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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W0105
管理番号 1381157 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-31 
確定日 2021-12-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第6339815号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6339815号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6339815号商標(以下「本件商標」という。)は、「PicoGene」の文字を標準文字で表してなり、令和元年12月10日に登録出願、第1類「化学用試剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),化学分析用試薬,化学品,植物成長調整剤類,非鉄金属,非金属鉱物,試験紙(医療用のものを除く。)」、第5類「医療用又は獣医科用の化学試薬,医療診断用バイオマーカー試薬,薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒」並びに第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同2年12月21日に登録査定、同3年1月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立てにおいて、商標法第4条第1項第11号に該当するとし、引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3337502号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:PYCNOGENOL
登録出願日:平成4年8月25日
設定登録日:平成9年8月8日
指定商品:第5類「薬剤」
(2)登録第4850206号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:PYCNOGENOL
登録出願日:平成8年7月17日
設定登録日:平成17年3月25日
指定商品:第5類「血管補強剤,毛細血管増強剤,活性酸素除去剤等の循環器官用薬剤,健胃消化剤,制酸剤等の消化器官用薬剤,皮膚軟化剤,収れん剤等の外皮用薬剤,総合ビタミン剤,複合ビタミン剤等のビタミン剤,薬用酒,食品強化剤等の滋養強壮変質剤,細胞賦活用薬剤等の薬剤」
(3)国際登録第1003213号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:PYCNOGENOL
国際商標登録出願日:2009年3月24日(優先権主張:2008年10月21日 Switzerland)
設定登録日:平成22年5月14日
指定商品:第1類「Procyanidins.」
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは「引用商標A」という。
2 申立人が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において、商標法第4条第1項第15号に該当するとし、引用する商標及び標章は、以下のとおりであり、(1)及び(2)は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4863840号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:PYCNOGENOL
登録出願日:平成7年8月11日
設定登録日:平成17年5月13日
指定商品:第29類「ハーブ・ビタミン・ミネラル等を主原料とする錠剤状・固形状・粉末状・顆粒状・ゼリー状・ゲル状・カプセル状・液状の加工食品」
(2)登録第4926868号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:PYCNOGENOL
登録出願日:平成9年3月3日
設定登録日:平成18年2月10日
指定商品: 第29類「加工野菜及び加工果実,松の樹皮からの抽出成分を主成分とする打錠・粉末状・液状・カプセル状・粒状の加工食品」
(3)引用標章
引用標章1ないし引用標章3は、別掲1ないし別掲3の構成のとおり「PYCNOGENOL」及び当該欧文字を有する図形との結合標章であり、申立人が商品「フランス海岸松の樹皮エキス」に使用する標章(これらをまとめていうときは「引用標章」という。)。
以下、引用商標4、引用商標5及び引用標章をまとめていうときは「引用商標B」という。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品及び指定役務中、第1類「全指定商品」及び第5類「全指定商品」の登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。
1 申立人の商標「PYCNOGENOL」の周知性について
「PYCNOGENOL」は、申立人が作った造語であって、フランス海岸松の樹皮に由来する天然エキス及びそれを含む製品を指し示す申立人の商標として、日本を含む世界中で広く知られている。
(1)申立人について
申立人は、1925年にその前身であるホーマファーマアーゲーとしてベルリンで設立され、創立者であるチャールズ・ハイモフ氏が、1970年に開発した、フランス海岸松の樹皮エキス(以下「申立人製品」という。)(甲9)に、「PYCNOGENOL」の商標を採択し、販売を開始した。
申立人製品は、優れた抗酸化作用などを有することが科学的に実証されている(甲7〜甲10)。これらの特徴を生かして、現在では、美肌のための化粧品・飲料、女性に特有の疾患を緩和するためのサプリメントのほか、糖尿病患者のための代替食品、口内炎を改善する効果に注目した歯磨き粉など、世界中で1000以上の健康食品・機能性食品・飲料・化粧品などに使用され、世界100か国以上で販売されており、一般消費者への販売額は、5億ドル(約550億円)を上回る(甲9〜甲11)。
また、申立人は、商標「PYCNOGENOL」に化体した信用を積極的に守るべく、マルアール表示や説明を欠かさぬように、周知徹底をはかっている(甲18〜甲40)。
(2)世界における商標「PYCNOGENOL」の使用実績
申立人製品は、各種受賞歴(甲12)があるほか、少なくとも2000年から2010年にかけて、米国のサプリメントランキングでは、常に上位を占めていたという複数の情報がある(甲13、甲14)。
また、第三者による商標登録出願「PYCNOGENOL」において、申立人の商標「PYCNOGENOL」の欧米における周知性が認定されている(甲15〜甲17)。
(3)日本における商標「PYCNOGENOL」の使用実績
日本では、1998年頃に、「PYCNOGENOL」及びその片仮名「ピクノジェノール」を付した申立人製品の販売が開始された(甲18〜甲40)。申立人製品を配合した製品の一部を販売する株式会社ディーエイチシー(以下「DHC」という。)は、健康食品通販市場の売上高ランキング(2019年度)で2位に入る大手である(甲41)。また、DHCが販売する「ピクノジェノール−PB」(甲18)、「Pregm」(甲19)は、株式会社富士経済よりシェアNo.1の認定を受けている。ここから、DHCの製品を通じて、「PYCNOGENOL」及び「ピクノジェノール」が日本で親しまれていることは想像に難くない。
また、申立人製品を配合した製品の多くは、申立人製品が配合されていることをアピールするべく、パッケージや製品説明に「PYCNOGENOL」及び「ピクノジェノール」を大きく表示し、申立人の登録商標である旨が明記されている。
以上に鑑みれば、日本においても、申立人の商標「PYCNOGENOL」は、サプリメントの分野において、申立人の商標として十分に知られていると考える。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、「PicoGene」の文字を標準文字で横書きに表してなり、その構成に相応し「ピコジーン」又は「ピコジェネ」の称呼が生じ、造語であるため、特定の観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標Aは、「PYCNOGENOL」の欧文字を横書きに表してなり、その構成に相応し、また、上記1のとおり、申立人の商標「PYCNOGENOL」の周知性により、「ピクノジェノール」の称呼が生じる。
(3)本件商標と引用商標Aとの比較
ア 外観について
本件商標は8文字、引用商標Aは10文字と、比較的多い文字数で構成され、構成文字数の多い欧文字商標においては、2文字目の「i」と「Y」の相違、「n」の有無、接尾辞「e」と「OL」の相違は微差にすぎない。そして、語頭の「P」、3文字目の「C」、その後の「O」「G」「E」「N」の計6文字が共通するから、両商標の外観は類似する。
イ 称呼
本件商標から生じる称呼「ピコジーン」又は「ピコジェネ」と引用商標Aから生じる「ピクノジェノール」は、語頭「ピ」及び後半部の語頭となる「ジ」と「ジェ」が共通するから、両商標の語調語感は相当程度類似する。
ウ 小括
両商標の共通する文字数の多さ、その文字の配置、称呼の共通性に従い、両商標は紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)指定商品の比較
本件商標の指定商品及び指定役務中、第1類「化学用試剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),化学分析用試薬,化学品,植物成長調整剤類」及び第5類「医療用又は獣医科用の化学試薬,医療診断用バイオマーカー試薬,薬剤,医療用試験紙」は、引用商標Aの指定商品と類似する。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標Aと、互いに紛れるおそれがある類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標
本件商標は、上記2(1)のとおり、「PicoGene」の構成に相応し「ピコジーン」又は「ピコジェネ」の称呼が生じ、造語であるため、特定の観念は生じない。
(2)引用商標
ア 引用商標4及び引用商標5は、「PYCNOGENOL」の欧文字を横書きに表してなり、第29類のいわゆるサプリメントについて商標登録されている。
イ 引用標章は、申立人が申立人製品に使用している「PYCNOGENOL」のロゴであって、申立人製品は、サプリメントのみならず、化粧品・薬剤等の原料としても使用されている。
(3)本件商標と引用商標Bとの比較
本件商標と引用商標5及び引用商標6並びに引用標章1ないし引用標章3の構成中の「PYCNOGENOL」の文字とは、「P」「C」「O」「G」「E」「N」の6文字を共通にし、自ずと外観が類似するため相紛れるおそれがある。
(4)指定商品の比較
ア 本件商標の指定商品及び指定役務中、「薬剤」を含む第5類の商品と申立人の商標「PYCNOGENOL」が広く知られている「サプリメント」は、同じ第5類に属する商品である。また、「薬剤」と「サプリメント」とは、服用方法(口から服用)、目的(身体の調子を整える、不調を改善させる)において共通する。また、ドラッグストアなどでは両商品が取り扱われているから、販売店及び需要者層が一定程度共通し、両商品は競合が予想される商品である(甲42)。さらに、申立人製品は、海外において医薬品として販売されていた事実がある(甲9)。これらの実情に鑑みれば、本件商標の指定商品及び指定役務中、「薬剤」を含む第5類の商品と申立人の商標「PYCNOGENOL」が使用されている「サプリメント」とは密接な関係がある。
イ 申立人製品は、薬剤や化粧品の原料としても使用されており、その流通経路・市場は「化学品」と共通する。そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務中、第1類の商品と申立人の商標「PYCNOGENOL」が使用されている「サプリメント」とは密接な関係がある。
(5)まとめ
以上のとおり、引用商標Bの周知性及び本件商標と引用商標Bの類似性、本件商標の指定商品と申立人製品との密接な関連性を考慮するに、本件商標をその指定商品及び指定役務中、第1類「全指定商品」及び第5類「全指定商品」について使用した場合、申立人の業務に係る商品又は役務と何らかの関連があるものとして、需要者の間に混同が生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「PicoGene」の欧文字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「ピコジーン」又は「ピコジェネ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し「ピコジーン」又は「ピコジェネ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標Aは、上記第2の1のとおり、いずれも「PYCNOGENOL」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「ピクノジェノール」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そうすると、引用商標Aは、その構成文字に相応し「ピクノジェノール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 外観
本件商標と引用商標Aを比較すると、両者の構成はそれぞれ上記ア及びイのとおりであり、いずれも欧文字からなり、また、「P」「C(c)」「O(o)」「G」「E(e)」「N(n)」の文字が共通であるとしても、当該欧文字の文字数及び文字の態様が相違するものであり、見誤るおそれはないものであるから、両者は、外観上、区別することができるものである。
イ 称呼
本件商標の「ピコジーン」の称呼と引用商標Aの「ピクノジェノール」の称呼とは、語頭において「ピ」の音を共通にするとしてもそのほかの音に差異を有し、また、本件商標の「ピコジェネ」の称呼と引用商標Aの「ピクノジェノール」の称呼とは、語頭における「ピ」及び中間における「ジェ」の音を共通にするとしても、そのほかの音に差異を有するものであって、5音又は4音からなる本件商標と7音からなる引用商標Aとは、音数において相違し、全体の語調語感が異なるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれはないものであるから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念
本件商標及び引用商標Aは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
エ そうすると、本件商標と引用商標Aとは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標Aとは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、第1類「化学用試剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),化学分析用試薬,化学品,植物成長調整剤類」及び第5類「医療用又は獣医科用の化学試薬,医療診断用バイオマーカー試薬,薬剤,医療用試験紙」と引用商標Aの指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、1973年に開発された、独自の抽出方法で得られるフランス海岸松の樹皮エキス(申立人製品)に「PYCNOGENOL」の商標を採択し販売を開始したとされる(甲9)。
イ 申立人製品は、現在、世界中で1000以上の健康食品等に使用され、世界100か国以上で販売され、申立人製品の一般消費者への販売額は5億ドルを上回るとされる(甲11)。しかしながら、我が国及び各国での売上額の内訳は定かでなく、販売されている国も不明である。
ウ 申立人製品は、各種受賞歴(甲12)のほか、少なくとも2000年から2010年にかけて、米国のサプリメントランキングでは、常に上位を占めているとされる(甲13、甲14)。しかしながら、当該賞が取引者、需要者の認識にどの程度の影響を与えているのか明らかではなく、米国におけるサプリメントランキング上位にあることを裏付ける資料の提出もないから、引用商標Bの我が国での知名度の高さを推し量ることはできない。
エ 申立人製品を配合しているとされる各種商品が、我が国において、複数の販売者によりウェブサイト上において販売されていることがうかがえる。そして、それら各種商品の包装容器あるいは紹介するウェブサイトにおいて、「PYCNOGENOL」の文字、「ピクノジェノール」の文字及び引用標章が表示されている(甲18〜甲40)。しかしながら、これらの商品には、申立人製品との関係が定かではないものも含まれ(甲22、甲24、甲26〜甲33、甲36〜甲38、甲40)、また、各種商品の販売実績も不明である。
オ 申立人製品を配合しているとされる商品の販売者の一社であるDHCが健康食品通販市場の売上高ランキング(2019年)で2位であるとされる(甲41)。しかしながら、DHCの取り扱いに係る商品における申立人製品を配合した商品の割合やそれら商品の市場シェア及び売上高は定かではない。また、DHCの取扱商品が、株式会社富士経済よりシェアNo.1の認定(「H・Bフーズマーケティング便覧 2021No.2」のホルモンバランス部門シリーズサプリメント<企業ランキング>(2019年実績・複数商品合計))とされる(甲18、甲19)ところ、当該認定は、DHCの複数商品の販売実績の合計であると解され、DHCに係る商品のホルモンバランスサプリメントにおける市場シェアがNo.1であると認められるものの、このこともって引用商標Bの我が国での知名度の高さを推し量ることはできない。
その他、引用商標Bが、我が国における取引者、需要者において、どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。
(2)上記(1)からすれば、申立人は、「PYCNOGENOL」と称する申立人製品を、1973年から製造販売しており、我が国においても、申立人製品を配合した各種商品が複数の販売者によって販売されており、それら各種商品の一部について、包装容器あるいは紹介するウェブサイトにおいて、「PYCNOGENOL」の文字、「ピクノジェノール」の文字及び引用標章が標示されている。
しかしながら、申立人製品あるいは申立人製品を配合してなる商品に関する売上高、販売数、市場シェア等の具体的な販売実績や、宣伝広告の回数、方法、頒布範囲等を示す主張、証左は見いだせない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標Bが、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国において、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、かつ、本件商標と引用商標4、引用商標5及び引用標章1は、上記1と同様の理由で、非類似の商標である。また、「PYCNOGENOL」の文字を有する結合標章である引用標章2及び引用標章3についても同じく非類似の商標であって、いずれも別異の商標である。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務中、第1類「全指定商品」及び第5類「全指定商品」について使用しても、取引者、需要者が、引用商標Bを連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)申立人の主張について
ア 申立人は、第三者による「PYCNOGENOL」の商標出願(平成6年商標登録願第114157号、平成7年商標登録願第6386号)において、当該商標が、申立人が主に健康機能食品等に使用し欧米において周知になっているとして商標法第4条第1項第15号あるいは同項第19号に基づく拒絶査定を受けていることから(甲15、甲17)、現在もなお、「PYCNOGENOL」が申立人の商標として欧米で広く知られている旨主張する。
しかしながら、上記の査定不服審判に係る登録異議の申立ては、平成8年及び同9年に行われたものであるところ(職権調査)、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性の判断時期は、本件商標の登録出願時及び登録査定時である。
そして、上記(2)のとおり、我が国において、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、「PYCNOGENOL」は、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
イ 申立人は、過去の審決例を挙げ、本件商標は申立人に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る具体的事案の判断においては、過去の審理等に拘束されることなく、個別に判断されるべきものであるから、過去の審決例の存在によって、本件商標の商標法第4条第1号第15号該当性の判断が左右されるものではない。
ウ したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用できない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲1(引用標章1:色彩については令和3年6月25日付け手続補正書参照)


別掲2(引用標章2:上記同)


別掲3(引用標章3:上記同)



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異議決定日 2021-12-14 
出願番号 2019154897 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W0105)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
登録日 2021-01-13 
登録番号 6339815 
権利者 日本板硝子株式会社
商標の称呼 ピコジーン、ピコ、ジーン 
代理人 特許業務法人 丸山国際特許事務所 

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