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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W18
管理番号 1381749 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-15 
確定日 2022-01-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5977857号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5977857号商標(以下「本件商標」という。)は、「CONY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年10月16日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」を含む第14類及び第18類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同29年7月26日に登録査定、同年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和2年10月6日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成29年(2017年)10月6日から令和2年(2020年)10月5日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第5977857号商標の指定商品中、第18類『かばん類,袋物』(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、かかる指定商品についてその登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書に添付した乙第4号証及び乙第5号証は、TwitterJapan株式会社が運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス「ツイッター(https://twitter.com)」のウェブページを印刷したものであり、被請求人が、2020年7月25日に当該ウェブページ上において、請求に係る指定商品に該当する商品である「ジュエリーポーチ」の発売告知を行った旨、「ツイッター」は、そのソーシャル・ネットワーキング・サービスの特性上、一旦投稿した内容や日付は、後に変更ができない仕様のインターネット媒体であるため、乙第4号証及び乙第5号証の証拠価値は極めて高いものである旨主張する。
しかしながら、乙第4号証及び乙第5号証の右側部分に表示されるニュースは、全て予告登録日以降のニュースであり、2020年7月25日時点には確認できない事実であることから、被請求人が、何らかの方法により、2020年10月27日頃に、ツイッターのウェブページ上に、日付を2020年7月25日と装って「ジュエリーポーチ」の発売告知を行ったことは間違いがない。
ア まず、乙第4号証及び乙第5号証の右側部分に表示される「兵庫県行方不明の警察犬『クレバ』見つかる」とされるニュースは、2020年10月27日の出来事である(甲1)。兵庫県の警察犬「クレバ」が、行方不明になり、その後発見されたというニュースは、2020年7月25日時点では確認できない。
イ 次に、乙第4号証及び乙第5号証の右側部分に表示される「#ふつうってスーパー最高『ふつうの日々』の大切さを歌った瑛人の新曲『ライナウ』のコラボMVが完成!」とされるニュースは、2020年10月19日の出来事である(甲2)。本記事に先立ち、株式会社明治は、歌手の瑛人さんが、2020年10月19日に配信リリースする予定の最新曲「ライナウ」の1番部分のみを収録したミュージックビデオを、明治エッセルスーパーカップとのコラボレーションティザー動画として、2020年9月14日にYouTubeにて公開しており、楽曲の2番部分も収録したフルバージョンの【明治エッセルスーパーカップ】オリジナルミュージックビデオを、楽曲配信リリース日と同じ2020年10月19日に公開するとしている(甲2)。つまり、2020年7月25日時点では、瑛人さんの新曲「ライナウ」のコラボMVは完成しておらず、瑛人さんが新曲「ライナウ」をリリースする事実すら確認できない。
ウ また、乙第4号証及び乙第5号証の右側部分に表示される「三浦春馬さん出演のミュージカル『キンキブーツ』特別映像が公開」とされる記事についても、三浦春馬さん出演のミュージカル「キンキブーツ」の特別映像が公開されることが大々的に報じられたのは2020年10月27日である(甲3)。
エ また、乙第4号証の右側部分に表示される「虎者2021」とされる記事についても、虎者2021を公演する株式会社松竹が2020年10月27日に公式ツイッターで発表した記事であるところ(甲4)、2020年7月25日時点では、虎者2021の公演の開催が決定したとする事実は確認できない。
オ さらに、乙第5号証の右側部分に表示される日本のトレンドとして挙げられる「#ローソンずんどう屋」の記事についても、ローソンは、2020年10月27日に、ずんどう屋監修のラーメンを発売することを告知し、「期間中、ローソン公式Twitterアカウント『ローソン(@akiko_lawson)』をフォローし、対象ツイートに『#ローソンずんどう屋』とコメントを付けて引用ツイートした方の中から抽選で1名様に以下の賞品をプレゼントいたします。」として、ツイートすることを呼び掛けている(甲5)。また、ローソンの公式ツイッターページにおいても、2020年10月27日付の同様の記載が確認できる(甲5)。
カ 上述のとおり、これらの出来事は、2020年10月19日又は2020年10月27日頃の出来事であり、いずれも2020年7月25日以前又は2020年7月25日には確認できない記事であることから、被請求人は何らかの方法により、2020年10月27日頃に、ツイッターのウェブページ上に、日付を2020年7月25日と装って「ジュエリーポーチ」の発売告知を行ったことは間違いない。
なお、このような工作が2020年10月27日頃になされたであろうことは、乙第1号証ないし乙第3号証の右上部分の「お買い物クーポンプレゼント」とされた期間が10月26日から10月27日であることからも容易に想像できる。
よって、乙第4号証及び乙第5号証は2020年10月27日頃に作成されたものであり、被請求人は2020年7月25日にツイッターのウェブページ上において「ジュエリーポーチ」の発売告知を行っておらず、乙第4号証及び乙第5号証は、要証期間内の事実を証するものではなく、被請求人により、捏造されたものである。
(2)被請求人は、GMOペパボ株式会社が運営するインターネット通信販売サイト「ミンネ(https://minnne.com)」において、請求に係る指定商品に該当する商品である「ジュエリーポーチ」を販売しているとして、乙第1号証ないし乙第3号証を提出する。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証によっては、被請求人が、要証期間に、本件商標を請求に係る指定商品に使用したという事実は確認できない。
乙第1号証ないし乙第3号証には、何月何日のインターネット通信販売サイト「ミンネ」のウェブページであるかが確認できる日付が表示されておらず、本件商標が請求に係る指定商品に、要証期間に使用されたことを証するものではない。
なお、乙第1号証ないし乙第3号証の右下に表示される「レビュー」より、2020年9月10日以降のものであることは間違いなく、乙第1号証ないし乙第3号証の右上部分の「お買い物クーポンプレゼント」とされた期間が、乙第4号証及び乙第5号証が作成されたであろう10月27日頃であることを考慮すれば、同様に、2020年10月26日又は2020年10月27日頃のものと推測される。つまり、本件審判の予告登録日以降である。
(3)また、仮に、乙第1号証ないし乙第3号証が要証期間内のことを示すものであった場合でも、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用しているとはいえないと考える。
ここで、乙第1号証ないし乙第3号証には、被請求人が販売するとしている「ジュエリーポーチ」の在庫は1点のみであると表示されている。そして、2020年12月1日時点のミンネにおける被請求人の販売サイトには、「ジュエリーポーチ」は売り切れで在庫数は0点とされている(甲6)。なお、「ジュエリーポーチ」が売り切れで在庫数が0点であることは、2021年1月3日及び1月4日時点においても同様である(甲7)。
このような事実に鑑みるに、被請求人は、「ミンネ」における被請求人の販売サイトから、当該「ジュエリーポーチ」を1点若しくは数点のみ販売したか、又は、当該「ジュエリーポーチ」の在庫を1点として乙第1号証ないし乙第3号証を作成しただけであり、実際にはこれを販売していない可能性が高いと考えられる。そして、仮に1点若しくは数点のみ当該「ジュエリーポーチ」の取引が行われていたとしても、使用に係る商品の取引が3年の間に、わずかである場合には、反復し、継続してなされる通常の商品取引の形態とはみることができず、請求に係る指定商品についての本件商標の使用とはいえないものである。
すなわち、登録商標であっても、実際には使用されず、あるいは使用されていないに等しい商標は、商標使用者の業務上の信用が化体されていないから、財産的価値がないか極めて少なく、このような登録商標を商標法で保護する価値はないのみならず、このような登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなる。よって、請求により、このような商標登録を取り消そうとするのが、商標登録不使用取消制度の趣旨と解すべきである。このことは、御庁における審判実務からも理由があると考える(取消2001−30782)。
取消2001−30782では、「仮に予告登録日以前に登録商標を付した指定商品の取引があったとしても、使用に係る商品の取引が3年の間に、わずか1回のみというような場合には、反復し、継続してなされる通常の商品取引の形態とはみることができず、登録商標の使用とはいえないものである。すなわち、登録されている商標であっても、実際には使用されず、あるいは使用されていないに等しい商標は、商標使用者の業務上の信用が化体されていないから、財産的価値がないか極めて少なく、このような登録商標を商標法で保護する価値はないのみならず、このような登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標採択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなるから、請求により、このような商標登録を取り消そうとするのが、商標登録不使用取消制度の趣旨と解すべきである。そして、本件の場合、前記したとおり、仮に1回の取引があったとしても、その取引は、本件審判の請求の登録前3年以内に、僅か1回限りのものといわざるを得ず、この商品の取引で登録商標の使用があったとすることは、上記した商標登録不使用取消制度の立法趣旨からみても、到底認めることはできない。したがって、被請求人の上記に関する主張は理由がない。」として、登録商標の指定商品への使用を認めないとしている。
本件審判においては、仮に、要証期間に請求に係る指定商品に該当する商品である「ジュエリーポーチ」への使用がされた場合であっても、その取引は反復し、継続してなされる通常の商品取引の形態であるという事実は確認できない。つまり、被請求人による請求に係る指定商品についての本件商標の使用とはいえないものであることは明らかである。
(4)被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証を提出の上、被請求人である本件商標権者は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していると主張するが、乙第1号証ないし乙第5号証からは、本件商標権者である有限会社アールプラスが、請求に係る指定商品について本件商標を使用している証拠は何一つ示されていない。
(5)以上のとおり、被請求人が提出する証拠によっては、要証期間に、被請求人が本件商標を請求に係る指定商品について使用している事実を示すことができないことは明らかであり、「『本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。』との審決を求める」との答弁の趣旨には理由がない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書及び当審の審尋に対する回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 答弁の内容
(1)日本国内における本件商標の使用について
被請求人である本件商標権者は、GMOペパボ株式会社が運営するインターネット通信販売サイト「ミンネ(https://minne.com)」において、請求に係る指定商品「かばん類,袋物」に該当する商品「ジュエリーポーチ」を販売している(乙1〜乙3)。
(2)要証期間について
被請求人である本件商標権者は、2020年7月25日に、TwitterJapan株式会社が運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス「ツイッター(https://twitter.com)」のウェブページにおいて、「ジュエリーポーチ」の発売告知を行っている(乙4〜乙5)。「ツイッター」は、そのソーシャル・ネットワーキング・サービスとしての特性上、一旦投稿した内容や日付は、後に変更ができない仕様のインターネット媒体であるので、乙第4号証ないし乙第5号証の証拠価値は極めて高いものである。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人である本件商標権者は、日本国内で、要証期間内において、本件商標を、請求に係る指定商品について使用している。
2 審尋に対する回答
(1)乙第1号証ないし乙第5号証と本件商標権者の関係
ア 乙第1号証ないし乙第3号証はインターネット通信販売サイト「ミンネ」のウェブページを画面印刷したものであり、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に基づき、商品に本件商標を使用していることが確認できる。
乙第6号証は「ミンネ」内の「特定商取引法に基づく表記」を画面印刷したものであり、当該ウェブサイトが本件商標権者である有限会社アールプラスによって管理運営されていることが確認できる。
イ 乙第4号証及び乙第5号証はソーシャル・ネットワーキング・サービス「ツイッター」のウェブページを画面印刷したものであり、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に基づき、商品に本件商標を使用していることが確認できる。
乙第7号証は「ツイッター」内の「アカウント情報」のページを画面印刷したものであり、有限会社アールプラスの電話番号「+81663101030」が表記されていることから、当該ウェブサイトが本件商標権者である有限会社アールプラスによって管理連営されていることが確認できる。また、表記されているメールアドレスの末尾「・・・・@cony.jp」は、本件商標権者である有限会社アールプラスが所有する独自ドメインであり、その事実はGMOペパボ株式会社が運営するドメイン管理サービス「ムームードメイン」内の「コントロールパネル」のページを画面印刷した乙第8号証からも確認できる。
ウ これらのことから、乙第1号証ないし乙第5号証で示した本件商標は、商標権者である有限会社アールプラスが使用していると解釈するのが適当である。
(2)第1号証ないし乙第3号証と乙第4号証及び第5号証の関係
乙第1号証ないし乙第3号証が示すとおり、その構造上、「ミンネ」の商品販売ページには掲載開始日は表示されない。
しかしながら、商品ページのURLである「https://minne.com/items/23988627」は「ミンネ」のサーバーヘ商品登録を行う時点において、はじめて当該サイト側から付与されるものであり、また、乙第4号証及び乙第5号証が示すとおり、要証期間内である2020年7月25日に、「ツイッター」上で行った販売開始の告知には「ミンネ」の当該商品ページのURLと一致する「minne.com/items/23988627」を表記している。そのことから、要証期間内である2020年7月25日時点において「ミンネ」上に当該ページが実在したことは明確である。
さらに「ツイッター」上の当該URLにはハイパーリンクが装備されており、当該告知ページ上の文字列「minne.com/items/23988627」をクリックすることにより、「ミンネ」側の当該商品ページが自動的に表示される仕様になっている。
これらのことから、「ツイッター」上の当該ページと「ミンネ」上の当該ページとの関係が明確に確認できる。
(3)製造数、販売数について
現在、商品開発の現場において、販売リスクを最小化するため、最終的な量産化に至るまでのステップとして、テストマーケティングを行うことが一般的である。
また、インターネット通信販売の利点のひとつとして、販売数量にかかわらず、一定の期間市場に商品をさらすことにより、観覧人数や問い合わせ等、多数の消費者の反応、ニーズを直に知ることができる点がある。
今回、当該通信販売サイトにて行っていた販売は、あくまでテストマーケティングの一環であり、今後の本格生産に向けての、重要な情報収集の過程であったという事実は、ここにしっかりと主張したい。
そのため、要証期間内における実際の販売規模が小ロットであったとしても、当該商品の販売が「業として」なされたことを否定するものではなく、また、要証期間内における一定の期間、市場において販売行為を行った事実、そしてそのことをインターネット、SNSを通じて公に広く告知している事実には、一定の評価がなされるべきであると考える。
(4)弁駁書について
請求人は、被請求人である本件商標権者が、2020年7月25日に「ツイッター」上において、請求に係る指定商品に該当する商品「ジュエリーポーチ」の発売告知を行っていた証拠として提出した、乙第4号証及び乙第5号証について、「右側部分に表示されているニュースが、全て予告登録日以降のニュースであり、2020年7月25日時点には確認できない事実であることから、要証期間内の事実を証するものではなく、被請求人により、捏造されたものである」と答弁している(甲1〜甲5)。
しかしながら、乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人が2020年10月14日に本件審判の審判請求書を受領した後、証拠提出の必要に応じて、2020年10月27日に該当ページをパソコン画面上へ表示し、印刷したものであり、よって右側部分に表示されているニュースが、実際の発売告知を行った日時である2020年7月25日時点のものではなく、2020年10月27日のものであることは至極当然であり、当該証拠を捏造だとする論拠にはなりえないと考える。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人である本件商標権者は、日本国内において、要証期間内に、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に基づき、本件商標を、請求に係る指定商品について使用している。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)GMOペパボ株式会社が運営するインターネット通販サイト「minne(ミンネ)」において、商品「ジュエリーポーチ」が価格2,980円で販売され、最初の商品写真(包装付)には包装上に「CONY」の文字(乙1)、三つ目の商品写真(包装なし)には商品のタグに「CONY」の文字(乙3)、さらに各商品写真の左下には「CONYオリジナルジュエリーポーチ」の文字の表示がなされている。なお、当該ジュエリーポーチについて「残り1点」と表示されている(乙1〜乙3)
(2)「CONYオリジナルジュエリーポーチ」の説明として、「くるくると3つ折りに畳めるコンパクトがポイント。アクセサリーの収納用としてはもちろん、旅行用としても。」また「■サイズ:[三つ折時]幅70mm × 高さ120mm、[開いた時]幅195mm × 高さ120mm、■素材:ポリエステル100%、■カラー:黒、■重さ:43g」との表示がある(乙1〜乙3)。
(3)インターネット通販サイト「minne」の「CONY」に係る特定商取引法に基づく表記において、会社名「有限会社アールプラス」とその住所及び電話番号の表示があり、いずれも本件商標権者と一致するものである(乙6)。
(4)ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Twitter(ツイッター)」の「CONY」のウェブページ(「@cony_official」)において、「2017年10月からTwitterを利用しています」の表示、さらに7月25日付けで「ジュエリーポーチ販売開始!」及び「minne.com/items/23988627」の表示並びに乙第1号証の商品写真が表示されており(乙4)、さらに当該ジュエリーポーチの販売告知を拡大したウェブページには、日付として「午後6:57 2020年7月25日」と表示されている(乙5)。
(5)「Twitter」のアカウント情報として、ユーザー名「@cony_official」、電話「+8163101030」及びメールアドレス「yoshie@cony.jp」の表示があり、電話番号は本件商標権者と一致するものである(乙7)。
(6)GMOペパボ株式会社が運営するドメイン管理サービス「MuuMuuDomain(ムームードメイン)」のウェブサイトの「コントロールパネル」において、「cony.jp」のドメインを取得した登録者情報として、「有限会社アールプラス」とその住所及び電話番号の表示があり、いずれも本件商標権者と一致するものである(乙8)。
(7)上記(1)ないし(6)を総合勘案すれば、本件商標権者である有限会社アールプラスは、2020年(令和2年)7月25日頃に、インターネット通販サイト「minne」において、「CONY」の文字を包装やタグに表示した「ジュエリーポーチ」を、「CONYオリジナルジュエリーポーチ」と称して、販売のために掲示していたことが認められる。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
乙第1号証ないし乙第3号証において、インターネット通販サイト「minne」に掲示された商品「ジュエリーポーチ」の包装やタグに表示された「CONY」の文字は、サンセリフ体の書体で表してなる商標(以下、当該「CONY」の文字を「使用商標1」という。)であるのに対し、本件商標は、「CONY」の文字を標準文字で表してなる商標であるから、本件商標と使用商標1とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
また、各商品写真の左下に表示された「CONYオリジナルジュエリーポーチ」の文字(以下「使用商標2」といい、「使用商標1」とまとめていうときは、単に「使用商標」という。)は、構成中の「オリジナルジュエリーポーチ」の文字部分が商品の普通名称や品質等を表すものであって、その要部は「CONY」の文字部分といえるから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品
上記1(1)及び(2)の「ジュエリーポーチ」(以下「使用商品」という。)は、請求に係る指定商品である、第18類「かばん類,袋物」の範ちゅうに含まれるものと認められる。
(3)使用時期
上記1(1)及び(4)を合わせみれば、2020年(令和2年)7月25日頃に、インターネット通販サイトで、使用商標が表示された使用商品が掲示されていたことが認められるところ、当該使用時期は、要証期間内である。
(4)使用者
乙第1号証ないし乙第3号証において、使用商標が表示されている使用商品をインターネット通販サイトに掲示しているのは、有限会社アールプラスであるから、使用者は、本件商標権者と認められる。
(5)使用行為
乙第1号証ないし乙第3号証において、本件商標権者が、インターネット通販サイト「minne」において、「CONY」の文字を包装やタグに表示した「ジュエリーポーチ」を、「CONYオリジナルジュエリーポーチ」と称して、コンパクトな商品であることなどを示して(上記1(2))販売のために掲示していた行為は、「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品に含まれる「ジュエリーポーチ」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、インターネットにより提供する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたことが認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「乙第4号証及び乙第5号証の右側部分に表示されるニュースは、全て予告登録日以降のニュースであり、2020年7月25日時点には確認できない事実であるから、被請求人が、何らかの方法により、2020年10月27日頃に、ツイッターのウェブページ上に、日付を2020年7月25日と装って『ジュエリーポーチ』の発売告知を行ったことは間違いがない。よって、乙第4号証及び乙第5号証は、要証期間内の事実を証するものではなく、被請求人により、捏造されたものである。」旨主張し、甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
しかしながら、乙第4号証及び乙第5号証は、2020年10月27日に印刷したものと認められるので、右側部分に表示されているニュースが、2020年7月25日時点のものでなく、2020年10月27日のものであることは当然のことであるから、当該証拠が捏造されたものということはできない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、「乙第1号証ないし乙第3号証には、何月何日のインターネット通信販売サイト『ミンネ』のウェブページであるかが確認できる日付が表示されておらず、本件商標が請求に係る指定商品に、要証期間に使用されたことを証するものではない。」旨主張している。
しかしながら、上記1のとおり、乙第1号証ないし乙第3号証に、乙第4号証ないし乙第8号証を合わせてみれば、2020年(令和2年)7月25日頃に、インターネット通販サイト「minne」において、「CONY」の文字を包装やタグに表示した「ジュエリーポーチ」を、「CONYオリジナルジュエリーポーチ」と称して、販売のために掲示していたことが認められる。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)さらに、請求人は、「仮に、要証期間に請求に係る指定商品に該当する『ジュエリーポーチ』への使用がされた場合であっても、その取引は反復し、継続してなされる通常の商品取引の形態であるという事実を確認できないから、被請求人による請求に係る指定商品についての本件商標の使用とはいえない」旨主張し、甲第6号証及び甲第7号証を提出している。
他方、被請求人は、「インターネット通販サイト『minne』における販売は、あくまでテストマーケティングの一環であり、今後の本格生産に向けての、重要な情報収集の過程であった」とし、「そのため、要証期間内における実際の販売規模が小ロットであったとしても、当該商品の販売が『業として』なされたことを否定されるものではなく、要証期間における一定の期間、市場において販売行為等を行っていた。」旨主張している。
この点に関し、当審は、仮に少ロットのテスト販売であったとしても、実際に一般の市場において流通され、取引の対象となっていたことからすれば、商標法第50条の使用と認めて良いものと判断する。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 岩崎 安子
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-08-05 
結審通知日 2021-08-11 
審決日 2021-08-26 
出願番号 2016120020 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W18)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2017-09-08 
登録番号 5977857 
商標の称呼 コニー 
代理人 中村 知公 
代理人 前田 大輔 
代理人 朝倉 美知 
代理人 伊藤 孝太郎 

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