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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W18 |
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管理番号 | 1384515 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-07-30 |
確定日 | 2022-04-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6388432号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6388432号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6388432号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年10月2日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」のほか、第14類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同3年3月3日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第912817号商標(以下「引用商標」という。)は、「EPIC」の欧文字を表してなり、2012年(平成24年)5月7日に国際商標登録出願(事後指定)、第18類「Bags, travelling bags, rucksacks, wallets and purses, wheeled shopping bags.」を指定商品として、平成25年2月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)引用商標の日本及び世界各国における著名性 申立人は、バッグ、旅行かばん等の旅行用品を製造販売するスウェーデンの企業であって、2013年に設立されたが、設立チームの構成員は遅くとも2000年前半から協働(スウェーデンにおける商標登録出願などを含む。)していることから、実質的に申立人の事業はこの時期に開始したといえる(甲2〜甲4)。申立人は、引用商標の使用をこの時期に開始し、現在までその使用を続けている。 引用商標を使用したバッグ、旅行かばん等の販売地域は、スウェーデン及び日本を含む25か国以上である(甲3)。引用商標と同一又は類似の商標の各国登録に関する情報から、申立人が世界中でそのバッグ、旅行かばん等に係る事業を展開しているといえる(甲5)。また、海外の販売地域における販売の事実を証する資料から、申立人に係るバッグ、旅行かばん等が、その価格、デザイン、使いやすさ等を理由として、好評を博しているといえる(甲6)。これらによれば、申立人が引用商標について各国で保護を受けつつ、引用商標に係る事業を長年にわたり継続的に行ってきているといえる。 日本において、引用商標を使用したバッグ、旅行かばん等は、2013年から現在に至るまで、代理店を含む多数の店舗で販売されている(甲7)。昨今、インターネットが普及し、インターネット上で機械翻訳を無料で行えることも相まって、日本にいながら、外国のオンライン販売サイトで商品を購入することは容易になっている(甲6)。 以上の事実から、引用商標を付したバッグ、旅行かばん等が申立人に係るものとして、日本国内外の需要者、取引者の間で周知・著名性を獲得している。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標の類似性 本件商標は、「epic/day」の欧文字を、ありふれた書体で二段書きに書した外観からなる商標であって、引用商標は、「EPIC」の欧文字を、ありふれた書体で書した外観からなる商標である。 そして、「epic」の欧文字は、日本では「TOEIC高得点を狙う英単語」として位置づけられており(甲8の1)、本件商標の指定商品の需要者、取引者における英語の理解度を考慮すると、本件商標の構成文字「epic」は、それら需要者、取引者の間において、特定の意味を有しない造語として認識される。 一方、「day」の欧文字は、「(朝から夕方までの)日中」等を意味する英単語であるところ(甲8の2)、「英語の基礎をなす必須単語」として位置づけられ(甲9)、日本では、中学校で教えられるような平易な英単語である。そして、「day」を構成文字として含む商標を付した商品は、「昼用の商品」と認識され得る(甲10)。実際のところ、バッグについては、「昼用のバッグ」と「夜用のバッグ」が使い分けられている実情がある(甲11)。 そのため、「day」の欧文字が「昼用の」の意味で認識される場合には、「epic」の文字部分が識別性を有する要部となる。その上、本件商標は、「epic」と「day」が二段書きに書されているため、視覚上分離して認識されやすい態様になっている。したがって、両語を常に一体のものとして認識し、一連に称呼しなければならない特段の事情もない。 以上によれば、本件商標の要部「epic」と引用商標「EPIC」を比較すると、外観に関して、大文字と小文字で異なるものの、綴りを共通にし、外観において類似する。 また、称呼に関して、造語からなると認識される商標は、ローマ字読み又は英語風に称呼されることが一般的で、両商標はいずれも「エピ(ッ)ク」の称呼のみが生じるから、称呼において同一である。 さらに、観念に関して、両商標はいずれも造語であって、観念上比較できない。 以上より、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念を総合して考察すると、外観において類似し、称呼において同一だから、混同を生じるおそれのある類似の商標である。 イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類似性 本件申立商品は、引用商標の指定商品とは、同一又は類似である。 ウ 小括 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標は、引用商標とは類似の商標である。 イ 引用商標は、上記のとおり、本件商標の登録出願及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた。 ウ 引用商標に関し、「EPIC」の欧文字は、「叙事詩の(ような)」を意味する英単語として辞書に掲載されている(甲8の1)。しかし、この英単語は「TOEIC高得点を狙う英単語」として位置づけられており、引用商標の指定商品の需要者、取引者の間で理解されているとは考えにくいから、造語よりなるものと理解される。 エ 引用商標は、申立人のハウスマークではないが、申立人に係るウェブサイト内にある各ブランドを紹介するページにおいて、引用商標に係るブランドに関する情報は、画面の左側、つまり、最初に目につく箇所に掲載されている(甲12)。また、当該掲載箇所の下方の専用ページのURLに「・・・epic・・・」が記載されているのに対し、他の5ブランドについては専用ページに関する情報が見当たらない。つまり、引用商標に係るブランドのみが専用ページを有しているから、引用商標が申立人の主要ブランドに係る特に重要な商標といえる。 オ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品であるから、その需要者は共通する。 カ 本件商標の指定商品中「かばん類」に含まれる「バッグ」は、「昼用のバッグ」と「夜用のバッグ」が使い分けられているという実情がある(甲11)。その他の本件申立商品は、バッグと類似の商品であり、関連性が高いから、同様の使い分けが行われているといえる。 キ 以上から、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であって、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、上記のとおり、引用商標に類似し、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標である。 また、引用商標は、本件商標の登録出願及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されている申立人の主要ブランドに係る商標であるから、本件商標権者が、引用商標の著名性、周知性及び顧客吸引力に便乗し、不正の利益を得ようとの目的をもって出願及び登録したと想像できる。 したがって、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないため、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、上記のとおり、本件商標の登録出願及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていた商標である。また、本件商標は引用商標と同一の商標である。 このことから、本件商標権者が、引用商標の著名性、周知性及び顧客吸引力に便乗して、不正の利益を得ようとの目的をもって出願及び登録したといえるから、不正の目的をもって使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について (ア)本件商標は、別掲のとおり、「epic」の欧文字及び「day」の欧文字を二段に、いずれも多少デザイン化した書体で横書きしてなるところ、その構成文字は、同種文字(欧文字)を、同じ大きさ及び書体で、上下に近接した、まとまりのよい構成で表されている。 そして、本件商標の構成中、「epic」の文字は「叙事詩の(ような)。壮大な。」等の意味を、「day」の文字は「日。日中。」の意味を有する英語(甲8の1、2)であるところ、構成文字全体として、特定の意味を有する成語となるものではなく、両語の語義を結合した漠然とした意味合いを連想させる場合があるとしても、「epic」の文字は我が国で親しまれた外来語ではないから、直ちに具体的な意味合いを想起させるものではない。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「エピックデイ」の称呼を生じるが、特定の観念を生じない。 (イ)申立人は、本件申立商品と関連して、「昼用のバッグ」と「夜用のバッグ」が使い分けられており、また、「epic」と「day」の文字は二段書きで視覚上分離して認識されやすい態様になっているから、本件商標は、その構成中「day」の文字が「昼用」の意味で認識される場合は、「epic」の文字部分が識別性を有する要部となる旨を主張する。 しかしながら、本件商標は、上記のようなまとまりのよい構成であるから、特定の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものでもなく、また、出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというものではない。したがって、本件商標と引用商標の類否は、特定の文字部分を要部と抽出して判断すべきではなく、構成文字全体に相応する外観、称呼及び観念に基づき全体的に考察すべきである。 イ 引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「EPIC」の欧文字を表してなるところ、その構成文字は、「叙事詩の(ような)。壮大な。」等の意味を有する英語(甲8の1)であるが、我が国で親しまれた外来語ではないから、直ちに具体的な意味合いを想起させるものではない。 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「エピック」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標の比較 本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、上段の構成文字(epic、EPIC)のつづりを共通にするが、下段の構成文字(day)の有無の差異があるから、互いに異なる語を表してなるもので、容易に判別できる。また、称呼においては、語頭の構成音4音(エピック)を共通にするが、語尾の構成音(デイ)の有無の差異があるから、聴別は容易である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから比較できない。 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別は容易であるから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品について使用するときであっても、相紛れるおそれはなく、互いに非類似の商標というべきである。 エ 小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 引用商標の周知性について 申立人の主張及び提出証拠によれば、申立人は、2013年に設立された、バッグ、旅行かばん等の旅行用品を製造販売するスウェーデンの企業(甲3)であって、我が国においても「EPIC」ブランドの旅行かばん(「ePIC」の文字を商品に付したものを含む。)がインターネット通信販売を通じて販売されている(甲7)ことが認められるとしても、当該商品の我が国における販売実績(販売開始時期、販売額、販売数量、市場シェア)及び広告宣伝実績(広告宣伝媒体、広告費用)は不明である。 そうすると、引用商標は、申立人提出の証拠によっては、我が国において商品(旅行かばん)に使用されている実情があるとしても、我が国の需要者の間において、申立人又はその業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、広く認識されているとは認められない。 イ 本件商標と引用商標の類似性 本件商標と引用商標とは、上記(1)ウのとおり、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において判別は容易であるから、互いに非類似の商標であって、類似性の程度は低い。 ウ 出所の混同のおそれについて 以上のとおり、引用商標は、我が国の需要者の間において、申立人又はその業務に係る商品を表示するものとして広く認識されているものではなく、本件商標とは、類似性の程度も低いから、本件申立商品と引用商標の使用に係る商品(旅行かばん)との関連性や需要者の共通性にかかわらず、本件商標は、本件申立商品について使用をしたとしても、それに接する需要者が、申立人又はその業務に係る商品との関連性を連想、想起し、同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、他人の業務に係る商品と誤認を生じるおそれはないもので、その他、本件商標が不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的などの不正の目的で使用されていることを示す具体的な証拠はない。 さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるようなものでなく、その他に、これを登録することが、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものという理由は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、引用商標とは、上記(1)ウのとおり、同一又は類似する商標ではなく、上記(3)のとおり、不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的などの不正の目的で使用されているとはいえない。 したがって、本件商標は、その他の要件について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、本件申立商品について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-04-01 |
出願番号 | 2020128020 |
審決分類 |
T
1
652・
22-
Y
(W18)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
矢澤 一幸 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 小田 昌子 |
登録日 | 2021-05-13 |
登録番号 | 6388432 |
権利者 | 株式会社グラビティ |
商標の称呼 | エピックデー、エピック、デー、デイエイワイ |
代理人 | 行田 朋弘 |