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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない W0716
管理番号 1383284 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-14 
確定日 2022-03-14 
事件の表示 商願2019−22428拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標と手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおり、「NOMURA」の欧文字を横書きしてなり、第7類「袋詰包装機,袋詰機,穀類選別計量機能付き袋詰機,全自動計量袋詰包装機,真空包装機械,包装用機械器具,食品充填包装機械,食品充填密封機械,食品加工用又は飲料加工用の機械器具,包装用充填機,封かん機,ラベル貼着機,コンベヤ,ロボット(包装用)」及び第16類「ポリエチレン製米包装袋,業務用ポリエチレン製食品包装用袋,プラスチック製包装用袋,紙製包装袋,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製ラベル,段ボール,食品包装用の紙製又は厚紙製包装用容器,紙製のぼり,ラベル印刷機」を指定商品として、平成31年2月7日に登録出願されたものである。
なお、本願は、令和元年11月25日付けで拒絶理由の通知がされ、同2年3月26日受付の意見書により拒絶理由に対する反論がなされ、同日付け手続補足書で、意見書による主張を立証するための証拠が提出されたが、同年6月10日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和2年9月14日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏の一つである『野村』に通じる『NOMURA』の欧文字をややデザイン化して横書きしてなるが、当該文字は、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で表してなる商標であると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和3年7月20日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記第3の通知に対して、令和3年9月3日受付の意見書により、要旨、以下(1)ないし(3)のとおり意見を述べ、同月7日受付の手続補足書により、意見書による主張を証明するための証拠を提出した。
(1)「野村」が我が国において使用される姓氏であることは認められるが、「野村」の人数や世帯数は全国で95位程度と高い順位とはいえず、人数も多いとはいえない。したがって、「野村」は、「ありふれた」氏とは異なる。
(2)本願商標は、デザイン性の高い書体で構成されており、普通に用いられる方法で表されたものでない。
(3)本願の指定商品は、いわゆるコンシューマーグッズとは異なり、取扱い業者は限定されており、本願商標に係る商品は、本願の指定商品の分野の需要者及び取引者の間で広く認識されている。

第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「NOMURA」の文字を欧文字で表してなるところ、構成各文字は、ややデザイン化されているとしても、各種のレタリング文字が広く使用され、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、全体として「N」、「O」、「M」、「U」、「R」、「A」の各文字からなるものと容易に認識できるものであって、格別特異なものともいえないものであるから、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で表してなるものである。
そして、本願商標からは、「ノムラ」の称呼を生じることは明らかであり、「ノムラ」の読みを漢字で表した「野村」の語は、証拠調べ通知書で示した別掲2のとおりの書籍情報やインターネット情報によれば、日本人の姓氏を表示するものであることが認められ、その「野村」姓の者が相当数、存在することも認められる。
また、一般の商取引においては、日本人の姓氏を表記する際に、その読みを欧文字で表記することが、広く一般に行われていることも明らかである。
以上からすると、本願商標は、ありふれた氏である「野村」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「『野村』が我が国において使用される姓氏であることは認められるが、『野村』の人数や世帯数は全国で95位程度と高い順位とはいえず、人数も多いとはいえないから、『野村』は、ありふれた氏とは異なる」旨主張する。
しかしながら、別掲2のとおり、「野村」の文字は、我が国の代表的な国語辞典である広辞苑(第七版)や大辞林(第四版)において「姓氏の一つ。」として紹介されていること、また、「野村」を姓とする者は、全国に多数存在していることは明らかである。
(2)請求人は、「本願商標は、一般的に用いられている書体とは全く異なるデザイン性の高い書体で構成されており、普通に用いられる方法で表されたものでない」旨主張する。
しかしながら、本願商標は、一般的な特定の書体といえるものでないにしても、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で表してなるものであることは、上記1のとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。
(3)請求人は、「本願の指定商品は、いわゆるコンシューマーグッズとは異なり、取扱い業者は限定されており、本願商標に係る商品は、本願の指定商品の分野の需要者及び取引者の間で広く認識されている」旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した全証拠を参照しても、本願商標を、本願の全ての指定商品に、本願商標を使用している事実は、確認することはできない。
また、請求人が本願商標を使用したとする計量包装機は、その商品の内容が明らかではなく、また計量包装機に使用されている商標は、他の文字とともに使用されている等、本願商標と同一の使用例は散見される程度である。
その他、請求人が提出した全証拠を確認しても、商品のパンフレットの発行数量や頒布先、広告宣伝の事実、売上高や市場シェア等が明らかではないことからすると、請求人の取り扱う商品の業者が限定されているとしても、本願商標を本願の指定商品に使用した結果、本願商標が、本願の指定商品の需要者及び取引者の間で広く認識されるものとなったとは認めることができない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4項に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲


別掲1(本願商標)


別掲2(証拠調べ通知書で提示した証拠)
「野村」の文字が、我が国において、ありふれた氏の一つであることについて
(1)書籍情報
ア 「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店)の2294頁の「のむら【野村】」の項に「姓氏の一つ。」との記載がある。
イ 「大辞林第四版」(株式会社三省堂)の2143頁の「のむら【野村】」の項に「姓氏の一。」との記載がある。
ウ 「全国名字大辞典」(株式会社東京堂出版)の556頁及び557頁の「野村【のむら】」の項に、「全国=95位」との記載がある。
エ 「日本人の姓」(六藝書房)の160頁の「順位」、「名字」及び「人数」の欄に、それぞれ「78」、「野村」及び「約一○万」との記載がある。
オ 「姓氏苗字事典」(金園社)の214頁の「野村 ノムラ」の項に、「野村さんは苗字ランク七八位で中国地方を中心に西日本に多い。」との記載がある。
カ 「50音別 個人名 ハローページ東京都23区全区版 下(1996.3〜1997.2)」(日本電信電話株式会社)の82頁ないし87頁に、「野村」の姓の者が2,737名掲載されている。
(2)インターネット情報
ア 「姓名分布&姓名ランキング 写録宝夢巣/名前・苗字・名字」のウェブサイトにおいて、「検索条件 姓:野村」の見出しの下、「地域」、「順位」及び「件数」の欄に、それぞれ「全国」、「99」及び「34,369」の記載がある。
(https://www2.nipponsoft.co.jp/bldoko/index.asp)
イ 「同姓同名辞典(同姓同名検索・苗字ランキング・名前ランキング)」のウェブサイトにおいて、「全国苗字ランキング(1位〜100位)」の見出しの下、「順位」、「苗字」及び「件数」の欄に、それぞれ「96」、「野村」及び「43576」の記載がある。
(http://www.douseidoumei.net/00/sei01.html)
ウ 「名字由来net」のウェブサイトにおいて、「全国名字ランキング」の見出しの下、「全国名字ランキング(1〜500位)」の項において、「順位」「名字」及び「人数」の欄に、それぞれ「97位」、「野村」及び「およそ184,000人」の記載がある。
(https://myoji-yurai.net/prefectureRanking.htm)
エ 「全国の苗字(名字)12万種」のウェブサイトにおいて、「検索」欄に「野村」を入力し「検索」を押下すると「順位」、「苗字」及び「世帯数」の欄に、それぞれ「97」、「野村」及び「45463」の記載がある。
(http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/index40.html)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
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審理終結日 2021-12-27 
結審通知日 2022-01-05 
審決日 2022-01-28 
出願番号 2019022428 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (W0716)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 青野 紀子
豊田 純一
商標の称呼 ノムラ 
代理人 高橋 菜穂恵 
代理人 有原 幸一 
代理人 奥山 尚一 
代理人 松島 鉄男 
代理人 小川 護晃 

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