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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1380040 
審判番号 取消2020-300808 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-11-05 
確定日 2021-11-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5266101号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5266101号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORANGE HOUSE」の欧文字を赤色で書してなり、平成19年6月7日に登録出願され、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同21年9月18日に設定登録され、令和元年6月11日に更新登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年11月18日であり、その請求の登録前3年以内の平成29年11月18日から令和2年11月17日までの期間を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出している。
1 被請求人は、2017年6月1日の会社分割による持株会社体制への移行前に旧商標権者から本件商標を譲り受け、会社分割までは自社で使用していたが、会社分割後は、会社分割に際し流通事業(百貨店事業)を承継した100%子会社である株式会社テーオーデパート(以下「テーオーデパート社」という。)にこれを使用させてきた。
2 被請求人は、1996年10月に自社が運営する百貨店に、主に生活雑貨を取り扱う小売店「ORANGE HOUSE」(以下「本件店舗」という。)をオープンさせ、現在は、テーオーデパート社が通常使用権者として本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
3 テーオーデパート社は、要証期間内に、本件店舗において、本件店舗が運営するインスタグラムにおいて「化粧品」に該当するフェイスマスクを掲載し、さらにフェイスマスクが掲載された本件店舗のチラシを頒布するとともにそのチラシをインスタグラムに掲載し、また、「せっけん類」に該当する「オハナ・マハロ シャンプー・トリートメント」が掲載されたブログ記事を掲載する等して、本件商標と社会通念上同一の商標を商標法第2条第3項第3号及び同条同項第8号の「使用」に該当する行為をした。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
本件商標権者は、平成29年2月に、旧商標権者から商標権を特定承継したものであり、その後、同年6月に、会社分割による持株会社体制へ移行し、その際、商号を株式会社テーオー小笠原から株式会社テーオーホールディングスに変更し、また、本件商標権者は、会社分割の際、百貨店内小売店舗である本件店舗に係る事業を含む百貨店事業を100%子会社であるテーオーデパート社に承継した(乙1?乙3)。
テーオーデパート社は、本件店舗において、シートに様々な美容液を含浸させたフェイスマスク、シャンプーとトリートメントのセット等の商品(乙12、乙16)を販売している。
そして、テーオーデパート社は、2020年5月に、「ハッカ&レモン」と「スイカ&ヘチマ」の2種類のフェイスマスクを仕入れて販売した(乙13)。これらのフェイスマスクの販売にあたって、同年6月に、本件店舗のインスタグラム記事において、「スイカとレモンのフェイスパック」がオススメ商品である旨を掲載し(乙14)、さらに、同年7月に、「ORANGE HOUSE」(以下「使用商標1」という。)を表示した別掲のチラシに、「今月のオススメ」として、スイカのイラストととともに「ひんやりフェイスマスク」「おめざめフェイスマスク→目覚めが悪い時にもきちんとうるおい補給」等の宣伝文を掲載し、当該チラシを本件店舗で頒布するとともに当該チラシの画像を本件店舗のインスタグラム記事においても掲載した(乙15)。
また、テーオーデパート社は、2020年9月に、つめかえ用シャンプー付きのシャンプーとトリートメントのセットを仕入れ(乙17)、これを同年10月に本件店舗に陳列して販売するとともに、テーオーデパート社のブログにおいて、「from 1F『オレンジハウス』」(以下「使用商標2」という。)と表示して本件店舗の写真であることを明示した上で、当該シャンプーとトリートメントのセットが陳列されて販売されている様子を示す写真を掲載した。(乙19)。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標1は、本件商標と構成文字を同じにするものであるから社会通念上同一の商標であることが明らかである。また、使用商標2は、本件商標と称呼を同一とする片仮名の表記であり、観念において異なるものではないから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
よって、使用商標1及び使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用者について
上記1によれば、テーオーデパート社は、百貨店内小売店舗である本件店舗に係る事業を含む百貨店事業を本件商標権者から承継した本件商標権者の100%子会社であるから、本件商標権者から本件商標の黙示の使用許諾を得て使用商標1及び使用商標2を使用していたとみて差し支えない。
よって、使用商標1及び使用商標2を使用した者は、本件商標の通常使用権者である。
(3)使用役務について
美容液を含浸させたフェイスマスクは、「化粧品」に含まれ、シャンプーとトリートメントは、それぞれ「せっけん類」及び「化粧品」に含まれるから、これらに係る小売等役務は、「化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に含まれるもの(以下「使用役務」という。)である。
よって、使用役務は、請求に係る指定役務に含まれるものである。
(4)使用時期について
ア 上記1によれば、通常使用権者は、2020年7月に、スイカのフェイスマスクに係る使用役務としてチラシに宣伝文を掲載し、宣伝文が掲載された広告である当該チラシに使用商標1を表示して頒布したこと、及び、使用商標1と宣伝文を含む広告である当該チラシの画像をインスタグラム記事に掲載することで、宣伝文と使用商標1が表示された広告を内容とする情報を電磁的方法で提供したことが認められる。
イ 上記1によれば、通常使用権者は、2020年10月に、シャンプーとトリートメントのセットを本件店舗に陳列して販売して使用役務を提供するとともに、自身のブログにおいて使用商標2とともに当該セットが陳列されて販売されている様子を示す写真を掲載することで、使用商標2が表示された当該セットの陳列販売の広告を内容とする情報を電磁的方法で提供したことが認められる。
よって、使用時期は、要証期間内である。
(5)使用行為について
(4)アによれば、通常使用権者は、要証期間内に、使用役務に係る広告に使用商標1を付して頒布する行為及び当該広告を内容とする情報に使用商標1を付して電磁的方法により提供する行為を行ったものであり、また、(4)イによれば、通常使用権者は、要証期間内に、使用役務の広告を内容とする情報に使用商標2を付して電磁的方法で提供する行為を行ったものである。
これらの行為は、いずれも、商標法第2条第3項第8号の行為に該当する。
3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が請求に係る指定役務のうち「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(使用商標1を表示したチラシ)(色彩は原本参照)


審理終結日 2021-06-04 
結審通知日 2021-06-08 
審決日 2021-06-24 
出願番号 商願2007-62855(T2007-62855) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 相崎 裕恒
岩崎 安子
登録日 2009-09-18 
登録番号 商標登録第5266101号(T5266101) 
商標の称呼 オレンジハウス 
代理人 和田 光子 
代理人 保崎 明弘 
代理人 鈴木 亜美 
代理人 水野 勝文 
代理人 竹山 尚治 
代理人 古瀬 康紘 

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