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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1382530 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-01-22 
確定日 2022-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第6012048号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6012048号商標(以下「本件商標」という。)は、「TONE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年3月23日に登録出願、第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベルト及びズボンつりの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品(「カフスボタン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同年12月7日に登録査定、同30年1月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年2月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年2月10日から令和3年2月9日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第6012048号商標の指定役務中、第35類『かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベルト及びズボンつりの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品(「カフスボタン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』(以下「請求に係る指定役務」という。)についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、請求書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証について
業務委託契約書の日付は平成29年(2017年)4月13日である。この日付は、本件審判請求の登録日である令和3年(2021年)2月10日より3年以上前であるため、要証期間外である。また、被請求人は、答弁書で「2017年4月13日以降、今日に至るまで」と主張しているが、そのような継続性を裏付ける証拠は提出されていない。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、「ファッション通販ZOZOTOWNのトップページ」とされるものである。ここから確認できる日付は、右下に印字された数字の2021/03/24のみである。これは本件審判請求の登録日より後の日付であるため、要証期間外である。また、1枚目には「アナログ腕時計」の表示とともに腕時計の写真が掲載されているが、「腕時計」は請求に係る指定役務には含まれていない。したがって、乙第3号証は、本件商標の使用には当たらない。
(3)乙第4号証の1ないし乙第4号証の6について
乙第4号証の1ないし乙第4号証の6は、「ZOZOTOWN内の株式会社TKW(以下「TKW」という。)が運営する『TONE』における商品のサイト」とされるものである。上記同様、ここから確認できる日付は右下に印字された数字の2021/03/24のみであって、いずれの証拠も要証期間外である。また、被請求人はこれらの証拠について「TKWが運営する『TONE』における商品サイト」と説明しているが、乙第4号証の1ないし乙第4号証の6のいずれにおいてもTKWの名称及び住所等の記載は一切出てこない。そのため、TKWによる使用はもとより誰による使用か明らかではなく、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用した事実は立証出来ていない。したがって、乙第4号証の1ないし乙第4号証の6は、本件商標の使用には当たらない。
(4)まとめ
上記のとおり、提出された証拠からは、被請求人が主張する本件商標の使用の事実は立証されていない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人が100%株主であり、現在、代表取締役に就任しているTKW(乙1の1、2)は、平成29年(2017年)4月13日、株式会社スタートトゥデイ(以下「ST」という。なお、答弁書の「株式会社ファーストトゥディ」の記載は、証拠等からみて誤記と認められる。)と業務委託契約を締結し(乙2)、STが運営する仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」(乙3)内に「TONE」という名称のショップ(以下「本件ショップ」という場合がある。)の運営を開始した。
また、被請求人はTKWに対して、TKWが本件ショップの運営を開始した当時から、本件商標の使用を許諾しており、TKWは、本件ショップの名称として本件商標を使用している。
2 STが運営する仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」内において、TKWが運営する本件ショップでは、かばん類(乙4の1)、袋物(乙4の2)、ベルト(乙4の3)、被服(乙4の4)、身飾品(乙4の5)、履物(乙4の6)を販売しており、本件ショップを利用する顧客に対して上記商品を販売している。
3 したがって、本件商標は、平成29年(2017年)4月13日以降、今日に至るまで、本件商標の通常使用権者であるTKWにおいて、本件ショップの名称として使用し、本件ショップにおいて、かばん類、袋物、ベルト、被服、身飾品、履物を販売していることから、要証期間に、本件商標の通常使用権者が、日本国内において、請求に係る指定役務に関して本件商標を使用していたことは明らかである。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和3年6月17日付け審尋において、「被請求人提出の証拠及び主張からは、TKWの代表取締役が商標権者であること(乙1)、本件商標『TONE』は、仮想ショッピングサイト『ZOZOTOWN』に出店しているショップの名称であり、当該ショップの運営会社がTKWであること(乙2、乙3)、仮想ショップ『TONE』において、バッグ、ポーチ、ベルト、トップス、アクセサリー、シューズ(以下「本件取扱商品」という。)の各種商品がカテゴリー別に掲載され、販売されていること(乙4)は確認できる。しかしながら、提出された証拠からは、仮想ショップ『TONE』において、要証期間に、例えば本件商標を表示して本件取扱商品を掲載していたことが明らかでないなど、本件商標を使用して、本件取扱商品の小売等役務が提供されていた事実が確認できない。そのため、被請求人が、要証期間に、本件商標を請求に係る指定役務について使用したことを証明したものと認めることができない。」旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年5月18日付けの審判事件弁駁書に対する回答を求めた。

第5 審尋に対する回答
1 合議体の暫定的見解について
(1)合議体の暫定的見解によれば、被請求人の提出した証拠から、仮想ショップ「TONE」において、要証期間に、本件商標を使用して、本件取扱商品の小売等役務が提供されていた事実が確認されないとのことである。
(2)そこで、被請求人は、要証期間内に仮想ショップ「TONE」において本件取扱商品(シューズは除く。)を販売していることを示す証拠(乙5の1〜乙5の3)を提出する。乙第5号証の1ないし乙第5号証の3は、アメリカの非営利団体「インターネットアーカイブ」が提供しているデータ閲覧サービス「ウェイバックマシン」をもって探索した、仮想ショップ「TONE」において、以下の日時に、アクセサリー、トップス、ポーチ、トップス、アクセサリー、バッグ、ポーチ、ベルト、アクセサリー、バッグ、ポーチ、トップスを掲載して販売していたことを示すものである。
ア 令和3年1月22日
イ 令和2年1月26日
ウ 令和元年9月25日
(3)また、仮想ショップ「TONE」では、令和2年5月1日から同月31日までの間に、アクセサリー、シューズ、トップス、バッグ、ポーチを販売しており(乙6の1)、令和2年1月1日から令和3年2月1日の間に、シューズを販売している(乙6の2)。
乙第6号証の1、乙第6号証の2は、「ZOZOTOWN」に出店している運営者が、「ZOZOTOWN」内に出店している店舗における、掲載日、販売日、商品等を検索、閲覧できる管理サイトを示すものであり、仮想ショップ「TONE」において、上記期間中、本件取扱商品が掲載、販売されている実績が確認できるものである。
(4)以上より、被請求人が、仮想ショップ「TONE」において、要証期間中、本件商標を使用して、本件取扱商品の小売等役務を提供していたことは明らかである。
2 令和3年5月18日付け弁駁書について
(1)請求人は、被請求人が提出した乙第2号証ないし乙第4号証の6について、要証期間中、本件商標を使用して、本件取扱商品の小売等役務を提供していないと主張するが、上記1で述べたとおり、要証期間中、仮想ショップ「TONE」において、本件商標を使用して、本件取扱商品の小売等役務を提供していたことは明らかである(乙第5号証の1〜乙6号証の2)。
(2)また、請求人は、乙第4号証の1ないし乙第4号証の6において、TKWの名称及び住所等の記載が一切でてこないと主張するが、STとTKWとの間で締結した業務委託契約書(乙2)で明らかなとおり、TKWは、STが運営する仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」において、「TONE」を運営することを認められており、乙第4号証の1ないし乙第4号証の6が仮想ショップ「TONE」のサイトであることからすれば、TKWが運営している仮想ショップ「TONE」のサイトであることは明らかである。

第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)TKWの閉鎖事項全部証明書(乙1の1)及び履歴事項全部証明書(乙1の2)によれば、同社の会社成立は「平成29年4月3日」、本店住所は令和1年7月18日に「東京都清瀬市松山二丁目15番7号」から「東京都新宿区大京町28番1号」に移転、目的は「(1)紳士服、婦人服その他各種衣料品の企画、制作、購入、販売、(2)洋品雑貨及び装身具の企画、制作、購入、販売、(3)かばん、袋物の企画、制作、購入、販売」等、代表取締役は平成30年5月31日までは「高田健太」氏、平成30年6月1日からは「鎌田俊弘」氏(氏名及び住所ともに被請求人と同一)である。
(2)STとTKWとの間の平成29年4月13日付け業務委託契約書(乙2)には、以下の記載がある。
第1条(総則)には、TKWがSTに対し、STにより運営されている仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」(以下「本サイト」という場合がある。)におけるTKWの取扱商品(以下「本件商品」という。)の販売業務及びこれに関連するサービス業務(以下「本件業務」という。)をSTに委託し、STがこれを受託することに関して、本契約を締結する、とある。
第2条(本件業務)第1項には、STは、ショップページを通じて本件商品の注文・問い合わせ等があった場合には、当該顧客との間で本件商品の送付、回収、代金の決済その他本件業務に必要な手続をTKWに代わって行うものとする、とある。
第9条(ショップページ・管理ページの開設・管理等)第1項には、STは、ショップページ及び管理ページを開設すると共に、本サイトのためにSTが管理する又は第三者に委託するサーバ内の管理ページにアクセスするために必要となるUser ID及びパスワードをTKWに発行する、とある。
第24条(契約期間)には、本契約の有効期間は、契約締結日から2年間とする、但し、期間満了の3ケ月前までに、ST又はTKWの何れからも書面による解約の意思表示がない限り、更に1年間延長されるものとし、以後も同様とする、とある。
第29条(特約)には、本サイトに出店している仮想ショップ「TONE」の運営会社が、有限会社ケイティーシーからTKWへ変更されることにより、STとTKWが本契約を締結することを確認する、とある。
カ 契約当事者であるTKWの住所には「東京都清瀬市松山2−15−7梅原ビル1F」と、同代表取締役には「高田健太」氏と表示されており、これは、TKWの閉鎖事項全部証明書(乙1の1)(上記(1)の認定事実)と整合する。
キ 上記アないしカによれば、STにより運営されている仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」に出店している仮想ショップ「TONE」の運営会社はTKWであり、TKWはSTに対し、顧客との間での商品の送付、回収、代金の決済等の業務を委託しているものと認められる。また、STは、サーバ内の管理ページ(以下「管理サイト」ともいう。)にアクセスするために必要となるUser ID及びパスワードをTKWに発行したものと認められる。
(3)ファッション通販「ZOZOTOWN」のウェブサイト(乙3)には、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)のご紹介」として、「ZOZOTOWNではトップス・パンツ・ワンピースなど最新トレンドアイテムをオンラインでご購入いただけます。ZOZOは8224ブランドの人気アイテムを公式に取扱うファッション通販サイトです!」と表示されている。当該証拠は2021年3月24日に印刷されたものである。
(4)「ZOZOTOWN」内でTKWが運営する仮想ショップ「TONE」のウェブサイト(乙4の1〜乙4の6)は、各種バッグ(ショルダーバッグ、トートバッグ、バックパック/リュック、ボストンバッグ等)、各種財布/小物(財布、コインケース、札入れ/マネークリップ、名刺入れ、ポーチ、ハンカチ/ハンドタオル等)、各種ファッション雑貨(ベルト、サングラス、ストール/ショール、マフラー等)、各種トップス(Tシャツ/カットソー、シャツ/ブラウス、ビジネスシャツ、ポロシャツ等)、各種アクセサリー(ネックレス、リング、ピアス、イヤリング、ブレスレット、ブローチ/コサージュ等)及び各種シューズ(スニーカー、サンダル、パンプス、ブーツ等)などの商品カテゴリー別に表示ができ、また、対象商品の「性別(メンズ、レディース、キッズ)」での表示、「人気順」での表示、カラーで絞り込んでの表示なども可能である。また、各商品カテゴリーには、その冒頭に「TONEのバッグ(メンズ)」(乙4の1)、「TONEのポーチ(メンズ)」(乙4の2)、「TONEのベルト(メンズ)」(乙4の3)、「TONEのトップス」(乙4の4)、「TONEのアクセサリー(メンズ)」(乙4の5)、「TONEのシューズ(メンズ)」(乙4の6)、の表示ととともに、当該商品の写真と金額等が表示されている。当該証拠は2021年3月24日に印刷されたものである。
(5)アメリカの非営利団体「インターネットアーカイブ」が提供しているデータ閲覧サービス「ウェイバックマシン」で検索した、「ZOZOTOWN」内でTKWが運営する仮想ショップ「TONE」のウェブサイト(乙5の1〜乙5の3)には、以下の記載がある。
ア 乙第5号証の1には、URLが「https:web.archive.org/web/20210122105344/https//zozo.jp/shop/tone」と表示され、アクセサリー、トップス、ポーチ等の写真が金額とともに表示されている。そして、上記(4)と同様に、商品カテゴリー別に表示ができ、また、対象商品の「性別(メンズ、レディース、キッズ)」での表示、「人気順」での表示、カラーで絞り込んでの表示なども可能である。また、当該ウェブサイトの冒頭には、太字で表された「TONE」の表示(以下「使用商標」という。)がある。
イ 乙第5号証の2には、URLが「https:web.archive.org/web/20200626144355/https//zozo.jp/shop/tone」と表示され、トップス、アクセサリー、バッグ、ポーチ等の写真が金額とともに表示されている。そして、上記(4)と同様に、商品カテゴリー別に表示ができ、また、対象商品の「性別(メンズ、レディース、キッズ)」での表示、「人気順」での表示、カラーで絞り込んでの表示なども可能である。また、当該ウェブサイトの冒頭には、使用商標の表示がある。
ウ 乙第5号証の3には、URLが「https:web.archive.org/web/20190925180103/https//zozo.jp/shop/tone」と表示され、ベルト、アクセサリー、バッグ、ポーチ、トップス等の写真が金額とともに表示されている。そして、上記(4)と同様に、商品カテゴリー別に表示ができ、また、対象商品の「性別(メンズ、レディース、キッズ)」での表示、「人気順」での表示、カラーで絞り込んでの表示なども可能である。また、当該ウェブサイトの冒頭には、使用商標の表示がある。
エ 上記アないしウ及び被請求人の主張によれば、「ZOZOTOWN」内でTKWが運営する仮想ショップ「TONE」において、令和3年1月22日にアクセサリー、トップス、ポーチ等、令和2年6月26日にトップス、アクセサリー、バッグ、ポーチ等、令和元年9月25日にベルト、アクセサリー、バッグ、ポーチ、トップス等の商品が、使用商標の表示のもと、各種のカテゴリー別での表示が可能な状態で掲載され販売されていたことが認められる。
(6)「ZOZOTOWN」内でTKWが運営する仮想ショップ「TONE」の管理サイトの検索結果(乙6)には、以下の記載がある。
ア 令和2年5月1日から同月31日までの間の検索結果(乙6の1)には、アクセサリー、サンダル、トップス、バッグ、ポーチ等が販売されていた旨の表示がある。
イ 令和2年1月1日から令和3年2月1日での間の「シューズ」に絞った検索結果(乙6の2)には、サンダルやブーツが販売されていた旨の表示がある。
ウ 上記ア及びイによれば、「ZOZOTOWN」内でTKWが運営する仮想ショップ「TONE」において、令和2年5月に、アクセサリー、サンダル、トップス、バッグ、ポーチ等が実際に販売されていたこと、令和2年1月1日から令和3年2月1日での間に、サンダルやブーツが実際に販売されていたことが認められる。
(7)上記(1)ないし(6)を勘案すれば、遅くとも2019年(令和元年)9月25日から現在(少なくとも2021年(令和3年)3月24日)まで(以下「使用期間」という。)継続して、TKWが運営する仮想ショップ「TONE」のウェブサイト上で、「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベルトの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品(「カフスボタン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「使用役務」という。)が行われていたことが認められる。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」内の仮想ショップ「TONE」(乙5の1〜乙5の3)の冒頭中央において太字で表示された「TONE」の文字(使用商標)と標準文字で表された本件商標「TONE」とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用役務
上記1(7)のとおり、仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」内の仮想ショップ「TONE」のウェブサイト上で使用役務が提供されていたことが認められるところ、当該使用役務は、請求に係る指定役務中の第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベルトの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品(「カフスボタン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と認められる。
(3)使用時期
上記1(7)のとおり、使用期間に継続して、TKWが運営する仮想ショップ「TONE」において、使用役務の提供が行われていたことが認められるところ、当該使用期間は、要証期間を含むものである。
(4)使用者
平成29年4月13日付け業務委託契約書(乙2)によれば、仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」に出店している仮想ショップ「TONE」の運営会社はTKWである。
そして、履歴事項全部証明書(乙1の2)によれば、TKWの代表取締役は被請求人(本件商標権者)であり、両者は極めて緊密な関係がある上、被請求人(本件商標権者)は、TKWによって本件商標が使用されていることを認識できているにもかかわらず、それに対する異議を述べていない。
以上を総合判断すれば、被請求人(本件商標権者)は、TKWが本件商標を使用することについて黙示の許諾を与えているものと推認できる。
そうすると本件商標の使用者は、TKWであり、同社は本件商標の通常使用権者と認められる。
(5)使用行為
仮想ショッピングサイト「ZOZOTOWN」内の仮想ショップ「TONE」で使用商標が表示され、使用役務が提供されていた行為(乙5)は、「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(商標法第2条第3項第7号)が行われていたものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務の範ちゅうである、第35類「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ベルトの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品(「カフスボタン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を、インターネットにより映像面を介して提供するに当たり、その映像面に本件商標と社会通念上同一の商標を表示して提供する行為をしていたことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の通常使用権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-11-11 
結審通知日 2021-11-16 
審決日 2021-11-30 
出願番号 2017039651 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2018-01-19 
登録番号 6012048 
商標の称呼 トーン、トネ 
代理人 特許業務法人 丸山国際特許事務所 
代理人 野口 隆一 

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