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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
審判 全部申立て  登録を維持 W162930354043
管理番号 1380128 
異議申立番号 異議2021-900164 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-23 
確定日 2021-11-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6348797号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6348797号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6348797号商標(以下「本件商標」という。)は、「タイムズクック」の片仮名を標準文字により表してなり、令和元年11月27日に登録出願され、第16類、第29類、第30類、第35類、第40類及び第43類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年12月28日に登録査定、同3年2月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する商標は、次の2件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第6182678号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TIMES」の欧文字を標準文字により表してなり、平成30年5月17日に登録出願、第9類、第35類、第36類、第37類、第39類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年9月20日に設定登録されたものである。
2 登録第5069256号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TIMES」の欧文字及び「タイムズ」の片仮名を上下二段に表した構成からなり、平成18年7月13日に登録出願、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成19年8月10日に設定登録され、その後、同29年9月5日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
以下、上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立ての理由の要点
本件商標は、全国的に認知されており、駐車場事業やモビリティ事業のみならず、社会生活全般に関する商品・サービスを指称する商標及び社名の略称として著名である「TIMES(タイムズ)」の文字を含むものであり、申立人の関連会社であるタイムズ24株式会社の承諾を得ずにその名称の著名な略称を含む商標に該当するものである。
また、本件商標の要部は「タイムズ」であり、引用商標と類似するものである。
さらには、本件商標は申立人の著名商標と同一又は類似の商標であって、需要者・取引者をして、本件商標と引用商標との間には出所の混同を生ずるおそれがある。
2 具体的理由
(1)「TIMES(タイムズ)」の著名性について
ア パーク24グループの沿革
申立人を中心とするパーク24グループには以下のような沿革があり、そのブランド名である引用商標は、パーク24グループによる長年の使用とその実績によって日本全国で認知された著名商標である。
1971年 駐車場関連機器の製造、設計施工・販売を目的とした株式会社ニシカワ商会を設立(創業)
1985年 株式会社ニシカワ商会の駐車場の保守および運営管理部門を分離独立させてパーク二四株式会社を設立
1991年 24時間無人時間貸駐車場タイムズの1号物件「タイムズ上野」をオープン(東京都台東区)
1997年 日本証券業協会に株式を店頭登録
1999年 パーク二四株式会社が東京証券取引所市場第二部に上場
2000年 パーク二四株式会社が東京証券取引所市場第一部に上場
2009年 カーシェアリングサービスに参入
2011年 会社分割により駐車場事業をタイムズ24株式会社(2010年12月設立)へ承継し、パーク二四株式会社は純粋持株会社へ移行
2019年 同年10月31日時点で、パーク24グループの提供するサービス状況は次のようになっている(甲2、2枚目)
・国内の駐車場:件数20337件、台数は755809台
・予約専用の駐車場:20270台
・キャッシュレス決済サービス:加盟店数25559店
・カーレンタル:店舗数381店、台数30620台
・カーシェアリング:ステーション数12643ヵ所、台数27096台、会員数1305324人
・ロードサービス:拠点数8510ヵ所
・会員制サービス:会員数7990201人
・法人専用サービス:カード発行枚数939752枚
イ 防護標章登録
(ア)申立人は、別掲2の標章(以下「旧ブランドロゴ」という。)について防護標章登録(商標登録第4011856号の防護標章登録第2号:甲3)をしている。これは駐車場サービスについて旧ブランドロゴが周知・著名であることを証明するものである。
(イ)パーク24グループでは、2018年12月17日に「CI(コーポレートアイデンティティ)およびBI(ブランドアイデンティティ)リニューアルのお知らせ」をリリースし(甲4)、ブランドロゴをリニューアルすることとした。そして、2019年5月1日より「TIMES(タイムズ)」を別掲3の標章(以下「新ブランドロゴ」という。)で展開した(甲5)。
(ウ)新ブランドロゴもデザインは異なるが同じ「TIMES(タイムズ)」であり、その周知・著名性は引き継がれている。
ウ 社会的活動
(ア)パーク24グループは、駐車場事業とモビリティ事業(レンタカーサービスやカーシェアリングサービス)が中心ではあるが、社会的活動にも熱心に取り組んでいる。
(イ)例えば、パーク24グループ本社ビルには、飲み物や軽食を提供する店舗「TimesCAFE(タイムズカフェ)」を運営し、地域に開かれた憩いの場を提供している(甲6、4枚目)。なお、申立人は、この「TimesCAFE(タイムズカフェ)」について2件の商標登録を有している(甲7の1、甲7の2)。
(ウ)また、2010年にはグループ内に柔道部を創部し、オリンピックのメダリストも複数人所属している。本件商標の出願前となる2019年8月25日?9月1日に日本武道館で開催された「2019世界柔道選手権東京大会」のプレゼンティングパートナー(冠スポンサー)として協賛するとともに、2016年からは公益社団法人全日本柔道連盟のオフィシャルサプライヤーを務め、選手の育成強化や柔道の普及振興の支援に取り組んでいる(甲6、5枚目)。
(エ)さらに、申立人は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のオフィシャルサポーターとなり、同大会の成功に貢献する活動を行っている(甲8)。なお、パーク24グループ柔道部に所属する選手がオリンピック出場内定の記者会見を行った際には、背面に「TIMES(タイムズ)」の新ロゴが映し出されていた(甲9)。
エ マスコミ報道・放映(新聞・雑誌・テレビ)
(ア)新聞ではパーク24グループを「駐車場最大手」と記載されることが多々ある(甲10 など)。
(イ)また、申立人は2019年1月に一般社団法人科学技術と経済の会の主催する「第7回技術経営・イノベーション賞」において新設された「内閣総理大臣賞」を受賞している(甲6、5枚日)。このように、パーク24グループは、創業以来これまでに無い革新的なサービスを次々に創出しており、それはマスコミでも度々取り上げられている。例えば、毎週日曜日午前7:30?8:00にTBS系列で放送されている「応援!日本経済がっちりマンデー!!」(2010年11月14日放送:甲11)、毎週木曜日午後11:00?テレビ東京系列で放送されている「カンブリア宮殿」(2014年8月7日:甲12)、日経BP社の発刊するビジネス週刊誌「日経ビジネス」(2015年9月7日号、ウェブ版は2016年7月4日:甲13)などがある。
オ 結語
以上のことから、「TIMES(タイムズ)」は、申立人を中心としたパーク24グループの駐車場事業とモビリティ事業のみならず、社会生活においても、全国的に広く知られた著名商標であり、駐車場事業を行う関連会社「タイムズ24株式会社」の著名な略称であると確信する。
(2)商標法第4条第1項第8号について
ア 上記のように引用商標は申立人の関連会社(タイムズ24株式会社)の名称(商号)の著名な略称であり、本件商標はその要部にこの著名な略称「TIMES(タイムズ)」を含むものである。
イ また、本件商標にこの著名な略称「TIMES(タイムズ)」を含むことについて、タイムズ24株式会社の承諾を得ているものではない。
ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人を中心とするパーク24グループの本社ビルでは、上記のように飲み物や軽食を提供する店舗「TimesCAFE(タイムズカフェ)」を運営している。
イ また、本件商標を構成する「タイムズクック」の「クック」の部分は、料理人や料理を意味する語であり、指定商品・役務との関係から識別力が無いか若しくは弱い部分といわざるを得ない。そうとすると、引用商標「TIMES(タイムズ)」の周知・著名性から考えて、両商標の間には広義の混同を生じ得るおそれがある。
ウ したがって、引用商標に係る指定商品・役務は本件商標に係る指定商品・役務と同一又は類似し、引用商標が上記のように著名商標であって本件商標と同一又は類似するものであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号について
ア 申立人は、「TIMES」について商標登録第6182678号(甲14)を、「TIMES/タイムズ」について商標登録第5069256号(甲15)を所有している。
イ 本件商標を構成する「タイムズクック」の「クック」の部分は、料理人や料理を意味する語であり、指定商品・役務との関係から識別力が無いか若しくは極めて弱い部分といわざるを得ない。このため、引用商標と要部を共通にする。
ウ したがって、引用商標に係る指定役務が本件商標に係る指定役務と同一又は類似し、引用商標が本件商標と同一又は類似するものであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標を構成する「タイムズクック」の「クック」の部分は、料理人や料理を意味する語であり、指定商品・役務との関係から識別力が無いか若しくは極めて弱い部分といわざるを得ない。このため、本件商標は、引用商標の著名性ゆえに、申立人を中心とするパーク24グループの業務に係る商品・役務と混同を生じるおそれがある。
イ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(1)申立人は、別掲2の旧ブランドロゴについて、防護標章登録(商標登録第4011856号の防護標章登録第2号:甲3)を受けており、その権利は現在も有効に存続している(職権調査)。
(2)申立人を中心とするパーク24グループ(以下「申立人等」という。)の提供するサービス状況は、国内の駐車場:件数20337件、台数は755809台、予約専用の駐車場:20270台、キャッシュレス決済サービス:加盟店数25559店、カーレンタル:店舗数381店、台数30620台、カーシェアリング:ステーション数12643ヵ所、台数27096台、会員数1305324人などのようになっている(甲2)。
しかし、申立人が挙げる上記の各数値については、その数値を裏付ける具体的な証拠が提出されておらず、また、それらの数値の多寡について、同業他社の数値等、比較すべき客観的な証拠の提出もない。
(3)2010年に申立人等は柔道部を創部し、オリンピックのメダリストも複数人所属している。本件商標の出願前となる2019年8月25日から9月1日に日本武道館で開催された「2019世界柔道選手権東京大会」のプレゼンティングパートナー(冠スポンサー)として協賛するとともに、2016年からは公益社団法人全日本柔道連盟のオフィシャルサプライヤーを務めている(甲6)。
さらに、申立人等は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のオフィシャルサポーターとなっており(甲8)、同グループ柔道部に所属する選手がオリンピック出場内定の記者会見を行った際には、背面に「TIMES(タイムズ)」の別掲3の新ブランドロゴが映し出されていた(甲9)。
しかし、その回数は僅か1回にすぎない。
(4)申立人は、新聞では、申立人等を「駐車場最大手」と記載されることがある(甲10)旨主張しているが、証拠として提出されたのは日経産業新聞に掲載された1回の記事にすぎず、また、引用商標を使用した宣伝広告の範囲及び回数等、周知性を数量的に判断し得る客観的かつ具体的な証拠は提出されていない。
(5)小括
以上を総合勘案すると、申立人提出の証拠からは、申立人等が駐車場の提供など(以下「申立人の業務に係る役務」という。)に引用商標を使用しており、その業界において引用商標はある程度知られているといい得るとしても、本件商標に係る指定商品及び指定役務をはじめとする一般の需要者の間にまで広く認識されているものと認めることはできず、また申立人等の略称として広く認識されていると認めることもできない。
したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、又は申立人等の略称として我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
なお、申立人は、旧ブランドロゴが防護標章登録を受けていることを理由に、「引用商標は、本件商標の出願日の時点において、既に著名性を獲得していたということになる。」旨主張しているが、旧ブランドロゴがある程度の周知・著名性を獲得していたとしても、その周知、著名性は、旧ブランドロゴの特殊な態様についてのみいい得るものであり、そのことをもって直ちに引用商標が、申立人の業務に係る商標を表示するものとして周知性を獲得していたものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり「タイムズクック」の文字を標準文字で表してなるところ、構成各文字は同書、同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「タイムズクック」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中に「タイムズ」の文字を含むものではあるが、該文字部分が、需要者に強く支配的な印象を与えるものではなく、また、「クック」の文字部分が、料理人や料理を意味する語「COOK」の表音であるとしても、指定商品及び指定役務の品質、質等を直接的に表示したものともいえないから、かかる構成及び称呼においては、その構成文字全体をもって、一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるものであって、特定の観念を生じないものというべきである。
そうすると、本件商標からは、「タイムズクック」のみの称呼を生じ、特定の観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記第2の1のとおり「TIMES」の文字を横書きしてなり、また、引用商標2は、前記第2の2のとおり「TIMES」の欧文字及び「タイムズ」の片仮名を上下二段に表した構成からなるものである。そして、いずれも構成される文字に相応し「タイムズ」の称呼を生じ、また、「TIMES」及び「タイムズ」の各文字は辞書等に掲載はなく、直ちに何らかの意味合いを理解させる語でもないことから、これらより特定の観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標との類否を検討すると、両者は外観においては、片仮名と欧文字の相違、又は「クック」の文字の有無という明らかな差異を有するから、外観上、両者は相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標と引用商標から生じる称呼「タイムズクック」と「タイムズ」とは、「クック」の音の有無という差異を有するから、称呼上、両者は相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、両商標が類似するとみるべき事情は見いだせない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標中の「タイムズ」の文字は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている一方、「クック」の文字は識別力を有しないとして、本件商標は、その要部は「タイムズ」の部分であり、引用商標と類似する旨主張している。
しかしながら、本件商標は上記(1)のとおり、その構成文字全体が一体不可分のものであるし、また、申立人提出の証拠によっては「クック」の文字が本件商標の指定商品及び指定役務との関係において識別力を有しないというべき事情は見いだせず、かつ、前記1(5)のとおり「TIMES(タイムズ)」(引用商標)の文字は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、申立人の係る主張は採用できない。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称」に該当するか否かの判断基準については、「人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきもの」と解される(最高裁平成16(行ヒ)343、平成17年7月22日第二小法廷判決参照)。
そこで、上記解釈を踏まえ、「TIMES(タイムズ)」の文字が申立人等の著名な略称といえるかについてみるに、「TIMES」の文字又は「タイムズ」の文字を含む引用商標は、前記1(5)のとおり、我が国において、申立人等の略称又は申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の指定商品及び指定役務の需要者の間で広く認識されているとまでいうことはできないものであり、まして、本件商標の指定商品及び指定役務の需要者にとどまらず、特定人を指し示す略称として一般に受け入れられている著名性を要するとされる商標法第4条第1項第8号の著名性を有していると認めることはできない。
したがって、本件商標は、その構成中に「タイムズ」の欧文字を含んでいるとしても、「タイムズ」の文字を申立人の著名な略称とまではいうことができないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、前記1(5)のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されているとはいえないものであり、しかも、本件商標と引用商標とは、前記2(3)のとおり、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第11号該当性について
前記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
したがって、引用商標の指定役務中に本件商標の指定役務と同一又は類似の役務が含まれているとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第15号の該当性について
前記1(5)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、前記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
本件商標の指定商品及び指定役務
第16類「紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,衛生手ふき,紙製タオル,紙類,印刷物,食品冷凍保存用プラスチック製袋」
第29類「食肉,乳製品,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく,カレー・シチュー又はスープのもと,肉製品,加工野菜及び加工果実,豆腐,油揚げ,こんにゃく,加工卵,加工水産物,おこわの素」
第30類「家庭用食肉軟化剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,氷,菓子,穀物の加工品,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,ドレッシング,食酢,しょうゆ,焼肉のたれ,砂糖,食塩,うま味調味料,香辛料,ぎょうざ,しゅうまい,たこ焼き,ラビオリ,弁当,即席菓子のもと,パスタソース,食用粉類,すし,米,穀物の冷凍食品,おこわ」
第35類「トレーディングスタンプの発行,インターネットによる広告,広告の企画,広告,商品の販売促進又は役務の提供促進のための企画及び実行の代理,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査及び分析,商品の販売に関する情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第40類「プラスチックの加工,食品及び飲料の保存加工,食品の冷凍加工,食料品の加工,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,印刷,業務用暖冷房装置の貸与」
第43類「飲食店で提供される飲食物に関する情報の提供,飲食物の提供,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,食器の貸与,おしぼりの貸与」

別掲2
申立人の旧ブランドロゴ:防護標章登録(商標登録第4011856号第2号)


別掲3
申立人の新ブランドロゴ(色彩は原本参照)




異議決定日 2021-10-28 
出願番号 商願2019-149709(T2019-149709) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W162930354043)
T 1 651・ 263- Y (W162930354043)
T 1 651・ 23- Y (W162930354043)
T 1 651・ 262- Y (W162930354043)
T 1 651・ 261- Y (W162930354043)
T 1 651・ 25- Y (W162930354043)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内藤 順子 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
岩崎 安子
登録日 2021-02-04 
登録番号 商標登録第6348797号(T6348797) 
権利者 株式会社いしだ屋
商標の称呼 タイムズクック、タイムズ 
代理人 市原 政喜 
代理人 岩田 敏 

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