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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 |
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管理番号 | 1379002 |
異議申立番号 | 異議2021-900072 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-02-22 |
確定日 | 2021-10-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6325344号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6325344号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6325344号商標(以下「本件商標」という。)は,「GLUP」の文字を標準文字で表してなり,令和2年6月18日に登録出願,第5類「除草剤」を指定商品として,同年11月25日に登録査定,同年12月4日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1213017号商標(以下「引用商標」という。)は,「GLOUP」の欧文字を横書きしてなり,2013年10月18日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2014年(平成26年)4月17日に国際商標登録出願,第5類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録簿に記載されたとおりの商品を指定商品として,平成27年10月2日に設定登録されたものである。 その後,引用商標の指定商品については,2018年(平成30年)6月21日に国際登録簿に記録された取消しの通報があった結果,第5類「Pharmaceutical and veterinary preparations; sanitary preparations for medical purposes; dietetic foodstuffs and dietetic substances adapted for medical or veterinary use; food for babies; plasters, materials for dressings; material for stopping teeth, dental wax; fungicides, herbicides; gelatine for medical purposes; jellies and gels for medical use, including to facilitate the taking of medicines.」とされたものであり,現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)本件商標の構成 本件商標は,「GLUP」を標準文字で表示してなる商標である(甲1)。 (2)引用商標の構成 引用商標は,「GLOUP」の文字からなる商標である(甲2)。 (3)本件商標と引用商標との対比 本件商標は,「GLUP」の文字部分から「グルップ」の称呼を生じるものである。 一方,引用商標は,「GLOUP」の文字から「グループ」の称呼を生じるものである。 「グルップ」と「グループ」の称呼を対比すると,両者は,3音目が促音と長音で相違するのみである。相違する音は弱音として発音されることの多い,称呼の中間に位置し,その相違も促音と長音の差異のみである。 商標審査基準によれば,商標の称呼の類否は,「比較される両称呼の音質,音量及び音調並びに音節に関する判断要素のそれぞれにおいて,共通し,近似するところがあるか否かを比較するとともに,両商標が称呼され,聴覚されるときに需要者に与える称呼の全体的印象が,互いに紛らわしいか否かを考察」し,その判断要素として,「音量(音の長短)に関する判断要素」があり,「相違する1音が長音の有無,促音の有無又は長音と促音,長音と弱音の差にすぎない場合」が明記されている(「商標審査基準の十」)。 本件商標と引用商標との対比においては,上記の「相違する音が長音と促音の差にすぎない場合」に該当し,本件商標の称呼「グルップ」と引用商標の称呼が称呼され,聴覚されるとき,需要者に与える称呼の全体的印象が,互いに極めて紛らわしいというのが相当である。 加えて,外観においては,本件商標も引用商標もいずれも欧文字からなる商標であり,本件商標は,引用商標の3文字目の「O」がない点で相違するのみである。したがって,両者は外観上についても,互いに極めて紛らわしいものである。 したがって,本件商標は,引用商標と外観及び称呼が類似し,商標全体として極めて類似する商標であり,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある商標である。 (4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との対比 本件商標の指定商品である第5類「除草剤」は,引用商標の指定商品中,「herbicides」(除草剤)と同一である。また,「fungicides」(殺菌剤)と類似の商品である。 (5)結論 以上より,本件商標と引用商標とは,外観及び称呼が類似の,互いに類似する商標であって,かつ,本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似であるから,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は,上記1のとおり,「GLUP」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,同書同大等間隔で一連にまとまりよく表示したものであり,その構成文字は一般的な辞書等に掲載がなく,我が国において特定の意味合いを有する語として知られているものとも認められないものであるから,全体で一体の構成からなる,特定の意味を想起させない一種の造語であると認識,理解される。 そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的であることから,本件商標は,その構成文字に相応して「グルプ」,「グラプ」及び「グラップ」の称呼を生ずるものというのが相当であり,特定の意味を想起させない造語であるから,特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は,上記2のとおり,「GLOUP」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,同種文字を同書同大等間隔で一連にまとまりよく表示したものであり,その構成文字は一般的な辞書等に掲載がなく,我が国において特定の意味合いを有する語として知られているものとも認められないものであるから,全体で一体の構成からなる,特定の意味を想起させない造語であると認識,理解される。 そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的であることから,引用商標は,その構成文字に相応して「グロウプ」及び「グロープ」の称呼を生ずるものというのが相当であり,特定の意味を想起させない造語であって,特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否 (ア)本件商標と引用商標は,それぞれ上記アと上記イの構成からなるところ,外観については,全体で4文字と5文字という比較的少ない文字数において,文字数が相違するばかりでなく,3文字目の「O」の有無においても相違し,これらの差異が外観全体に与える影響は大きいといえるから,両商標は,外観上,判然と区別できる。 (イ)称呼については,本件商標からは「グルプ」,「グラプ」及び「グラップ」の称呼を生じ,引用商標からは「グロウプ」及び「グロープ」の称呼を生じるところ,本件商標から生じる「グルプ」及び「グラプ」と,引用商標から生じる「グロウプ」及び「グロープ」との比較においては,いずれも3音と4音という少ない音構成において,全体の音数が相違することに加え,2音目の「ル」及び「ラ」の音と「ロ」の音とが相違すること,さらに当該「ロ」の音に続く「ウ」の音又は長音により当該音が伸ばされ差異が強調されるから,これらが称呼全体に与える影響は大きいといえるから,両者は,称呼上,明瞭に聴別できる。 また,本件商標から生じる「グラップ」と,引用商標から生じる「グロウプ」及び「グロープ」との比較においては,いずれも4音という少ない音構成において,2音目の「ラ」の音と「ロ」の音とが相違し,さらに当該相違する音に続くのが,促音(つまった音)か,「ウ」の音又は長音(伸ばす音)かの差異により全体の称呼の印象が大きく異なるから,両者は,称呼上,明瞭に聴別できる。 したがって,本件商標と引用商標とは,いずれの称呼においても明瞭に聴別できる。 (ウ)さらに,観念においては,両商標は,いずれも観念を有しないことから比較することができない。 (エ)以上(ア)ないし(ウ)を踏まえれば,本件商標と引用商標は,外観において判然と区別でき,また,称呼においてもいずれの場合も明瞭に聴別できることから,観念において比較できないとしても,通常の注意力を基準として取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して考察すれば,両商標を同一又は類似の商品に使用した場合において,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないというべきであって,本願商標と引用商標は非類似の商標とみるのが相当である。 エ 小括 上記アないしウにより,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり,他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2021-10-12 |
出願番号 | 商願2020-75488(T2020-75488) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W05)
T 1 651・ 261- Y (W05) T 1 651・ 263- Y (W05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 浜岸 愛 |
特許庁審判長 |
平澤 芳行 |
特許庁審判官 |
半田 正人 鈴木 雅也 |
登録日 | 2020-12-04 |
登録番号 | 商標登録第6325344号(T6325344) |
権利者 | Meiji Seikaファルマ株式会社 |
商標の称呼 | グラップ、グルアップ |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |