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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W061920
審判 全部申立て  登録を維持 W061920
管理番号 1380138 
異議申立番号 異議2021-900100 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-18 
確定日 2021-11-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6333593号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6333593号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6333593号商標(以下「本件商標」という。)は、「Sukiya」の欧文字を横書きしてなり、令和元年12月9日に登録出願、第6類「金属製戸,金属製建具,金庫,金属製金具,棚板,戸車,扉,扉とっ手,扉の閉塞装置,柱,窓,窓枠,門,建築用又は構築用の金属製専用材料,鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,金属製建造物組立てセット,金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製の吹付け塗装用ブース,金網,金属製のネームプレート及び標札,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製郵便受け,金属製帽子掛けかぎ,金属製工具箱,金属製屋外用ブラインド,金属製の可搬式家庭用温室,金属製彫刻」、第19類「障子,戸,ふすま,建具(金属製のものを除く。),建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,旗掲揚柱(金属製のものを除く。),建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),石製郵便受け,屋外用ブラインド(金属製又は織物製のものを除く。),可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻,鉱物性基礎材料」及び第20類「たんす類,机類,椅子類,鏡,洗面化粧台,書棚,陳列棚,本立て,ロッカー,金属製家具,家具,つい立て,びょうぶ,カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),ハンガーボード,工具箱(金属製のものを除く。),ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,日よけ,ベンチ,額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」を指定商品として、同2年12月2日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4952326号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 SUKIYA(標準文字)
指定商品及び指定役務 第29類、第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成17年9月7日
設定登録日 平成18年5月12日
(2)登録第4922750号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 すき家(標準文字)
指定商品及び指定役務 第29類、第30類、第31類、第32類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成17年3月23日
設定登録日 平成18年1月20日
(3)登録第4997128号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品及び指定役務 第29類、第30類、第31類、第32類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成17年10月14日
設定登録日 平成18年10月20日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第137号証を提出した。
(1)前提となる事実
ア 申立人は、1982年(昭和57年)6月に神奈川県横浜市で株式会社ゼンショーとして設立され、同年神奈川県横浜市鶴見区に牛丼店として「すき家」1号店である生麦駅前店を開店した(甲5)。この「すき家」の名称の由来は2つあり、その1つは「すき焼き」から由来する。すき焼きは明治時代、横浜で食されるようになった牛鍋が元祖だといわれ、牛丼は基本的にはこの牛鍋(すき焼き)風に味付けしたメニューであり、このすき焼き発祥の地である横浜が、申立人の創業の地でもあることから、「すき焼き」をヒントに「すき家」と命名したものである。また、もう一つの由来は「好き家」である。これには誰からも好かれる店舗でありたいとの願いを込めて命名されたものである(甲6)。
イ 申立人が運営する「すき家」は、第1号開店後、急速にその店舗数を伸ばしていき、2006年(平成18年)6月には業界2位に、2007年(平成19年)7月には日本全国47都道府県への出店を達成し、2008年(平成20年)9月には業界1位の店舗数となり、その店舗数は、現在では業界2位の吉野家の店舗と倍近くとなっている。また、その店舗数に比例し、売上についても業界1位であり、こちらも2位の吉野家の倍の売り上げを誇る(甲5、甲7、甲8)。
このように申立人は、「すき家」の店舗を急激に拡大させてきたが、その状況下、2011年(平成23年)5月に株式会社ゼンショー分割準備会社を設立し(同年10月の持ち株会社体制に移行に伴い、株式会社ゼンショーホールディングスと商号変更)、2014年(平成26年)10月には申立人の事業の中で、この「すき家」に関する事業(以下「すき家事業」という。)を強化、発展するために、株式会社ゼンショーから株式会社すき家本部(現株式会社すき家)に社名変更を行ったものである。そして、2020年(令和2年)3月に、すき家事業の経営のより一層の効率化を図るため、株式会社すき家本部を存続会社とし、すき家地域会社9社(北日本すき家、関東すき家、東京すき家、神奈川すき家、中部すき家、中京すき家、関西すき家、中四国すき家、九州すき家)を消滅会社とする吸収合併を実施し、株式会社すき家本部から株式会社すき家に社名を変更するに至っている(甲5)。
ウ 申立人の「食の安全」を追求したビジネスモデル、海外への事業展開、積極的な社会的貢献等が取引者、需要者の間で広く受け入れられてきた。また、スマートフォンアプリ等を使用したモバイルオーダーサービスをいち早く導入したり、アニメ等とのコラボキャンペーンを開催する等、常に業界をリードするユニークで話題性のある事業展開は注目を集めてきた。申立人のすき家事業は、創業当初よりテレビ、新聞、雑誌等多数のメディア・マスコミにおいて大々的に取り上げられており、テレビ放映としては、NHKを始め全国ネットの放送局により、申立人の事業に関する話題が度々紹介されている。新聞及び雑誌については、掲載数が膨大であって全てを提出することが非現実的であるため、近年の主なものを以下に紹介する。
甲第9号証ないし甲第53号証は、申立人の子会社「株式会社すき家本部」が行うすき家事業に伴う販売商品や軽減税率導入に伴う店内店外の商品価格の統一に関する記事である。
甲第54号証ないし甲第63号証は、業界内でも先駆けてキャッシュレス決済の導入、モバイルアプリを利用したオーダーが可能となるシステムの導入、QRコード決済でのクーポンの導入、ウーバーイーツヘの対応、音声認識AIの「アマゾンアレクサ」での弁当予約サービスの導入、各種ポイントヘの対応に関する記事である。
甲第64号証ないし甲第72号証は、「シン・エヴァンゲリオン」、「進撃の巨人」、「クレヨンしんちゃん」、「Fate/stay night」及び「みいつけた!」等とのコラボレーションに関する記事である。
甲第73号証ないし甲第87号証は、「SUKIYA」と大きく表示されたキッチンカーなどを駆使し、2016年の熊本地震、2018年の台風21号、北海道胆振東部地震、2019年の台風19号などの各被災地に牛丼を無償提供したときの記事である。
甲第88号証ないし甲第94号証は、すき家事業において使用される商標は、訪日外国人に関しても対応できるよう「すき家」の日本語と「SUKIYA」の欧文字とが一緒に使用される態様又は「SUKIYA」の欧文字のみを使用することもあることを示すものである。
甲第95号証ないし甲第97号証は、株式会社すき家のホームページにある英文サイト及び、申立人のすき家事業の海外展開に関するものである。
甲第98号証ないし甲第109号証は、すき家事業において、主力の牛丼などのメニューの他、スイーツにも力を入れ、幅広い顧客に訴求するメニューを取り揃えていることを示す記事であり、「SUKIYA」のロゴが入った保冷バッグや弁当箱、「すき家\SUKIYA」のロゴが入った金色の丼ぶり鉢を販促品として提供していることを示す記事である。
甲第110号証ないし甲第113号証は、株式会社すき家と名古屋グランパスとがコラボレーションし、「SUKIYA CUP」という小学生向けのサッカー大会を開催したことを示す記事である。
甲第114号証ないし甲第116号証は、株式会社すき家がFC東京とタイアップし、「すき家Day」と名を打ちサンフレッチェ広島との試合の際に「すき家\SUKIYA」のロゴが入ったオリジナルコラボどんぶり鉢をプレゼントする等の企画を開催したことを示す記事である。
エ 申立人による「すき家」の事業は、影響力が大きいテレビ番組においても多く取り上げられている。「すき家」事業において、外食チェーン店としては初となる低炭水化物ダイエット商品の販売を開始した際には、生活習慣病予防や体に負担をかけないダイエットとして注目を集め、健康(特に糖質)を気にする方々が、おいしく食べて、より健康になるための新しい食事方法をいち早く提案して話題となり、各種テレビ番組において紹介された(甲117?甲120)。また、申立人が従業員の働き方改革の一環として打ち出した具体的な制度や商品の値上げに関するニュースがNHKに取り上げられ、申立人が2016年の熊本地震の際に被災地にキッチンカーで牛丼の炊き出しを行った際にもTBSのニュースにおいて取り上げられるなど、全国ネットの放送局により、「すき家」事業に関する話題が紹介されている(甲85、甲121?甲123)。さらに、人気タレントを起用したテレビCMが、ユニークで訴求力の高いテレビCMとして好評を得ている(甲124?甲134)。
(2)申立人の子会社の商号及び引用商標の周知著名性
申立人は、1982年(昭和57年)の「すき家」1号店の開店当初より一貫して引用商標をハウスロゴとして採択し、継続的かつ盛大に使用してきた。また、これらの引用商標は、ホームページ上や取引書類等において長期にわたり継続的に使用されてきた。上述のように、申立人は、業界においてはトップの店舗数及び売上をあげており、国内外食企業売上高No.1の地位に長年の間君臨している。そして、申立人の絶え間ない営業努力と業界を常にリードする斬新な取組みとが相まった結果、引用商標は、日本国内において、需要者及び取引者の間で広く認知されるに至っている。引用商標は、本件商標の登録出願時には、申立人又は申立人の子会社の業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されるに至っており、本件商標の登録査定時、さらにはそれ以降もその周知性を高めているものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述したとおり、申立人による継続的かつ積極的な営業活動及び宣伝広告活動により、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の両時点において、申立人の業務又は申立人の子会社である株式会社すき家の事業を表示する商標として、高い周知著名性を獲得していたことは明らかである。
そして、本件商標は、引用商標1とアルファベットの大文字と小文字の差異を有するのみであることから、両商標は同一又は類似であることは明確である。また、引用商標2は、本件商標と称呼が同一であり、両商標から生じる観念も、引用商標の著名性から申立人又はその子会社である「株式会社すき家」によるすき家事業であるといえることから、本件商標と引用商標2は高い類似性を有するものである。引用商標3についても、「すき家」及び「SUKIYA」の文字からなり、本件商標と称呼及び観念が同一又は類似するため、両商標は高い類似性を有するものである。
さらに、本件商標の指定商品である各種「建築用又は構築用の専用材料」のような建材や、「机類,椅子類」等の家具類は、申立人の事業に係る商品及び役務とは一定の関連性を有するものである。すなわち、申立人はホールディングス形態を採る会社であり、傘下の子会社により外食事業、小売事業及び介護事業の他、サポート事業として店舗設計や施工等の事業も行い、グループ事業を多角的にサポートしている。実際に、申立人の子会社の一つである株式会社テクノ建設は、すき家店舗の建設を担い、建築資材の取り扱いも行っている(甲135?甲137)。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これらに接する取引者、需要者をして、申立人又は申立人の子会社である株式会社すき家の業務に係る商品又は役務であると連想させ、商品又は役務の出所について混同を生じる蓋然性は高いというべきである。少なくとも、申立人又は株式会社すき家と経済的、組織的に関係を有する者が提供する商品であるかのように誤認するおそれがあることは明らかである。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第8号について
一般的に、法人名称のうち「株式会社」は、法人格を表すにすぎず、また「本部」は一般的に省略されやすいため、「すき家」が申立人の子会社である株式会社すき家(株式会社すき家本部)の著名な略称であることは明確である。また、自己の「氏名」であれば、それがローマ字表記されたものであるとしても、本人を指し示すものとして受け入れられている以上、その「氏名」を承諾なしに商標登録されることは、同人の人格的利益を害されることになると考えられる。したがって、商標法第4条第1項第8号の「氏名」には、ローマ字表記された氏名も含まれると解される(知財高裁平成31(行ケ)10037号審決取消請求事件)。
「SUKIYA」及び「すき家」は、申立人の子会社である株式会社すき家(株式会社すき家本部)の略称として、長年の間、盛大に使用されてきた結果、我が国のあらゆる世代の人々に親しまれ、商標法第4条第1項第8号の保護対象たる人格権が多大に化体したものである。また「SUKIYA」の文字は、「すき家」をローマ字表記したものと需要者一般に認識されていることは明らかであり、してみれば、本件商標「Sukiya」に接する取引者、需要者は、それを「すき家」をローマ字で表記したものと認識するといわざるを得ない。そして株式会社すき家(株式会社すき家本部)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても現存しており、「すき家」は、同社の略称として高い著名性を有している。さらに、本件商標の権利者は、「Sukiya」の名称を使用する承諾を株式会社すき家から得ていないものである。
以上、本件商標は、他人の名称を含む商標であって、かつ、その他人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人の第38期有価証券報告書(甲5)によれば、申立人は、1982年6月に神奈川県横浜市で株式会社ゼンショーとして設立され、2007年7月に47都道府県への出店を達成したこと、2011年5月、株式会社ゼンショー分割準備会社(現株式会社すき家)を設立し、同年10月に持株会社体制に移行し、社名を株式会社ゼンショーホールディングスへ変更したこと、2014年10月株式会社ゼンショーを株式会社すき家本部に社名変更したこと、及び2020年3月株式会社すき家本部を存続会社とし、すき家地域会社9社を消滅会社とする吸収合併により、株式会社すき家本部を株式会社すき家に社名変更したこと、及び2020年3月末現在、株式会社すき家の国内の店舗数は1934店であることが記載されている。
(イ)2021年3月16日付のガベージニュース(表題「各社の店舗展開戦略が見えてくる...牛丼御三家の店舗数推移(最新)」)によれば、牛丼チェーン店の大手三社のうち、すき家が2008年9月に店舗数ではトップになり、その後もその状況は継続していること、また、売上についても、2021年3月時点において、すき家は2197.6億円(なか卯を含む。)であり、他の2社より上回っていることが記載されている(甲7)。
(ウ)申立人の子会社「株式会社すき家本部」が行うすき家事業に伴う販売商品や軽減税率導入に伴う店内店外の商品価格の統一に関する記事等(甲9?甲53)によれば、牛丼を提供する店舗名を「すき家」と称し、該店舗の看板、広告等に引用商標3が使用されている事実はあるものの、「すき家本部」については、「牛丼チェーンのすき家本部」、「牛丼チェーン『すき家』を運営するすき家本部」、「すき家本部が展開する牛丼チェーン『すき家』」、「株式会社すき家本部が展開する牛丼チェーン店『すき家』」等の記載があり、「株式会社すき家本部」が牛丼チェーン店「すき家」の経営母体であることはうかがえるとしても、「株式会社すき家本部」を「すき家」と略称している事実は確認できない。
(エ)近年飲食業界で行われている、キャッシュレス決済の導入、モバイルアプリを利用したオーダーが可能となるシステムの導入、QRコード決済でのクーポンの導入、フードデリバリーサービスヘの対応、音声認識AIの「アマゾンアレクサ」での弁当予約サービスの導入、各種ポイントヘの対応に関する記事(甲54?甲63)によれば、申立人がこれらの決済を導入し、申立人の傘下の牛丼チェーンの店舗名を「すき家」と称し、該店舗の看板等に引用商標3が使用されていることが確認できる。
(オ)2018年4月ないし2021年3月の漫画、アニメとのコラボレーションに関する記事(甲64?甲72)によれば、申立人がこれらとコラボレーションをし、そのキャンペーンの広告等において、引用商標3が使用されている。
(カ)2016年ないし2019年の日本各地で起きた災害時に、申立人が、各被災地に牛丼を無償提供したことに関する記事(甲73?甲87)によれば、牛丼チェーン店「すき家」の店舗名及びキッチンカーの側面に引用商標1及び引用商標3が使用されている。
(キ)申立人が提供する牛丼の広告、包装袋、店舗看板(甲88?甲94)によれば、引用商標3が使用されている。
(ク)株式会社すき家のホームページの英文サイト及び申立人の海外展開に関する記事(甲95?甲97)によれば、牛丼チェーン店「すき家」がベトナム、タイに海外進出し、それらの店舗看板等に引用商標1及び引用商標3が使用されている。
(ケ)牛丼チェーン店「すき家」において、2019年12月に「SUKIYA SWEETS」を販売し、2018年12月には、「SUKIYA」のロゴ入り保冷バッグや弁当箱が販売された。また、2018年11月に引用商標3が表示された丼ぶり鉢が販促品として提供された(甲98?甲109)。
(コ)株式会社すき家と名古屋グランパスとがコラボレーションし、「SUKIYA CUP」という小学生向けのサッカー大会を開催した記事によれば、選手のユニフォームの胸部分に引用商標3が大きく表示されている(甲110?甲113)。
また、FC東京とタイアップし、サンフレッチェ広島との試合の際に引用商標3が表示されたどんぶり鉢が提供されている(甲114)。
(サ)各種テレビ番組における事業紹介、働き方改革、人気タレントによるテレビCMがされていることはうかがわれ、引用商標3が使用されている(甲117?甲134)。
イ 上記アの認定のとおり、申立人は、1982年に設立され、同年に牛丼店「すき家」を開店して以来継続して牛丼の提供を行っているところ、申立人の運営する「すき家」は、2007年に47都道府県に出店し、その店舗数は2008年9月から業界1位であること、店舗の看板、広告に常に引用商標3が表示されていること、かつ、販売方式のシステム化、漫画・アニメとのコラボレーションをした商品の販売、被災地への支援等がウェブサイトにおいて掲載されていること、2021年度末には売上が業界トップに位置していること等の事実を総合すると、申立人の営業する牛丼店「すき家」は、本件商標の登録出願日には既に、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く知られていたと認め得るところである。
そうすると、当該牛丼店において、主として使用されている引用商標2及び引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
他方、「SUKIYA」の欧文字は、自己のウェブサイトや店舗等において使用されているものの、その使用度合いは少ないものであるから、「SUKIYA」の欧文字からなる引用商標1は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の関連会社(株式会社すき家本部又は株式会社すき家)が、自己のウェブサイトや店舗において、「SUKIYA」及び「すき家」の文字を表示していることはうかがえるものの、これらの使用は牛丼チェーンの店舗名としての「SUKIYA」及び「すき家」であって、申立人の関連会社(株式会社すき家本部又は株式会社すき家)が「すき家」又は「SUKIYA」と略称されていると認められる証拠はない。
そうすると、「すき家」又は「SUKIYA」の文字が、申立人の関連会社の著名な略称として、本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
上記(1)認定のとおり、引用商標2及び引用商標3は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く認識されていたものである。
一方、引用商標1は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標2及び引用商標3の類似性の程度について
(ア)本件商標は、上記1のとおり、「Sukiya」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「スキヤ」の称呼を生じるものである。
また、「Sukiya」の文字が、「薄地の絹織物(透綾)」、「茶室。茶席・勝手・水屋などが一棟に備わった建物。(数奇屋)」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する「すきや」の語の欧文字表記といえるとしても、当該語が一般に知られているものとはいえないことから、本件商標からは、特定の観念を生じないものというのが相当である。
(イ)引用商標2は、「すき家」の文字を標準文字により表してなるものであるところ、該文字は、「スキヤ」と称呼され、本件商標の登録出願時時及び登録査定時において、我が国の「飲食物の提供」の分野の需要者の間に広く認識されていた商標であるから、これより「スキヤ」の称呼を生じるものである。
そして、観念については、「すき家」の文字からなる引用商標2は造語であって、これより申立人の業務に係る牛丼店を直ちに想起させるものといえる。
また、引用商標3は、別掲のとおり、黄色の四角形を表した図形を背景として、赤色のどんぶり型を表した図形を背景と重なる様に配し、該どんぶり型を表した図形の側面に大きく白抜き文字で「すき家」と表示し、該どんぶり型を表した図形の高台部分に黒色四角形を表した図形を背景として、白抜き文字で「SUKIYA」と表示した構成よりなるものであるところ、その構成中の「すき家」の文字及びそれに付された「SUKIYA」の文字より「スキヤ」の称呼を生じ、申立人の業務に係る牛丼店を直ちに想起させるものといえる。
(ウ) 本件商標と引用商標2及び引用商標3の類否
上記(ア)及び(イ)によれば、本件商標と引用商標2及び引用商標3は、「スキヤ」の称呼を同じくするものの、外観において明らかに相違し、観念も相違するものであるから、類似する商標ということはできない。
ウ 引用商標2及び引用商標3の独創性
引用商標2及び引用商標3に使用される「すき家」は、辞書等に掲載はなく、特定の意味合いを想起、理解させるとはいい難い一種の造語である点において、独創性が高いといえるものである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標2及び引用商標3が使用される役務との関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品は、前記1のとおり、建築資材や家具類であり、これらの需要者には、一般消費者が含まれるといえ、また、引用商標2及び引用商標3が使用される飲食物の提供の需要者も一般消費者であるから、本件商標の指定商品の需要者は、引用商標2及び引用商標3が使用される飲食物の提供の需要者と共通する場合があるとしても、もとより、本件商標の指定商品と引用商標2及び引用商標3が使用される飲食物の提供とは、それぞれが異なる産業分野に属するものであって、商品ないし役務の用途・目的において大きく異なるばかりか、取引の対象、形態、流通経路、販売又は提供場所等においても何ら共通性が見いだせない。
さらに、本件商標の指定商品と引用商標2及び引用商標3が使用される飲食物の提供とは、同一の事業者によって行われる蓋然性が極めて低く、社会通念に照らしても、およそ同一の事業者より流出した商品又は役務であるとは考え難いというべきであるから、相互の関連性は極めて低いものである。
なお、申立人は、傘下の子会社(株式会社テクノ建設)により外食事業、小売事業及び介護事業の他、サポート事業として店舗設計や施工等の事業も行い、グループ事業を多角的にサポートし、実際にすき家店舗の建設を担い、建築資材の取り扱いも行っているから、本件商標の指定商品である各種「建築用又は構築用の専用材料」のような建材や、「机類,椅子類」等の家具類は、申立人の事業に係る商品及び役務とは一定の関連性を有するものである旨主張している。
しかしながら、申立人が提出した証拠によっては、上記申立人の子会社が、建築資材や家具類に引用商標2及び引用商標3を使用したことを認め得る証拠は見いだせないし、同社が、上記申立人の主張する商品及び役務の事業主体として商品を取扱い又は役務を提供すると推認させるに足りる証拠の提出もない。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
オ 出所の混同
以上のとおり、引用商標2及び引用商標3は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、「飲食物の提供」の分野の需要者である一般消費者の間に広く認識されていたといえるが、本件商標の指定商品と引用商標2及び引用商標3が使用される「飲食物の提供」とは、関連性が極めて低いものであり、また、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは類似しないものであるから、引用商標2及び引用商標3が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の指定商品及び指定役務の需要者の間に広く知られているとしても、本件商標に接する需要者が、申立人の業務に係る引用商標2及び引用商標3を想起又は連想することはないというのが相当である。
また、引用商標1は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして広く知られているとはいえないものであり、そして、引用商標1の指定商品及び指定役務と本件商標の指定商品の関連性が極めて低いといえるものであることからすれば、「Sukiya」の文字を横書きしてなる本件商標と「SUKIYA」の文字を標準文字で表してなる引用商標1が類似の商標であるとしても、本件商標に接する需要者が、引用商標1を想起又は連想することはないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(1)イのとおり、「すき家」又は「SUKIYA」の文字が、申立人の関連会社の著名な略称として、本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできないものである。
そうすると、本件商標は、「Sukiya」の文字を横書きしてなるとしても、他人の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲 引用商標3(色彩は原本参照)







異議決定日 2021-10-29 
出願番号 商願2019-154073(T2019-154073) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W061920)
T 1 651・ 271- Y (W061920)
最終処分 維持 
前審関与審査官 町田 圭輔安達 輝幸 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小松 里美
登録日 2020-12-23 
登録番号 商標登録第6333593号(T6333593) 
権利者 辻産業株式会社
商標の称呼 スキヤ 
代理人 福島 三雄 
代理人 岩瀬 ひとみ 
代理人 塩谷 信 
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