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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W43
管理番号 1383406 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-23 
確定日 2022-02-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6345529号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6345529号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6345529号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年12月29日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同3年1月13日に登録査定され、同月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3356236号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第42類「中華料理を主とする飲食物の提供」
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成9年10月31日
(2)登録第3356237号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定役務 第42類「中華料理を主とする飲食物の提供」
登録出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成9年10月31日
(3)登録第5875306号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定役務 第43類「飲食物の提供」
登録出願日 平成27年9月18日
設定登録日 平成28年8月19日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人及び申立人商標の周知著名性について
ア 申立人の歴史
申立人は、アジア料理を提供するレストラングループの世界的なリーディングカンパニーであり、その傘下に、「パンダ・エクスプレス(Panda Express)」「パンダ・イン(Panda Inn)」「ヒバチサン(Hibachi−San)」を有する(甲6)。
申立人グループの歴史は、1973年に、米国カリフォルニア州のパサディナで、「パンダ・イン」1号店が出店されたことから始まる。「パンダ・イン」の成功に続き、1983年、同じくカリフォルニア州に、「パンダ・イン」の高級料理と手軽で迅速なサービスを組み合わせた形態の新たなレストラン「パンダ・エクスプレス」が出店された。その後、「パンダ・エクスプレス」チェーンは順調に拡大し、2007年には、記念すべき1000店舗目を出店し、初めて10億米ドルの収益を達成する。出店のロケーションは、ショッピングセンター、スーパーマーケット、空港、駅、遊園地、スタジアム、大学キャンパス、ペンタゴン(米国国防総省)等多岐にわたる。
2011年、申立人は、米国以外の国としては初めて、メキシコに「パンダ・エクスプレス」を出店し、2015年にはサウジアラビア、2016年には日本、グアテマラ、アラブ首長国連邦と、グローバルな店舗展開を開始する。その後、2019年までに、ロシア、カナダ、韓国、エルサルバドル、アルバ、フィリピンにも出店を完了する。
現在では、「パンダ・エクスプレス」は、米国で最も店舗数の多い中華料理レストランチェーンの一つにまで成長し、その店舗数は、米国で2200を超え、米国以外にも、上記各国に合計で66店舗を構える。これらの店舗には、毎日平均して480人の客が入っており、全世界で換算した場合、毎日100万人以上の客が「パンダ・エクスプレス」のいずれかの店舗を訪れていることになる(甲7)。
2015年、申立人は、フォーブス社が毎年発表する「Best Employers(最高の雇用主)」の一つに選出され、また、「全米レストラン協会(National Restaurant Association)」からは、「Golden Chain Award」を受賞している(甲8)。
イ 申立人商標
申立人は、1983年に「パンダ・エクスプレス」を出店した際に、初めて、パンダロゴを使用して以降、約40年の長きにわたって、パンダをモチーフにした図柄のロゴを継続して使用している。この間にデザインに多少の変更はあったものの、これらはロゴ中の文字など、付記的な部分に過ぎず、出所の識別標識として顕著に表示されるパンダの図柄部分に変更はなく、また、「パンダ(Panda)」の語も、1973年の「パンダ・イン」出店以来、一貫して使用し続けているものである。
申立人商標は、店舗の看板、商品の包装、容器、コップ、ラベル、トレー、メニュー等、申立人提供に係る商品、役務に関する様々なものに使用されている。
申立人は、我が国において、引用商標のパンダロゴの他にも、「飲食物の提供」やこれに類似する役務及び飲食物関係を始めとした様々な指定商品を指定して、多くの登録商標を有している。これらはいずれも「パンダ(Panda)」の語を有するものである(甲9)。
ウ 我が国における申立人店舗
我が国においては、申立人は、1990年代に数店舗展開した後、2016年に、博多一風堂の親会社と新たに業務提携を結び、「パンダ・エクスプレス」1号店を、「ラゾーナ川崎プラザ」(神奈川県川崎市)にオープンした。現在では、その他に「南町田グランベリーパーク」(東京都町田市)、「三井アウトレットパーク木更津」(千葉県木更津市)、「パルコシティ」(沖縄県浦添市)、「MIYASHITA PARK」(東京都渋谷区)、「りんくうプレミアム・アウトレット」(大阪府泉佐野市)、「ららぽーと愛知東郷」(愛知県愛知郡)、「三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島」(三重県桑名市)の合計8か所に、申立人店舗が出店している(甲10)。いずれの場所も、休日や休暇の外出スポットとして非常に人気の高い大型商業施設である。
エ 各種メディアでの紹介
米国で中華料理レストランチェーンのリーディングカンパニーとして国際的に著名であった申立人の我が国における出店は、メディアからの注目度も高く、外国人向け記事、ニュースなどでも取り上げられた(甲11)。
更に、我が国でも、2020年11月7日に「ズームイン!サタデー」(日本テレビ)、同年9月14日に「スイッチ!」(東海テレビ)、同年9月12日に「花咲かタイムズ」(CBCテレビ)、同年2月26日に「news every.」(日本テレビ)で紹介されたほか、雑誌、インターネット記事及びYouTubeで紹介等されている(甲12〜甲14)。
オ 申立人のSNS
上記のとおり、申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」は、各種メディアで取り上げられており、その注目度が非常に高いことがわかるし、その結果、我が国の取引者、需要者の多くが知るところとなっている事実が窺えるが、これら第三者による特集、紹介のみならず、申立人は、自ら様々なSNSを活用して、申立人の提供するサービスに係る周知活動を弛まず継続して行っている。
いずれのアカウントにおいても、そのトップページにおいて、顕著に目立つ態様で、申立人商標が表示されている。
(ア)YouTubeチャンネル
申立人は、2008年3月25日に、「PandaExpressTV」を登録し、現在までに、総計で3200万回以上視聴されている。また、チャンネル登録数は、1万3200人である(甲15)。
(イ)Twitter
申立人は、2009年3月に、Twitterのオフィシャルアカウントを登録した。現在のフォロワー数は6万1000人であり、申立人は、過去に4万8000件のツイートを行っている(甲16)。
(ウ)facebook
申立人のfacebookアカウントは、現在、293万人のフォロワーを有しており、今までに合計で302万人もの人が「いいね!」を送っている(甲17)。
(エ)Instagram
申立人のInstagramアカウントは、現在、24万6000人のフォロワー数を有しており、合計で1075件の投稿がなされている(甲18)。
カ 「パンダ・エクスプレス」の売上、宣伝広告費
(ア)「パンダ・エクスプレス」のグローバルでの売上及び宣伝広告費は、2014年ないし2020年10月までで、毎年、売上が約22億米ドルないし約38億米ドル、宣伝広告費が約1600万米ドルないし約2500万米ドルであり、いずれも年々増加している。2014年から2020年10月までの総売上は実に約210億米ドルに上り、同期間に投入した宣伝広告費は、約1億4000万米ドルである。
(イ)また、我が国における「パンダ・エクスプレス」の売上は、2017年が約200万米ドル、2018年が約190万米ドル、2019年が約370万米ドル、2020年が約870万米ドル、2021年が約400万米ドルであり、2021年はコロナ禍のため売上げが落ち込んだものの、非常に高い水準で堅調に伸びていることが分かる。
キ 日本人海外旅行者の旅行先
上記アで述べたとおり、「パンダ・エクスプレス」は、米国で最も店舗数の多い中華料理レストランチェーンの一つであり、米国における店舗数は、2200を超えている。そして、日本政府観光局(JNTO)の統計によると、日本人が最も多く訪問している国は、米国である(甲19)。以上を踏まえると、米国を訪問した相当数の日本人が、米国で「パンダ・エクスプレス」を目にし、実際に訪れたであろうことは想像に難くない。
ク 小括
以上のとおり、申立人は、「パンダ(Panda)」の語及びパンダをモチーフにした図柄を、自身や傘下のレストランチェーン等の名称、ブランドロゴマークとして、1973年の設立以来、48年の長きにわたって継続して使用しており、中華料理のレストランチェーンで、パンダやパンダのロゴといえば、申立人及び申立人傘下のレストランチェーンであると認識されるに至っている。すなわち、申立人商標は、我が国及び海外で周知著名であり、レストランチェーンの名称、ロゴ等に「パンダ(PANDA)」の語や、パンダの図柄が使用されていれば、取引者、需要者をして、直ちに、申立人及び申立人提供に係る役務である中華料理レストランチェーンを指称するものであると認識せしめる程に、我が国及び海外で広く知られるところとなっている。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
(ア)外観上の特徴
本件商標は、上段図形部分と下段文字部分の二つの部分の組合せからなる。上段は、パンダの顔の中心部分、すなわち、顔の輪郭等を除いた、両目、鼻、口の部分を、黒色で表示した態様からなり、下段は、欧文字「FATT PANDA」を、横一列に表示してなる。構成文字「FATT」のうち、2番目の「T」は、最初の「T」の文字の後ろに重なる態様で、若干小さなフォント、薄い色で表示される。
(イ)観念上の特徴
最高裁判決(昭和37年(オ)第953号、甲20)の判示事項の見地に立って本件商標の観念を検討すると、本件商標の上段図形部分からは、パンダの顔の図柄より、「パンダ」との観念が生じる。また、本件商標の下段文字部分については、前半文字部分の「FATT」が、辞書に載録されている既成語ではないので、特定の観念を生じることがなく、捨象され、その一方で、後半の「PANDA」の語は、我が国で非常によく知られ、人口にかいしゃしている英単語なので(甲21)、この部分のみが、格別に取引者、需要者の注意を惹くこととなる。したがって、下段文字部分からも同様に「パンダ」との観念が生じる。
以上より、本件商標からは、「パンダ」との観念が生じることが分かる。
(ウ)称呼上の特徴
上述したとおり、本件商標は、上段の図形部分と下段の文字部分とに分離して観察されるものであり、上段の図形部分からは、パンダの図案より、「パンダ」との称呼が生じ得る。また、下段の文字部分「FATT PANDA」については、上述した観念の場合と同様に、前半の「FATT」部分が捨象され、後半の文字部分「PANDA」に相応して「パンダ」との称呼が生じる。または、「FATT」部分を、我が国で馴染みのあるローマ字又は英語の読みに倣い、「ファット」と称呼すれば、全体として「ファットパンダ」との称呼も生じ得る。
イ 申立人商標(引用商標)について
(ア)外観上の特徴
引用商標1は、二重の円形の中心部に、赤色を背景に、正面を向いたパンダの白黒の図柄が表示され、大小二つの円形の隙間にあたる円形帯状部分に、欧文字「PANDA EXPRESS・GOURMET CHINESE FOOD・」が表示され、「PANDA EXPRESS」は大きなフォントで、「GOURMET CHINESE FOOD」は、その2分の1程度の小さなフォントで、かつ、上下に配された二本の細い線に挟まれる態様で、表示されてなる。
引用商標2は、赤色の円形を背景に、正面を向いたパンダの白黒の図柄が表示されてなる。
引用商標3は、二重の円形の中心部に、正面を向いたパンダの白黒の図柄が表示され、大小二つの円形の隙間にあたる円形帯状部分に、欧文字「PANDA EXPRESS・CHINESE KITCHEN・」が表示され、「PANDA EXPRESS」は大きなフォントで、「CHINESE KITCHEN」は、それよりも若干小さなフォントで、表示されてなる。
(イ)観念上の特徴
引用商標1を構成する上記要素のうち、取引者、需要者が、一見して直ちに注意を向ける部分は、中央部のパンダの図柄部分であり、その周囲を取り巻く文字部分は、文字数が多い上、フォントも細かいので、直ちに看取され観念が想起される部分ではない。特に、「GOURMET CHINESE FOOD」の部分は、「美味しい中華料理」程の観念を生じるものであり(甲22〜甲24)、指定役務「中華料理を主とする飲食物の提供」との関係においては、識別力がないか、低い。一方で、「PANDA EXPRESS」の文字部分については、上述(1)で説明したとおり、申立人及び申立人ブランド「パンダ・エクスプレス」が、周知著名となっているので、「PANDA EXPRESS」を看取した取引者、需要者が、申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」を想起することがあるといえる。
以上を踏まえると、引用商標1からは、「パンダ」又は申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」との観念が生じる。
引用商標2からは、商標を構成するパンダの図柄から、「パンダ」との観念、又は、パンダのロゴで周知著名となっている、申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」との観念が想起される。
引用商標3については、構成要素のうち、取引者、需要者が、一見して直ちに注意を向ける部分は、中央部のパンダの図柄部分であり、その周囲を取り巻く文字部分は、文字数が多い上、フォントも細かいので、直ちに看取され観念が想起される部分ではない。特に、「CHINESE KITCHEN」の部分は、「中国の調理場」程の観念を生じるものであり(甲23、甲25)、指定役務「飲食物の提供」との関係においては、識別力がないか、低い。一方で、「PANDA EXPRESS」の文字部分については、上述のとおり、取引者、需要者が、周知著名な申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」を想起することがあるといえる。
以上より、引用商標3からは、「パンダ」又は申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」との観念が生じる。
(ウ)称呼上の特徴
引用商標1及び3は、上述のとおり、取引者、需要者の注意を直ちに惹く部分が、中央部に配されたパンダの図柄部分であるので、当該パンダの図案より、「パンダ」との称呼が生じる。また、「GOURMET CHINESE FOOD」及び「CHINESE KITCHEN」の部分は、指定役務との関係において、識別力がないか低いので捨象されるが、申立人及び申立人ブランド「パンダ・エクスプレス」は、周知著名であるので、「PANDA EXPRESS」に相応して「パンダ・エクスプレス」の称呼も生じ得る。
引用商標2からは、商標を構成するパンダの図柄から、「パンダ」との称呼が生じる。また、当該パンダの図柄は、申立人のレストランチェーン「パンダ・エクスプレス」のロゴとして周知著名となっているので、「パンダ・エクスプレス」との称呼も生じ得る。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)まず、外観について検討すると、本件商標と引用商標は、いずれも構成中、中央部に大きくパンダの図形が表示されており、該パンダ図形が、商標中、最も顕著に表示されているという点において共通する。本件商標中の文字部分や、引用商標中の円形の輪郭部分、文字部分等は、両商標においては、付記的な部分であるといえ、これらを常に一体のものとしてみるべき格別の事情は認められない。簡易迅速をたっとぶ取引の実際においては、むしろ、取引者、需要者は、商標の詳細な部分まで正確に観察し、記憶し、想起して出所を識別するとは限らず、商標全体から受ける印象によって、役務の出所を識別するといえる。
そうとすれば、取引者、需要者は、本件商標及び引用商標において顕著に表示されたパンダの図形部分を目印とし、その記憶、印象等を頼りに出所を識別するとするのが自然である。ここで、本件商標及び引用商標は、いずれも、白色と黒色のみを用いて、動物のパンダを簡略化・省略化して表現してなるという、外観識別上最も重要と思われる点において共通している。つまり、構成の軌を一にしているといえる。商標の類否は、時と所を異にして行う離隔観察を基本とすべきところ、両商標の外観上の差異点(例えば、前足の有無等)は、対比観察をもって取引者、需要者にはじめて認識され得る程度の差異であり、取引者、需要者の持つ記憶、印象等に大きな影響を与えるとは考えられず、むしろ、上記共通点により、両商標は、非常に近似した記憶、印象等を与える。
したがって、本件商標と引用商標とを、時と所を異にして、離隔的に観察した場合、両商標は、互いに相紛れるおそれのあるものである。
(イ)次に観念について検討すると、本件商標からは、「パンダ」との観念が生じるところ、引用商標からはいずれも、「パンダ」又は「パンダ・エクスプレス」との観念が生じる。つまり、両商標は、観念を同一にする場合がある。その場合、取引者、需要者は、「パンダ」という観念を手掛かりに、役務の出所を識別するものであるから、本件商標が、その指定役務に使用された場合、引用商標と観念上相紛れるおそれがある。
(ウ)最後に、称呼について検討すると、本件商標からは、「パンダ」又は「ファットパンダ」との称呼が生じるところ、引用商標からは、「パンダ」又は「パンダ・エクスプレス」との称呼が生じる。つまり、両商標は、称呼を同一にする場合がある。また、本件商標から生じる称呼「ファットパンダ」及び引用商標から生じる「パンダ・エクスプレス」についても、本件指定役務の分野において、「パンダ」の語は非常に印象的であるので、両称呼を聴取した取引者、需要者には、称呼中、「パンダ」の称呼部分が、強い響きをもって耳に残る。したがって、「パンダ」「ファットパンダ」「パンダ・エクスプレス」は全て、非常に印象に残る「パンダ」の音を共通にすることにより、称呼全体で近似した印象、連想、記憶等を与える。したがって、これらの称呼は、互いに類似するといえる。
以上を踏まえると、本件商標と引用商標は、称呼上、相紛れるおそれがある。
(エ)以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観、観念、称呼のすべてにおいて相紛れるおそれのある類似の商標である。
エ 指定役務の類否について
本件商標に係る指定役務のうち、第43類「喫茶店における飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,軽食堂における飲食物の提供,セルフサービス式レストランにおける飲食物の提供,コーヒーバー及びジュースバーにおける飲食物の提供,バーにおける飲食物の提供,移動形式のケータリング,居酒屋における飲食物の提供」が、引用商標に係る指定役務である第42類「中華料理を主とする飲食物の提供」又は第43類「飲食物の提供」と同一・類似の関係にある。
オ 審決例
過去の判決、審決において、同一の動物をモチーフにした商標が、外観の細かい差異にもかかわらず、類似と判断された例がある(甲26〜甲29)。
かかる審判決例と本件とは、類否の対象となった二つの商標が、同一の動物をモチーフにした、構成の軌を一つにする商標であるという点において共通している。本件商標と引用商標は、パンダ図形の細部において、その構成を異にするものの、両商標の指定役務の分野における主たる需要者が、その普通に払われる注意力をもって、細部まで正確に観察し、記憶し、想起して役務の出所を識別するとは限らず、商標全体から受ける印象によって役務の出所を識別する場合が少なくないことを考えれば、本件においても同様の判断を希求する次第である。
カ 小括
商標の類否についての判断手法については、最高裁(昭和39年(行ツ)第110号、しょうざん事件、甲30)において判示されている。
ここで、本件商標と引用商標は、外観、観念、称呼のすべてで相紛れるおそれのあるものであることは、上記検討のとおりであり、本件のように、同一の動物をモチーフにして、指定役務との関係において非常に独創的で印象的な図案を採用した商標の場合、これら商標から取引者、需要者が受ける印象、記憶、連想等は、非常に近似したものとなる。
そして、取引者、需要者は、商標全体から受けるこのような近似した印象等をもとに役務の出所を識別することになるのであるが、本件指定役務の分野における主たる需要者が普通に払う注意力が、格別高いわけでないことを考慮すれば、出所につき誤認混同を生じるであろうことは想像に難くない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本号該当性について、商標審査基準に示された要件を本件に当てはめて検討する。
ア 本件商標と申立人商標との類似性の程度について
本件商標と申立人商標は、上述(2)で検討したとおり、外観、観念、称呼の全てにおいて近似しており、商標全体として、非常に近似した商標である。
イ 申立人商標の周知度について
上述(1)で述べたとおり、中華料理のレストランチェーンの分野で、パンダやパンダのロゴといえば、申立人及び申立人傘下のレストランチェーンであると認識されるに至っている。
したがって、本件商標の登録出願時までに、申立人商標が、申立人の業務に係る役務であるレストランチェーンの出所識別標識として、取引者、需要者の間で、広く親しまれていたことは明らかである。
ウ 申立人商標の独創性等について
申立人使用にかかる「パンダ」の語及びパンダのロゴは、レストランチェーンの名称、ブランドとして、非常に印象に残るものであり、独創的である。
エ 申立人商標がハウスマークであるかについて
申立人の使用に係る商標は、申立人レストランチェーンのロゴマークとして使用されており、実質的に、申立人のハウスマークというべきものである。
オ 申立人における多角経営の可能性
本件においては、本件商標に係る指定役務である、上述(2)エで述べた役務(「喫茶店における飲食物の提供」等)と、申立人が、申立人商標を使用するレストランチェーンにおける「飲食物の提供」は、そもそも同一・類似の関係にあるので、当該要件を検討する必要性は特にない。
カ 商品間の関連性、商品等の需要者の共通性について
上述のとおり、本件商標に係る上述(2)エで述べた指定役務(「喫茶店における飲食物の提供」等)と、申立人が、申立人商標を使用するレストランチェーンにおける「飲食物の提供」は、同一・類似するものであり、役務間の関連性は非常に高い。また、本件指定役務の分野における需要者と、申立人の提供に係る役務の需要者は、いずれも、レストラン等において飲食物の提供を受けるものであるので、取引者も共通する。
キ 小括
以上をまとめると、本件商標は、商標審査基準にいう全ての要件において、役務の出所について誤認混同を生じるおそれが肯定される方向にある。また、上述のとおり、申立人は、申立人の名称を始め、申立人傘下のレストランチェーンの名称や慈善団体の名称等において、その出所識別標識として、積極的かつ広範に、「パンダ」の語及び様々な態様のパンダのロゴを使用しているので、例え、本件商標と申立人商標との間に、若干の差異点があるとしても、これらに接した取引者、需要者は、本件商標に係る役務について、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、役務の出所について混同するおそれもある(広義の混同)。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上述のとおり、レストランチェーン業界において、申立人及び申立人役務は、世界中で広く知られるところであり、本件商標の出願人は、本件商標の出願前より、申立人の周知著名商標であるパンダのロゴマーク、並びに、申立人が「パンダ(PANDA)」の語及びパンダをモチーフにした図案を申立人傘下の様々なブランドに使用していたことを知悉していたことは明らかである。
このように、本件商標の出願人が、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用し、申立人が継続して使用する商標と酷似する商標を、自己の「飲食物の提供」等の役務について使用する行為は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)した役務を市場に蔓延させることとなり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた当該周知著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させる。
すなわち、本件商標の出願人は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用することを意図して、本件商標を取得したことは明らかであって、不正の目的をもって使用をするものである。
以上のとおり、申立人の周知著名商標は、申立人の提供に係る役務を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されており、また、本件商標は、申立人の周知著名商標と類似しており、そして、不正の目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
上述のように、申立人の提供に係る役務の出所表示である申立人商標は、「飲食物の提供」に関する取引者、需要者の間で広く知られている。そして、本件商標は、申立人商標と酷似するものである。このような本件商標を、申立人とは何ら関係を有しない他人である本件商標出願人が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗りフリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、申立人の周知著名商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがある。よって、本件商標を不正の目的をもって使用し、申立人商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図があると推認することは至極妥当である。このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するし、また、このような商標の登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものであり、本件商標の出願の経緯は、社会的妥当性を欠くものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標等の周知性について
申立人は、「申立人商標」「申立人の周知著名商標」が我が国及び外国における需要者の間に広く認識されているなどとして、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当する旨主張しているところ、当該「申立人商標」「申立人の周知著名商標」の具体的な態様が明らかではないが、当審は、申立人の主張の全趣旨から、それら「申立人商標」「申立人の周知著名商標」とは、引用商標のほか、a)引用商標と同一の態様からなる商標、b)「Panda(PANDA)」の欧文字からなる商標、c)「パンダ」の片仮名からなる商標(以下、これらをあわせて「引用商標等」という。)をいうものと認め、以下検討する。
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、アジア料理を提供するレストラン「Panda Inn」(パンダ・イン)を1973年に、同じく「Panda Express」(パンダ・エクスプレス)を1983年に、それぞれ米国カリフォルニア州に1号店を出店し、2007年には「Panda Express」の1,000店舗目を出店するとともに、初めて10億米ドルの収益を達成したこと(甲6、甲7)。
(イ)「Panda Express」は、米国において、大学キャンパス、空港、スタジアム、テーマパークなどに出店しており、2011年頃から、メキシコ、グアム、プエルトリコ、カナダ、韓国、ドバイ、日本などに出店し、現在は、世界に2,000店舗前後出店していること(甲6、甲7)。
(ウ)我が国において、「Panda Express」は、2016年に「ラゾーナ川崎プラザ」に1号店をオープンし、現在は、「南町田グランベリーパーク」「三井アウトレットパーク木更津」「パルコシティ」「MIYASHITA PARK」「りんくうプレミアム・アウトレット」など計8か所の大型商業施設に出店していること(甲10、甲12、甲13)、及び、「Panda Express」の出店等について、雑誌、インターネット記事及びYouTubeで紹介等され(甲12〜甲14)、また、外国人向けのインターネット記事でも紹介されていること(甲11)。
(エ)申立人は、「YouTube」「Twitter」などSNSを活用して「Panda Express」の周知を図っており、例えば、facebookアカウントのフォロアーは現在293万人であること(甲15〜甲18)。
イ しかしながら、申立人提出の甲各号証等によれば、我が国において、申立人の業務に係る役務(「Panda Express」における飲食物の提供)について、引用商標2及び3が遅くとも2016年頃から現在まで使用されていること(甲7、甲11〜甲13)は認められるものの、引用商標1、「Panda(PANDA)」及び「パンダ」の文字からなる商標が、本件商標の登録出願の日はもとより登録査定の日以前に使用されていると認められる事実は見いだせない。
また、引用商標と同一の態様からなる商標、「Panda(PANDA)」及び「パンダ」の文字からなる商標が、米国など外国において、本件商標の登録出願の日はもとより登録査定の日以前に使用されていると認められる事実も見いだせない。
さらに、「Panda Express」の我が国又は米国など外国における売上高、来店者数など具体的な営業実績を裏付ける証左は見いだせない。
なお、2007年の収益は10億米ドルと認められるものの、当該実績は10年以上前のものであり、また、申立人は「Panda Express」の来店客数並びにグローバル及び我が国の売上額及び宣伝広告費を主張しているが、それらを裏付ける証左は見いだせないから、かかる人数、金額は採用できない。
ウ 上記ア及びイのとおり、引用商標2及び3については、我が国において、申立人がレストラン「Panda Express」を2016年に出店して以降、現在まで使用していることなどが認められるものの、同レストランの我が国における営業実績を裏付ける証左は見いだせないから、引用商標2及び3は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そして、我が国において、引用商標1、「Panda(PANDA)」及び「パンダ」の文字からなる商標が、また、米国など外国において、引用商標と同一の態様からなる商標、「Panda(PANDA)」及び「パンダ」の文字からなる商標が、本件商標の登録出願の日はもとより登録査定の日以前に使用されていると認められる事実は見いだせず、さらに、「Panda Express」の我が国又は米国など外国における営業実績を裏付ける証左は見いだせないことなどから、引用商標1、引用商標と同一の態様からなる商標、「Panda(PANDA)」及び「パンダ」の文字からなる商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして我が国又は米国など外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
したがって、引用商標等は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして我が国又は米国など外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、上段にパンダの顔の両目部分の黒色の模様、鼻及び口の部分を簡略化して表し、下段に「FATT PANDA」の欧文字を表してなるものであり、その構成中の文字に相応し「ファットパンダ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、二重円の中心部の赤色の円形内に一種のキャラクターを表したものと認識させる態様でパンダの全身を表し、二重円の間に、二つの中点「・」を介し、「PANDA EXPRESS」と「GOURMET CHINESE FOOD」の欧文字を配してなるものであり、その構成中の文字に相応し「パンダエクスプレスグルメチャイニーズフード」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
そして、引用商標1は、その構成中、上部に大きく表された「PANDA EXPRESS」の文字に相応し、「パンダエクスプレス」の称呼も生じるものといえる。なお、該文字も特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2は、別掲3のとおり、赤色の円形内に一種のキャラクターを表したものと認識させる態様でパンダの全身を表してなるものであり、当該図形はパンダを表したものと容易に認識させるものの、キャラクター的に表されていることから、特定の称呼及び観念を生じないものと判断するのが相当である。
(ウ)引用商標3は、別掲4のとおり、二重円の中心部に、一種のキャラクターを表したものと認識させる態様でパンダの全身を表し、二重円の間に、二つの中点「・」を介し、「PANDA EXPRESS」と「CHINESE KITCHEN」の欧文字を配してなるものであり、その構成中の文字に相応し「パンダエクスプレスチャイニーズキッチン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
そして、引用商標3は、その構成中、上部に大きく表された「PANDA EXPRESS」の文字に相応し、「パンダエクスプレス」の称呼も生じるものといえる。なお、該文字も特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、両者は、それらの上記のとおりの外観は構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼についてみると、本件商標から生じる「ファットパンダ」の称呼と引用商標1及び3から生じる「パンダエクスプレスグルメチャイニーズフード」「パンダエクスプレスチャイニーズキッチン」「パンダエクスプレス」の称呼を比較すると、両者の称呼は語調語感が明らかに異なり、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。
また、本件商標と引用商標2とは、前者が「ファットパンダ」の称呼を生じるのに対し、後者が特定の称呼を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標はいずれも特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標と引用商標は、外観において、いずれもパンダ図形が最も顕著に表示されている、いずれも動物のパンダを簡略化・省略化して表現してなるという外観の識別上最も重要と思われる点において構成の軌を一にしている、本件商標と引用商標は「パンダ」の観念及び称呼を共通にするなどとして、本件商標と引用商標は類似の商標である旨主張するとともに、審判決例を提出している。
しかしながら、本件商標と引用商標は、動物の「パンダ」の図形部分が役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとしても、本件商標のパンダの図形部分が顔を簡略化して表されているのに対し、引用商標のパンダの図形部分が一種のキャラクターを表したものと認識される態様で表されているから、両者から受ける視覚的印象が異なり、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、本件商標と引用商標の称呼及び観念は、上記ア及びイのとおり判断するのが相当であり、他に「パンダ」の称呼及び観念を生じるというべき事情は見いだせない。
さらに、申立人提出の審判決例は本件と事案を異にするものであるし、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者・需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって上記判断が左右されるものではない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定役務が類似する役務を含むとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標等の周知性の程度
上記(1)のとおり、引用商標等は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
イ 本件商標と引用商標等の類似性の程度
上記(2)のとおり、本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。そうとすると、本件商標は引用商標と同一の態様からなる商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標ということができる。
さらに、上記(2)アのとおりの構成からなり、「ファットパンダ」の称呼を生じ特定の観念を生じない本件商標と、「パンダ」の称呼及び観念を生じると認められる「Panda(PANDA)」又は「パンダ」の文字からなる商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、引用商標等のいずれとも、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
ウ 出所混同のおそれ
上記(1)のとおり、引用商標等は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、本件商標は引用商標等のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について
上記(1)のとおり、引用商標等は申立人の業務に係る役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標等は相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり、本件商標は引用商標等を連想又は想起させるものでもない。
そうすると、本件商標は、引用商標等の顧客吸引力にただ乗りする及び引用商標等の信用、名声などを毀損するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1)

(色彩は原本参照。)

別掲3(引用商標2)

(色彩は原本参照。)

別掲4(引用商標3)



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異議決定日 2022-02-16 
出願番号 2019169439 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W43)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
馬場 秀敏
登録日 2021-01-27 
登録番号 6345529 
権利者 上海福獅餐飲管理有限公司
商標の称呼 ファットテイパンダ、ファットパンダ 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 長嶺 晴佳 
代理人 杉村 憲司 
代理人 門田 尚也 

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