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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1384336 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-19 
確定日 2022-04-06 
事件の表示 商願2020−140439拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「I−FACE」の文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、令和2年11月13日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年1月21日付けで拒絶理由の通知がされ、同年2月10日に意見書が提出され、本願の指定商品については、同日付の手続補正書により第9類に属する別掲1のとおりの商品に補正されたが、同年3月19日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和3年4月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第6303168号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、「iFace」の欧文字を横書きしてなり、平成29年2月2日登録出願、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第9類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年10月13日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1215970号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、別掲2のとおりの構成よりなり、2014年1月20日に大韓民国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同月28日に国際商標登録出願、別掲3に示す、第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年10月16日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標1の指定役務及び引用商標2の指定商品とは、同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、上記第1のとおり、「I−FACE」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に載録されていない語であることから、特定の語義を有しない一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「アイフェース」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、上記第2の1のとおり、「iFace」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録されていない語であることから、特定の語義を有しない一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「アイフェース」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、特異な盾のような形状の図形(以下「図形」という。)と、図形の右側に「iFace」の欧文字を書してなるところ、図形と「iFace」の欧文字とは、重なり合うことなく間隔を空けて配置されていることから、図形及び「iFace」の欧文字は、それぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上分離して認識、把握され得るものである。
また、引用商標2の構成中の図形は、我が国において、需要者の間に広く知られている等の特別な事情はなく、これが、直ちに特定の意味合いを表すものとして認識されるものとはいえないことから、当該図形は、特定の観念は生じず、称呼も生じないものである。
さらに、「iFace」の欧文字は、辞書等に載録されていない語であり、特定の語義を有しない一種の造語として認識、把握されるとみるのが相当であるから、特定の観念は生じないものである。
そうすると、引用商標2は、各構成部分が、それぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上分離して認識されるものといえる上、称呼及び観念の観点から不可分であるともいえず、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものである等の特別の事情はなく、他に、その不可分一体性を認めるべき事情も見当たらないことから、「iFace」の欧文字のみを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、また、「iFace」の欧文字は自他商品の識別標識としての機能を有すると判断し得るものである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「iFace」の欧文字を要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであり、その構成文字に相応して「アイフェース」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標と引用商標1とは、まず、称呼においては、いずれも「アイフェース」の称呼を生ずるものであるから、両商標は「アイフェース」の称呼を共通にするものである。
また、外観においては、両商標は、「−」(ハイフン)記号の有無のほか、前者が大文字のみからなるのに対し後者が大文字と小文字の組合せからなることや書体の相違が見られるものの、いずれも格別顕著な相違とはいえないものであり、他方、欧文字のつづりを共通にすることから、外観上、近似した印象を与えるものということができる。
さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本願商標と引用商標1とは、観念上は比較できないとしても、「アイフェース」の称呼を共通にするものであって、外観上も近似するものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品及び役務の出所について混同を生じるおそれのある、類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標と引用商標2とは、まず、称呼においては、いずれも「アイフェース」の称呼を生ずるものであるから、両商標は「アイフェース」の称呼を共通にするものである。
また、外観においては、両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標と引用商標2の要部である「iFace」の欧文字とは、「−」(ハイフン)記号の有無のほか、前者が大文字のみからなるのに対し後者が大文字と小文字の組合せからなることや書体の相違が見られるものの、いずれも格別顕著な相違とはいえないものであり、他方、欧文字のつづりを共通にすることから、外観上、近似した印象を与えるものということができる。
さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、観念上は比較できないとしても、「アイフェース」の称呼を共通にするものであって、外観上も近似するものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は、商品の出所について混同を生じるおそれのある、類似の商標というのが相当である。
ウ まとめ
以上からすると、本願商標は、引用商標と類似する商標である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
ア 本願の指定商品中の第9類「コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」(以下「本願指定商品」という。)と、引用商標1の指定役務中の第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「引用指定役務」という。)及び引用商標2の指定商品中の第9類「bags adapted for laptops」(以下「引用指定商品」という。)が類似するか否かについて、以下検討する。
イ 本願指定商品と引用指定役務との類否について
本願指定商品は、引用指定役務に係る取扱商品である「電気機械器具類」に含まれるものである。そして、商品の販売と、その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは、商取引上、しばしば見受けられるものであり、そのような場合、当該商品の販売場所や需要者の範囲が、当該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも、少なからずあるとみるのが相当であるから、本願指定商品及び引用指定役務は、これらに同一又は類似する商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品及び役務というべきである。
ウ 本願指定商品と引用指定商品との類否について
本願指定商品は、コンピュータを動作させるために用いる商品であって、コンピュータ等の管理や基本的な処理、特定の作業や業務をコンピュータに行わせるものであり、コンピュータハードウェアやコンピュータソフトウェアを生産する事業者によって製造、販売されるほか、家電量販店等により販売されるものである。また、その需要者はコンピュータを使用する者である。
他方、引用指定商品は、コンピュータを入れるための商品であって、専らラップトップ型コンピュータに用いるために使用する商品であるところ、コンピュータハードウェアやコンピュータ周辺機器、事務用品等を生産する事業者によって製造、販売されるほか、家電量販店等により販売されるものである。また、その需要者はコンピュータを使用する者である。
そうすると、本願指定商品と引用指定商品の一般的、恒常的な取引の実情において、本願指定商品及び引用指定商品は、その生産部門、販売部門、用途及び需要者の範囲を共通にするものであるから、本願指定商品と引用指定商品は、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品というべきである。
(5)小活
上記(1)ないし(4)によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、本願の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標と引用商標とは、外観の相違が顕著であり、特に引用商標2とは、その相違がより一層顕著であり、両商標は非類似である旨主張する。
しかしながら、上記1(3)のとおり、本願商標と引用商標とは、いずれも「アイフェース」の称呼を共通にするものであって、本願商標と引用商標1及び本願商標と引用商標2の要部は、欧文字のつづりを共通にするものであることからすると、本願商標と引用商標とは、外観において、相違する点があるとしても、それが、これらの商標の称呼の共通性を凌駕するとはいい難いものであり、両商標は、互いに類似する商標と判断するのが相当である。
(2)請求人は、本願指定商品と引用指定商品及び引用指定役務は、非類似の商品及び役務である旨主張する。
しかしながら、上記1(4)のとおり、本願指定商品及び引用指定役務は、これらに同一又は類似する商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品及び役務というべきであり、本願指定商品及び引用指定商品は、その生産部門、販売部門、用途及び需要者の範囲を共通にするものであるから、本願指定商品と引用指定商品は、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品というべきであると判断するのが相当である。
(3)以上のことから、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 補正後の本願の指定商品
第9類「コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),測定機械器具,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,防犯用監視ロボット,業務用テレビゲーム機用プログラム,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,EPレコード,LPレコード,録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ」

別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標2の指定商品
第9類「Keyboards for mobile phones; hands free kits for mobile phones; cases for telephones; cases for mobile phones; hands free kits for telephones; headsets for telephones; bags adapted for laptops; strings of precious metal for mobile phones; non-metallic strings for mobile phones; bags especially adapted for holding mobile phones; metallic strings for mobile phones; backpacks for mobile phones; earcaps for mobile phones.」


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-01-28 
結審通知日 2022-01-31 
審決日 2022-02-16 
出願番号 2020140439 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
荻野 瑞樹
商標の称呼 アイフェース、フェース 
代理人 古岩 信嗣 
代理人 古岩 信幸 

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