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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1385399 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-29 
確定日 2022-06-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6314715号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6314715号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6314715号商標(以下「本件商標」という。)は、「first mover」の文字を標準文字で表してなり、令和2年4月30日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年10月1日に登録査定され、同年11月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は、次の1及び2のとおりである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。
1 国際登録第1513407号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「FIRST MOVE」の文字を横書きしてなる商標
国際商標登録出願日:2019年(令和元年)年5月7日
優先権主張:2019年(平成31年)4月5日 United Kingdom
指定商品及び指定役務:第3類、第4類、第5類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類、第26類、第35類、第41類、第44類及び第45類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務
2 国際登録第1488149号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「MAKE THE FIRST MOVE」の文字を横書きしてなる商標
国際商標登録出願日:2019年(令和元年)年5月29日
優先権主張:2019年(平成31年)4月30日 United Kingdom
設定登録日:令和3年12月10日
指定商品及び指定役務:第3類、第4類、第5類、第8類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類、第26類、第28類、第35類、第36類、第38類、第41類、第42類、第43類、第44類及び第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
なお、引用商標1に係る国際商標登録出願は、現在審査に係属中であり、引用商標2は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第8条第1項に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 本件商標と引用商標1について
(1)称呼について
本件商標からは「ファーストムーバー」、引用商標1からは「ファーストムーブ」の称呼が生じるところ、文字数の多い商標のうち、「ファーストムー」までが完全に共通であるため、称呼において高い共通性がある。
また、両商標を称呼する際には「ムー」の部分にアクセントがおかれ、語尾の「ブ」や「バー」の音は弱く発音されるため、両商標の語尾の差異音が商標の称呼全体に及ぼす影響は極めて小さい。
さらに差異音「バー」と「ブ」も子音が共通であり近似する音である。そのため、両商標をそれぞれ一連に称呼するときには、両商標の称呼は極めて類似する。
(2)外観について
本件商標と引用商標1の外観は、大文字・小文字の違い、語尾の「R」の有無の違いのみである。そのため、両商標の外観は極めて類似する。
(3)観念について
本件商標からは「最初の行動を行う者」等、引用商標1から「最初の行動、先手」等の類似の観念が生じる。日本人の需要者にとって、両商標の意味が分からない場合でも、「First moveを行う者がFirst moverである」程度の認識はできるため、両商標の観念は極めて類似する。
(4)よって、本件商標と引用商標1は称呼、外観及び観念のすべてにおいて類似する。
2 本件商標と引用商標2について
(1)称呼について
本件商標からは「ファーストムーバー」、引用商標2は「メイクザファーストムーブ」の称呼が生じるところ、「ファーストムー」の部分の音が同じであり、称呼において共通性がある。
(2)外観について
本件商標と引用商標2の外観は、大文字・小文字の違いはあるものの、「FIRST MOVE」部分が共通する。
(3)観念について
本件商標からは「最初の行動を行う者」等、引用商標2から「最初の行動を起こす、先手を打つ」等という類似の観念が生じる。日本人の需要者にとって、両商標の意味が分からない場合でも、「FIRST MOVEをする者がFirst moverである」程度の認識はできるため、両商標の観念は極めて類似する。
(4)よって、本件商標と引用商標2は称呼、外観及び観念を総合的に判断すると互いに相紛らわしい類似の商標である。
3 指定役務について
引用商標は、第41類において幅広く役務を指定しているところ、引用商標の指定役務は、本件商標の指定役務のうち、「イベントのためのビデオ編集,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,通訳,翻訳,ニュースレポーターによる取材・報告」を除いた指定役務と同一又は類似の役務である。
4 むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標は類似し、本件商標をその指定役務について使用した場合、引用商標と出所混同のおそれがあり、本件商標は、引用商標の先願権発生日より後に出願されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第8条第1項該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「first mover」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「第1の。最初の。」の意味を有する「first」と、「引っ越し業者」の意味を有する「mover」(いずれも、「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」株式会社大修館書店)という平易、常用、かつ一般の需要者にとってその意味を容易に理解し得る2つの英語を組み合わせたと理解されるものである。
そして、当該文字は、全体として特定の意味を有する既成の語ではないが、上記のとおり、平易な2語の英語を組み合わせてなるものであるから、「最初の引っ越し業者」ほどの漠然とした意味合いを連想、想起させるものといえる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ファーストムーバー」の称呼を生じ、「最初の引っ越し業者」ほどの観念を生じるものというのが相当である。
(2)引用商標1について
引用商標1は、「FIRST MOVE」の文字を横書きしてなるところ、これらの語も、一般の需要者にとってその意味を容易に理解し得る2つの英語からなるものであり、上記(1)と同様に「第1の。最初の。」の意味を有する「FIRST」と、「行動。動き。」の意味を有する「MOVE」(前掲書)を組み合わせたものと理解されるものである。
そして、引用商標1は、構成する各文字の意味からすれば、「最初の動き」ほどの漠然とした意味合いを連想、想起させるものといえる。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「ファーストムーブ」の称呼を生じ、「最初の行動」ほどの観念を生じるものというのが相当である。
(3)引用商標2について
引用商標2は、「MAKE THE FIRST MOVE」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく表されており、視覚上一体的に看取されるものであるから、引用商標2は、外観上、構成文字全体が一連一体のものとして把握、認識されるとみるのが自然である。
そして、引用商標2の構成文字全体から生じる「メイクザファーストムーブ」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、引用商標2は、「MAKE」、「THE」、「FIRST」及び「MOVE」という平易な4つの英語を組み合わせたと理解され得るものの、その構成全体として特定の意味合いを想起させるとは言い難いものであるから、一種の造語として認識されるものであるというのが相当である。
さらに、引用商標2を構成する各文字のいずれかが、取引者、需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせないことから、引用商標2に接する取引者、需要者に、その構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、引用商標2は、「メイクザファーストムーブ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。
(4)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とを比較すると、本件商標は「first mover」と全て小文字の11文字で書した構成からなるのに対して、引用商標1は、「FIRST MOVE」と全て大文字の10文字で書した構成からなるものであって、両商標は、文字の種類、構成文字数及び「r」の文字の有無により、視覚的な印象が相違し、外観上、見誤るおそれはなく、判然と区別できるものである。
つぎに、称呼においては、本件商標より生じる「ファーストムーバー」の称呼と引用商標1より生じる「ファーストムーブ」の称呼とを比較すると、両称呼は、それぞれ8音又は7音で構成されるものであって、構成音数が相違し、かつ、7音目及び8音目の「バー」と7音目の「ブ」の音に差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標は「最初の引っ越し業者」ほどの、引用商標1は「最初の動き」ほどのそれぞれ異なる観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標1とは、観念において相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(5)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2とを比較すると、両商標の外観は、構成文字数並びに語頭の「MAKE THE」及び語尾の「r」の文字の有無により、明確に区別できるものである。
つぎに、称呼においては、本件商標から生じる「ファーストムーバー」の称呼と、引用商標2から生じる「メイクザファーストムーブ」の称呼とを比較すると、両称呼は、構成音数が明らかに相違し、かつ、語頭の「メイクザ」の音の有無及び語尾の「バー」と「ブ」の音に差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、明瞭に聴別できるものである。
また、観念においては、本件商標からは,「最初の引っ越し業者」ほどの観念を生じるところ、引用商標2からは特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標2とは、観念において相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定役務が、引用商標の指定役務と類似の役務を含むとしても、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-05-24 
出願番号 2020048082 
審決分類 T 1 651・ 4- Y (W41)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 清川 恵子
山根 まり子
登録日 2020-11-10 
登録番号 6314715 
権利者 株式会社コム・デザイン
商標の称呼 ファーストムーバー、ファースト、ムーバー 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 前川 砂織 
代理人 松永 章吾 

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