語頭などではなく、単語「ONE(One)」と「ONLY(Only)」の間における相違である。さらに、本件商標は一部に影が付されている点など若干の装飾があるものの、装飾の程度は軽度であり、一般的なゴシック体の文字と比して外観上特に強い印象を与えるものではない。
一方、引用商標についても、前記3(2)アのフォントでそれぞれ記載されており、いずれも一般的に用いられるフォントであるから、いずれかの商標が外観上強い印象を与えるなどの事情はない。したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似する。
本件商標と引用商標からは、前記のとおりの同一の称呼及び同一の観念が生じ得る。
以上のとおり、本件商標と引用商標は、類似する外観を有し、同一の称呼、観念が生じ得るものであるから、両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ず、両商標は類似するものである。
5 本件商標と引用商標の指定役務の比較
本件商標の第41類における指定役務は、引用商標に係る第41類におけるいずれかの指定役務とその役務の目的、取引者・需要者の範囲等を共通にする同一又は類似する役務である。
6 小括
以上のとおり、本件商標からは、引用商標と同一の称呼及び観念が生じ、外観上も類似性の高い商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似する指定役務に用いられるものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標は、前記第1(別掲1)のとおりの構成からなり、一部に黒い縁取りを有する籠字風にデザイン化して表されているところ、その構成は、「ONE」、「N」及び「ONLY」の文字を上下三段に、各段の構成中の「N」の文字が縦に連なるように配してなるものと看取され、上記構成文字に相応して「ワンエヌオンリー」の称呼を生じるものというのが相当である。
そして、本件商標は、その構成全体をもって一連一体の造語として認識、把握されるものである。
したがって、本件商標からは、「ワンエヌオンリー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 申立人は、本件商標について、二段目に「N’」が記載された構成である旨を述べ、それを前提とした称呼及び観念を主張している。
この点について、本件商標は、その構成からまず「ONE」、「N」及び「ONLY」の文字が認識できるものといえる。そして、子細に見れば一段目の「E」の下部から二段目の「N」に向けて三角形状に突出するようなものが確認できるものの、前述のとおり、籠字風にデザイン化して表された本件商標の構成においては、当該部分はデザインの一部と看取されるものであって、上記構成文字に埋没ないし融合するものというのが相当である。また、例えば「N’」という表現方法が、我が国において一般に親しまれているというような事実は認めることができず、本件商標に接する者が、一段目の「E」から二段目の「N」の右に接する部分を「’」(アポストロフィ)であると認識するというに足る事情は見いだせない。
したがって、申立人の上記主張は、その前提において認めることができず、採用することはできない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記第2の1に記載のとおり「ONE & ONLY」の文字からなるものであり、引用商標2は、前記第2の2(別掲2)のとおりの構成からなるものであって、「One&Only」の文字を表してなるものと理解されるから、いずれの商標も上記各構成文字に相応して「ワンアンドオンリー」の称呼を生じるものというのが相当である。
そして、上記構成文字の有する意味合いから、「唯一無二の」程度の観念を生じるものといえる。
したがって、引用商標からは、「ワンアンドオンリー」の称呼を生じ、「唯一無二の」程度の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標と引用商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるところ、両者は、書体ないしデザイン化の程度において相違があり、その構成にあって「N」か「&」かの相違が看過されるともいい難いことからすれば、両者は、異なる印象を与えるものであり、外観上相紛れるおそれがあるとはいえない。
イ 称呼について
本件商標より生ずる「ワンエヌオンリー」の称呼と引用商標より生ずる「ワンアンドオンリー」の称呼とは、「ワン」に続く音が「エヌ」か「アンド」かという差異があるところ、両者は、音の構成及び数において明らかな差異があるから、両商標をそれぞれ一連に称呼しても、全体の語調、語感が明らかに相違するため、互いに紛れるおそれはない。
ウ 観念について
本件商標は特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは「唯一無二の」程度の観念が生じるから、観念において互いに紛れるおそれはない。
エ 小括
以上のとおりの本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標2)



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異議決定日 2022-05-31 
出願番号 2020085157 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W41)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 馬場 秀敏
板谷 玲子
登録日 2021-07-19 
登録番号 6418114 
権利者 株式会社STARDUST HD.
商標の称呼 ワンエンオンリー、ワンエヌオンリー、ワンエン、ワンエヌ、エンオンリー、エヌオンリー、オンリー 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 石田 昌彦 
代理人 北村 行夫 
代理人 樋口 盛之助 
代理人 栗下 清治 

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