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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
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管理番号 1380149 
異議申立番号 異議2021-900122 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-26 
確定日 2021-11-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6335683号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6335683号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6335683号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、令和元年12月18日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯電話機・スマートフォン用カバー・ケース・ストラップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,マスコット人形の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同2年12月1日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第832340号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2004年(平成16年)6月25日に国際商標登録出願、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2005年(平成17年)9月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
1 申立人の周知・著名性について
申立人(英文名称:Giorgio Armani S.P.A.)は、デザイナーであるジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)により1975年にイタリアのミラノに設立されたファッションハウス(最新の高級服のメーカー)であり(甲3)、高級ホテル(アルマーニホテルズ)や高級リゾートのチェーンビジネスのみならず、世界中でカフェやバー、ナイトクラブの運営も行っている。
アルマーニブランドは、ファッション業界で最も権威のあるブランドと紹介され、メインブランド「ジョルジオ アルマーニ」のほか、複数の姉妹ブランド、化粧品、リゾート、高級レストランなど多彩な事業を展開して「アルマーニ」と総称される(甲4)。
2 申立人の創立者ジョルジオ アルマーニについて
ジョルジオ アルマーニ氏は、同じくイタリアを代表するファッションデザイナーである、ジャンフランコ・フェッレ(Gianfranco Ferre:末尾の「e」の上には、アクサンテギュ記号が付されている。)氏、ジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace)氏と共に、「ミラノの3G」と呼ばれ、その一翼を担い、世界中で知られており(甲5)、その知名度を表す最たるものとして、ファッションデザイナーとしては2人目として、アメリカの「Time(タイム)」誌の表紙を1982年に飾り、1940年代のクリスチャン・ディオール以来約40年ぶりにファッションデザイナーとして表紙を飾った。イタリア人としては、ノーベル賞受賞劇作家のルイジ・ピランデルロに次いで2人目である(甲5、甲6)。
また、1981年(昭和56年)のGQ誌の「メンズ・スタイル・アウォード・フォー・ベスト・ファッションデザイナー賞」を皮切りに、1985年(昭和60年)にはイタリア政府から、イタリア共和国功労勲章「コメンダトーレ章」を、1986年(昭和61年)にはその最高位「グランデ・ウッフィチャーレ章」を、1987年(昭和62年)には「共和国功績勲章」、「大騎士賞」を授与されている。受賞歴はイタリア国内にとどまらず、1988年(昭和63年)にはスペイン国王から、世界最高のファッションデザイナーに贈られる「クリストバル・バレンシアガ賞」を、1989年(平成元年)には日本でも「繊研賞」を授与されている(甲5)。
つまり、ジョルジオ アルマーニは、20世紀で最も成功したデザイナーであり、著名な番付「フォーブズ(Forbs)」の世界長者番付にもランクインされている(甲5)。
3 申立人の日本での事業について
申立人は、1987年(昭和62年)に、Giorgio Armani Japan株式会社を設立したのが日本でのビジネスの始まりである。
日本進出から35年を経過した現在でも、日本で認知される高級ブランドの1つとして、東京の銀座や青山のみならず日本各地で出店を続け、現在では日本国内で72店舗を擁しており、申立人のブランドの日本国内での知名度が高いことがうかがえる。
近年では、都内にある小学校の制服のデザインをしたことが全国のテレビ局により報道されたが、これも、ジョルジオ アルマーニが日本全国で高級ブランドであることが広く知られているからに他ならない。
4 引用商標の周知・著名性について
上記1ないし3のとおり、申立人とそのブランドであるGiorgio Armaniは、40年以上も世界各国で広く事業活動を行っている。引用商標も1985年(昭和60年)からあらゆるArmaniブランドの展開に際して使用されている。
したがって、その保有するブランド(商標)と引用商標は、日本国内のみならず、世界各国で周知・著名なものとして認知されている。
(1)売上高
2014年(平成26年)の申立人のアニュアルレポートによれば、売上高(1ユーロ130円で換算)は、2012年(平成24年)は29億2840万ユーロ(約3807億円)、2013年(平成25年)は30億4720万ユーロ(約3961億円)、2014年(平成26年)は31億3580万ユーロ(約4077億円)を記録している。
また、2015年(平成27年)ないし2018年(平成30年)のアニュアルレポートによれば、全世界での「アルマーニ(Armani)」ブランドの商品の販売額は、2015年(平成27年)は40億1150万ユーロ(約5215億円)、2016年(平成28年)は39億4040万ユーロ(約5123億円)、2017年(平成29年)は39億2660万ユーロ(約5105億円)、2018年(平成30年)は38億600万ユーロ(約4948億円)を記録している(甲8)。
上記金額を見ても、申立人ブランドの世界での市場規模は大きく、ブランドの持つ価値が高く、申立人の商標並びにブランドが需要者に周知されていることが分かる。
(2)日本での売上高
2015年(平成27年)ないし2020年(令和2年)の日本におけるGiorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)ブランドの商品の売上高は、平均で66億円ほどである。
(3)世界での引用商標を付した商品の売上高
2015年(平成27年)ないし2019年(令和元年)の世界における、引用商標を付した商品の売上高は、いずれの年も391億円から444億円以上を達成している。
(4)広告宣伝費
申立人が日本を含む世界各国で費やしたGiorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)ブランドに関する2012年(平成24年)ないし2017年(平成29年)の広告宣伝費は、いずれの年も、最低20億円以上、最高時は25億円以上の広告宣伝費をかけており、申立人が世界中でその所有するブランドの育成と価値の向上に力を入れていることが分かる。
また、申立人が日本で費やしたGiorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)ブランドに関する広告宣伝費は、2017年(平成29年)以降、最低2億円以上を費やし、日本国内の広告宣伝に力を入れ、申立人がその所有するブランドの育成と価値の向上に力を入れていることが分かる。
さらに、申立人が世界において、引用商標であるロゴを付した商品に費やした2015年(平成27年)ないし2019年(令和元年)の広告宣伝費は、最低24億円以上、最高29億円以上である。
(5)商品の販売個数
申立人は、引用商標が使用されるジョルジオ アルマーニというブランドのほかにも「エンポリオ アルマーニ(Emporio Armani)」、「アルマーニ コレッツィオーニ(Armani Collezioni)」、「アルマーニ ジーンズ(Armani Jeans)」、「アルマーニ エクスチェンジ(Armani Exchange)」、「アルマーニ カーサ(Armani/Casa)」、「アルマーニ ドルチ(Armani/Dolci)」などの個別ブランドを所有し、被服、鞄や小物などの革製品、宝飾品、靴などを販売している。アルマーニに関わるその全体で毎年6000万個程度の商品を販売している。
日本においては、2014年(平成26年)には11万999個、2015年(平成27年)には9万6524個、2016年(平成28年)には4万6178個、2017年(平成29年)には8万6567個、2020年(令和2年)の春夏シーズンに3万9649個、同秋冬シーズンに4万25個の商品を販売している。
(6)引用商標を広告、宣伝を目的に使用された例
申立人の日本向けのインターネットホームページの写しによれば、引用商標が複数のページに表示され、申立人のビジネスと引用商標とが密接に関わっており、引用商標が国内外の消費者の目に触れる機会が多いことが分かる(甲9)。
(7)雑誌等への掲載事例
申立人は、インドやブラジル国内で頒布される雑誌等へ引用商標が付された商品の広告掲載を多数行っている(甲10の1、甲10の2、甲10の13)。また、日本国内においても、2015年(平成27年)から2020年(令和2年)にかけて、日本国内で頒布される女性誌に複数回商品が掲載され、その商品に引用商標が表示されている(甲10の3?甲10の12、甲10の14?甲10の36)。
なお、各甲第10号証にかかる雑誌の2019年1月ないし3月までの3か月の国内印刷部数は、一般社団法人日本雑誌協会にて公表されているものによれば、一部発行部数が分かっている件に関してだけでも、1か月に32万部程度が発行されている雑誌へ掲載されている(甲10の37)。
(8)世界各国での引用商標の商標登録例
申立人は、世界122か国の商標登録のほか、71か国を超える指定国を指定した、マドリッド協定議定書に基づく国際登録商標を所有し、引用商標の世界的な法的保護を確保の上、使用している(甲11)。
(9)引用商標について著名性を認定したスペインでの異議申立ての決定
他人が所有するスペイン登録商標に対する異議申立ての審理において、引用商標の著名性が認定されている(甲12)。
(10)Brand Financeによる評価
英国に拠点を持つ、世界のブランドの評価を行う事業者Brand Finance社は、2017年(平成29年)のイタリアのブランドトップ50を分析しており、申立人のブランドの総称である「Armani」について、第10位にランク付けしている(甲13)。
(11)Reuters(ロイター)による記事
ロイターの記事によれば、2017年(平成29年)は25億ユーロ(1ユーロ=126円換算で3150億円)の売上を達成しており、プラダに次いで2番目に大きいイタリアのファッショングループであると報じている(甲14)。
5 商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標は、図形と文字からなり、この図形は、全体として円をモチーフとした図形である。黒色に塗りつぶされた円のモチーフの内側に、左右2つに分かれた白色の線による円をモチーフにした図形が描かれている。その左半分には半弧が描かれ、その中央部分及び半弧の下端に、円の中心に向かって直線が突き出ている。また、右半分にも、半弧が描かれ、その中央部分及び半弧の上端に、中央に向かって直線が突き出て、円中心に近いところで結合している。右半弧の中央には一部欠損があるが、極めて小さく、外観観察において注目するところではない。また、この白の線書きの円をモチーフとした図の下半分の部分に、白色の文字により二段書きで“En serio TOKYO”と記載されているが、“TOKYO”は日本国の首都である東京を英語のアルファベットで表示したものであり、識別力を発揮しない部分である。
よって、白色の円をモチーフとした図形と、文字“En serio”が識別機能を果たすところであるが、文字部分は、それを囲む白色の図形で用いられている白い線の太さよりも格段に細い線で描かれているだけでなく、本件商標の全体からみて極めて狭い範囲に記載されており、本件商標を看取する者にとっては、その意味を認識できないことと相まって、注目すべきところとはいえない。
したがって、本件商標に接する需要者は、白太線により表された円をモチーフとした図形に対して持つ印象に基づき本件商標を認識し、また記憶するのが相当である。
引用商標も、円をモチーフにした図形商標であり、円の左右に配された半弧の上端及び下端から垂直方向に直線が延び、右側の図形は垂直縦方向の線と水平横方向の線とが円の中央付近で交わっていること、また左側の図形は半弧の中央部分にあたる位置に水平方向に直線が配されている点は、引用商標の円をモチーフとした図形の特に特徴のある部分であり、本件商標はかかる特徴点を同じく備えている。
このように引用商標と構図を一にする本件商標は、外観が区別し難いほどに近似してデザインされている。商標の類否観察では、時と処を別にして行う隔離観察をもって行うところ、引用商標の特徴点を備え、円をモチーフとした図形からなる本件商標に接する需要者は、引用商標と外観上十分に区別をすることができず、相紛らわしい図形と認知するのが自然である。
したがって、両商標は、外観の印象が極めて近似するから、外観上類似している。
称呼の点については、本件商標に上記のとおり文字が配されているとしても、“En serio”はスペイン語であり、どのように呼称すればよいか日本国の需要者は理解できず、かかる部分より称呼は生じない。
観念の点においても、我が国の需要者は、スペイン語はおろか何語であるかを理解することはできないし、ひいては、この意味が「本当に、真剣に」であるということなど理解することはできないから、両商標は観念上対比することはできない。
前記のとおり、引用商標自体は周知・著名な商標であるから、称呼・観念を凌駕して外観が極めて近似している本件商標に接した需要者は、本件商標から申立人の商標を想起させ、具体的な出所の混同を生じるおそれがあるほか、事業上何等かのつながりがあると想起される広義の混同のおそれが存在する。
以上により、本件商標は、引用商標と外観上極めて紛らわしく、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあることは否定できないから、本件商標と引用商標とは類似するというべきである。
また、本件商標の指定役務中には、引用商標の指定商品と同一又は類似する役務が含まれている。
よって、本件商標は、先願の類似商標と同一又は類似する商標であって、同一又は類似する指定商品にかかる出願であり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録された商標である。
6 商標法第4条第1項第15号違反について
本件商標と引用商標が類似するとはいい得ないとした場合であっても、引用商標が申立人の商標として日本国内において周知・著名であることからすると、本件商標がその指定役務について使用されたときには、需要者・取引者をして、申立人の提供する役務であるかのごとく、又は申立人と経済的・組織的に何らかの関連を有するものの提供に係る役務であるかごとく、その出所について需要者をして誤認混同を招くことは明らかである。
本件商標の指定役務は、引用商標の第14類、第18類、第24類、第25類の商品を対象とする役務であるから、狭義・広義の出所の誤認混同を生じるおそれが存在する。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないとした場合であっても、本件商標は、同項第15号に違反して登録されたものである。
7 商標法第4条第1項第19号違反について
引用商標は、申立人の周知・著名な商標として世界各国で認識されることからすると、これと類似する本件商標をその指定役務に使用する場合には、ファッション業界において周知・著名な円をモチーフとした図形商標である引用商標に化体した知名度にフリーライドして、不正の利益を得る目的のもと使用することになり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、デザイナーであるジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)により1975年(昭和50年)にイタリアで設立された高級服のメーカーである。「アルマーニ」ブランドは、ファッション業界で最も権威のあるブランドと紹介され、メインブランド「ジョルジオ アルマーニ」のほか、複数の姉妹ブランド、化粧品、リゾート、高級レストランなど多彩な事業を展開して「アルマーニ」と総称される(甲3、甲4)。
イ 申立人は、1987年(昭和62年)に、Giorgio Armani Japan株式会社を設立し、日本進出から35年を経過した現在でも、日本で認知される高級ブランドの1つとして、東京の銀座や青山のみならず日本各地で出店を続け、現在ではGiorgio Armani及びEmporio Armaniのブランドとして、日本国内で72店舗を有している(申立人の主張)。
ウ 申立人は、2014年(平成26年)から2018年(平成30年)までのアニュアルレポートを提出し、全世界での「アルマーニ(Armani)」ブランドの商品の販売額を主張するが、その詳細は不明である(甲8)。
エ 申立人は、2012年(平成24年)ないし2017年(平成29年)の世界におけるGiorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)ブランドの広告宣伝費、2015年(平成27年)ないし2019年(令和元年)の日本におけるGiorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)ブランドの広告宣伝費及び2015年(平成27年)ないし2019年(令和元年)の世界における引用商標であるロゴを付した商品の広告宣伝費などを主張するが、いずれの数値もそれらを裏付ける証拠の提出がないことから客観性に欠けることに加え、比較の対象となる広告宣伝費の数値もないため、評価をすることはできない。
オ 申立人は、被服、鞄や小物などの革製品、宝飾品、靴などの商品に係る、アルマーニブランド全体の販売数、日本における、2014年(平成26年)ないし2017年(平成29年)及び2020年(令和2年)の販売数を主張するが、それらを客観的に裏付ける証拠の提出はない。
カ 申立人の主張によると、甲第9号証の1は、申立人のウェブサイトであるところ、そこに掲載されている、ブランケット、マネークリップ、ベルト等に使用されている商標は、引用商標とは構成態様が相違する上、本件商標の登録査定後に掲載されたものである。
キ 2015年(平成27年)から2020年(令和2年)に、我が国で頒布されたと思われる女性誌に、申立人の業務に係る商標が付された被服、履物、バッグ及び財布等が掲載され(甲10の3、甲10の4、甲10の6?甲10の12、甲10の14?甲10の36)、当該雑誌の発行部数も相当数のものであった(甲10の37)としても、その使用に係る商標は、引用商標とは構成態様が相違する。
ク その他、引用商標が付された商品についての我が国における販売期間、売上高や市場シェアなどの事業規模、宣伝広告の回数などを具体的に把握し得るものは見いだせない。
(2)まとめ
上記(1)によれば、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)は、本件商標の登録出願時において、世界的に著名なデザイナーとして評価され、事業家としても、世界的な名声を博し、「GIORGIO ARMANI」、「ジョルジオ アルマーニ」の名前あるいは姉妹ブランドやその略称である「ARMANI」及び「アルマーニ」の標章は、本件商標の登録査定時はもとより、本件商標の登録出願時においても、申立人の業務に係る商品「被服、靴、鞄、ベルト、革製小物」等の出所表示として、我が国又は外国の一般の取引者、需要者の間に、ある程度認識されていたものと認められる。
しかしながら、申立人による全世界での「アルマーニ(Armani)」ブランドの商品の販売額については、その詳細が不明であり、同様に広告宣伝費も客観的に裏付ける証拠は提出されておらず、日本における販売数についても、それらを客観的に裏付ける証拠の提出はない。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、我が国及び外国の引用商標を使用した商品の市場シェアなどの販売実績や新聞、雑誌などの掲載事実や申立人ウェブサイトへのアクセス状況などの広告宣伝の実績に係る証左はいずれも見いだせない。
そうすると、申立人の提出に係る全証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
その他、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認めるに足る証拠はない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黒塗り円内に、白抜きで欧文字をデザイン化したと思われる図柄を左右2つに分けて円を構成するように描いた図形と、その図形内の下半分に白抜きで小さく「En serio」及び「TOKYO」の文字を二段に横書きした構成からなるところ、複数の単語から構成される英語の熟語や名称については、その略称として、各単語の頭文字を並べたものを用いることが多いことに鑑みると、本件商標の図形部分は、「En」と「serio」の頭文字である「E」と「s」を組み合わせたものと理解し、把握されることも決して少なくないものである。
また、文字部分は、図形部分内にバランスよく配置されており、全体として一体性を看取させる構成からなるものであるが、文字部分は、図形部分に比して極めて小さく書されており、特に看者の目をひく態様で表されているとはいえない。
そうすると、本件商標は、その構成中、大きく顕著に表された図形部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから、当該図形部分を分離、抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することが許されるものといえる。
そして、本件商標は、「En serio」及び「TOKYO」の文字部分からは、その構成文字に相応して「エンセリオトーキョー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものであり、また、図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、円の上部左側及び下部右側の弧を一部切り取り、左の円弧の下部先端に接続し、中央に向って縦直線を配し、その先端に接続し、左に向かって先端部分が斜めに切り取られた横直線を配している。また、右の円弧の上部先端に接続し、中央に向かって縦直線を配し、該円弧の中央部分から、先端部分が斜めに切り取られた横直線を配し、縦直線と横直線が中央付近で交差しているものである。
そうすると、引用商標は、上記の特徴的な構成による組み合わせがバランス良く結合しており、その構成全体がまとまりのある一体のものとして、取引者、需要者に強く印象づけられるものであって、円図形をモチーフとした特異性のある図形として認識されるとみるのが相当であり、これより、特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、引用商標は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、文字と図形からなる本件商標と図形のみからなる引用商標とは、構成全体として、明らかに相違するものである。
また、本件商標の構成中の図形部分は、上記(1)のとおり、アルファベットの「E」と「s」が組み合わさって、全体に円を構成する図形からなるものと看取され得るのに対し、引用商標は、上記(2)のとおり、円図形をモチーフとした特異性のある図形として看取されるものであるから、両者は、図形全体の構成態様において明らかに相違するものであり、それぞれから受ける印象が大きく異なるものである。
そうすると、両商標の構成全体又はその図形部分のいずれを比較しても、それらを対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
イ 称呼及び観念について
本件商標は、特定の観念を生じないものであって、その構成中の図形部分からは称呼が生じないものの、「En serio」及び「TOKYO」の文字部分から「エンセリオトーキョー」の称呼が生じるのに対し、引用商標は、特定の称呼及び観念が生じないため、これらは、称呼上、比較することができないか相紛れないものであり、また、観念上は比較することができない。
ウ 小括
以上から、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできないものであるとしても、称呼においては比較することができないか相紛れないものであり、外観において明らかに相違するものであるから、これらを総合して判断すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情も見いだせない。
(4)まとめ
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、たとえ、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品が類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そして、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、類似性の程度が高いとはいえない。
そうすると、本件商標の指定役務が、引用商標の指定商品に含まれる商品ないしは申立人の業務に係る商品を取扱商品とする役務を含み、商品・役務の関連性が高く、需要者の範囲も共通する場合があるとしても、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標であって、類似性の程度が高いとはいえないものであるから、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人を連想又は想起するとは考え難い。
以上によれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、その取引者、需要者をして、当該役務が、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、かつ、上記2のとおり、本件商標とは、別異の商標である。
そして、申立人の提出に係る証拠によれば、本件商標の権利者による本件商標の使用が引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものというべき事実は見いだし難いばかりでなく、他に、本件商標は、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
本件商標


別掲2
引用商標(国際登録第832340号)



異議決定日 2021-11-11 
出願番号 商願2019-160065(T2019-160065) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W35)
T 1 651・ 263- Y (W35)
T 1 651・ 261- Y (W35)
T 1 651・ 222- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 渡邉 潤地主 雄利 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 2020-12-28 
登録番号 商標登録第6335683号(T6335683) 
権利者 株式会社ビギン
商標の称呼 エンセリオトーキョー、エンセリオ、セリオ、イイエス 
代理人 川崎 仁 
代理人 八鍬 昇 
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所 
代理人 中里 卓夫 
代理人 三嶋 景治 
代理人 中里 浩一 
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