• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W33
管理番号 1381806 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-21 
確定日 2022-01-17 
事件の表示 商願2019−137113拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は,令和元年10月25日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年12月25日付け:拒絶理由通知書
令和2年3月2日 :意見書の提出
令和2年8月17日付け :拒絶理由通知書
令和2年9月23日 :意見書の提出
令和3年2月16日付け :拒絶査定
令和3年5月21日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は,「宇宙」の文字を標準文字で表してなり,第33類「日本酒」を指定商品として,登録出願されたものでる。

3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,拒絶の理由に引用した登録第5557029号商標(以下「引用商標」という。)は,「宇宙焼酎」の文字を標準文字で表してなり,平成23年8月2日に登録出願,第33類「しょうちゅう」を指定商品として,同25年2月15日に設定登録されたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標の類否
商標の類否は,同一又は類似の商品に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
(2)本願商標
本願商標は,「宇宙」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」,「すべての天体を含む空間。」等の意味を有する語である(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店発行)。
したがって,本願商標は,その構成文字に相応して,「ウチュウ」の称呼並びに「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」及び「すべての天体を含む空間。」の観念を生じるものである。
(3)引用商標
引用商標は,「宇宙焼酎」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中,「宇宙」の文字は,「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」,「すべての天体を含む空間。」等の意味を,「焼酎」の文字は「蒸留酒の一種。日本酒製造の際のもろみ又は酒かすを蒸留したもの。」(前掲書)の意味を有する語であり,これらの文字全体が特定の意味を有する語として知られているとはいえないから,引用商標は,「宇宙」の文字と「焼酎」の文字とを結合してなるものと容易に認識し得るものである。
また,引用商標の構成中,「焼酎」の文字部分は,その指定商品との関係においては,商品の普通名称を表すものであるから,当該文字部分は,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
他方,「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」,「すべての天体を含む空間。」等の意味を有する「宇宙」の文字は,引用商標の指定商品との関係においては,「焼酎」の文字よりも自他商品の識別力が高く,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,引用商標の構成中,「宇宙」の文字部分と「焼酎」の文字部分とが,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから,引用商標から「宇宙」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(本願商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,引用商標は,全体の構成文字に相応して生じる「ウチュウショウチュウ」の称呼のほかに,その要部である「宇宙」の文字部分に相応して,「ウチュウ」の称呼を生じるとともに,「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」及び「すべての天体を含む空間。」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標は,それぞれ,上記(2)及び(3)の構成よりなるところ,本願商標と引用商標の要部である「宇宙」の文字部分とを比較すると,両者は「宇宙」の文字が同一であって,ともに標準文字で表されたものであるから,外観を共通にするものである。
そして,称呼及び観念においては,本願商標と引用商標の要部である「宇宙」の文字部分は,ともに「ウチュウ」の称呼並びに「時間・空間的な秩序をもって存在する事物・世界の総体。」及び「すべての天体を含む空間。」の観念を生じるから,両者は称呼及び観念を同一にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは全体の構成等において相違するものの,本願商標と引用商標の要部である「宇宙」の文字部分は,称呼及び観念を同一にするものであって,外観も共通するものであるから,これらが,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,両商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(5)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
ア 商品の類否
指定商品が類似のものであるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には,たとえ,商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても,それらの商標は商標法第4条第1項第11号にいう「類似する商品」に当たると解するのが相当であり(最高裁昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日第三小法廷判決参照),そのためには,当該商品の生産部門,販売部門,用途,需要者の範囲が一致するかどうかなどを総合的に考察して判断するのが相当である。
イ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品「日本酒」は,「日本固有の酒。」である「清酒」であって,「蒸した米にこうじ・水・酒母を加え発酵させてもろみを造り,これを搾り,濾過して製する。」ものである(前掲書)。
他方,引用商標の指定商品「しょうちゅう」(焼酎)は,「蒸留酒の一種。日本酒製造の際のもろみ又は酒かすを蒸留したもの。又は米・麦・粟・きび・ひえ・とうもろこし・かんしょ・ばれいしょ・糖蜜などを原料として造り,水で薄めたもの。飲料とし,また,各種の酒類製造の原料に用いる。」ものである(前掲書)。
そうすると,本願の指定商品「日本酒」と引用商標の指定商品「しょうちゅう」(以下,これらをまとめて「両商品」ということがある。)は,ともに「米」を原材料とすることがある飲用される酒類であるから,原材料及び用途を共通にし,かつ,同一の製造者により生産されることもある商品であって,製造者を共通にするものといえる。
そして,両商品はともに,スーパーマーケットやコンビニエンスストア,酒屋等の小売店の店頭販売やインターネット通信販売等で購入することが可能であるから,その販売経路を共通にするものであり,また,小売店においては,酒類として,同じ売場において,陳列され,販売されていることから,販売場所を共通にするものであるということができる。
さらに,両商品は,上記のとおり,酒類を扱う小売店で販売されるものであって,これらの主たる需要者は一般消費者であると認められるから,需要者を共通にするものである。
したがって,両商品は,原材料,用途,製造者,販売経路,販売場所及び需要者を共通にするものであるから,これらの商品に同一又は類似の商標を使用した場合には,その出所について誤認,混同を生じるおそれがあるものというのが相当であり,両商品は類似の商品というべきである。
(6)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願の指定商品と引用商標の指定商品とは類似のものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2021-11-16 
結審通知日 2021-11-19 
審決日 2021-11-30 
出願番号 2019137113 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W33)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
商標の称呼 ウチュー 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ