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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1382544 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-22 
確定日 2022-01-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6374573号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6374573号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6374573号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,令和2年10月27日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として,同3年3月3日に登録査定され,同年4月7日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,引用する商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5300448号商標(以下「引用商標1」という。)は,「KAO」の欧文字を標準文字により表してなり,平成21年6月10日に登録出願,第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつげ用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」を含む,第1類,第5類,第10類,第11類,第16類,第21類,第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同22年2月12日に設定登録されたものである。
(2)登録第3027307号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成4年9月28日に登録出願,第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリ―ム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として,同7年2月28日に設定登録されたものである。
また,引用商標2には,第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とする防護標章登録第1号が平成12年1月21日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
以下,上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは,「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当するため,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
申立人は,1940年5月に設立され,資本金854億円,従業員数8112人(連結対象会社合計 3万3409人)(甲4の1),本社を含めた国内事業場を4か所,工場10か所,研究所4か所,研修所1か所を有し(甲4の2),申立人のグループ会社は国内に9社存在し,海外においては,アジア・オセアニア地域に30社,北米・中南米地域に8社,ヨーロッパ・アフリカ地域に26社を有しており,100以上の国と地域に商品販売を行うグローバル企業である(甲4の3〜5)。
また,申立人の英文社名は「Kao Corporation」であって海外におけるグループ会社の社名には,名称に「Kao」が冠されている(甲4の3〜5)。
ア 申立人の事業内容について
申立人の事業は,一般消費者に向けたコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業とがあり,コンシューマープロダクツ事業では,洗濯用・住居用洗剤や生理用品,おむつなどを展開する「ハイジーン&リビングケア事業」,スキンケア製品及びメイクアップ製品を展開する「化粧品事業」,ハンドソープ,洗顔料,ヘアケア製品,入浴剤及び歯磨き等を展開する「ヘルス&ビューティケア事業」,飲料や業務用洗剤などを展開する「ライフケア事業」の4つの事業分野を主に展開する(甲4の6)。
イ 2020年12月期における申立人の売上高は,1兆3820億円であり(甲4の6),売上げの8割以上が,「化粧品,せっけん類」等を中心としたコンシューマープロダクツ事業によるものであり,コンシューマープロダクツ事業の売上げは1年間で約1兆1千億円にのぼる。
(2)「KAO」の周知・著名性について
ア 登録第3027307号の防護標章登録第1号(甲5)
上記防護標章登録は引用商標2を原登録商標とする防護標章登録であって,全区分の商品及び役務(法区分 平成8年法)について登録されている。
イ 申立人は,「KAO」を含む他人の登録商標に対して,異議申立又は無効審判を行っており,その際に「KAO」は,申立人の商標として周知・著名性が認められている(甲6,甲7)。
ウ 特許情報プラットフォーム「J−PlatPat」の「日本国周知・著名商標検索」において「KAO」を検索すると,引用商標1「KAO」及び引用商標2「Kao」,登録第526157号「KAO」が検索される(甲8)。
(3)本件商標と引用商標の類似性について
ア 本件商標は,図形部分と文字部分とが外観上完全に分離された構成であり,特徴的な図形部分と文字「KAOSARA」とは,何ら観念上の繋がりもないことから,図形部分と文字部分とがそれぞれ分離され,先行商標との類否が判断される。
そして,本件商標の文字部分「KAOSARA」の語頭を含む前半部には,周知・著名商標である引用商標1「KAO」と同一の「KAO」が含まれ,後半部の「SARA」部分から生ずる称呼「サラ」は,「さら【皿・盤】1(「1」は丸付き数字。)食物を盛る平たく浅い器。」,「さら【更】いうまでもない。もちろん。」,「さら【新・更】1(「1」は丸付き数字。)新しいこと,また,そのもの。2(「2」は丸付き数字。)名詞の上に付けて,そのものが新しいことを表す。」,「さら【沙羅】ナツツバキの別称。」(甲9)等,種々の意味合いを有する言葉として知られているところであり,本件商標の「KAOSARA」の文字に接する取引者・需要者は,本件商標の「KAOSARA」について,「KAO」と「SARA」からなる結合商標として判断する。
イ 他方,引用商標は,本件商標の指定商品である「化粧品,せっけん類」に関し,取引者・需要者間に広く認識されている周知・著名商標であって,「KAO」が取引者・需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
ウ そうすると,本件商標の「KAOSARA」からは,前半部の「KAO」が後半部の「SARA」と分離観察され,「KAOSARA」からは「カオサラ」の称呼のほか,後半部の「SARA(サラ)」が省略されて,「カオー」の称呼をも生ずるものであり,引用商標は,「KAO」及び「Kao」の文字からなり,「カオー」の称呼が生ずる。
したがって,本件商標と引用商標は,「カオー」という称呼を共通にする類似する商標である。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,前半部分に申立人の引用する周知・著名商標「KAO」を含み,この部分が,取引者・需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,本件商標からは,前半部分の「KAO」が分離観察されるものである。
そして,本件商標は,構成中の「KAO」から「カオー」単独の称呼が生じ,引用商標から生ずる「カオー」と同一の称呼が生じるものであるから,両者は,取引者・需要者をして彼此誤認混同を生ずるおそれのある類似する商標であり,本件商標は,引用商標の指定商品と同一の商品を指定するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,引用商標と類似する商標であって,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知・著名であること,引用商標は申立人のハウスマークであること,申立人は,多角経営を行っている。
したがって,本件商標は,他人(申立人)の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第10号について
「KAO」が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に周知・著名商標であることは明らかであり,本件商標は申立人の引用商標と類似する商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は,他人(申立人)の著名な略称である「KAO」を含む商標であって,申立人の承諾を得ているものではないから,商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人について
申立人は,1940年5月に設立されたコンシューマープロダクツ事業及びケミカル事業を行う会社であり,資本金854億円,従業員数8,112人(連結対象会社合計 3万3409人)(甲4の1),本社を含めた国内事業場を4か所,工場10か所,研究所4か所,研修所1か所を有し(甲4の2),申立人のグループ会社は国内に9社存在し,海外においては,アジア・オセアニア地域に30社,北米・中南米地域に8社,ヨーロッパ・アフリカ地域に26社を有している(甲4の3〜5)。
そして,申立人の事業のうち,コンシューマープロダクツ事業では,「ハイジーン&リビングケア事業」,「化粧品事業」,「ヘルス&ビューティケア事業」,「ライフケア事業」の4つの事業分野を主に展開し(甲4の6),2020年12月期における申立人の売上高は,1兆3820億円であり(甲4の6),売上げの8割以上が,「化粧品,せっけん類」等を中心としたコンシューマープロダクツ事業によるものであり,コンシューマープロダクツ事業の売上げは1年間で約1兆1千億円にのぼる。また,申立人の海外におけるグループ会社の英文社名には,「Kao(China)Holding Co.,Ltd.」,「Kao Corporation Shanghai」,「Kao(Hong Kong)Ltd.」,「Kao Industrial(Thailand)Co.,Ltd.」,「Kao Australia Pty.Limited」,「Kao Canada Inc.」,「Kao USA Inc.」,「Kao do Brasil Representacao Comercial Ltda.」,「Kao Finland Oy」,「Kao Germany GmbH」,「Kao Netherlands B.V.」,「Kao(UK)Limited」等のように語頭に「Kao」の文字が付されているものもある(甲4の3〜5)。
(2)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)本件商標の登録査定後の申立人のウェブサイトの写し(2021年6月21日出力)(甲4の1〜6)には,その上部中央に引用商標2と同様の書体でデザイン化した「Kao」の文字及び擬人化した月の図形の表示の下,「事業分野」のページ(甲4の6)には,5つの事業(「ハイジーン&リビングケア事業」,「化粧品事業」,「ヘルス&ビューティケア事業」,「ライフケア事業」,「ケミカル事業」)ごとに,申立人の業務に係る商品(洗たく用洗剤,食器用洗剤,シャンプー,ハンドソープ,化粧品など)の画像が掲載されている。
(イ)申立人は,引用商標2を原登録商標とする,第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務について防護標章登録を受けている(甲5)。
イ 上記アによれば,申立人は,自社のホームページの上部中央に引用商標2と同様の書体でデザイン化した「Kao」の文字及び擬人化した月の図形を表示して,申立人の業務に係る商品の画像を掲載していること,そして,引用商標2を原登録商標とする防護標章登録が存在することから,これらと同様にデザイン化した「Kao」の文字が擬人化した月の図形とともに使用され,申立人の商標としてある程度知られていることがうかがえるものの,通常の書体で表した「KAO」の文字(引用商標1)が単独で商品について使用されている事例は見いだせないうえ,引用商標を使用した申立人の業務に係る商品についての販売数量,売上高,市場シェアなどの販売実績や広告宣伝の方法等,その周知性を客観的に判断するための具体的な証拠の提出はないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
そのほか,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間で,申立人の業務に係る商品を表示するもの,又は申立人の名称の略称として広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって,申立人から提出された証拠によっては,引用商標が,我が国において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認めることができないものであり,かつ,「KAO」の文字が申立人の著名な略称ということもできない。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,うすい青色又は紺色で塗りつぶされた大小多数の水滴形状から構成される図形を上下左右対称的に菱形状に配した図形の下に「KAOSARA」の欧文字を横書きした構成からなるところ,当該図形部分と文字部分とは,視覚上分離して看取されるものであって,これらの間に称呼及び観念上のつながりは認められない。
そうすると,本件商標は,その構成中の「KAOSARA」の文字部分も独立して,需要者,取引者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから,当該文字部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
そして,本件商標の構成中の「KAOSARA」の文字部分は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔で,外観上まとまりよく一体的にバランスよく構成されているものであって,また当該文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,本件商標からは「カオサラ」の称呼を生じるものとみるのが相当であって,その称呼は,格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに,上記(2)イのとおり,「KAO」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,他に本件商標の構成中「KAO」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りるべき事情も見いだせない。
してみれば,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「KAO」の文字部分に着目することはなく,本件商標の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「カオサラ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,過去の審決例を挙げ,本件商標からは,前半部分の「KAO」が分離観察される旨主張しているが,本件商標中の構成文字部分は,外観上まとまりよく一連一体に表されているものであり,かかる構成態様から「KAO」の部分のみを分離抽出して認識・把握されるものではないことは,上記のとおりである。
したがって,本件商標の構成より,「KAO」部分が分離抽出されることを前提とする申立人の主張は,採用することができない。
イ 引用商標について
上記2(1)のとおり,引用商標1は,「KAO」の文字を標準文字により表してなり,引用商標2は,別掲2のとおり,デザイン化した「Kao」の欧文字を横書きしてなるところ,これらの文字は一般的な辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,引用商標はその構成文字に相応して「カオ」の称呼を生じるものである。
したがって,引用商標は「カオ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,両商標は,外観において,「KAO」(「Kao」)のつづりが共通するとしても,「SARA」の文字の有無及び文字のデザイン化の有無という明らかな差異があることから,外観上,いずれも判然と区別し得るものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「カオサラ」の称呼と,引用商標から生じる「カオ」の称呼とは,後半部における「サラ」の音の有無という明らかな差異を有し,4音と2音という比較的短い音構成において,該差異音が称呼全体に与える影響は大きいから,両者をそれぞれ一連に称呼するときは,いずれも明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念は生じないものであるから比較することはできない。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観においては判然と区別し得るものであり,称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,これらの商標は,いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は,上記(2)イのとおり,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであって,また,上記(3)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,いずれも非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性について
引用商標は,上記(2)イのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標とは,上記(3)ウのとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,いずれも別異の商標というべきものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とが関連性を有する場合があるとしても,上記アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,また,上記イのとおり,本件商標と引用商標とは,いずれも非類似のものであって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
「KAO」の文字は,上記(2)イのとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の名称の略称として著名となっていたと認めることはできない。
そうすると,本件商標は,その構成中に「KAO」の文字を含むとしても,本件商標を申立人の略称を含むものと認識し,把握されることはなく,他人の著名な略称を含む商標であるとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(7)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第8号,同項第10号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

別掲1 本件商標(色彩は,原本参照。)


別掲2 引用商標2(登録第3027307号商標)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-01-19 
出願番号 2020132739 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 須田 亮一
鈴木 雅也
登録日 2021-04-07 
登録番号 6374573 
権利者 株式会社かがやくコスメ
商標の称呼 カオサラ 
代理人 仲村 圭代 
代理人 大木下 香織 
代理人 和田 阿佐子 
代理人 小野 博喜 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 羽切 正治 

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