現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1385412 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-13 
確定日 2022-05-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6383132号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6383132号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6383132号商標(以下「本件商標」という。)は、「G−BOOST」の欧文字を標準文字により表してなり、令和2年3月30日に登録出願、第9類「事故防護用手袋,運送・梱包作業用の事故防護用手袋,工業用の事故防護用手袋,土木・建築作業用の事故防護用手袋,防火手袋,防じんマスク,事故防護用被服,事故防護用安全靴」及び第25類「手袋,防寒用手袋,靴下,足袋,足袋カバー,運動用特殊靴下,被服,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同3年3月23日に登録査定され、同年4月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次の4件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5212257号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BOOST」の欧文字を標準文字により表してなり、平成20年8月8日に登録出願、第25類「運動用特殊靴,履物」を指定商品として、同21年3月6日に設定登録されたものである。
2 登録第5941352号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ULTRABOOST」の欧文字を標準文字により表してなり、平成28年10月17日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同29年4月21日に設定登録されたものである。
3 登録第5941353号商標(以下「引用商標3」という。)は、「PUREBOOST」の欧文字を標準文字により表してなり、平成28年10月17日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同29年4月21日に設定登録されたものである。
4 登録第5981126号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SOLARBOOST」の欧文字を標準文字により表してなり、平成29年3月22日に登録出願、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月15日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめて、「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は、その指定商品中、第25類「履物,運動用特殊靴」について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「BOOST」の周知著名性について
申立人は、主として、各種スポーツシューズ、スポーツ及びカジュアルウェア、運動用具、スポーツバッグその他のかばん類等を製造販売するドイツのスポーツ用品メーカーであり、その歴史は、創業者アディ・ダスラーが1920年にスポーツシューズを開発したときまで遡る(甲46)。申立人は、日本国内においても1971年から、当時アディダス製品の国内販売代理店であった株式会社デサント等を通じて営業活動を開始し(甲47)、その後、1998年から現在に至るまでは、日本法人のアディダスジャパン株式会社(甲48)を拠点として、全国のアディダス直営店、大手スポーツ及びアウトドア用品専門店、アディダス公式オンラインストア(甲49)などを中心に、「adidas」ブランドの営業活動を継続している。
2013年に申立人は、ドイツのBASF社との共同開発によって衝撃吸収性と反発性という、相反する2つの特性を同時に実現させた新素材BOOSTフォームを世界で初めてスポーツシューズのミッドソールに採用し、このBOOSTテクノロジーを搭載したランニングシューズ「ENERGY BOOST」(エナジーブースト)を2013年2月27日に世界同時に発売した。2013年に「BOOST」ラインのランニングシューズである「ENERGY BOOST」を発売以降、BOOSTテクノロジーを搭載した様々なモデルを次々に開発、発売し、2013年から現在に至るまでの8年以上にわたり「BOOST」ラインのシューズの販売を継続している(甲40、甲42、甲44、甲50、甲52〜甲58)。
2013年2月27日に世界同時発売された申立人のランニングシューズ「ENERGY BOOST」は、日本国内でも広告宣伝及び販売活動を開始し、2013年2月21日から同年3月にかけて、有名人気アスリート等をゲストに招いた「ENERGY BOOST」国内発売記念の大規模なプロモーションイベントを東京、大阪、名古屋の大都市圏で開催した。これらのイベント会場では、プロジェクション技術を駆使した幅8メートルを超す超巨大な「boost ランニングマシーン」を設置し、イベント参加者に新感覚のランニング体験や、「ENERGY BOOST」の試し履きをしてもらう(甲40)といった方法で広告宣伝を行い、少なくとも、東京の新宿ステーションスクエア及び新宿アルタのイベントには約16万人が参加した。
また、これら「ENERGY BOOST」発売記念イベントの模様は、サンケイスポーツ新聞、スポーツニッポン、産経新聞、テレビ東京、フジテレビ、東京ベイ経済新聞、Yahoo!ニュース、Mapionニュース、読売新聞、スポーツニッポン、朝日放送テレビ、毎日放送テレビ、日本テレビ、宮城テレビ等の数々のメディアで報道され、名古屋でのイベント「NAGOYA MARATHON ATTACK ON MAR.10TH(名古屋マラソン アタック・3月10日)」に関しては、イベント開催のお知らせを中日新聞で折込みチラシ10万枚を配布した(甲43)。
さらに、全国のアディダス直営店をはじめとして、大手スポーツ用品店を中心とする小売店において「ENERGY BOOST」展示・販売特設コーナーを設置し、販売活動を開始した(甲43)。
申立人の「BOOST」テクノロジーを用いたランニングシューズの各モデル(個別製品)には共通する名称として「BOOST」の文字が使用され、2013年に最初に発売された「ENERGY BOOST」をはじめとして、その後、次々に発売された個別製品のすべては、「BOOST」の文字を含む名称で統一されている(甲40、甲52〜甲58)。
申立人の「BOOST」ラインのシューズは、2013年の「ENERGY BOOST」の発売以降、スポーツ専門誌、ファッション誌、ライフスタイル誌、商品情報誌など様々な分野の雑誌、日刊新聞(日本経済新聞)、業界新聞で取り上げられ、第三者による報道及び紹介記事が継続的に掲載された(甲10〜甲35、甲41、甲43〜甲45)。
その中でも、甲第44号証は、申立人の「BOOST」ラインのランニングシューズを特集した雑誌であり、その頁の殆どすべてが「BOOST」のシューズについて記載している。
また、「ULTRABOOST(ウルトラブースト)」については、「日本経済新聞電子版ニュース」(2015年2月4日)、「日本経済新聞朝刊」(2015年2月11日)、「日経MJ(流通新聞)」(2015年2月20日)、「日経MJ(流通新聞)」(2017年11月15日)に記事が掲載された(甲36〜甲39)。
上記の雑誌及び新聞は、本件商標の登録出願日前の2013年から2019年までに発行されたものである。
以上のとおり、「BOOST」は、申立人の製造販売に係るランニングシューズの名称として、また、この「BOOST」ラインに属するシューズの各種モデルの個別製品名に共通する名称として、2013年から現在に至るまでの長年にわたり継続的に使用されてきたものであり、本件商標の登録出願時及び査定時には申立人の製造販売に係るランニングシューズを表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである(甲2〜甲50、甲52〜甲58)。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由
本件商標は、「G」の文字と「BOOST」の文字とを「−」(ハイフン)で結合した構成であるから、視覚上、ハイフン「−」の前後で「G」と「BOOST」に分離されて認識され、「G」は英文字1文字、「BOOST」は英文字5文字からなるから、本件商標の構成全体において、「BOOST」の文字部分が「G」の文字部分に対して占める面積の割合は約5倍ということができ、「BOOST」の文字部分が看者を視覚上強く印象づけることが明らかである。
また、「G−BOOST」の文字は、辞書等に掲載されている成語ではなく、その構成全体をもって特定の意味合いを認識理解させるものではないから、これを常に一体不可分のものとみるべき特別な事情は存在しない。
さらに、本件商標の構成中の「G」の文字部分のような英文字の1文字は、商品の規格、型番、品番等を表示するための記号、符号の一類型として、本件指定商品を取り扱う業界を含む取引界全般で不特定多数の者によって普通に使用されているものであり、自他商品識別力がないか極めて弱い部分であることが明白である。
一方、「BOOST」の文字部分は、英語で「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等を意味する比較的平易な英単語「boost」(甲51)に通じるものであり、本件指定商品に使用される場合、当該文字部分が自他商品識別標識として実質的に機能する部分といえるから、本件商標に接する需要者は、その構成中の「BOOST」の文字部分に着目して取引に当たる場合が少なくないとみるべきである。
本件商標は、たとえ、「G」と「BOOST」の文字をハイフン「−」で連結し、外観構成がまとまりよく一体的に表示されているものとみることができるとしても、申立人のランニングシューズの出所識別標識としての「BOOST」の周知著名性を斟酌して考察すれば、本件商標においては、その構成中から分離して独立の出所識別標識として機能し得る「BOOST」の文字部分が需要者に対して商品出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。
したがって、本件商標からは、構成文字全体に基づいて「ジーブースト」の称呼を生じるほか、「BOOST」の文字部分に基づいて「ブースト」の称呼が生じ、また、本件商標は、構成全体は造語として認識され特定の観念を有しないものであるが、「BOOST」の文字部分に基づいて「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等の観念(甲51)が生じる。
これに対して、引用商標1は、「BOOST」を横書きしたものであり、「ブースト」の称呼及び「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等の観念(甲51)が生じる。
このように、本件商標と引用商標1は、構成中に「BOOST」の文字を包含する点で外観の印象が類似することに加えて、「ブースト」の称呼及び「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等の観念を共通にする。
したがって、これらの点を総合して比較対照すれば、本件商標と引用商標1が商品出所識別標識として紛らわしい印象を需要者に与える類似のものであることが明らかであり、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品「第25類 運動用特殊靴,履物」と同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当する理由
本件商標は、上記のとおり、その登録出願時及び査定時に申立人のランニングシューズを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標「BOOST」と類似のものであって、当該商標が使用されるランニングシューズと同一又は類似の商品に使用されるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標の構成文字「G−BOOST」と申立人の使用に係る商標「BOOST」(引用商標1)及び「BOOST」ラインの個別製品名(引用商標2〜4、「ENERGY BOOST」等)(甲40、甲42、甲52〜甲58)を比較対照すれば、以下の事柄が明らかである。
(1)外観における類似性
本件商標と申立人の使用に係る商標は、構成中に「BOOST」の文字を包含する点が共通し、外観の印象が類似する。
(2)称呼における類似性
本件商標からは、その構成文字全体に基づいて「ジーブースト」の称呼が生じるほか、独立の出所識別標識として認識理解される「BOOST」の文字部分に基づいて「ブースト」の称呼が生じる。
引用商標1からはその構成文字に基づき「ブースト」の称呼が生じる。引用商標2からはその構成文字に基づき「ウルトラブースト」の称呼が生じ、引用商標3からはその構成文字に基づき「ピュアブースト」の称呼が生じ、引用商標4からはその構成文字に基づき「ソーラーブースト」の称呼が生じる。さらに「ENERGY BOOST」その他の「BOOST」ラインの個別製品名からも「エナジーブースト」その他の「ブースト」の音を包含する称呼が生じる。
したがって、本件商標と申立人の使用に係る商標は、構成中に「ブースト」の音を包含する点が共通し、音質が類似することから、称呼の印象も類似する。
(3)観念における類似性
本件商標「G−BOOST」は、構成全体は造語として認識されるものであるが、その構成中、独立の出所識別標識として認識理解される「BOOST」の文字部分に基づき「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等の観念が生じる。
引用商標1からは、その構成文字「BOOST」に基づいて「後(下)から押す、押し上げる、後援する、高める」等の観念が生じ、引用商標2ないし4及び「ENERGY BOOST」その他の個別製品名は、構成全体としては造語として認識されるものであるが、それぞれ、「BOOST」と他の文字を結合したものとしての観念を想起させるものということができる。
したがって、本件商標と申立人の使用に係る商標は、「BOOST」と他の文字を結合したものとしての観念を想起させる点、並びに、「後(下)から押し上げる、後援する、高める」等の観念を包含する点が共通し、観念の印象も類似する。
さらに、本件商標は、申立人の「BOOST」ラインのランニングシューズに使用されているすべての個別製品名と同一のネーミング規則、すなわち、「BOOST」に他の文字を結合する方法によって構成されたものとして容易に把握されるものである。
上記事柄を総合すれば、本件商標は、申立人のランニングシューズの製品ライン名である「BOOST」(引用商標1)を構成中に包含するものであって、「BOOST」並びに当該「BOOST」ラインの全ての個別製品名(「ENERGY BOOST」、「ULTRABOOST」、「PUREBOOST」、「SOLARBOOST」その他の「BOOST」と他の文字を結合した構成の個別製品名)と類似性の程度が極めて高いものであることが明らかである。
そして、上記1のとおり、「BOOST」は、本件商標の登録出願時及び査定時に申立人の業務に係るランニングシューズを表示するものとして需要者の間で広く認識されていたものであり、本件商標の指定商品は第25類「履物,運動用特殊靴」であるから、本件商標は、申立人の「BOOST」ラインのランニングシューズと同一又は類似の商品に使用されるものであり、本件商標の指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
以上の事柄を総合して斟酌すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の取り扱いに係る「BOOST」ラインのランニングシューズを直観し、当該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るもの(例えば、申立人の「BOOST」ラインのモデルのひとつ、申立人との共同開発商品、申立人の商標の使用許諾を受けたライセンス商品等)であると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
本件商標が本件商標権者によって使用されれば、2013年から現在に至るまでの申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の業務に係る商品の出所識別標識として広く認識されるに至った「BOOST」の強力な出所表示力が希釈化する。また本件商標権者による本件商標の使用は、申立人がこれらの商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標が使用された場合、申立人の業務に係るランニングシューズの出所識別標識として広く認識されている「BOOST」の出所表示力が希釈化し、また、本件商標の使用は、申立人が「BOOST」について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 「BOOST」の文字及び引用商標1並びに申立人が「BOOST」ラインの個別製品名と称する引用商標2ないし引用商標4、「ENERGY BOOST」及び「BOOST」の文字を含む商標(引用商標2ないし引用商標4、「ENERGY BOOST」及び「BOOST」の文字を含む商標をまとめて「使用商標」という。)の周知性について
(1)申立人提出の証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
申立人は、ドイツのスポーツ用品メーカーであり(甲46)、我が国においては、1971年から販売代理店を通じて(甲47)、1998年からは日本法人(甲48)を拠点として、直営店、専門店、オンラインストア(甲49)などを中心に営業している。
申立人は、新素材BOOSTフォームを採用したランニングシューズ「ENERGY BOOST」を2013年2月27日に発売してから、上記素材のランニングシューズには、製品名として、上記「ENERGY BOOST」(片仮名によるもの、全部又は一部が小文字によるものを含む。以下、同じ。)のほか、「ULTRABOOST」(引用商標2)、「PUREBOOST」(引用商標3)、「SOLARBOOST」(引用商標4)、「SNOVABOOST」、「PULSEBOOST」等の「BOOST」の文字を含んだ名称を採用し(甲40、甲42、甲44、甲50、甲52、甲53、甲55〜甲58)、それらの製品については、スポーツ専門誌、ファッション誌等各分野の雑誌及び新聞において記事が掲載されている(甲10〜甲39、甲41、甲43、甲44)。
また、申立人のランニングシューズ「ENERGY BOOST」の広告宣伝として、2013年2月21日から同年3月にかけて、プロモーションイベントを東京、大阪、名古屋で開催したこと、申立人直営店、大手スポーツ用品店を中心とする小売店において「ENERGY BOOST」に係る展示・販売特設コーナーを設置したことがうかがえる(甲43)。
しかしながら、「BOOST」の文字及び引用商標1「BOOST」のみを表示した申立人の業務に係る商品についての証拠は見いだせないものであり、また、使用商標を使用した商品についての売上高や市場占有率等の販売実績、広告宣伝の媒体、広告内容・期間・回数・地域・金額等を具体的に示す証拠も見いだせない。
(2)上記(1)のとおり、申立人は、2013年2月から継続して、新素材BOOSTフォームを採用した商品「ランニングシューズ」について、使用商標を使用し、また、使用商標を使用した商品は雑誌等に記事が掲載され、それら商品に関するイベントなどが開催されたことがうかがえる。
しかしながら、使用商標を使用した商品に関する販売実績や広告宣伝の規模等を示す証拠は見いだせないものであり、また、「BOOST」の文字及び引用商標1のみを表示した申立人の業務に係る商品についての証拠は見いだせないから、申立人が提出した証拠からは、「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標は、申立人の業務に係る商品を示す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「G−BOOST」の文字を標準文字で表してなるところ、当該「G」と「BOOST」の各文字は、その間に「−」(ハイフン)を用い、同じ大きさ、同じ書体をもって、視覚上、まとまりよく一体的に表されており、その構成全体から生ずる「ジーブースト」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、「G−BOOST」の文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の語義を有しない一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。
してみると、たとえ、構成中の「G」の文字が、商品の規格、型式等を表す記号、符号として一般に広く用いられている欧文字1字であるとしても、かかる構成からなる本件商標においては、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し、把握されるとみるのが自然であり、ほかに、その構成中の「BOOST」の欧文字部分のみが独立して認識されるとみるべき格別の事情を見いだせない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ジーブースト」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、「BOOST」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これよりは「ブースト」の称呼が生じるものである。
そして、該文字は、「(後ろ・下から)押し上げる、<士気を>高める」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典第2版)等の意味を有する英語ではあるが、これが、我が国において、本件異議申立てに係る指定商品の分野における取引者、需要者を始め、一般の需要者の間でよく知られた英単語とはいい難いものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものである。
したがって、引用商標1は、「ブースト」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標1の比較
上記を踏まえて本件商標と引用商標1を比較すると、本件商標から生じる「ジーブースト」の称呼と引用商標1から生じる「ブースト」の称呼とは、音構成及び音数の差異から明らかに相違し、聞き誤るおそれのないものである。
そして、その外観も構成全体及び構成文字の差異により明らかに相違するもので、観念においては比較することができない。
してみると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、明らかに区別できるものであり、これらを総合して判断すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのない、非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標1とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は、本件商標は申立人のランニングシューズを表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標「BOOST」と類似のものであることから、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当する旨主張するが、「BOOST」の文字は、上記1(2)のとおり、申立人の業務に係る商品を示す商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできないものであり、また、「BOOST」の文字は、引用商標1と同じつづりであるから、本件商標と「BOOST」の文字からなる商標とは、上記2と同様に非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号について
上記1(2)のとおり、「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示する商標として、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえないものである。
また、本件商標は、上記2(1)のとおり、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ジーブースト」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。その他、本件商標の構成態様において、「BOOST」の文字部分が自他商品の識別標識として着目されるというべき特段の事情も見いだせない。
そして、本件商標と、申立人が引用する「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似するものではない。
よって、本件商標と、「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標とは、たとえ両商標ともその構成中に「BOOST」の文字を含むとしても、その類似性の程度は低いというべきである。
さらに、本件商標の指定商品に含まれる「履物、運動用特殊靴」は、申立人の業務に係る商品「ランニングシューズ」とは、生産・販売部門、原材料、用途等を共通にするというべきであり、関連性が高いといえる。
以上のことからすれば、本件商標の指定商品中の「履物、運動用特殊靴」と申立人の業務に係る商品との関連性が高いとしても、「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものとはいえないものであり、また、本件商標と、「BOOST」の文字及び引用商標1並びに使用商標とは類似性の程度は低いものであるから、本件商標は、本件商標を本件異議申立に係る指定商品について使用しても、「BOOST」の文字、引用商標及び使用商標を連想又は想起するとはいえず、該商品が申立人又はこれと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれのあるものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記2(1)で述べたとおりの構成よりなるところ、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものということもできない。
また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反することを示す具体的な証拠はない。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用しても、公正な取引秩序を乱すものとはいえないし、国際信義に反するということもできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号又は同項第15号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-05-18 
出願番号 2020034274 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小林 裕子
鈴木 雅也
登録日 2021-04-27 
登録番号 6383132 
権利者 株式会社ユニワールド
商標の称呼 ジイブースト、ブースト 
代理人 藤江 和典 
代理人 柳田 征史 
代理人 中安 桂子 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ