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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0535
管理番号 1384503 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-25 
確定日 2022-03-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第6313022号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6313022号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6313022号商標(以下「本件商標」という。)は,「corox」の文字を標準文字で表してなり,令和2年4月6日に登録出願,第5類「薬剤」及び第35類「薬剤及び医療補助品の卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として,同年9月17日に登録査定,同年11月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6057391号商標(以下「引用商標」という。)は,「correX」の欧文字を横書きしてなり,平成29年9月22日に登録出願,第3類「精油,化粧品,化粧用油,精油を配合した身体用化粧品,人体用エッセンシャルオイル,香料用及び香水用油」及び第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),皮膚の手入れ用薬剤」を指定商品として,同30年6月29日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録が取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標を比較するに,本件商標は,標準文字によって小文字で表された欧文字「corox」からなるのに対し,引用商標は,通常用いられる書体で表された欧文字「correX」からなるものである。
したがって,視覚上最も印象を与えしめる語頭部から3文字「cor」部分を共通にし,末尾も,大文字,小文字の差はあれ,「x」「X」で終止している点で共通している。すなわち,本件商標の構成文字が5文字,引用商標の構成文字が6文字中,共通する文字数が4文字と,80%ないし67%を共通にしている以上,外観上の類似度は高い。
また,本件商標の4文字目「o」と引用商標の5文字目「e」とは,ともに円状であるので,外観上も近似している。
なお,本件商標(決定注:引用商標の誤記と認める。)は,「r」が重複して表されているが,我が国の一般需要者にとって,「r」が重複しているか否かは,必ずしも明確ではない。また,「r」が重複している事実が,比較対象を外観において明確に区別し得るキーポイントになるものではない。
このように,引用商標を記憶にとどめている需要者,取引者が本件商標に接した場合,あたかもそれが引用商標と取り違えるおそれがあることは十分にあり得ることである。
したがって,外観上,本件商標は,少なくとも,引用商標との間で類似度が高いということができる。
次に,両商標から生ずる称呼について検討するに,特許庁では,本件商標に「コロックス」,また,引用商標には,「コルレックス」「コーレックス」「コレックス」「コレエックス」の称呼を付与している。
そうとすると,両称呼は,冒頭が「コ」で始まり,「ラ行音」が続き,「クス」で終止する点で共通するものであるから,称呼上相紛れるおそれがある。
最後に,観念については,上述したとおり,両者からは,明確な語義が生ずるものではないから,比較することができない。しかし,比較することができないことから,直ちに類似しない,との結論を導き出すことはできない。
すなわち,観念が生じない商標については,より一層,称呼の重要性が高まるのである。
これらをまとめると,本件商標は,引用商標との間で,観念上比較することができないものの,外観上の類似度が高く,かつ,称呼上の近似性も高いものであるから,これらを総合して全体的に考察するときは,本件商標は,引用商標に類似するものである,といわなければならない。
(2)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品及び指定役務は,引用商標の指定商品中,第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),皮膚の手入れ用薬剤」に類似することは明らかである。
そして,これらの商品は,人体,特に人の生命に関わる商品であって,取り違えることがあってはならないものであるから,他の商品よりも,より類似の幅は広く認定されなければならない。
(3)まとめ
よって,本件商標は,引用商標に類似し,かつ,その指定商品及び指定役務も類似であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり「corox」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は辞書等に載録されているものではなく,また,何らかの意味を有する語を表してなるものと直ちに認識されるとはいい難い。
また,当該文字のように特定の語義を有しない欧文字を称呼するときは,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼するのが一般的といえる。
したがって,本件商標は,その文字構成に相応した「コロックス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は,上記2のとおり「correX」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は辞書等に載録されているものではなく,また,何らかの意味を有する語を表してなるものと直ちに認識されるとはいい難い。
また,当該文字のように特定の語義を有しない欧文字を称呼するときは,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼するのが一般的といえる。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応した「コルレックス」,「コーレックス」,「コレックス」又は「コレエックス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較について
(ア)外観について
本件商標と引用商標とは語頭から3文字の「cor」の文字を共通にし,4文字目以降「ox」と「reX」とに差異があるところ,語尾の「x」と「X」とが大文字と小文字のみの差異であって同一のつづりからなるものであるとしても,4文字目以降の「ox」と「reX」の差異は5文字と6文字という比較的短い文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえないから,両者は,外観上,相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
(イ)称呼について
本件商標から生じる「コロックス」の称呼と引用商標から生じる「コルレックス」,「コーレックス」,「コレックス」又は「コレエックス」のそれぞれの称呼とを比較するに,これらの称呼は語頭の「コ」,中間の「ッ」及び語尾の「ス」の音を共通にするものの,中間の「ッ」の音は撥音であって比較的弱く称呼されることに加え,当該「コ」,「ッ」及び「ス」の音以外は相違するものであるから,5音又は6音と短い音構成からなる両称呼においては,相違音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,それぞれを一連に称呼するときは語調,語感が異なることから,両者は,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念について
観念においては,本件商標及び引用商標のいずれも特定の観念は生じないものであるから,観念上,比較することはできないものである。
エ 小括
以上よりすると,両商標は,観念において比較できないものの,外観において相紛れるおそれのないものであって,称呼においては,明瞭に聴別し得るものであるから,これらを総合して全体的に考察すれば,本件商標は,引用商標と商品の出所について混同を生じるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その指定商品又は指定役務が,引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)申立人の主張について
申立人は,本件商標の4文字目「o」と引用商標の5文字目「e」とは,ともに円状であるので,外観上も近似している旨及び引用商標は,「r」が重複して表されているが,我が国の一般需要者にとって,「r」が重複しているか否かは,必ずしも明確ではない。また,「r」が重複している事実が,比較対象を外観において明確に区別し得るキーポイントになるものではない旨主張している。
しかしながら,本件商標と引用商標とはともに文字のみからなる商標であるから,本件商標の構成中の「o」及び引用商標の構成中の「e」はともに文字として認識するというのが相当であり,円のような形状として認識されるというものではない。また,上記ウ(ア)のとおり,本件商標と引用商標は5文字と6文字という比較的短い文字構成からなり,語尾の「ox」と「reX」の差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえないから,両者は,外観において相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
したがって,申立人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではないから,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-23 
出願番号 2020038379 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0535)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
平澤 芳行
登録日 2020-11-06 
登録番号 6313022 
権利者 ガーデン・ワールド株式会社
商標の称呼 コロックス 
代理人 古関 宏 

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