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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1378978 
異議申立番号 異議2020-900350 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-25 
確定日 2021-10-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6299929号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6299929号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6299929号商標(以下「本件商標」という。)は、「禮樂堂」の漢字を横書きしてなり、平成31年4月28日に登録出願、第41類「武道に関する研修会の企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,武道に関する資料の展示,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),武道場の提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,武道の用具の貸与,運動用具の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,書画の貸与」を指定役務として、令和2年9月23日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号又は同項第19号に該当するとし、引用する商標は、禮楽堂堂主の業務に係る「武道に関する資料の展示,美術品の展示,書籍の制作,武道用ビデオ・DVDの制作,武道大会の企画・運営,武道場の提供,武道の用具の貸与」を表示等する「禮楽堂」(以下「引用商標1」という。)、「禮樂堂」(以下「引用商標2」という。)、「礼楽堂」(以下「引用商標3」という。)及び「礼樂堂」(以下「引用商標4」という。)の漢字からなるものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。
(2)申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第11号に該当するとし、引用する登録第6217534号商標(以下「引用商標5」という。)は、「禮楽堂」の漢字を縦書きしてなり、平成30年11月27日登録出願、第41類「剣道を主とする古武道の教授,武道大会の企画運営,演武の上演」を指定役務として、令和2年1月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第74号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)本件申立てに至る経緯及び「禮楽堂」関係者
禮楽堂(字体の異なる「礼楽堂」、「礼樂堂」、「禮樂堂」を用いることもあり、以下、単に「禮楽堂」という場合は、これら字体の異なる語も含む。)は、剣道人はもとより一般人にも周知・著名な古武道たる剣術の流派である小野派一刀流を中核とし、同じく古武道たる居合の流派で、小野派一刀流と剣居一体の関係にある神夢想林崎流及び大長刀の流派である直元流を併伝併修し、剣道と共にこれら古武道(以下、まとめて「小野派一刀流等」という。)の普及を図るため、小野派一刀流等宗家である笹森順造氏(以下「順造氏」という。)が同令室・笹森壽子氏、三男・笹森建美牧師(以下「建美氏」という。)及び同令室・笹森在子氏(以下「在子氏」という。)とともに創設した武道場である(甲30の1)(武道場「禮楽堂」等からなる現在の建物を、以下「本建物」という。)。
初代の禮楽堂堂主には、順造氏が就任し、その後、建美氏が、2代禮楽堂堂主及び17代小野派一刀流等宗家を承継した。平成29年建美氏の召天に伴い、建美氏直門(弟子)たる申立人は、建美氏の遺言及び「礼樂堂に関する遺言書」(甲5)に示された建美氏の意向を踏まえた在子氏による指名に基づき、3代禮楽堂堂主及び18代小野派一刀流宗家に就任し、併せて、建美氏が所有する「小野派一刀流」の商標権も承継した。
その際、在子氏が併せてした指名により、小野派一刀流が併伝する神夢想林崎流の宗家として石崎徹氏(建美氏直門。以下「石崎氏」という。)、直元流宗家として本件商標権者の一人の鈴木ゆき子氏(建美氏直門。以下「鈴木氏」という。)が就任した(鈴木氏が破門処分後は、申立人が直元流宗家に就任した。)。
本建物は、駒場エデン教会が所有し(甲4)、建美氏召天後は、後任の牧師が管理する。主に、毎週土曜日午後、日曜日午後及び水曜日夜の時間帯にあっては、堂主である申立人の管理下、小野派一刀流等の修練を行う団体たる禮楽堂が武道場(禮楽堂)として独占使用している。すなわち、禮楽堂は、小野派一刀流等の修練を行う物理的な場所である武道場の名称であるとともに、代表者として堂主を置き、同武道場を中心に、小野派一刀流等の修練を行う団体の名称としても使用する。
建美氏直門たる鈴木氏及び順造氏直門たる宮内一氏(以下「宮内氏」という。)の両名(以下「鈴木氏ら」という。)は、いずれも、かねて小野派一刀流が護持する宗家制度の下、禮楽堂に入門し(甲6、甲3の2)、小野派一刀流等を修練してきた。
ところで、鈴木氏は、宗家との血縁関係を強調しつつ、建美氏夫妻に養子縁組を懇願し拒否されたなどの経緯がある。そこで、鈴木氏は、宮内氏が順造氏から免許皆伝を得ていたことを奇貨とし、宮内氏と意思を通じ合い、宗家・堂主等が指名される平成29年9月16日直前の15日、新宗家就任前の間隙を縫って在子氏や申立人らに無断で、日本古武道振興会に対し、自らを前宗家・堂主たる建美氏の後任代表者だと僭称して受継届を提出する(甲7)など、重大離反行為をした。その後、鈴木氏らは、自らこそが小野派一刀流等代表者であると強弁し、代表者受継を承認させた。
これらの鈴木氏らによる重大離反行為に苦慮した申立人は、在子氏らと協議を重ねた末、禮楽堂の商標出願(引用商標5)を行った上で、平成30年12月3日付けで、鈴木氏らに対し、鈴木氏らの重大離反行為が破門に値する旨の警告を行った(甲8、甲9)。
しかしながら、鈴木氏らは、申立人に対し「自分たちは、禮楽堂の古参で順造氏の門人であるから、後輩たる申立人は先輩に警告できる立場にない。もとより、申立人を堂主及び宗家とは認めない。」等の主張をしたほか、建美氏についても「宗家として十分な技術的修練をしていない。」と誹謗中傷する等、従前の態度を改めず、法的意味のない強弁を重ねつつ、上記警告を受けた直後から剽窃的に多数の商標出願を行った。
(2)商標法第4条第1項第7号について
ア 本件商標は、剣道人にも一般人にも周知・著名な古武道たる小野派一刀流等を次世代に承継していく役目を担う、いずれも周知・著名な、禮楽堂堂主を代表者とする団体名「禮楽堂」及びその活動拠点たる武道場名「禮楽堂」と同一又は類似のものである。
イ 本件商標が不正の目的等をもってした出願であること
鈴木氏らは、新堂主・小野派一刀流宗家たる申立人に対する重大離反行為をしたことが明らかである。そして、鈴木氏らは、申立人から破門処分を受けた。
これにより鈴木氏らは、日本伝統文化の保護継承との面で公共の利益の一翼を担う周知・著名な「小野派一刀流」を含む小野派一刀流等を次世代に正しく承継していく実践団体たる禮楽堂とは何らの関係もなくなった。
鈴木氏らは、武道場の使用が禁止され、禮楽堂を破門された直後、本件商標出願を剽窃的に行っており、これは、周知・著名な「禮楽堂」や「小野派一刀流」等の名声を僭用して古武道界における名声という不正な利益を得、又は申立人による次世代への小野派一刀流等承継のための活動を阻害するために使用する不正な目的、不正な意図をもってした出願であるというほかない。
ウ まとめ
本件商標の出願経緯、意図及び目的に照らせば、鈴木氏らがその指定役務について本件商標を使用することは、日本の貴重な伝統文化、古武道たる小野派一刀流等の次世代への承継という社会公共の利益に反し、また、社会の一般的道徳観念にも反するから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、禮楽堂堂主の業務に係る「武道に関する資料の展示」、「美術品の展示」、「書籍の制作」、「武道大会の企画・運営」、「武道用ビデオ・DVDの制作」、「武道場の提供」及び「武道の用具の貸与」を表示するものとして剣道人及び古武道界の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似する商標であって、上記役務又はこれらに類似する役務について使用するものであり、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ア 禮楽堂堂主であった順造氏及び建美氏は、引用商標を、禮楽堂堂主の業務に係る役務を表示する商標として使用して周知性を獲得しており、建美氏から禮楽堂堂主たる地位を承継した申立人は、標記・同号にいう「他人」に該当する。
イ 禮楽堂堂主は、同武道場「禮楽堂」において小野派一刀流等を修練してきた。
禮楽堂は、昭和38年に創建され、引用商標3を冠した献堂式には、全国の著名な剣道人多数が参集し(甲30の1、甲67)、平成12年に本建物に建て替えた際にも、引用商標3を冠した道場の披露式案内状を剣道関係者及び古武道関係者に広く送付し(甲22)、多数の来賓が参集した(甲29の2、甲32の3)。
禮楽堂建物に引用商標1ないし引用商標3が掲示され(甲42の2、甲72?甲74)、日本古武道演武大会などのプログラムや記念誌にも、引用商標3及び引用商標4が記載されている(甲26?甲28)。また、様々な書籍・雑誌・新聞等において、引用商標が紹介され、禮楽堂堂主の業務を表示するものとして、広く認識されている。
ウ 本件商標は、「禮樂堂」との文字から成る商標であるのに対し、引用商標2も「禮樂堂」との文字からなる商標であって、その外観は同一である。
また、「礼」の旧字体が「禮」、「楽」の旧字体が「樂」であることから、本件商標は、引用商標1、3及び4と新旧の字体が異なるだけの同一語であり、その外観は同一又は少なくとも類似である。
さらに、本件商標と引用商標は、上記のとおり同一語であることから、その称呼及び観念は同一である。
したがって、本件商標は、引用商標と同一又は少なくとも類似である。
エ 本件商標の指定役務「武道に関する資料の展示」、「美術品の展示」、「書籍の制作」、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」、「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」、「武道場の提供」、「運動施設の提供」、「娯楽施設の提供」、「映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」、「武道の用具の貸与」及び「運動用具の貸与」は、禮楽堂堂主の業務に係る「武道に関する資料の展示」、「美術品の展示」、「書籍の制作」、「武道大会の企画・運営」、「武道用ビデオ・DVDの制作」、「武道場の提供」及び「武道の用具の貸与」と同一又は類似である。
(4)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「禮樂堂」との文字からなるのに対し、引用商標5は、「禮楽堂」との文字からなり、「楽」の旧字体が「樂」であることから、本件商標は、引用商標5と新旧の字体が異なるだけの同一語であり、その外観は同一又は少なくとも類似である。
また、本件商標と引用商標5は、上記のとおり同一語であることから、その称呼及び観念は同一である。
したがって、本件商標は、引用商標5と同一又は類似である。
イ 本件商標の指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」が、引用商標5の指定役務中「武道大会の企画運営」と同一又は類似する役務である。
武道大会とは、古武道の世界においては、演者が公衆の前で武道の演武を披露する大会をいう。演武は、武芸を行うことをいい、武芸は「武道についての技芸」をいうから(甲15)、「公衆の前で演ずる落語・講談・漫才・演劇・舞踊などの芸」を意味する「演芸」に「武芸」は含まれるといえる。そのため、「武道大会の企画運営」は、「スポーツの興行の企画・運営又は開催」としての側面のほか、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」としての側面も有するといえる。
ウ 以上のとおり、本件商標は、その出願日前の登録出願に係る引用商標5と同一又は類似する商標であって、その登録に係る「武道大会の企画運営」と同一又は類似する役務について使用するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標は、引用商標2と同一であり、また、引用商標1、3及び4とは、新旧の字体が異なるだけの同一語であり、本件商標と引用商標は、同一又は類似している。
イ 禮楽堂堂主による引用商標の使用期間は、昭和38年の禮楽堂創設時から本件商標の登録出願時まで56年間に及ぶ。禮楽堂の献堂式・披露式に際しては、剣道人等に広く案内状を送付・多数の剣道人等の出席を得た。禮楽堂堂主は、引用商標1ないし引用商標3を、武道場建物の外壁・表札に掲示してきたほか、少なくとも平成12年以降は、禮楽堂や禮楽堂維持会による郵便物を発送する封筒にも表示して使用し(甲63、甲74)、平成15年7月のウェブサイト開設後は、インターネット上でも広く周知してきた。
また、古武道の保存振興を目的とする2団体(古武道協会及び古武道振興会)が加盟流派会員及び古武道教会主催の演武大会観覧者に配布する演武大会冊子に、毎回、小野派一刀流等を修練する武道場として禮楽堂が紹介され、剣道人等に広く周知されてきた。
さらに、剣道人の愛読する雑誌のみならず一般人の愛読する雑誌、書籍、新聞やビデオ・DVDにおいても禮楽堂が紹介されているほか、古武道協会、武道場ガイド等のウェブサイトやブログ、YouTubeといったインターネット上でも紹介され、広く周知されてきた。
このように、引用商標は、小野派一刀流等を修練する武道場の名称及び同武道場を中心に小野派一刀流等の修練を行う団体の名称として剣道人等に広く周知されており、禮楽堂堂主及び禮楽堂門人以外の者により引用商標が使用されている例はない。
ウ 禮楽堂堂主は、小野派一刀流等の修練を武道場(禮楽堂)で行っており、修練する場所である武道場を提供し、武道の用具を貸与している。また、禮楽堂堂主は、武道場(禮楽堂)において演武大会を企画・運営している(甲64)。
さらに、禮楽堂堂主は、書籍を制作し、武道用ビデオ・DVDを制作し、禮楽堂建物内に武道に関する資料や美術品を展示しており、将来的には更に資料を展示すべく、禮楽堂建物には資料室も備えられている。
したがって、本件商標の指定役務のうち、「武道場の提供」、「武道の用具の貸与」、「書籍の制作」、「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」、「武道に関する資料の展示」及び「美術品の展示」は、申立人の業務に係る役務と同一である。また、本件商標の指定役務「運動施設の提供」、「娯楽施設の提供」、「映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」、「運動用具の貸与」、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」は、申立人の業務に係る役務と同一又は類似であり、申立人の業務に係る役務との混同を生じる可能性が高い。
さらに、禮楽堂堂主は小野派一刀流宗家を兼ねるところ、小野派一刀流宗家として研修会やセミナーの講師を務め(甲24、甲25)、講習会を開催しており(甲66)、本件商標の指定役務「武道に関する研修会の企画・運営又は開催」及び「セミナーの企画・運営又は開催」は、申立人の業務に係る役務との混同を生じる可能性が高い。
その他にも、禮楽堂は、小野派一刀流等を普及振興するための活動を行っている。本件商標の指定役務である「電子出版物の提供」、「図書及び記録の供覧」、「図書の貸与」、「レコード又は録音済み磁気テープの貸与」、「録画済み磁気テープの貸与」、「書画の貸与」、「映画の上映・制作又は配給」、「放送番組の制作」、「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」、「興行場の座席の手配」は、小野派一刀流等を普及振興するための活動と重複するため、申立人の業務に係る役務との混同を生じる可能性が高い。
エ 申立人の業務に係る役務の需要者は、小野派一刀流等、特に小野派一刀流を現に修練し、又は今後修練しようとする剣道人である。
鈴木氏らは、禮楽堂・小野派一刀流等の元門人であり、現に小野派一刀流等の名称を用いて公開演武を行っている者であること、本件商標の指定役務も「武道」に関するものを多く含むことから、本件商標の指定役務の需要者も剣道人であるといえ、申立人の業務に係る役務の需要者と共通している。
オ まとめ
以上のとおり、禮楽堂及び小野派一刀流等から破門され、何らの関係を有しない鈴木氏らが、本件商標をその指定役務に使用する場合には、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。
(6)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似した商標である。
そして、上記で述べた本件商標の登録出願の経緯から明らかなとおり、本件商標は、鈴木氏らが、周知・著名な「禮楽堂」や小野派一刀流等の名声を僭用して古武道界における名声という不正な利益を得、又は申立人による次世代への小野派一刀流等承継のための活動を阻害するために使用する不正の目的をもって使用しようとするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
ア 禮楽堂は、昭和38年に、古武道たる16代小野派一刀流等宗家である順造氏等が創設した武道場であって(甲30の1ほか)、現在、本建物は、駒場エデン教会が所有している(甲4ほか)。
初代の禮楽堂堂主には、順造氏が就任し、その後、建美氏が、2代禮楽堂堂主及び17代小野派一刀流等宗家を承継した(甲36ほか)。平成29年、建美氏直門たる申立人は、建美氏の遺言及び「礼樂堂に関する遺言書」(平成29年2月20日:甲5)に示された建美氏の意向を踏まえた在子氏による指名に基づき、3代禮楽堂堂主及び18代小野派一刀流宗家に就任し、併せて、建美氏が所有する「小野派一刀流」の商標権も承継した。
その際、在子氏が併せてした指名により、小野派一刀流が併伝する神夢想林崎流の宗家として石崎氏、直元流宗家として本件商標権者の一人の鈴木氏が就任したが、平成31年3月5日に鈴木氏らが破門処分された(甲10の1、甲11の1)後は、申立人が直元流宗家に就任したとされる。
イ 引用商標の使用について
(ア)「禮楽堂」、「禮樂堂」又は「礼楽堂」の文字は、武道場建物の外壁・表札に掲示され(甲42の2、甲72、甲73)、また、「礼楽堂」の文字は、禮楽堂や禮楽堂維持会による郵便物を発送する封筒に表示された(甲63)。
(イ)日本古武道演武大会プログラム(抜粋)(平成5年?平成28年)、日本古武道交流演武大会プログラム(抜粋)(平成30年)、及び5年に1回発行される日本古武道振興会記念誌(抜粋)(平成2年?平成27年)には、小野派一刀流剣術(ただし、日本古武道振興会創立60周年記念誌については、直元流大長刀術(甲28の2))の紹介があり、その中で、稽古場として「礼楽堂」の記載がある(甲26?甲28)。なお、第42回日本古武道演武大会(平成31年2月開催。ただし、小野派一刀流等は出場していない。)には、約3,000人が来場した(甲55の2)。
(ウ)a 「月刊剣道日本」(創刊号(1976年1月号))には、「小野派一刀流宗家 笹森順造」について特集され、「禮樂堂」の看板写真の下、順造氏に関する説明文中に礼楽堂道場で稽古が行われていることが記載され、同2000年9月号(142頁)には、「小野派一刀流宗家、禮楽堂道場開き」の見出しの下、「旧禮楽堂は、昭和38年12月、小野派一刀流修業道場として、先師第16代笹森順造宗家と第17代建美宗家により建立された。・・・平成11年12月に新しい禮楽堂が完成し、12年5月5日『道場開き』の開催の運びとなった。」の記載があり、同2019年2月号(110?111頁)には、小野派一刀流第18代宗家として申立人が掲載され、「禮楽堂は教会と道場の一体化を目指し、笹森順造(小野派一刀流第十六代宗家)が世田谷区代沢に建てた。・・・日ごろは礼拝が行なわれるこの場が、小野派一刀流の稽古場である」等の記載がある(甲29)。
なお、「月刊剣道日本」は、発行部数約2万9千部とされる(2008年4月?6月)(甲69の1)。
b その他、剣道ないし武道に関するものと見られる雑誌(「剣道時代」(1974年6月号、1991年6月号、1997年10月号、2000年2月号、2001年8月号、2004年12月号)(甲30)、「月刊武道」(1977年4月号、1998年5月号、2000年8月号、2008年1月号)(甲32)、「月刊秘伝」(1996年11月号、1999年6月号、2003年11月号、2004年3月号、同年6月号、2005年1月号、2007年4月号、2016年9月号)(甲33)、「秘伝古流武術」(1992年秋季号)(甲34))には、順造氏や小野派一刀流の紹介などの記事があり、道場として「礼楽堂」のほか、「礼樂堂」「禮楽堂」又は「禮樂堂」の記載も見られる。
なお、「月刊秘伝」は、発行部数5万部とされる(2020年12月頃)(甲56の2・3)。
(エ)a 「大塚薬報」(1984年4月号)には、古武道に関する記事において、複数の流派と共に小野派一刀流も挙げられ、建美氏について「エデン教会という教会に奉じ、かつ小野派一刀流・神夢想林崎流の剣道場“礼楽堂”の堂主でもあるというわけである。」の記載がある(甲35)。
b 「別冊歴史読本 読本シリーズ7/日本伝承武芸流派読本」(1994年3月12日発行)、「歴史群像シリーズ68 戦国剣豪伝」(2003年1月5日発行)、「新潮45」(2011年9月号)、「百万人の福音」(2010年12月号)、「青山学報」(241号(2012年秋号))には、小野派一刀流の連絡先や道場として「礼楽堂」の記載がある(甲36、甲37、甲39?甲41)。
なお、「歴史群像」は発行部数約4万7千部(2008年4月?6月)(甲69の2)、「新潮45」は発行部数約2万6千部(2011年7月?9月)(甲69の4)、「百万人の福音」は発行部数2万5千部(2005年1月頃)(甲71)とされる。
c 「AERA」(2010.5.3-10)には、林崎夢想流の説明文中に「十字架を掲げた祈りの場は、週末だけ武道場『禮楽堂』に様変わりする。」の記載がある(甲38)。
なお、「AERA」は、発行部数約16万部とされる(2010年4月?6月)(甲69の3)。
(オ)「駒場エデン教会 記念誌」(発行:昭和55年6月、1994年10月2日、2004年10月3日)には、1963年に順造氏が古武道の道場「礼楽堂」を創設し、「駒場エデン教会・礼楽堂献堂式」が2000年1月23日に行われたこと等の記載がある(甲42)。
(カ)順造氏を著者、礼楽堂を発行者とする「一刀流極意 新装版」(平成25年3月31日、株式会社体育とスポーツ出版社発行)及び建美氏を著者とする「新潮新書『武士道とキリスト教』」(2013年1月20日、株式会社新潮社発行)には、道場として礼楽堂の記載がある(甲43、甲46)。また、「日本の古武道」(平成12年12月25日発行)にも、礼楽堂で小野派一刀流を稽古していることの記載がある(甲44)。
(キ)東京新聞(平成21年6月24日発行)には、「牧師は剣術宗家」の見出しの下、建美氏の写真や「教会の名前とは別に、道場を『礼楽堂』と名付けた。」、「教会の入り口には、道場名『礼楽堂』の看板も設置されている」の記載、「クリスチャン新聞」(昭和59年8月26日発行)には、「牧師さんは剣術の先生」、「小野派一刀流・礼楽堂」等の見出しの下、「駒場エデン教会は、日本古来の剣術・小野派一刀流の道場(礼楽堂)でもある。」の記載がある(甲47、甲48)。
(ク)a DVD「第17代宗家笹森建美 小野派一刀流剣術」(2016年製作)(制作・発売 株式会社クエスト)には、パッケージ裏面に建美氏について「禮楽堂堂主」とする記載及び「企画・協力 小野派一刀流、禮楽堂」の記載があり、また、画像の写しから「東京都世田谷区 禮樂堂」との表示及び「禮樂堂」と表示された看板等が認められ(甲49)、YouTubeにおいて、DVD「第17代宗家笹森建美 小野派一刀流剣術」(サンプルムービー)の動画の公開がある(2016年8月16日)(甲50)。
b ビデオ「小野派一刀流十七代笹森建美宗家 一刀流極意 第1巻」(株式会社BABジャパン制作・発売)には、パッケージ裏面に建美氏について「駒場エデン教会(礼楽堂)にてプロテスタントの牧師としても活動している。」の記載があり(甲51)、YouTubeにおいて、「小野派一刀流『一ツ勝』&笹森建美宗家『インタビュー』」、「DVD『一刀流極意』(BABジャパン刊)」(一部抜粋)の動画の公開がある(2017年8月16日)(甲52)。
(ケ)YouTubeにおける「wanokoto onoha」(2014年3月1日)には、「教会の礼拝堂に小野一刀流剣術『禮楽堂』の稽古場があります」の記載及び「禮樂堂」と表示された看板の写真が掲載され、「池袋と富山メインの食日記」と題するブログ(2009年2月8日)には、「【道場見学】小野派一刀流 禮樂堂道場」の記載、「稽古なる人生」と題するブログ(2018年10月21日)には、「禮楽堂まで小野派一刀流宗家訪問」の記載があり、「駒場エデン教会、禮楽堂の前で」と記載された写真の掲載がある(甲58?甲60)。
(コ)「小野派一刀流 公式サイト」(2003年7月25日出力)には、「禮樂堂」の表示の下、「一刀流の流れ」等の記載があり、「小野派一刀流 公式ホームページ」には、「小野派一刀流第18代宗家 矢吹裕二」、「禮楽堂第3代堂主」の記載や「一刀流の系譜」、「沿革」等の記載のほか、「稽古場所」として「宗家禮楽堂道場(駒場エデン教会)」の記載がある(甲54)。
(サ)「日本古武道協会official site」には、加盟流派の紹介として小野派一刀流剣術のページがあり、稽古場として「礼楽堂」の記載がある(甲55の1)。
(シ)ウェブサイト「WEB 秘伝」(2014年5月12日)には、全国道場ガイドの項に「礼楽堂道場(小野派一刀流、直元流、神夢想林崎流)」が紹介されている(甲56の1)。
ウ 上記ア及びイからすれば、禮楽堂は、昭和38年12月、小野派一刀流16代笹森順造宗家と同17代建美宗家により、エデン教会の礼拝堂と小野派一刀流の道場を兼ねるものとして東京都世田谷区に設立され、その後、平成11年12月に新しい禮楽堂が完成して現在に至るものである。
そして、申立人は、平成29年、小野派一刀流18代宗家・禮楽堂3代堂主となったものである。
引用商標は、日本古武道演武大会プログラム、日本古武道振興会記念誌、「月刊剣道日本」等の剣道ないし武道に関するものと見られる雑誌その他の雑誌、新聞やウェブサイト等において、小野派一刀流についての説明文中に道場等として記載があるが、剣道ないし武道に関係のある者の全体数に比して、どの程度の者の目にとまったのか、その多寡は明らかでない。
また、引用商標を使用した申立人の業務に係る役務についての取引量、広告の規模、市場シェア等について確認することができない。
そうすると、引用商標は、少なくとも小野派一刀流の教授のための道場名として使用されていることが認められるとしても、剣道ないし武道に関係のある者全般において広く知られているかは明らかでなく、また、その他一般の者において広く知られているとはいうことができない。
その他、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、引用商標が他人(申立人)の業務に係る役務を表示する商標として需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る事実は見いだせない。
したがって、引用商標が、他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた商標とは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、上記1のとおり、「禮樂堂」の漢字を横書きしてなり、引用商標5は、上記2(2)のとおり、「禮楽堂」の漢字を縦書きしてなるものである。
そして、本件商標と引用商標5とは、中間に位置する「樂」と「楽」の漢字において差異を有するところ、「楽」の漢字の旧字体が「樂」であることから、新旧の字体が異なるだけの同一語というべきであって、両者の称呼及び観念が異なるものとはならないから、両商標は、類似する商標であるというのが相当である。
イ 申立人は、本件商標の指定役務中「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」と、引用商標5の指定役務中「武道大会の企画運営」とが同一又は類似する役務であると主張する。
しかしながら、申立人は、武道大会とは、古武道の世界においては、演者が公衆の前で武道の演武を披露する大会をいうとするところ、これが申立人主張のように、指定役務「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」中の「演芸」に含まれるというべき証左は見いだせない。また、商標法第4条第1項第11号にいう指定役務が類似のものであるかどうかは、これらの役務が通常、役務の提供の手段、目的又は提供場所、業種、事業者、需要者の範囲が一致する等の事情により、それらの役務に同一又は類似の商標を使用するときには同一営業主体の提供に係る役務と誤認されるおそれがあると認められるか否かによって決するのが相当であるところ、申立人の主張に係る両役務が類似するというに足る証左の提出はなく、そのような事情も見いだせないから、両役務は類似するものとはいえない。
ウ 小括
以上より、本件商標と引用商標5が類似する商標であるとしても、本件商標の指定役務と引用商標5の指定役務は、同一又は類似する役務であるとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であったとしても、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものであるから、同号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、「禮樂堂」の漢字を書してなるところ、引用商標2とは、同一の漢字からなり、また、引用商標1は「禮楽堂」、引用商標3は「礼楽堂」及び引用商標4は「礼樂堂」の漢字からなり、「禮」と「礼」及び「樂」と「楽」において、本件商標とは新旧の字体が異なるだけの同一語であるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は高いものである。
しかしながら、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものである。
そうすると、たとえ本件商標の指定役務に武道に関する役務が含まれており、引用商標が使用されている「武道の教授」とその需要者が共通する場合があり、申立人の業務に係る役務において関連性を有する場合があるとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、需要者が、引用商標を連想、想起することはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号の解釈
商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(平成17年(行ケ)第10349号判決)。
しかしながら、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨などからすれば、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成19年(行ケ)第10391号判決)。
イ 商標法第4条第1項第7号該当性
上記(1)アによれば、禮楽堂は、昭和38年に、16代小野派一刀流等宗家である順造氏等が創設した武道場であって、初代の禮楽堂堂主には、順造氏が就任し、その後、建美氏が、2代禮楽堂堂主及び17代小野派一刀流等宗家を承継した。
そして、平成29年、申立人が、建美氏の遺言及び「礼樂堂に関する遺言書」(平成29年2月20日:甲5)に示された建美氏の意向を踏まえた在子氏による指名に基づき、3代禮楽堂堂主及び18代小野派一刀流宗家に就任した。その際、小野派一刀流が併伝する神夢想林崎流の宗家として石崎氏、直元流宗家として本件商標権者の一人の鈴木氏が就任したが、平成31年3月5日、鈴木氏が破門処分後は、申立人が直元流宗家に就任したとされる。
なお、他方で鈴木氏は、平成29年9月15日に、日本古武道振興会に対して小野派一刀流等についての受継届を提出していた(甲7)。
そうすると、本件商標については、その出願(平成31年4月28日)は、本件商標権者が申立人から破門処分された後に出願されたものであるが、小野派一刀流等における商標権の帰属等をめぐる問題であり、あくまでも当事者同士の私的な問題として解決すべきであって、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合には該当しないものと判断するのが相当である。
そして、他に本件商標が、「指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合」や「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」など、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そして、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されている商標と認められないものであり、また、外国における需要者の間において広く認識されているものといえる事実を見いだせず、これを認めることもできないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものである。
さらに、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
(7)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他に本件商標の登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-09-30 
出願番号 商願2019-64885(T2019-64885) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 222- Y (W41)
T 1 651・ 22- Y (W41)
T 1 651・ 264- Y (W41)
T 1 651・ 255- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
小田 昌子
登録日 2020-10-05 
登録番号 商標登録第6299929号(T6299929) 
権利者 鈴木 ゆき子 宮内 一
商標の称呼 レーガクドー、ライガクドー、レーラクドー、ライラクドー、レーガク、ライガク、レーラク、ライラク 
代理人 松原 香織 
代理人 中井 憲治 
代理人 神保 欣正 
代理人 神保 欣正 
代理人 植松 祐二 
代理人 田辺 信彦 

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