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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W35
管理番号 1385335 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-27 
確定日 2022-05-23 
事件の表示 商願2020−107412拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「極厚鉄板のスズキ」の文字を標準文字で表してなり、第21類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年8月31日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年6月4日付けで拒絶理由の通知がされ、同月16日に意見書が提出されたが、同年9月22日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和3年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、指定商品及び指定役務については、当審における同日付け手続補正書により、第35類「インターネット・ファックス・電話及びダイレクトメールを介しての商品の販売に関する情報の提供・その他の商品の販売に関する情報の提供,インターネットを利用した商品の販売に関する情報の提供,台所用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「極厚鉄板のスズキ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「極厚鉄板」の文字は、本願指定商品との関係において、「極めて厚い鉄板」を表す語として使用されており、「スズキ」の文字は、ありふれた氏の「鈴木」を認識させるから、全体として「鈴木氏が販売している極厚鉄板」程の意味合いを認識させる。そうすると、本願商標を、その指定商品・指定役務中の「鍋類,フライパン,調理用鉄板,調理用具,台所用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、これに接する需要者は、前記意味合いの商品であること、前記意味合いの商品を取り扱う小売等役務であることを認識するにとどまり、自他商品(役務)識別標識とは認識し得ず、結局、需要者が何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。
(1)本願商標の構成中、第1漢字“極厚鉄板”、続いて第2平仮名“の”、第3片仮名“スズキ”があり、この並びは、商標を視たときに、新しい感覚と識別性を感ずることは明らかである。
(2)列挙された1ないし17の例の全てにおいて、「商品名」に当たる語句は、広辞苑第6版(以下、「広辞苑」とする)に掲載されている、純粋の普通名称である。これに対して、本願商標の「極厚鉄板」は、広辞苑には掲載がなく、例1ないし17と同等の、純粋の普通名称とはいえない。
(3)インターネット上で、「極厚鉄板」の表示は散見されるが、当該文字は、造語であり、かつ一部に限られた使用であり、「極厚 鉄板」や「9mm極厚鉄板」、「極厚バーベキュー鉄板」、その他として、「超極厚鉄板」、「6mm極厚鉄板」、あるいは、商標を冠した「極厚鉄板」のイワタニ炉端焼き器、又は「極厚鉄板でステーキ」等が散見され、いずれもまとまりがなく、勝手な使用になっている。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「極厚鉄板のスズキ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「極厚鉄板」の文字は、「極」の文字が「きわめて」、「厚」の文字が「あつい。あつみがあること」、「鉄板」の文字が「鉄の板」(出典:いずれも広辞苑第七版)を意味するものであり、容易に「極めて厚い鉄板」であることを理解させることに加え、原審において示したとおり(別掲2)、「極めて厚い鉄板」を表すものとして使用されている実情が認められる。また、同構成中「スズキ」の文字は、ありふれた氏である「鈴木」のカタカナ表記であることを理解させるものである。
ところで、本願商標の構成は、「極厚鉄板」の文字と「スズキ」の文字を「の」の文字を用いて接続しているが、この「の」の用例は、「極厚鉄板」の文字が「スズキ」の文字を修飾するように用いられているとみるのが自然である。
よって、本願商標を構成する文字は、単純に「極めて厚い鉄板の鈴木氏」の意味合いとなるものであるが、別掲1のとおり、取り扱う商品と取り扱う者の氏を「の」の文字を用いて接続し、「商品名+の+氏」の構成で表し、当該商品を取り扱う者の名称として採用することが、取引上一般に行われている実情が認められるところである。
以上を踏まえると、本願商標は、本願指定役務との関係において、「極めて厚い鉄板を取り扱う鈴木氏」程度の意味合いで、取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当である。
したがって、「極めて厚い鉄板を取り扱う鈴木氏」程度の意味合いを想起させるにすぎない本願商標を、商品の販売に関する情報の提供や小売等役務である指定役務に使用するときは、その取扱商品が「極厚鉄板」であり、それを取り扱う者がありふれた氏である「鈴木氏」であることを理解させるにすぎず、本願商標は、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、原審が、本願商標から「極厚鉄板を販売している鈴木氏」の意味合いが出てくるとしても、極厚鉄板の販売が鈴木氏によるものであることに変わりはないと判断したことについて、再判断してほしい旨主張している。
当審においては、本願商標の文字の並び及び取引の実情を踏まえ、本願商標からは、「極めて厚い鉄板を取り扱う鈴木氏」程度の意味合いを想起させると判断するものであるが、原審の認定する「鈴木氏が販売している極厚鉄板」の意味合いと、当審が認定する「極めて厚い鉄板を取り扱う鈴木氏」の意味合いは、その本質において、「鈴木氏」が「極厚鉄板」を扱っているという事柄を共通にしており、いずれの意味合いを認定したとしても、取扱商品を理解させる「極厚鉄板」の文字と、取扱者を理解させる「スズキ」の文字を、格助詞「の」の文字で接続した、取引上一般に採用される構成で表したにすぎない本願商標は、本願の指定役務との関係において、自他役務の識別力を欠くことは、前記(1)のとおりである。
イ 請求人は、本願商標の構成中、第1漢字“極厚鉄板”、続いて第2平仮名“の”、第3片仮名“スズキ”があり、この並びは、商標を視たときに、新しい感覚と識別性を感ずることは明らかである旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、取り扱う商品と取り扱う者の氏を「の」の文字を用いて接続し、「商品名+の+氏」の構成で表し、当該商品を取り扱う者の名称として採用することが、取引上一般に行われている実情が認められるものであるから、そのような並びであるとしても、新しい感覚と識別性を感ずるということはできない。
ウ 請求人は、列挙された1ないし17の例の全てにおいて、「商品名」に当たる語句は、広辞苑に掲載されている、純粋の普通名称であり、これに対して、本願商標の「極厚鉄板」は、広辞苑には掲載がなく、例1ないし17と同等の、純粋の普通名称とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する「極厚鉄板」が、その語義から「極めて厚い鉄板」として理解され、かつ、取引においてその意味合いで使用されている以上、本願商標の構成において、これが取り扱われる商品として認識されることは前記(1)のとおりであって、広辞苑に掲載されている語であるか否かによって、当該判断が左右されるものではない。
エ 請求人は、インターネット上で、「極厚鉄板」の表示は散見されるが、当該文字は、造語であり、かつ一部に限られた使用であり、「極厚 鉄板」や「9mm極厚鉄板」、「極厚バーベキュー鉄板」、その他として、「超極厚鉄板」、「6mm極厚鉄板」、あるいは、商標を冠した「極厚鉄板」のイワタニ炉端焼き器、又は「極厚鉄板でステーキ」等が散見され、いずれもまとまりがなく、勝手な使用になっている旨主張する。
しかしながら、「極厚鉄板」を構成する文字の意味及び取引における実情を踏まえれば、これが造語であるとはいい難く、請求人が挙げるインターネット情報においても、厚みがある鉄板を指し示して当該語が用いられていることは明らかであって、まとまりがなく、勝手な使用ということはできない。
オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、その指定役務に使用するときは、商標法第3条第1項第6号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 当審においてした証拠調べ通知
「商品名」+「の」+「氏(カタカナ)」の並びの文字が、当該商品を取り扱う者の名称として採用されている例。(下線は審判長による。)

1.「学生服のスズキ」のウェブサイトにおいて、「館林市の学生服ならスズキ\館林市の幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校のスクールアイテムをお取扱いしています。」の記載がある。
https://www.gakuseifuku-suzuki.com/

2.「天理本通り商店街」のウェブサイトにおいて、「1F メガネのスズキ」の見出しの下、「度付きメガネが2本で5,000円〜 近視・遠視・乱視・老眼に対応できます。遠近両用メガネは1本8,800円〜 有名ブランドフレームも多数取り揃えています。」の記載がある。
http://tenri-hondori.com/shops/112/

3.「すくすくひろば」のウェブサイトにおいて、「メガネ・ジュエリー・時計のスズキ 谷川瀬店」の見出しの下、「有名ブランドのメガネ、サングラスを「安心価格」にてご提供いたします。また、アクセサリー、時計も多数取り揃えております。」の記載がある。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/w4/sukusukuhiroba/shop/detail/2263

4.「伝統生薬研究会」のウェブサイトにおいて、「有限会社 クスリのスズキ」の見出しの下、「取扱い商品一覧\救心感應丸 気(注:原文は「メ」の部分が「米」(第二水準漢字のため審判官が置換した)」の記載がある。
https://www.kyushin.co.jp/shoplists/storedata.html?code=44660

5.「ふとんのスズキ」のウェブサイトにおいて、「ふとんのスズキは埼玉県戸田市のふとん専門店です。」の記載がある。
https://futon-no-suzuki.com/

6.「e−shopsローカル」のウェブサイトにおいて、「ふとんのスズキ」の見出しの下、「掲載業種 ショッピング > 生活用品、インテリア > 家具」の記載がある。
https://el.e-shops.jp/local/nsh/7011909865.html

7.「ペンキのササキ」のウェブサイトにおいて、「1951年創業の塗料・塗装の専門店」の記載がある。
http://penki-sasaki.com/

8.「めがねのコバヤシ」のウェブサイトにおいて、「遠近両用ならおまかせください」や「弱視・斜視等の治療用メガネについて」等の記載がある。
http://www.meganenokobayashi.co.jp/

9.「お肉のコバヤシ」のウェブサイトにおいて、「創業100年、愛され続ける伝統とこだわりの味、牛肉、豚肉、各種生肉の加工販売・卸専門店です。」の記載がある。
http://nikuno5884.sakura.ne.jp/

10.「楽天」のウェブサイトにおいて、「靴のナカムラ」の見出しの下、「REGAL&CLARKSをメインにしたセレクトしたショップです」(原文のまま)の記載がある。
https://www.rakuten.co.jp/regal-tokushima/

11.「花のナカムラ」のウェブサイトにおいて、「静岡市清水区(旧清水市)で花屋をお探しですか?法人実績が豊富な花のナカムラにおまかせください。」の記載がある。
https://1187net.co.jp/

12.「日々URALA」のウェブサイトにおいて、「お菓子のナカムラのシュークリーム♪」の記載がある。
https://urala.today/42104/

13.「釣具通販プロショップケイズ」のウェブサイトにおいて、「釣具のナカムラ/KTW/ミブロ」の記載がある。
https://www.ks-webshop.com/category/select/bid/102

14.「ヨシダグループ」のウェブサイトにおいて、グループ会社「有限会社ヒロイチ」の会社概要の事業内容の項に、「小売業務(玩具全般・ゲーム・他)\店舗名:おもちゃのヨシダ本店」の記載がある。
https://toys-yoshida.co.jp/

15.「額縁のタカハシ」のウェブサイトにおいて、「額縁工場を直営する、全国有数の額縁専門店。既製品からオーダーまでどんな額もお作りします。額縁へのセット作業も当店にお任せください。」の記載がある。
https://www.gakubuti.net/

16.「LIFE STYLE SHOP 伊藤家具」のウェブサイトにおいて、「株式会社家具のイトウ」、「家具の小売販売」等の記載がある。
https://ito1100.jp/concept/

17.「和田商店街ウェブサイト」において、「文具のヨシダ」の見出しの下、「文具店\大人から子どもまで楽しいものいっぱい。\学用品から事務用品まで、今話題のおもしろ文具たくさんあります。」の記載がある。
https://wadashotenkai.jimdofree.com/%E5%BA%97%E8%88%97%E6%83%85%E5%A0%B1
/%E6%96%87%E5%85%B7%E3%81%AE%E3%83%A8%E3%82%B7%E3%83%80/

別掲2 原審において示した事例
1.「大人の逸品」のウェブサイト
「極厚鉄板」「極厚の鉄板から一枚一枚切り出したこだわりの品」の見出しの下、「コロナ禍にあって人々が求めたのは大自然の癒やし。キャンプブームにも乗り、2位に輝いたのは『極厚鉄板』である。一般的にステーキハウスでは極厚で重い鉄板を使う。薄い鉄板は軽くて扱いやすいが、肉を置いた瞬間から鉄板の表面温度が下がり、肉汁や肉の旨みを逃がしてしまう。だからこそ熱を蓄える『厚さ』が必要なのだ。」との記載がある。
https://www.pal-shop.jp/category/IP_001_000_000/A91333012.html(2021年6月4日最終閲覧)

2.「belmont」のウェブサイト
「BM−287極厚鉄板」の見出しの下、「厚さ6ミリの黒皮鉄板を使用し、安定した温度と蓄熱効果、熱源を選ばず網焼きよりも簡単に美味しく焼き上げることが出来ます。網焼きとはまた違った美味しさをご堪能ください。」との記載がある。
http://belmont.co.jp/bm-287%E6%A5%B5%E5%8E%9A%E9%89%84%E6%9D%BF(2021年6月4日最終閲覧)

3.「村の鍛冶屋本店」のウェブサイト
「【頑張って送料無料!】 鍛冶の本場燕三条産 GOKUATSU 極厚鉄板L 33×33cm 厚さ9mmの極厚!専門店の味をご家庭で!IH可能です!」との記載がある。
https://www.muranokajiya.jp/c/honten/outdoor_sports/bbq/gokuatsuteppanl(2021年6月4日最終閲覧)

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審理終結日 2022-03-23 
結審通知日 2022-03-24 
審決日 2022-04-07 
出願番号 2020107412 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
綾 郁奈子
商標の称呼 ゴクアツテッパンノスズキ、ゴクアツテッパン、ゴクアツ、テッパンノスズキ、スズキ 
代理人 山野 有希子 
代理人 木村 満 
代理人 榊原 靖 
代理人 竹中 一宣 

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