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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W010320212535
管理番号 1381830 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-15 
確定日 2022-01-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6321305号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6321305号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6321305号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年11月1日に登録出願、第1類、第3類、第20類、第21類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年11月20日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下の1ないし3(以下、これらを「11号引用商標」という場合がある。)であり、現に有効に存続しているものである。
また、本件商標は、申立人がその業務に係る被服等の商品に使用して周知であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、以下の4ないし29(以下、これらを「使用商標」という場合がある。)である。
1 登録第5848449号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成27年7月28日
設定登録日:平成28年5月13日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
2 登録第5906738号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成28年4月19日
設定登録日:平成28年12月16日
指定商品及び指定役務:第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第26類、第28類、第34類、第35類、第41類及び第45類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
3 登録第6057814号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成29年10月20日
設定登録日:平成30年6月29日
指定商品及び指定役務:第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第14類、第15類、第16類、第17類、第19類、第20類、第21類、第22類、第23類、第24類、第26類、第29類、第30類、第31類、第32類、第34類、第35類、第36類、第37類、第39類、第40類、第41類、第42類、第43類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
4 登録第5848449号商標(以下「使用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成27年7月28日
設定登録日:平成28年5月13日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
5 登録第5906738号商標(以下「使用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成28年4月19日
設定登録日:平成28年12月16日
指定商品及び指定役務:第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第26類、第28類、第34類、第35類、第41類及び第45類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
6 登録第6184639号商標(以下「使用商標3」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:令和元年6月27日
設定登録日:令和元年9月27日
指定商品及び指定役務:第4類、第5類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第14類、第15類、第16類、第20類、第21類、第25類、第28類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
7 登録第1903251号商標(以下「使用商標4」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:昭和59年7月13日
設定登録日:昭和61年10月28日
書換登録日:平成18年11月8日
指定商品:第20類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載の商品
8 登録第4199360号商標(以下「使用商標5」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成9年2月17日
設定登録日:平成10年10月16日
指定商品:第18類に属する商標登録原簿記載の商品
9 登録第4237213号商標(以下「使用商標6」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成9年2月17日
設定登録日:平成11年2月5日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
10 登録第4241798号商標(以下「使用商標7」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成9年9月22日
設定登録日:平成11年2月19日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
11 登録第4241800号商標(以下「使用商標8」という。)
商標の構成:別掲7のとおり
登録出願日:平成9年9月22日
設定登録日:平成11年2月19日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
12 登録第4654372号商標(以下「使用商標9」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成14年2月28日
設定登録日:平成15年3月20日
指定商品及び指定役務:第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類、第26類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
13 登録第5167561号商標(以下「使用商標10」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成19年4月9日
設定登録日:平成20年9月19日
指定役務:第35類に属する商標登録原簿記載の役務
14 登録第5167732号商標(平成19年4月9日に登録出願された商願2007−34304に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)。以下「使用商標11」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成20年2月28日
設定登録日:平成20年9月19日
指定役務:第35類に属する商標登録原簿記載の役務
15 登録第5169652号商標(以下「使用商標12」という。)
商標の構成:別掲8のとおり
登録出願日:平成20年2月28日
設定登録日:平成20年9月26日
指定商品:第9類に属する商標登録原簿記載の商品
16 登録第5477261号商標(以下「使用商標13」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成23年10月12日
設定登録日:平成24年3月9日
指定商品:第16類及び第28類に属する商標登録原簿記載の商品
17 登録第5570629号商標(以下「使用商標14」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成24年10月25日
設定登録日:平成25年3月29日
指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載の商品
18 登録第5588984号商標(以下「使用商標15」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成25年1月9日
設定登録日:平成25年6月7日
指定商品:第4類、第14類、第21類及び第34類に属する商標登録原簿記載の商品
19 登録第5718496号商標(以下「使用商標16」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年6月23日
設定登録日:平成26年11月14日
指定商品:第16類に属する商標登録原簿記載の商品
20 登録第5718621号商標(以下「使用商標17」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月23日
設定登録日:平成26年11月14日
指定役務:第35類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿記載の役務
21 登録第5736886号商標(以下「使用商標18」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年7月24日
設定登録日:平成27月1日30日
指定商品:第9類に属する商標登録原簿記載の商品
22 登録第5757314号商標(以下「使用商標19」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年11月20日
設定登録日:平成27年4月10日
指定商品:第26類に属する商標登録原簿記載の商品
23 登録第5800466号商標(平成26年7月24日に登録出願された商願2014−61990に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)。以下「使用商標20」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年1月5日
設定登録日:平成27年10月16日
指定役務:第41類に属する商標登録原簿記載の役務
24 登録第5800599号商標(以下「使用商標21」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年5月14日
設定登録日:平成27年10月16日
指定商品:第20類に属する商標登録原簿記載の商品
25 登録第5848450号商標(以下「使用商標22」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年7月29日
設定登録日:平成28年5月13日
指定商品:第6類、第8類、第11類及び第28類に属する商標登録原簿記載の商品
26 登録第5869571号商標(以下「使用商標23」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年11月20日
設定登録日:平成28年7月29日
指定商品:第9類に属する商標登録原簿記載の商品
27 登録第5940964号商標(以下「使用商標24」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成28年4月6日
設定登録日:平成29年4月14日
指定商品:第12類及び第25類に属する商標登録原簿記載の商品
28 登録第5962016号商標(以下「使用商標25」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成28年12月19日
設定登録日:平成29年7月7日
指定商品及び指定役務:第5類、第8類、第9類、第10類、第12類、第13類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類、第27類、第35類及び第41類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務
29 登録第6057814号商標(以下「使用商標26」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成29年10月20日
設定登録日:平成30年6月29日
指定商品及び指定役務:第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第14類、第15類、第16類、第17類、第19類、第20類、第21類、第22類、第23類、第24類、第26類、第29類、第30類、第31類、第32類、第34類、第35類、第36類、第37類、第39類、第40類、第41類、第42類、第43類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第75号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号
(1)使用商標の周知性又は著名性
ア 使用商標4ないし使用商標26(以下「申立人Supreme商標」という。)の周知性又は著名性
申立人が本件商標の登録出願前より商品「被服」等に使用している申立人Supreme商標は、需要者の間に広く認識されている。
申立人の米国親会社が運営する「Supreme」のウェブサイト(甲29)及び「Supreme」の通販公式ウェブサイト(甲30)において、申立人Supreme商標を使用した被服等が展示及び販売されている。また、インターネットの記事(甲31、甲32)からも、申立人Supreme商標は著名であることは明らかである。さらに、インターネットの記事(甲33)において、「Supreme」が世界一知名度のあるブランドロゴであるとされているように、申立人Supreme商標については、「被服」等において、日本のみならず全世界において著名である。
イ 使用商標1ないし使用商標3(以下「申立人Sup商標」という。)の周知性又は著名性
申立人が本件商標の登録出願前より商品「被服」等に使用している申立人Sup商標は、需要者の間に広く認識されている。申立人は、米国親会社が運営するSNSに申立人Sup商標をロゴとして付して、日本においても宣伝を行っている。
(ア)申立人Sup商標を付したSNSメディア
a フェイスブック
申立人の米国親会社が運営するフェイスブックの公式ページのロゴには、申立人Sup商標が付されている(甲34)。申立人Sup商標がフェイスブックの公式ページのロゴとして用いられるようになったのは、2007年11月である。当該ページには、222万人を超える「いいね!」が付されている。
b インスタグラム
申立人の米国親会社が運営するインスタグラムの公式アカウントのロゴには、申立人Sup商標が付されている(甲35)。申立人Sup商標がインスタグラムの公式アカウントのロゴとして用いられるようになったのは、2013年3月である。また、当該アカウントのフォロワーは1375万人である。
(イ)申立人Sup商標を付した商品
申立人は、申立人Sup商標を付した商品を販売している。
a Tシャツ等(ヘインズ社とのコラボレーション)
申立人は、Tシャツメーカとして著名なヘインズ(Hanes)社とのコラボレーションとして、2009年以降、毎年継続的に、申立人Sup商標を付した、Tシャツ、靴下、ロングTシャツ、ボクサーパンツ、タイツを販売してきた(甲36〜甲41)。
b スウェット・トレーナー等
申立人は、2013年頃、申立人Sup商標を付したスウェット・トレーナーを販売し、2015年頃、申立人Sup商標を付したハーフ・ジップ・スウェット・トレーナーを販売し、また、2013年頃、申立人Sup商標を付したキャップを販売した(甲42〜甲44)。
c 靴(ナイキ社とのコラボレーション)
申立人は、2017年4月29日頃から、スポーツアパレルメーカとして著名なナイキ(NIKE)社とのコラボレーションとして、申立人Sup商標を付したスニーカーを販売した(甲45)。
d 財布等(ルイ・ヴィトン社とのコラボレーション)
申立人は、2017年6月30日頃から、高級アパレルメーカとして著名なルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)社とのコラボレーションとして、申立人Sup商標を付したポーチ、財布、パスケース、ベルト等を販売した(甲46〜甲51)。
e スーツケース(リモア社とのコラボレーション)
申立人は、2018年4月14日頃から、スーツケースメーカとして著名なリモア(RIMOWA)社とのコラボレーションとして、申立人Sup商標を付したスーツケースを販売した(甲52)。
f ライター(ジッポー社とのコラボレーション)
申立人は、2018年2月17日頃から、ライターメーカとして著名なジッポー(ZIPPO)社とのコラボレーションとして、申立人Sup商標を付したライターを販売した(甲53)。
g その他
申立人は、本件商標の登録出願日までに、申立人Sup商標を付した商品(ポーチ、斧、ワークシャツ、ニットキャップ、コーヒーメーカー)を販売した(甲54〜甲58)。
(ウ)申立人Sup商標の周知性又は著名性
a SNSメディアでのロゴ使用
申立人の米国親会社が運営するフェイスブック及びインスタグラムのロゴに申立人Sup商標が用いられており、それぞれの「いいね!」の数及びフォロワー数から、本件商標の登録出願日以前から著名であることは明らかである。
b 申立人Sup商標が付された商品に対する「いいね!」の数
上記インスタグラムの「いいね!」の数からしても、申立人Sup商標が著名であることは明らかである(甲59、甲60)。
c 申立人Supreme商標が著名であることに起因する事項
申立人Sup商標は、申立人Supreme商標の冒頭3文字の「Sup」を用いていることは明らかであり、字体からも世界的に著名な申立人Supreme商標の略語であることは明らかである。したがって、申立人Supreme商標が著名である以上、その冒頭3文字の略称である、申立人Sup商標も著名なものとして消費者に認識される。
また、申立人Supreme商標は世界的に著名であるため、申立人が販売する商品については、いずれも消費者から注目を集めるものである。さらに、多数の著名ブランドとコラボレーションをしているため、コラボレーション商品の注目度は極めて高い。そのため、申立人Sup商標が需要者の間に広く認識されていることは明らかである(甲61〜甲63)。
このように、個別の商品についても、注目・人気アイテムとして扱われているのであるから、申立人Sup商標が著名であることの証左である。
ウ 小括
以上から明らかなとおり、申立人が本件商標の登録出願前より「被服」等のファッション関連商品に使用している使用商標(申立人Supreme商標及び申立人Sup商標)は、需要者の間に広く認識されている。
(2)混同を生じるおそれ
ア 申立人Sup商標と本件商標の類似性
外観の点では、本件商標は「SupBro」と「Sup」と「Bro」からなる文字の結合したものと理解できる。申立人Sup商標は「Sup」からなる文字である。そのため、本件商標と申立人Sup商標とを対比すると、本件商標の「Sup」の部分は、申立人Sup商標と外観が完全に一致している。また、本件商標の「Sup」の部分のフォントは、太さ、形状、傾きが、申立人Sup商標と同一である。
また、称呼でいえば、本件商標は「サップブロ」又は「シュプブロ」であり、申立人Sup商標は「サップ」又は「シュプ」であり、「サップ」又は「シュプ」で一致する。
観念でいえば、「Sup」は、申立人Supreme商標が著名であることから、「Supreme」の略語と認識される。「Bro」は一般的に兄弟という意味である。そのため、本件商標の「SupBro」は、「Sup」又は「Supreme」の「兄弟」と観念される。そうすると、本件商標においては、「Sup」又は「Supreme」の「兄弟」と解される以上、「Sup」が要部であると理解できる。
以上からすると、本件商標と申立人Sup商標とは、要部である「Sup」で外観、称呼及び観念で完全に一致している以上、類似しているといえる。
また、「Sup」又は「Supreme」の兄弟という観念が生じるということは、本件商標が、申立人の兄弟会社であるとか申立人からライセンスを受けているとか、申立人Sup商標の関連ブランドであるなどと誤解される可能性も極めて高い。
イ 申立人Supreme商標と本件商標の類似性
外観の点では、本件商標は「SupBro」と「Sup」と「Bro」からなる文字の結合したものと理解できる。申立人Supreme商標は「Supreme」からなる文字である。
そのため、本件商標と申立人Supreme商標とを対比すると、本件商標も申立人Supreme商標も、「Sup」の3文字から始まること、頭文字「S」が大文字であること、「Sup」の部分のフォントが、太さ、形状、傾きで、同一であることという点で共通している。
また、称呼でいえば、本件商標は「サップブロ」又は「シュプブロ」である。他方、申立人Supreme商標の称呼は「サプリーム」又は「シュプリーム」である。そのため、本件商標の「サップ」と使用商標26(甲27)の「サプ」は類似するものであるといえる。申立人Supreme商標については、消費者から「シュプ」と略称で呼ばれることが多い。例えば、2019年6月3日公開の「『なんでシュプなんですか?』今流行りのSupremeの魅力の秘訣を聞いてみた!」というインターネット記事(甲31)や、2017年11月10日公開の「『LV』×『シュプ』はすでに100万円超え『グッチ』、『プラダ』、『バーバリー』など超豪華なオークション始まる」というインターネット記事(甲64)に記載されているように、「シュプ」と呼称されることがある。また、インスタグラムにおいても、「#シュプ」で1万9千件以上の投稿がある(甲65)。したがって、本件商標と使用商標26(甲27)とは、「シュプブロ」及び「シュプリーム」のうち「シュプ」という点で、その称呼において類似の商標である。
観念でいえば、「Sup」は、申立人Supreme商標が著名であることから、「Supreme」の略語と認識され、「Supreme」は最高という意味であると認識される。「Bro」は一般的に兄弟という意味である。そのため、本件商標の「SupBro」は、「最高」の「兄弟」と観念される。そうすると、本件商標においては、最高(「Supreme」)の「兄弟」と解される以上、「Sup」が要部であると理解できる。
以上からすると、本件商標と申立人Sup商標とは、要部である「Sup」で外観、称呼及び観念で一致している以上、類似しているといえる。
ウ 商品及び役務の類似性
本件商標の指定商品中、第25類「被服,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服,防水加工を施した被服靴及び運動用特殊靴,運動靴及び運動用特殊靴,スリッパ,靴の中敷き,帽子,ストッキング及びユニホーム用ストッキング,手袋(被服),耳覆い(被服),スカーフ,履物及びその部品及び付属品,吸汗性下着」は、使用商標が使用する商品及びサービスと同一であるか、少なくとも極めて類似している。
また、本件商標の第1類「アルコール,エチルアルコール,縮じゅう剤,織物防水用化学品,未加工アクリル樹脂,革防水用化学品,革仕上げ用油,履物用接着剤,革用マスチック,革用にかわ,革修復用化学品,革仕上げ用化学品,皮革処理剤,革用浸透剤,防しわ剤」、第3類「手洗いせっけん,洗濯用漂白剤,家庭用脱脂剤,しみ抜き剤,洗剤,光沢剤,洗浄機能を有するつや出し剤を含浸してなるつや出し紙革用洗浄剤,芳香油,靴用ワックス,皮革用つや出し剤,靴用つや出し剤,かばん・革コート・ベルト等の皮革製品・合成皮革製品の補修効果のあるつや出し剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),化粧品,布に浸み込ませた洗浄剤」、第20類「家具用扉,長まくら(まくら下用),プラスチック製の容器,犬小屋,家具,腰掛け,陳列用キャビネット,陳列棚,げた箱,ブラシ用柄,アドバルーン,まくら,プラスチック製包装容器,木製又はプラスチック製の箱,靴くぎ(金属製のものを除く。)」、第21類「カップ,水差し,はし,家庭用陶磁製品,靴脱ぎ器,靴の伸張具,香炉,履物用ブラシ,ブラシ製造用豚の剛毛,塵ふき布,靴べら,靴用ワックス磨き具(電気式のものを除く。),靴磨き用手袋,靴磨き布,雑巾」についても、申立人がファッション関連として販売している商品群と同一であるか、または極めて類似している。
さらに、本件商標と使用商標に使用されている商品やサービスは、明らかに同一又は類似性が高いものであり、社会や市場取引の一般的な概念によれば、一般需要者は、これらを同一又は関連する出所から出たものと誤認しやすく、混同や誤解を招く可能性が高いと考えられる。
このように、本件商標の指定商品に含まれる商品の中には、申立人の業務に係る商品と比較した場合、性質、用途又は目的において一定の関連性を有するものが含まれている。
エ 商品及び役務の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品は、日常的に消費される性質の商品が含まれ、広く一般の消費者を含むが、一般の消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれていることに加えて、本件商標の指定商品の取引者及び需要者は申立人の業務に係る商品の取引者及び需要者と共通する者が含まれる。
フリーライド
本件商標を使用した商品(以下「本件商品」という。)を販売している者が、インスタグラムにアカウントを開設しているが(甲66)、本件商品とともに、申立人又はその米国親会社が販売している申立人Sup商標又は申立人Supreme商標を付した商品を掲載した画像を投稿しており(甲67〜甲70)、日本における展示会の様子も投稿している(甲71)。
また、当該アカウントにおいて、本件商品とともに「#supreme」のハッシュタグを付した画像を投稿している(甲72〜甲75)。
このように、本件商品の販売者は、申立人Supreme商標及び申立人Sup商標にフリーライドしていることは明らかである。
カ 小括
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する需要者は、著名商標である使用商標を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号
(1)本件商標と引用商標1との対比
本件商標は、「SupBro」の文字を左横書きしてなるものである。
他方、引用商標1は、「Sup」の文字を左横書きしてなるものである。
してみれば、本件商標と引用商標1は、共に「Sup」の外観を共通にする。また、本件商標の「Sup」の部分のフォントは、太さ、形状、傾きが、引用商標1と同一である。
よって、本件商標と引用商標1とは、その外観において類似の商標である。
また、称呼でいえば、本件商標は「サップブロ」又は「シュプブロ」であり、引用商標1は「サップ」又は「シュプ」であり、「サップ」又は「シュプ」で類似する。特に、「Sup」を「サップ」と呼ぶことはごく自然であり、いわゆる「Stand Up Paddle」なども「SUP」と略称されるが「サップ」という称呼である。
観念でいえば、「Sup」は、申立人Supreme商標が著名であることから、「Supreme」の略語と認識される。「Bro」は一般的に兄弟という意味である。そのため、本件商標の「SupBro」は、「Sup」又は「Supreme」の「兄弟」と観念される。
そうすると、本件商標においては、「Sup」又は「Supreme」の「兄弟」と解される以上、「Sup」が要部であり、共に「Supreme」(最高)の略語という観念で共通する。
以上からすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念で類似しているといえる。
そして、本件商標と引用商標1の指定商品は、上記したとおりであるから、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標と引用商標2との対比
申立人が引用する引用商標2は、指定商品以外、引用商標1と同一である。
よって、上記で述べた理由により、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念で類似しているといえる。
そして、本件商標と引用商標2の指定商品は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標と引用商標3との対比
本件商標は、「SupBro」の文字を左横書きしてなるものである。外観の点では、本件商標は「SupBro」と「Sup」と「Bro」からなる文字の結合したものと理解できる。他方、申立人が引用する引用商標3は、「Supreme」の文字を左横書きしてなるものである。そのため、本件商標と引用商標3とを対比すると、本件商標も引用商標3も、「Sup」の3文字から始まること、頭文字「S」が大文字であること、「Sup」の部分のフォントが、太さ、形状、傾きで、同一であるという点で共通している。
よって、本件商標と引用商標3とは、その外観において類似の商標である。
また、称呼でいえば、本件商標は「サップブロ」又は「シュプブロ」である。他方、引用商標3の称呼は「サプリーム」又は「シュプリーム」である。そのため、本件商標の「サップ」及び引用商標3の「サプ」の点で類似する。また、引用商標3については、消費者から「シュプ」と略称で呼ばれることが多いため、本件商標の「シュプ」の点で一致する。
よって、本件商標と引用商標3とは、その称呼において類似の商標である。
観念でいえば、「Sup」は、引用商標3が著名であることから、「Supreme」の略語と認識され、「Supreme」は最高という意味であると認識される。「Bro」は一般的に兄弟という意味である。そのため、本件商標の「SupBro」は、「最高」の「兄弟」と観念される。そうすると、本件商標においては、最高(「Supreme」)の「兄弟」と解される以上、「Sup」が要部であると理解できる。
よって、本件商標と引用商標3とは、その観念において類似の商標である。
以上からすると、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念で類似しているといえる。
そして、本件商標と引用商標3の指定商品は、上記したとおりであるから、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 使用商標の周知性について
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 申立人のウェブサイト及び通販公式ウェブサイトのトップページには、使用商標10、使用商標11及び使用商標13ないし使用商標26と同一の商標(以下、これらと使用商標5、使用商標6及び使用商標9をまとめて「申立人使用商標」という。)が掲載されている(甲29、甲30)。
イ 2019年6月3日公開の「『なんでシュプなんですか?』今流行りのSupremeの魅力の秘訣を聞いてみた!」、2016年12月13日付けの「なぜここまで人気?『シュプリーム』が流行る理由を調査!Supremeの歴史・豆知識」及び2018年11月25日付の「2018現在、世界で最も知名度の高いブランドロゴランキング1位が【Supreme】に決定」と題するインターネット記事には、申立人の商品に関する記事とともに被服等に申立人使用商標が表示された画像が掲載されている(甲31〜甲33)。
ウ 申立人は、日本国内では2017年4月29日にナイキとのコラボレーションモデルのスニーカーを発売しており、その他、ポーチ、財布、パスケース、ベルト、スーツケース、ライターについても他社とコラボレーションした商品を販売し、該商品には申立人使用商標又は使用商標1ないし使用商標3若しくは「Sup」の文字からなる商標が表示されている(甲45〜甲53)。
エ 2017年7月3日付けの「WWDJAPAN.com」のウェブサイトによれば、「『ルイ・ヴィトン』×『シュプリーム』、世界8都市で大行列」の見出しの下、「6月30日、世界8都市で『ルイ・ヴィトン(LOUISVUITTON)』×『シュプリーム(SUPREME)』のポップアップショップがオープンした。」の記載がある(甲61)。
(2)以上のことを総合すれば、申立人使用商標又は使用商標1ないし使用商標3若しくは「Sup」の文字からなる商標は、米国親会社及び申立人(以下「申立人ら」という。)が、被服等のいわゆるファッション関連商品について使用している商標であり、該商品が我が国において販売されていることは認められるとしても、これらの商標が、一般需要者にどの程度認識されるかに至ったかはうかがい知ることはできない。
また、使用商標4、使用商標7、使用商標8及び使用商標12については、それらが被服等に使用されていると認めるに足りる証左は見いだせない。
そして、上記のとおり、我が国において、使用商標を使用した商品の売上高、市場シェアなどの販売実績並びに使用商標に係る広告宣伝の費用、方法、回数及び期間などについては、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
そうすると、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商標が申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「SupBro」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「サップブロ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、「SupBro」の文字は、語頭の「S」と中間の「B」が大文字で表されていることから、「Sup」と「Bro」の語を結合してなるものと認識されるとしても、かかる構成及び称呼においては、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「Sup」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「サップブロ」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
(2)11号引用商標
引用商標1及び引用商標2は、別掲2のとおり、横長四角形内に白抜きで「Sup」の欧文字を配した構成からなり、引用商標3は、別掲3のとおり、横長四角形内に白抜きで「Supreme」の欧文字を配した構成からなるところ、いずれも横長四角形部分からは、特段の称呼及び観念を生じるものとはいえないことから、それぞれの文字部分が看者に強い印象を与えるものといえる。
そうすると、引用商標1及び引用商標2は、その構成文字に相応して「サップ」の称呼を生じ、引用商標3は、「シュプリーム」の称呼を生じるものである。
また、「Sup」の文字は辞書等に載録が認められないものであり、一方、「Supreme」の文字が、辞書等において「最高」の意味を有する成語であるとしても、これらの文字は、いずれも我が国において親しまれた語とはいえないものであるから、一種の造語からなるものと見るのが相当であって、特定の観念を生じないものというべきである。
(3)本件商標と11号引用商標の類否
ア 外観
本件商標と11号引用商標の外観を比較すると、本件商標及び11号引用商標は、上記のとおりの構成からなり、両商標は、構成文字数及び構成態様が異なり、明らかに区別し得るものであるから、外観において相紛れるおそれはない。
イ 称呼
本件商標から生じる「サップブロ」の称呼と、11号引用商標から生じる「サップ」及び「シュプリーム」の称呼とを比較すると、まず、「サップブロ」と「サップ」の称呼の差異は、「ブロ」の音の有無に差異を有するものであるから、全体の構成音数及び音構成の相違により、それぞれを一連に称呼した場合においても、称呼上、明確に聴別し得るものである。
また、「サップブロ」と「シュプリーム」の称呼は、全体としてこれらをそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものである。
そうすると、本件商標と11号引用商標とは、称呼において相紛れるおそれはない。
ウ 観念
本件商標と11号引用商標は、ともに特定の観念を有しないものであるから、両商標は、観念において比較することができない。
エ 以上アないしウからすると、本件商標と11号引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と11号引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、11号引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務が11号引用商標の指定商品及び指定役務と類似する商品及び役務であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と使用商標との類似性の程度
ア 本件商標
本件商標は、上記2(1)のとおり、「サップブロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 使用商標
(ア)使用商標1ないし使用商標3は、赤色の横長四角形内に白抜きで「Sup」の欧文字を配した構成からなるところ、背景図形からは、特段の称呼及び観念を生ずるものとはいえないことから、それぞれの文字部分が看者に強い印象を与え、その構成中の「Sup」の文字に相応して、「サップ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)使用商標4は、「シプリーム」の片仮名と「SUPREME」の欧文字を二段に横書きした構成からなり、また、使用商標12は、赤色の横長四角形内に白抜きで「Supreme」の欧文字を表し、その下に小さく「シュープリーム、サプリーム」の片仮名を配した構成からなるものであるところ、それぞれの片仮名部分は、欧文字部分の読みを特定したものと容易に理解されるものである。そして、「SUPREME」の文字は、辞書等において「最高」の意味を有する成語であるとしても、我が国において親しまれた語とはいえないものであるから、一種の造語からなるものと見るのが相当であって、特定の観念を生じないものというべきである。
(ウ)使用商標7は、「supreme」の欧文字と「new york」の欧文字を二段に横書きした構成からなるものであり、使用商標8は、「supreme」の欧文字と「nyc」の欧文字を二段に横書きした構成からなるものであるところ、それぞれの構成中の「new york」及び「nyc」の文字部分は、「ニューヨーク市(New York City)」を意味するものであることを容易に認識させるものであるから、商品の品質又は役務の質を表示したものであり、指定商品との関係において、商標としての識別力が弱い部分といわなければならない。
してみると、使用商標7及び使用商標8からは、「supreme」の文字に相応して「シュプリーム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(エ)使用商標5、使用商標6及び使用商標9は、黒色の横長四角形内に白抜きで「Supreme」の欧文字を配した構成からなり、使用商標10、使用商標11及び使用商標13ないし使用商標26は、赤色の横長四角形内に白抜きで「Supreme」の欧文字を配した構成からなるところ、赤色の横長四角形からは、特段の称呼及び観念を生ずるものとはいえないことから、構成文字部分が看者に強い印象を与えるものといえる。そして、「Supreme」の文字から、「シュプリーム」の称呼を生じるものである。
また、「Supreme」の文字が、辞書等において「最高」の意味を有する成語であるとしても、我が国において親しまれた語とはいえないものであるから、一種の造語からなるものと見るのが相当であって、特定の観念を生じないものというべきである。
ウ 本件商標と使用商標との類似性の程度
(ア)本件商標と使用商標との類否
本件商標と使用商標とを比較するに、これらは、その全体の構成態様が著しく相違するものであるから、外観において両商標は相紛れるおそれはないものである。
次に、称呼においては、本件商標より生じる「サップブロ」の称呼と使用商標1ないし使用商標3より生じる「サップ」の称呼、使用商標5、使用商標6、使用商標9ないし使用商標11及び使用商標13ないし使用商標26より生じる「シュプリーム」の称呼、使用商標4より生じる「シプリーム」の称呼、使用商標12より生じる「シュープリーム」及び「サプリーム」の称呼とは、全体の構成音数及び音構成の相違により、その語調、語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものであるから、称呼において両商標は相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、いずれも特定の観念を有しないものであるから、両商標は、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と使用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(イ)本件商標と使用商標との類似性の程度
上記(ア)のとおり、本件商標と使用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度が高いとはいえないものである。
(2)使用商標の周知性について
上記1のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
(3)商品の関連性及び需要者の共通性について
申立人らの業務に係る商品(被服等)は、本件商標の指定商品と同一又は類似するものといえるから、商品の関連性を有し、需要者を共通にするものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)を総合的に判断すれば、本件商標の指定商品と申立人らの業務に係る商品が関連性を有し、需要者を共通にするものであるとしても、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり、本件商標と使用商標の類似性の程度も高いとはいえないものである。
そうすると、本件商標の商標権者が、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、使用商標を連想、想起することはなく、該商品が申立人ら又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれのないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標



別掲2 引用商標1、引用商標2、使用商標1〜使用商標3(色彩は原本参照。)



別掲3 引用商標3、使用商標10、使用商標11、使用商標13〜使用商標26(色彩は原本参照。)



別掲4 使用商標4



別掲5 使用商標5、使用商標6、使用商標9



別掲6 使用商標7



別掲7 使用商標8



別掲8 使用商標12(色彩は原本参照。)




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異議決定日 2021-12-27 
出願番号 2019139982 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W010320212535)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小松 里美
豊田 純一
登録日 2020-11-26 
登録番号 6321305 
権利者 胡 雲深
商標の称呼 サップブロ 
代理人 吉村 誠 
代理人 黒田 健二 

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