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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W2930 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W2930 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W2930 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W2930 |
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管理番号 | 1379932 |
審判番号 | 不服2021-3150 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-03-09 |
確定日 | 2021-11-08 |
事件の表示 | 商願2019-120543拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類「ジャム」及び第30類「食パン,ラスク」を指定商品として、令和元年9月11日に登録出願されたものである。 原審では、令和2年8月4日付けで拒絶理由の通知、同年9月7日付けで意見書の提出、同年12月22日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同3年3月9日付けで本件拒絶査定不服審判が請求されている。 2 原査定の拒絶の理由 (1)商標法第4条第1項第7号 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その上部に表された図形は、我が国の伝統的な家紋の一である「丸に片喰」と同一又は類似の図形である。 そして、「丸に片喰」の家紋は、庄内藩主(現在の山形県・庄内地方)であり、徳川四天王筆頭・酒井忠次で有名な酒井家の家紋として広く知られている。 さらに、庄内藩の本拠地である山形県鶴岡市においては、庄内藩にちなんだ地域興しや観光振興が行われており、また、祭りや神社における宣伝物、あるいは関連グッズ等に、庄内藩・酒井家の家紋が使用されているから、庄内藩・酒井家の家紋は、庄内藩の象徴として地域住民に敬愛の情をもって親しまれている。 そうすると、庄内藩・酒井家の家紋と同一又は類似の図形を含む本願商標を、同家との関係が認められない出願人が、自己の商標として、その指定商品について独占的に使用することは、庄内藩・酒井家ゆかりの地の観光振興等の公益的な施策の遂行を阻害するおそれがあるほか、商標権を巡る争いなど無用の混乱を招くおそれがある。 したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもので、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5330316号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなるもので、平成21年10月21日に登録出願、第30類「菓子」を指定商品として、同22年6月18日に設定登録されたものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、上部には円枠内に三つ葉の模様を有する図形(青紫色)を配し、下部には「本多」の文字を縦書きしたもので、その左下には小さく「HONDA」の文字を縦書きし、その下には「ほ」の文字を内側に白抜きで書した食パン状の輪郭の図形(赤色)を表してなるものである。 そして、本願商標の構成中、三つ葉の図形部分は、片喰草の三葉を図案化した片喰紋(家紋)の一種である「丸に片喰」紋(参照:「決定版 面白いほどよくわかる!家紋と名字」(西東社)、「姓氏・家系・家紋の調べ方」(新人物往来社)、「まるわかり日本の家紋」(新人物往来社)、甲4?甲6)の構成上の特徴を備えるところ、その下部に併記された「本多」の文字部分は「姓氏の一つ。」(「広辞苑 第7版」岩波書店)を指称する語であるから、それぞれが相まって「本多」氏の家紋を表しているとの印象を与えるものである。 また、本願商標の構成中「HONDA」の文字部分は「本多」の文字部分の欧文字表記に相当し、「ほ」の文字を内側に有する図形部分は「本多」(HONDA)の文字部分の表音の頭文字の平仮名表記に相当するなど、相互に関連性を有する。 このように、本願商標は、文字や図形を組み合わせた結合商標であるが、姓氏や家紋、それと関連する構成要素をまとまりよく一体的に表してなるとの印象を与えるもので、いずれかの図形部分や文字部分が分離、独立した構成要素であるとの印象を与えるような構成ではない。 そうすると、本願商標は、その構成文字(本多)に相応して「ホンダ」の称呼が生じ、特定の観念までは生じないものの、構成全体をして「本多氏の家紋」を表しているとの印象を与えるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、上部には「荘内藩」の文字を横書きし、その下部には円枠内に三つ葉の模様を有する図形を表してなるものである。 そして、引用商標の構成中、三つ葉の図形部分は、片喰草の三葉を図案化した片喰紋(家紋)の一種である「丸に片喰」紋(前掲書参照、甲4?甲6)の構成上の特徴を備えるところ、その上部に併記された「荘内藩」の文字部分は「出羽国、鶴岡を本拠地とし、庄内地方を領有した譜代藩。」(参照:「デジタル大辞泉プラス」小学館)である「庄内藩」に通じるから、それぞれが相まって「庄内藩」(荘内藩)と関連する家紋を表しているとの印象を与えるものである。 このように、引用商標は、文字や図形を組み合わせた結合商標であるが、庄内藩やその家紋と関連する構成要素をまとまりよく一体的に表してなるとの印象を与えるもので、いずれかの図形部分や文字部分が分離、独立した構成要素であるとの印象を与えるような構成ではない。 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ショウナイハン」の称呼及び「出羽国、鶴岡を本拠地とし、庄内地方を領有した譜代藩」の観念が生じるもので、構成全体をして「庄内藩と関連する家紋」を表しているとの印象を与えるものである。 ウ 本願商標と引用商標の比較 本願商標と引用商標を比較すると、外観については、構成中に「丸に片喰」紋に相当する図形(家紋)を含む点で共通するとしても、その他の文字部分の差異や図形部分の有無により、構成全体として判別は可能である。また、称呼については、構成音(「ホンダ」と「ショウナイハン」)は明らかに相違するから、相紛れるおそれはない。さらに、観念については、互いの観念や構成全体に相応した印象(「本多氏の家紋」と「庄内藩と関連する家紋」)に差異があるから、相紛れるおそれはない。 そうすると、本願商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても判別は可能で、相紛れるおそれはないから、誤認混同を生じるおそれはなく、類似する商標とはいえない。 エ 小括 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは、類似する商標ではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第7号該当性 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、上記(1)アのとおり、その構成中、円枠内に三つ葉の模様を有する図形部分は、片喰紋(家紋)の一種である「丸に片喰」紋の構成上の特徴を備えるものの、併記された「本多」の文字部分と相まって、「本多」氏の家紋を表しているとの印象を与えるものである。 そして、「丸に片喰」紋は、古くから公家や武家の家紋として多く用いられている片喰紋の一つで、様々な主体(例えば「森田氏」、「松永氏」など)により採択されている家紋(前掲書参照、甲4?甲6)であって、原審指摘のような庄内藩・酒井家の家紋だけを指し示す紋章として、我が国の需要者の間において広く認知されている実情は見いだせない。 そうすると、本願商標は、原審が指摘するような家紋との関連を直接連想、想起させるものではなく、「本多氏の家紋」を表しているとの印象を与えるものだから、これを請求人がその指定商品に使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとはいえない。 また、当審による職権調査によっても、本願商標について、その構成自体が非道徳的であったり、特定の国若しくはその国民を侮辱し国際信義に反することなどを示す事実は見いだせない。 以上を踏まえると、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえず、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に該当しないから、それらに該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標。色彩は原本を参照。) 別掲2(引用商標) |
審決日 | 2021-10-18 |
出願番号 | 商願2019-120543(T2019-120543) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
WY
(W2930)
T 1 8・ 22- WY (W2930) T 1 8・ 261- WY (W2930) T 1 8・ 262- WY (W2930) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 浦辺 淑絵、平野 美和 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 鈴木 雅也 |
商標の称呼 | ホンダ、ホ |
代理人 | 特許業務法人森脇特許事務所 |