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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2930
管理番号 1384528 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-10-29 
確定日 2022-04-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6427975号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6427975号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6427975号商標(以下「本件商標」という。)は、「ぱくぱくおさかな」の文字を標準文字で表してなり、令和2年4月1日に登録出願、第29類「魚を主材とする惣菜,レトルトパウチされた魚の総菜,魚を使用した即席あんかけ又はあんかけのもと,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「うま味調味料,中華料理用調味料,煮物用調味液,その他の調味料,香辛料,弁当」を指定商品として、同3年7月20日に登録査定、同年8月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において、引用する商標は、以下の3件であり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4841581号商標(以下「引用商標1」という。)は、「パクパク」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月5日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,乳児の離乳育児用清涼飲料,乳児の離乳育児用果実飲料,乳児の離乳育児用飲料用野菜ジュース,乳児の離乳育児用乳清飲料,乳児の離乳育児用菓子,その他の乳児の離乳育児用加工食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,調味付けしたゾル又はゲル中に食肉を主材とする小片具材を含んでなる咀嚼嚥下障害者用食品,調味付けしたゾル又はゲル中に食用水産物を主材とする小片具材を含んでなる咀嚼嚥下障害者用食品,調味付けしたゾル又はゲル中に野菜を主材とする小片具材を含んでなる咀嚼嚥下障害者用食品,その他の咀嚼嚥下障害者用食品」及び第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,ハムサラダ,ポテトサラダ,マカロニサラダ,その他のサラダ,その他の加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,卵どうふ,乾燥卵,液卵,冷凍卵,茹で卵,卵焼き,スクランブルエッグ,その他の加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,食用卵殻粉を主材とする粉状・液状又はタブレット状の加工食品,食用たんぱく」を指定商品として、平成17年2月25日に設定登録され、その後、同27年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、その指定商品中、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」については、商標登録の取消審判により、令和2年6月22日にその登録を取り消すべき旨の審決が確定され、同年7月16日にその確定審決の登録がされたものである。
(2)登録第4806931号商標(以下「引用商標2」という。)は、「パクパクさんま」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月1日登録出願、第29類「さんま,さんまを主材とする加工水産物」を指定商品として、同年10月1日に設定登録され、その後、平成26年8月26日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4806932号商標(以下「引用商標3」という。)は、「パクパクほっけ」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月1日登録出願、第29類「ほっけ,ほっけを主材とする加工水産物」を指定商品として、同年10月1日に設定登録され、その後、平成26年8月26日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。なお、特に断らない限り、証拠番号には枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第16号について
ア 本件商標の捉え方について
審査の意見書(甲7)では、商標権者(出願人)は、「ぱくぱくおさかな」の平仮名文字を標準文字で表してなる本件商標について、「『ぱくぱく』と『おさかな』で構成された結合商標であります。」というように捉えており、本件商標には、「ぱくぱく」と「おさかな」の要素からなることを前提として意見が述べられている。
この状況を踏まえると、本件商標は、「ぱくぱく」と「おさかな」の要素が結合した商標として捉えるのが極めて自然である。そして、構成要素の一つとしての「おさかな」の文字についてみると、「さかな」の文字は「魚類、うお」を意味する「魚(さかな)」と捉えることができ、その前に位置する「お」の文字は「広く物事に冠して、聞き手に対する丁寧の気持ちを表す接頭辞」として捉えられることから、本件商標中の「おさかな」の文字は、「魚(さかな)を意味する丁寧語」であると言える。
イ 「おさかな」の文字と商品の品質表示(品質誤認)について
上記の点、更には、食品の分野においては、「魚(さかな)用の商品」や「魚(さかな)を主たる原材料に含む商品」が実際に市場で販売されていることからすると、本件商標中の「おさかな」の文字は、商品の品質、用途、原材料等を表す文字として認識されるべきものである。
更に、本件商標に係る指定商品を考察すると、第29類の「魚を主材とする惣菜,レトルトパウチされた魚の総菜,魚を使用した即席あんかけ又はあんかけのもと,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物」については、魚に関連する商品となっているが、それ以外の商品には、そのような限定はなされていない。具体的には、第29類「お茶漬けのり,ふりかけ」、第30類「うま味調味料,中華料理用調味料,煮物用調味液,その他の調味料,香辛料,弁当」が挙げられる。
これらの商品については、魚(さかな)を原材料に含む「お茶漬けのり,ふりかけ」が実際に販売されており(甲8〜甲13)、また、魚醤に代表されるように(甲14〜甲17)、「調味料」においても、「魚」や「魚介エキス」を主原料とするものが販売されている状況に照らすと(甲18〜甲24)、これらの指定商品についても、「魚(さかな)を原材料とする商品」等に限定されない限り、その商品の品質について誤認を生じるおそれがあると捉えられて然るべきである。
ウ 小括
本件商標は、その指定商品中の第29類「お茶漬けのり,ふりかけ」、第30類「うま味調味料,中華料理用調味料,煮物用調味液,その他の調味料,香辛料,弁当」との関係において、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号の規定に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標中の「ぱくぱく」の文字について
本件商標は、「ぱくぱく」と「おさかな」の要素からなる結合商標であり、その一つの要素である「おさかな」の文字は商品の普通名称や品質等を表示するに過ぎない文字であることから、それ以外の文字が要部を構成し、この部分との関係で商標の類否が判断されなければならないものである。
また、広辞苑(「岩波書店第七版」)によれば、「ぱくぱく」とは、「幾度も口を大きく開閉するさま。そのようにして盛んに食べるさま。」を意味する語という記載があり、ここからは、食品分野の商品との関係において何ら記述的な意味合いが看取されるものではない。
さらには、本件申立人会社の使用許諾(甲25)を受けて、北海道漁連協同組合連合会においては、「パクパクさんま」や「パクパクほっけ」という商品を販売しているが(甲26〜甲30)、そのパッケージに表示された態様をみると、「パクパク」の文字が出所識別標識として機能していることは火を見るより明らかである。
上述の諸点より、本件商標は、その構成中、「ぱくぱく」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるものである。
イ 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標における要部は「ぱくぱく」の文字部分にあり、引用商標1の「パクパク」の文字とは、平仮名か、片仮名か、という点で異なるに過ぎず、称呼や観念を同じくすることから、本件商標は引用商標1と類似するものである。
ウ 本件商標と引用商標2、3との類否について
引用商標2は「パクパクさんま」の文字を以て、引用商標3は「パクパクほっけ」の文字を以て構成されてなり、「さんま」や「ほっけ」の文字が魚の一つを示す表示(普通名称)と捉えられることから、引用商標2及び3においても、本件商標の要部が「ぱくぱく」の文字部分にあると捉えられるのと同じように、「パクパク」の文字部分にあると捉えられなければならないはずである。
この点に照らすと、本件商標の要部となる「ぱくぱく」の文字と、引用商標2及び3の要部として捉えられる「パクパク」の文字とは、平仮名か、片仮名か、という点で異なるに過ぎず、称呼や観念を同じくすることから、本件商標は引用商標2及び3にも類似するものである。
エ 小括
本件商標と引用商標1とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本件商標に係る指定商品中、第29類「魚を主材とする惣菜,レトルトパウチされた魚の総菜,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」については、引用商標1に係る指定商品中、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,お茶漬けのり,ふりかけ」と類似する。また、本件商標は、引用商標2及び引用商標3との関係においても、互いに相紛れるおそれのある類似する商標であり、かつ、引用商標2及び引用商標3に係る指定商品は、本件商標に係る指定商品中、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物」と類似することから、商標法第4条第1項第11号に規定に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「ぱくぱくおさかな」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成態様は、いずれも平易な平仮名である「ぱくぱく」と「おさかな」の2語を外観上軽重の差なく結合し、同じ書体、同じ大きさ、同間隔をもってまとまりよく一連に表してなるものであり、その全体の構成文字から生じる「パクパクオサカナ」の称呼も一連によどみなく称呼し得るものである。また、本件商標は、全体として親しまれた意味合いを想起させることのない造語として認識されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、一体不可分の商標として認識されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して、「パクパクオサカナ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものといえる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、「パクパク」の文字を標準文字で表してなるから、その構成文字に相応して、「パクパク」の称呼を生じ、「口を開閉するさま、盛んに食べるさま」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標2は「パクパクさんま」の文字、及び引用商標3は「パクパクほっけ」の文字を共に標準文字で表してなるところ、その構成文字が片仮名と平仮名で表されていることから、外観上「パクパク」の文字と「さんま」又は「ほっけ」の文字からなる結合商標とみるのが自然である。そして、構成中の「さんま」又は「ほっけ」の文字部分は、指定商品の具体的な商品名又は商品の原材料、品質等を表示したものと直ちに理解されるから、自他商品の識別標識としての機能を有さないか、当該機能が弱い部分であるといわなければならない。
そうすると、引用商標2及び引用商標3は、その構成中、前半の「パクパク」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものというべきである。
そうすると、引用商標2及び引用商標3は、その構成中「パクパク」の文字に相応し、「パクパク」の称呼をも生じるものといわなければならない。
したがって、引用商標2及び引用商標3は、その構成文字全体に相応して、「パクパクサンマ」又は「パクパクホッケ」の称呼の他、「パクパク」の文字に相応して「パクパク」の称呼をも生じ、観念においては、その構成文字全体としては、特定の観念を生じない一種の造語として認識される一方、「パクパク」の文字より「口を開閉するさま、盛んに食べるさま」の観念を生じるものといえる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、上記のとおりの構成からなるところ、それぞれの構成に照らし、外観上、判然と区別し得る差異を有するものである。
次に、本件商標より生ずる「パクパクオサカナ」の称呼と引用商標より生ずる「パクパク」、「パクパクサンマ」及び「パクパクホッケ」の称呼を比較するに、両者は、その構成音数及び音の配列等において明らかな差異を有し、全体の語感、印象も相違するものであるから、称呼上、明らかに区別できるものである。
また、本件商標は、特定の観念を生じることのないものであるのに対し、引用商標1は、「口を開閉するさま、盛んに食べるさま」の観念を生じるものであり、引用商標2及び引用商標3は、特定の観念を生じることのないものであるか、「口を開閉するさま、盛んに食べるさま」の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標は、観念において、比較できないか、相紛らわしいということはできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは、その指定商品が同一又は類似する関係にあるとしても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
商標法第4条第1項第16号でいう、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」とは、指定商品又は役務に係る取引の実情の下で、公益性を担保するという観点から、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質又は質と、指定商品が有する品質又は役務が有する質とが異なるため、商標を付した商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。(参考:知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10086号 平成20年11月27日判決)
そして、同号でいう、商品の品質又は役務の質とは、抽象的な内容のものを指すのではなく、取引者又は需要者が当該商標から看取する具体的な商品の品質又は役務の質をいうものとみるのが相当である。
本件商標は、前記(1)で認定のとおり、その構成全体をもって特定の意味合いを有しない一体不可分の造語とみるのが相当であって、本件商標に接する需要者が、構成中の「おさかな」の文字部分について、具体的な商品の品質等を表すものとして認識することはないというべきである。
してみれば、本件商標をその指定商品中、申立てに係る第29類「お茶漬けのり,ふりかけ」、第30類「うま味調味料,中華料理用調味料,煮物用調味液,その他の調味料,香辛料,弁当」に使用しても、取引者、需要者が、商品の品質(原材料)について誤認するおそれがあるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-04-07 
出願番号 2020035469 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W2930)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2021-08-12 
登録番号 6427975 
権利者 株式会社ダイショー
商標の称呼 パクパクオサカナ、パクパク 
代理人 宮嶋 学 
代理人 本宮 照久 
代理人 高田 泰彦 
代理人 柏 延之 
代理人 中村 行孝 

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