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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1383407 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-25 
確定日 2022-03-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6342103号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6342103号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6342103号商標(以下「本件商標」という。)は,「Semroya」の文字を標準文字で表してなり,令和2年11月4日に登録出願,第5類「食餌療法用飲料,ビタミン剤,ビタミンを主原料とするパッチ状サプリメント,プロテインを主原料とする栄養補助食品,ミネラルを主原料とする栄養補助食品,栄養補助食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤,美容効果を有する栄養補助食品,酵素を主原料とする栄養補助食品,医療用コラーゲン,食物繊維,乳児用食品,乳児用おむつ,医薬用アルコール,手洗い用抗菌せっけん,消毒剤,ティッシュに浸み込ませた医薬用ローション剤,医療用の膣洗浄剤,薬剤(医薬用のもの)」を指定商品として,同3年1月4日に登録査定,同月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1476009号商標(以下「引用商標」という。)は,「Sogroya」の欧文字を横書きしてなり,2019(平成31)年5月24日に国際商標登録出願(優先権主張:Denmark 2019(平成31)年2月15日),第5類「Pharmaceutical preparations for hormonal treatment.(参考訳:ホルモン治療用薬剤)」を指定商品として,令和2(2020)年10月9日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由 (要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)申立人について
申立人は,2000年に設立された医薬品の開発・製造等を主な事業とする企業である。同社は,デンマークを本拠とし,糖尿病領域,成長ホルモン領域,血友病領域における製品及びサービスを提供しているグローバル製薬企業「ノボ ノルディスク エー/エス」のグループ企業の一つである。
(2)引用商標について
引用商標を付した商品(以下「引用商品」という。)は,成人成長ホルモン分泌不全症の治療薬であり,2020年8月に米国食品医薬品局(FDA)により医薬品として承認され,また,2021年1月22日に日本の厚生労働省により医薬品として承認された。また,2021年1月28日に,欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)は,当該治療薬について製造承認を勧告した(甲4)。
引用商品は,わが国を含む世界各国において,開発時(本件商標出願前)から大きな注目を集めてきた。
申立人は,引用商標について,本国スイスのみならず,日本,欧州,英国,米国,オーストラリア,インド,ロシアなど世界の主要国において商標登録を取得している(甲2,甲3,甲5)。
(3)商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否について
本件商標が標準文字の欧文字により「Semroya」と構成されるのに対し,引用商標もごく普通の活字体の欧文字により「Sogroya」と構成される。
本件商標と引用商標は,構成文字数を共に7文字と共通にし,さらに,7文字のうち先頭1文字「S」と後半4文字「roya」を共通とすることから,両商標は外観上極めて近い印象を受ける。
また,本件商標から「セムロヤ」の称呼が生じるのに対し,引用商標から「ソグロヤ」の称呼が生じる。
それぞれの称呼である「セムロヤ」と「ソグロヤ」は,構成音数を共に4音と共通にし,さらに,4音のうち後半2音の「ロヤ」という特徴ある構成音を共通とするから,両称呼は称呼上も極めて近い印象を受ける。
なお,両商標は,いずれも特定の意味合いを生じない。
そうすると,両商標は外観及び称呼において極めて近い印象を取引者・需要者に与え,また,両商標から特徴的な意味合いが生ずることはないから,時と所を異にしてみた場合,特段の相違を取引者及び需要者に印象付けるということはできない。
特に,両商標は,誤認混同が絶対に許されない医薬品について使用されるものだから,両商標の標章における類似関係は,その他の商品・役務を指定する商標よりも厳しく(すなわち,通常よりも広い類似範囲により)判断されるべきである。
以上を総合的に勘案すると,両商標は相互に類似する。
イ 本件商標と引用商標の指定商品における類否について
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する。
ウ 商標法第4条第1項第10号及び同項第11号について
本件商標と引用商標はそれぞれの商品及び標章において類似の関係にあるから,引用商品が,わが国を含む世界各国において(本件商標出願前の)その開発時から大きな注目を集めてきたことも考慮すると,本件商標は引用商標との関係において,相互に同一又は類似の関係にある指定商品については,商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当する。
エ 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標の特に外観及び称呼における類似性・近似性の高さ,引用商品が我が国を含む世界各国において(本件商標出願前の)その開発時から大きな注目を集めてきたこと,本件商標の指定商品のうち第5類の類似群「01B01」に属する指定商品以外の指定商品も取引者・需要者や流通経路等において「医薬品」と極めて高い関連性を有すること等を考慮すると,本件商標に接する我が国の取引者・需要者は,本件商標に係る商品があたかも申立人の製造販売に係る引用商品に関する商品であるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか,あるいは,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係にある者の業務に係る商品であると誤認した結果,商品の出所について混同するおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり「Semroya」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「セムロヤ」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味合いを有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,上記2のとおり「Sogroya」の欧文字を横書きしてなるところ,その構成文字に相応して「セグロヤ」の称呼を生じるものであり,当該文字は辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味合いを有しない一種の造語として理解され,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観について
本件商標と引用商標とは,上記ア及びイのとおりの構成からなるところ,両者は,語頭の「S」の文字及び語尾の「roya」の4文字を共通にするものの,2文字目及び3文字目において,「em」と「og」の差異を有しており,共に7文字という比較的少ない文字数から構成されていることからすれば,当該差異は小さいものとはいえず,外観上,相紛れるおそれはないものである。
(イ)称呼について
本件商標から生ずる「セムロヤ」と引用商標から生ずる「ソグロヤ」の称呼は,語頭において「セム」の音と「ソグ」の音の差異を有し,該差異音は,明確に発音される語頭にあることから,共に4音という短い音構成においては,該差異の両称呼全体に及ぼす影響は大きく,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には,語感,語調が相違し,称呼上,相紛れるおそれはない。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
(エ)小括
以上によれば,本件商標と引用商標は,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれはないものであるから,その外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考慮すれば,十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
その他,本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,両商標の指定商品が同一又は類似のものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当性しない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 引用商標の周知性について
申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,2000年に設立された医薬品の開発・製造等を主な事業とする企業である。同社は,デンマークを本拠とし,糖尿病領域,成長ホルモン領域,血友病領域における製品及びサービスを提供している製薬企業「ノボ ノルディスク エー/エス 」のグループ企業の一つである。
(イ)申立人の開発・製造に係る,商品名「Sogroya」が付された成人成長ホルモン分泌不全症の治療薬(引用商品)は,2020年8月に米国食品医薬品局(FDA)により医薬品として承認され,2021年1月22日に日本の厚生労働省により医薬品として承認された。また,2021年1月28日に,欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)は,当該治療薬について製造承認を勧告した。
(ウ)申立人は,引用商標について,申立人の居住国であるスイス並びに日本,欧州,英国,米国,オーストラリア,インド及びロシアなど世界の主要国において商標登録している(甲2,甲3,甲5)。
しかしながら,申立人は,我が国における,引用商品についての広告費,売上高等を定量的に確認できる客観的な資料を提出していないから,引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
また,申立人の上記(イ)の主張について,申立人は,同人に係るプレスリリース(甲4)を提出しているところ,当該プレスリリースには,翻訳文の添付もなく,その他当該主張に係る客観的な証拠を提出していない。
そして,引用商標について,日本以外にも数カ国において商標登録しているとしても,その事実をもって,引用商品が,世界各国において,本件商標出願前から注目を集めてきた医薬品であることを確認することはできない。
その他に,引用商標が広く知られていると認め得る事情は見当たらない。
したがって,提出された証拠及び申立人の主張によっては,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の製造・販売に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは,認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,(1)ウのとおり,非類似の商標である。
ウ 以上よりすれば,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて,その商品又はこれに類似する商品について使用をするものということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は,上記(2)アのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは,上記(1)ウのとおり,非類似の商標であって別異の商標である。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記,アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり,また,上記イのとおり,本件商標は,引用商標と非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想,想起することはないというべきであり,当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
その他,本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号該当性に該当しない。
(4)「医薬品」の取引の特異性について
申立人は,本件商標は,誤認混同が絶対に許されない医薬品について使用されるものであるから,類似関係はその他の商品・役務を指定する商標よりも厳しく判断されるべき旨主張するが,本件商標と引用商標とは,上記認定のとおり,非類似の商標というべきものであるから,高度な専門知識・注意力を必要とする医療従事者のみならず,一般の需要者の有する通常の注意力をもってすれば,本件商標をその指定商品について使用しても,引用商標の指定商品との間に混同が生じるおそれはないとみるのが相当である。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に,同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-08 
出願番号 2020136478 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W05)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 佐藤 松江
大森 友子
登録日 2021-01-18 
登録番号 6342103 
権利者 エリラディア バイオテクノロジー リミテッド
商標の称呼 セムロヤ 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 青木 篤 
代理人 外川 奈美 
代理人 篠崎 史典 

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