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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1379008 
異議申立番号 異議2021-900185 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-14 
確定日 2021-10-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6359605号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6359605号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6359605商標(以下「本件商標」という。)は、「TWG」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年12月19日に登録出願、第3類「化粧用クレンジング乳液,ヘアシャンプー,家庭用化学洗浄剤,口紅,パック用化粧料,美顔用パック,歯磨き,化粧品,子供用化粧品」を指定商品として、同3年2月22日に登録査定、同年3月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用するのは、「TWG TEA COMPANY PTE LTD」(以下「TWG社」という。)の略称である「TWG」(以下「引用商標」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第42号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標は、TWG社の日本国内及び外国において周知又は著名な略称である「TWG」と同一である。
イ TWG社は、2008年にシンガポールで創業された、世界屈指のラグジュアリーティーブランドであり、その著名な略称である「TWG」は、日本国内のみならず、世界各国で広く知られている。
TWG社は、著名な略称である「TWG」を含むロゴマークを、世界各国で商標登録しており(甲2)、日本国内においても数多くの商標登録をしている(甲3)。
また、東京を中心に日本国内において複数店舗を展開し(甲7)、年間の商品販売額だけで6億円以上に達している(甲4)。
TWG社のTWGブランドは、インターネット、雑誌、テレビ、新聞等の数多くの日本国内及び海外メディアで取り上げられており、日本国内及び外国において広く知られている(甲8?甲42)。
その結果、引用商標は、日本国内及び外国において、世界屈指のラグジュアリーティーブランドとして周知性又は著名性を獲得している。
ウ 引用商標は、The Wellbeiing Group社の略称であって、造語である。
エ 引用商標は、TWG社の著名な略称であって、日本国内及び外国においてTWG社のブランド名として広く知られている。
オ TWG社は、茶葉のほかに、陶器やマカロン等の菓子を店頭販売したり、百貨店等に卸販売をしており、日本国内や世界中の大都市でサロンやカフェ等の経営をしており、多角経営を行っている。
カ TWG社の主たる商品である茶葉、菓子及び陶器等と本件商標の指定商品である化粧品等は、スーパーや百貨店、コンビニエンスストア等の小売店舗において日用品としてともに取り扱われるものであって、その需要者は共通する。
キ 以上によれば、本件商標権者が本件商標を使用した場合、その需要者が、TWG社の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるのみならず、同社の世界的な著名性及び多角経営化の実態に照らせば、同社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア TWG社の主力商品である茶葉やマカロン等の菓子と、本件商標の指定商品が類似しない商品であって出所の混同を生じないとしても、本件商標は、不正の目的をもって使用するものである。
イ 上記のとおり、TWG社の著名な略称である「TWG」は、日本国内及び外国においても周知であり、また、本件商標はその名称と同一である。また、「TWG」は造語であって、その文字に接した需要者をしてTWG社の商品であると容易に認識し得る。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用する行為は、不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は、TWG社のブランドの出所表示機能を希釈化させ、その名声等を毀損させる目的をもって出願、登録されたものといえる。
ウ 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人提出の証拠及び主張によれば、シンガポールのティーサロン「TWG Tea」(TWGティー)は、2010年5月の「TWG Tea 自由が丘」の開店により日本国内に進出、「紅茶」や「ティーポット」などを販売し、同店舗やその販売商品もインターネット上の記事情報等で紹介されてはいる(甲9、甲10、甲12、甲14)。
(イ)しかしながら、上記店舗等における営業活動や広告宣伝により、「TWG Tea」(TWGティー)なる商標に係る知名度が向上することがあるとしても、その構成文字中に含まれるにすぎない引用商標(TWG)が独立した商標として知名度が向上するとは直ちに考えにくい。
また、上記店舗の関連商品の中に、別掲のような態様で「TWG」及び「TEA」の文字を上下に近接して表示した紅茶やティーカップがある(甲7)としても、「TWG」の文字が単独で、独立した態様で表示されていないから、引用商標の知名度の向上に直ちに結びつくものではない。
なお、TWG社の日本国内における申立人主張の販売規模も6億円程度(甲4)にすぎない。
(ウ)以上を踏まえると、引用商標(TWG)が単独で、TWG社の略称やその店舗名、ブランド名等として広く使用、宣伝されている実情はないから、「TWG Tea」と称するティーサロンや紅茶等に係る知名度はさておいても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において、TWG社の業務やその略称等を示す表示として、周知、著名となるに至っていたとは認められない。
イ 本件商標の指定商品「化粧用クレンジング乳液,ヘアシャンプー,家庭用化学洗浄剤,口紅,パック用化粧料,美顔用パック,歯磨き,化粧品,子供用化粧品」は、主に化粧用品や衛生用品に相当するもので、引用商標に係る商品(紅茶、ティーポット等)は主に紅茶と関連する商品(食品、食器等)であるから、両者の商品の性質、用途、目的の関連性はほぼなく、その取引者は相違し、購入者層や需要者層も必ずしも合致しない。
ウ 以上のとおり、引用商標は、周知、著名な商標ではなく、本件商標の指定商品も引用商標に係る商品とは、商品の関連性の程度は乏しく、取引者及び需要者の共通性の程度も低いから、たとえ本件商標(「TWG」の欧文字を標準文字で表してなる。)と引用商標「TWG」が構成文字を共通するとしても、本件商標がその指定商品について使用されるときに、それに接する取引者及び需要者をして、引用商標やTWG社との関連を連想又は想起させることは考えにくく、その商品が他人(TWG社)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものとして、商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 申立人は、本件商標は、TWG社のブランドの出所表示機能を希釈化させ、その名声等を毀損させる目的をもって出願・登録されたものといえる旨を主張するが、本件商標は、上記(1)のとおり、TWG社やその業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないから、本件商標の出願目的に申立人主張のような目的があったとは直ちに推し量ることはできない。
その他、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的など)をもって使用、出願されたことを示す具体的な証拠はない。
イ そうすると、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的など)をもって使用をするものとは認められないから、その他の要件(外国における周知、著名性、商標の同一又は類似など)に言及するまでもなく、商標法第4条第1項第19号の要件を充足しない。
ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(TWG TEA)
(1)


(2)



異議決定日 2021-10-12 
出願番号 商願2019-160800(T2019-160800) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 222- Y (W03)
最終処分 維持  
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 阿曾 裕樹
鈴木 雅也
登録日 2021-03-05 
登録番号 商標登録第6359605号(T6359605) 
権利者 広州容耀生物科技有限公司
商標の称呼 テイダブリュウジイ 
代理人 篠崎 史典 

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