• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3441
審判 全部申立て  登録を維持 W3441
審判 全部申立て  登録を維持 W3441
審判 全部申立て  登録を維持 W3441
審判 全部申立て  登録を維持 W3441
管理番号 1380134 
異議申立番号 異議2021-900168 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-30 
確定日 2021-10-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6350799号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6350799号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6350799号商標(以下「本件商標」という。)は、「XPAND」の欧文字を標準文字により表してなり、令和2年11月11日に登録出願され、第35類「商業又は広告のための展示会・イベント及び商品見本市の企画・運営又は開催並びにこれらに関する情報の提供」及び第41類「展示会・展覧会・セミナー・会議・ビジネス会議及び協議会の企画・運営又は開催並びにこれらに関する情報の提供及び助言,教育又は文化目的のセミナー・展示会・会議の企画・運営又は開催並びにこれらに関する情報の提供,科学技術に関する展示会・セミナー又はシンポジウムの企画・運営又は開催,就職・転職に関するセミナーの企画・運営又は開催,医療に関する講演会・シンポジウム又はセミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、令和3年1月27日に登録査定、同年2月10日に設定登録されたものである。

第2 申立人が引用する商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、申立人が平成28年6月から国内外の展示会等に使用した結果、展示会やイベント等において使用される標章として、いわゆる当業者において広く認識されているというものである。
2 申立人が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、引用する登録第5860463号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、平成27年8月29日に登録出願、第42類「クラウドコンピューティング,ウェブサイトの作成と保守(他人のためのもの),グラフィックアートデザインの考案,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),工業デザインの考案,コンピュータシステムの遠隔監視,コンピュータソフトウェアの貸与,ウェブサーバーの貸与,サーバーのホスティング,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),工業デザインにおける装飾の考案,ウェブサイトの設計に関する助言」を指定役務として、同28年6月24日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、上記の引用商標1及び引用商標2又は「XPAND」の文字からなる商標であり、申立人が2016年の商品発売及びサービス開始以来、「XPANDコード」及び「XPAND」を冠する商品及びサービスについて使用し、国内外のいわゆる当業者において広く知られているというものである。
4 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当するとして引用する商標は、上記の引用商標1及び引用商標2であり、いわゆる当業者において広く知られているというものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
引用商標1は申立人の商号及び商標として平成28年6月から国内外の展示会等に使用された結果、展示会やイベント等において使用される標章として、いわゆる当業者において広く認識されている(甲2?甲5、甲9?甲17)。
本件商標は、「XPAND」の文字からなり、「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼と「伸長」の観念を生ずるものである(甲1)。
これに対し引用商標1は、その文字部分「XPAND」から「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼と「伸長」の観念を生ずるものである(甲2)。
したがって、本件商標と引用商標1とは、共に称呼、観念を共通にする類似のものである。
本件商標の指定商品等は、引用商標1が使用される商品等と同一又は類似である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「XPAND」の文字からなり、「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼と「伸長」の観念を生ずるものである(甲1)。
これに対し、先願先登録である引用商標2は、その文字部分「XPAND」から「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼と「伸長」の観念を生ずるものである(甲6)。
したがって、本件商標と引用商標とは、共に称呼、観念を共通にする類似のものである。
展示会やイベントにおいては、ウェブサイトやインターネットサービスも同一事業者により一体的に提供されるのが通例であった。さらに、特に令和2年ごろからは、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴って展示会やイベントのオンライン化が進み、ウェブサイトはオンラインイベントの会場としても認識されるようになったことから、本件商標の指定商品等と引用商標2の指定商品等は、以下の点で一致する。
・提供の手段、目的及び場所
・需要者の範囲
・提供する事業者
・商品と役務の用途
・商品の販売場所と役務の提供場所
したがって、本件商標と引用商標2の指定商品等は同一又は類似である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人及び引用商標の出願人は、2016年の商品発売及びサービス開始以来、「XPANDコード」及び「XPAND」を冠する商品及びサービスについて、引用商標1、引用商標2又は「XPAND」の文字からなる商標を広く使用し、今日に至っている(甲2?甲5、甲9?甲21)。
経済産業省・総務省・東京都・JETRO等の公募に連続して採択された結果、「XPANDコード」「XPAND Code」「XPAND」は、申立人の商品及びサービスとして、国内外のいわゆる当業者において広く知られている(甲12?甲17)。
また、本件商標、引用商標1及び引用商標2に係る「XPAND」は造語であり(甲22、甲23)、申立人は多角経営を行っている(甲18?甲21)。
したがって、本件指定商品等の分野の需要者は、「XPAND」の文字からなる本件商標が、本件指定商品等について使用された場合には、申立人の業務に係る商品等と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記のとおり、引用商標1及び引用商標2は、いわゆる当業者において広く知られており(甲2?甲5、甲9?甲21)、本件商標と引用商標1及び引用商標2は類似の商標である。
また、本件商標、引用商標1及び引用商標2に係る「XPAND」は造語であり(甲22、甲23)、申立人は海外展開や多角経営など事業の拡大を図っている(甲7、甲8、甲18?甲21)。
したがって、本件商標には不正の目的が推認される。
2 むすび
(1)商標法第4条第1項第10号について
引用商標1は申立人の商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
本件商標と引用商標1とは「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼、「伸長」の観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品等も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標2とは、「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼、「伸長」の観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品等も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が、引用商標1に係る商品等又は引用商標2に係る指定商品等に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品等と出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標1及び引用商標2は申立人の商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「エクスパンド」「エックスパンド」の称呼、「伸長」の観念を共通にする類似の商標であり、不正の目的が推認される。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標1及び引用商標2並びに「XPAND」の周知著名性について
(1)申立人の主張及び甲各号証について
ア 申立人は、引用商標1は申立人の商号及び商標として平成28年6月から国内外の展示会等に使用された結果、展示会やイベント等において使用される標章として、いわゆる当業者において広く認識されている旨主張している。
しかしながら、申立人提出の証拠(甲2、甲4、甲5、甲9?甲14等)からは、「XPAND」の語が、申立人の商号に使用されていることは認められるものの、引用商標1の使用に係る具体的な商品等の説明はなく、また、引用商標1が実際に商品等に使用されている例を確認することもできない。
さらに、引用商標2及び「XPAND」についても、使用に係る具体的な商品等が不明確であることに加え、引用商標1及び引用商標2並びに「XPAND」を使用した商品等の使用開始日、販売数量・売上高・広告宣伝の規模等の具体的事実を立証する証拠も見いだせない。
イ 申立人は、2016年(平成28年)の商品発売及びサービス開始以来、「XPANDコード」及び「XPAND」を冠する商品及びサービスについて、引用商標1、引用商標2又は「XPAND」の文字からなる商標を広く使用し、今日に至っており、経済産業省・総務省・東京都・JETRO等の公募に連続して採択された結果、「XPANDコード」「XPAND Code」「XPAND」は、申立人の商品及びサービスとして、国内外のいわゆる当業者において広く知られている旨主張している(甲12?甲17等)。
しかし、申立人の出店物(「XPANDコード」等)が国内外の複数の見本市、展示会等の公募で選出されている事実が認められるとしても、当該見本市等における申立人の展示ブースでの展示方法、来場対象者、来場者数等も明らかではなく、これにより直ちに引用商標1、引用商標2又は「XPAND」の周知性が立証されるものではない。
(2)判断
以上を総合勘案すれば、申立人が提出した甲各号証からは、引用商標1及び引用商標2並びに「XPAND」が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品等を表示する商標として、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「XPAND」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「エックスパンド」の称呼を生じるものである。
また、本件商標は、一般の辞書等に載録されている語ではなく、一種の造語からなるものとして認識し把握されるものであるから、特定の観念は生じない。
(2)引用商標2
引用商標2は、別掲2のとおり、バーコード状に黒塗りした横長帯状の図形を描き、その左端の黒塗り部分に白抜きで「XPAND.CODES」の欧文字を表した構成からなるものであるが、当該図形部分と文字部分との間に称呼及び観念上のつながりがあるとはいえない。
そうとすれば、引用商標2は、その構成中の文字部分も独立して、自他役務を識別する機能を有する要部として認識されるとみるのが相当であるから、当該文字部分を要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
そして、引用商標2の構成中「XPAND.CODES」の文字部分は、同書、同大で、外観上まとまりよく一体的にバランスよく構成されているものであって、これから生ずると認められる「エックスパンドコーズ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
したがって、引用商標2の構成中「XPAND.CODES」の文字部分は、一連一体のものとして認識されると判断するのが相当であり、該文字部分からは「エックスパンドコーズ」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標2の類否について
本件商標と引用商標2の類否を検討するに、両者の構成は上記(1)及び(2)のとおりであるから、外観においては、明らかに区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「エックスパンド」の称呼と引用商標2から生じる「エックスパンドコーズ」の称呼は、「コーズ」の音の有無という明確な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはない。
そして、観念については、本件商標及び引用商標2のいずれからも、特定の観念が生じないものであるから、本件商標と引用商標2とは、観念上、比較し得ないものである。
してみれば,本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがあるということはできないものであるから、両商標の指定役務の類否について検討するまでもなく非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、「XPAND」の欧文字からなるものであり、その外観、称呼及び観念は上記2(1)のとおりのものである。
他方、引用商標1は、別掲1のとおり、右下部分が角張った青塗り円状図形とその下に「XPAND」の欧文字を配した構成からなるところ、当該図形部分と文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ認識し把握されるべき格別の理由は見出し難く、それぞれが独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。そして、これに接する取引者、需要者は、読み易い文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合が少なくないものといえるから、引用商標1は、その構成中の文字部分に相応して「エックスパンド」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1とを比較すると、両者は、共に「XPAND」の綴り字を共通にすることから、両商標全体の外観は異なるものの、外観上、似通った印象を与えるものである。
また、称呼においては、両商標からは、共に「エックスパンド」の称呼が生じるものであるから、称呼上、同一である。
さらに、観念においては、両商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできないものである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、外観において似通った印象を与え、称呼を同一にするものであるから、両商標は、類似の商標というべきである。
しかし、引用商標1は、上記1のとおり、引用商標1の使用に係る具体的な商品等が不明確であり、かつ、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標1及び引用商標2並びに「XPAND」は、上記1のとおり、我が国における取引者、需要者の間で広く認識されているとは認めることができないものである。
そうすると、本件商標は、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が申立人商標を連想、想起するものとはいえず、当該役務を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標1及び引用商標2は、上記1のとおり、我が国又は外国の取引者、需要者の間に広く認識されているとは認めることができないものである。
そして、本件商標には不正の目的が推認されるとの証左は何ら示されていないし、かつ、他に不正の目的を認めるに足る証拠は見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1
引用商標1(色彩は原本参照)


別掲2
引用商標2(登録第5860463号)



異議決定日 2021-10-21 
出願番号 商願2020-139707(T2020-139707) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W3441)
T 1 651・ 262- Y (W3441)
T 1 651・ 271- Y (W3441)
T 1 651・ 25- Y (W3441)
T 1 651・ 222- Y (W3441)
最終処分 維持  
前審関与審査官 真鍋 恵美 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
森山 啓
登録日 2021-02-10 
登録番号 商標登録第6350799号(T6350799) 
権利者 株式会社ジャンボ
商標の称呼 エックスパンド、エクスパンド 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ