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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1378974 
異議申立番号 異議2021-900102 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-18 
確定日 2021-10-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6333841号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6333841号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6333841号商標(以下「本件商標」という。)は、「NISHIKAWA SLEEP LABORATORY」の欧文字を標準文字により表してなり、令和2年7月2日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、令和2年12月4日に登録査定され、同月23日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、引用する登録商標は次の4件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6241862号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年12月4日に登録出願、第3類、第5類、第9類ないし第11類、第20類、第22類、第24類ないし第28類、第30類、第35類ないし第37類及び第39類ないし第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年4月2日に設定登録されたものである。
(2)登録第5209966号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成19年6月26日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同21年3月6日に設定登録され、その後、同31年2月19日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第2039905号商標(以下「引用商標3」という。)は、「西川のふとん」の文字を横書きした構成からなり、昭和60年6月28日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、商標法第3条第2項の適用を受けて、同63年4月26日に設定登録され、その後、平成9年12月24日、同19年12月11日及び同30年4月17日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。そして、その指定商品については、同20年4月16日に第24類「ふとん」とする書換登録がされたものである。
(4)登録第4727504号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成15年1月9日に登録出願、第9類ないし第12類、第14類、第16類、第18類、第20類、第22類、第24類、第25類、第27類、第28類、第35類ないし第37類及び第39類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年11月21日に設定登録されたものであり、その後、同25年6月11日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、「西川」の文字からなる商標(以下「引用商標5」という。)及び別掲4に示すとおりの構成からなる商標(以下「引用商標6」という。)であり、申立人が「ふとん,寝具類」(以下「申立人商品」という。)について使用し続けてきた結果、現在においては、我が国の老舗寝具メーカーを表示するものとして、取引者・需要者の間に広く知られているというものである。
以下、上記の引用商標1ないし引用商標6をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の3第2項によって取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠について、枝番号全てを指す場合は、単に「甲○」という。
1 本件商標が取り消されるべき具体的理由
(1)申立人について
申立人は、西川産業株式会社(以下「西川産業」という。)、西川リビング株式会社(以下「西川リビング」という。)及び株式会社京都西川(以下「京都西川」という。)の三社の合併によって当該三社の業務をそのまま引き継ぎ設立され、2019年(平成31年)2月1日に発足した法人であり、1566年(永禄9年)の創業から455年を数え、1887年(明治20年)以降は、一貫してふとんをはじめとする寝具類の販売を継続している(甲6?甲12)。
西川各社は、1887年(明治20年)以降、一貫してふとんをはじめとする寝具類の販売を継続してきた歴史と伝統により築き上げられた信用をあらわすものとして、「西川」の漢字2字を丸くデザイン化した商標を、西川グループを象徴するシンボルマークとして使用してきた。
当該シンボルマークは、1929年(昭和4年)6月27日に出願され、同年11月25日に商標登録され(甲13)、当該シンボルマーク商標は、時代の推移に従って、右書きから左書きへ変更(甲14)されながら、今日に至るまで更新登録が繰り返され、西川グループの商品であることを端的に示す指標となった。そして、平成31年2月、西川産業、京都西川及び西川リビングの三社統合による申立人(西川株式会社)の発足に伴い、新しい西川グループを象徴するシンボルマークとして、現行ロゴマークを採用し(甲6)、使用されている(甲2)。
(2)引用商標の申立人の商標としての周知著名性について
ア 引用商標5「西川」が申立人の商標として周知著名であること
申立人の2019年2月1日ないし2020年1月31日の決算公告によれば、当該年度における売上高は640億円であった(甲53の1)。申立人は、国内最大手の寝具専門メーカーであり、寝具類の商品分野において「西川」の文字は、申立人及び申立人が率いる企業グループを指標するものとして、周知著名となっている。
現に、申立人が率いる企業グループ(以下「西川グループ」という。)が使用する商標の保有・管理を行う西川総業株式会社(以下「西川総業」という。)が有する「西川のふとん」(甲4)は、商標法第3条第2項の適用が認められたものであり、その周知著名性の程度は、特許庁においても全国的に高いものとして認定されている(甲15、甲16)。
さらに、京都西川が有する商標登録に係る商標権侵害事件において、京都裁判所は、「ブランド名が取引上重要な位置を占める寝具業界において、『西川』の表示から容易に想起することのできる西川マークやローマ字表示が遅くとも本件で問題となる被告らの行為より前に原告の商品表示として周知性を取得していることは優に認定することができるというべきである。」と認定した。(甲17)
以上のことから、引用商標5「西川」が、ふとん・寝具類の分野において極めて高い周知著名性を有しているものであることは明らかである。
イ 引用商標1及び引用商標6が申立人の商標として周知著名であること
引用商標1及び引用商標6は西川産業、西川リビング及び京都西川の三社の合併によって申立人が発足した平成31年2月以降、西川ブランドを象徴する新しいロゴマークとして、日本全国において大々的に使用されている。
(ア)申立人の会社案内等
申立人の会社案内(甲18の1)において、引用商標1及び引用商標6を付して頒布し、申立人のホームページにおいても引用商標1及び引用商標6が目立つように表示されている(甲18の2)。申立人のホームページの2019年2月以降2020年10月までのページビューは累計2,100万回を超え、閲覧者数は760万人を超える(甲18の3)。また、申立人が運営するオンラインショップにおいても引用商標1及び引用商標6が表示されている(甲18の4)。西川公式オンラインショップの2019年2月以降2020年10月までのページビューは累計2,800万回を超え、閲覧者数は424万人を超える(甲18の5)。
(イ)申立人の販売店ネットワーク
申立人の取り扱いに係る商品は、全国各地に所在する582か所に及ぶ百貨店、デパート、専門店等の店舗において大々的に販売されており(甲19?甲46)、「西川公式オンラインショップ」においても申立人の商品は、全国の需要者に向けて販売されている。
(ウ)申立人の販売店における使用の状況
上記販売店舗においては、屋内外に設置された看板、POP等の形で引用商標1及び引用商標6が大々的に掲示され、多くの需要者や取引者に向け露出され、申立人の取り扱いに係る商品を訴求している(甲20)。
(エ)商品カタログにおける使用
2019年2月以降、申立人は、その取扱いに係る商品カタログに引用商標1を付して、多数発行し、申立人の商品を取り扱う店舗や、顧客に対して頒布してきた(甲21?甲24)。
(オ)申立人が行った広告活動の内容
申立人は、その取扱いに係る商品の販売を促進するとともに、新たな企業ロゴに基づくブランド認知を確立するために、さまざまな宣伝広告活動を大々的且つ継続的に行ってきた。
例えば、2019年7月頃「東京ドーム」のベンチ上に引用商標1及び引用商標6を表示し(甲25)、2019年秋に話題となった「ラグビーワールドカップ」に関連してリーチ・マイケル選手等をイメージキャラクターとして契約し、申立人の取り扱いに係る機能性寝具(マットレス)「AiR」の広告宣伝に努めた(甲26)。
また、2020年6月、約2週間にわたってメジャーリーグ・ベースボールの大谷翔平選手を起用したテレビCMを全国で放映した(甲27、甲50の1)。「2020年7月、8月『エアー』販売支援活動」では、2020年7月25日、27日に大谷翔平選手が出場した試合が行われた野球場において、引用商標1及び引用商標6を表示した看板が大きく表示され(甲28)、これが日本のテレビでも放映された(甲29の1)。
さらに、2020年2月26日以降甲子園球場のスタンドに掲示されている屋外広告の看板は、甲子園球場で行われたプロ野球の試合が放映されるたびにお茶の間に映し出され、引用商標1及び引用商標6の認知度の向上に寄与しており、2020年度のシリーズ最終戦(阪神×巨人戦)の動画視聴回数は91万2千回を超えている。(甲29の2?甲29の6)。
そして、1日平均乗降人員数が約28万人である京急品川駅のJR連絡通路に掲示された看板中央上部には引用商標1及び引用商標6が付されており(甲30)、令和1年12月12日以降、相当多数の需要者に対して当該看板が露出されたことになる。
また、2020年1月現在、引用商標1及び引用商標6を付した広告を装着したバス23台が京都市内を走り、引用商標1及び引用商標6が多くの需要者の目に触れたことが推認できる(甲31)。
さらに、1日平均乗降人員が78,400人であるJR東海の新幹線京都駅2F柵内コンコースに高さ1.3メートル、幅3メートルの電照広告が掲示されており、当該電照広告に引用商標1及び引用商標6が付され(甲32の1)、2020年1月頃から1年間にわたって掲示されたことから、当該広告は相当数の施設利用者の目に触れたと推認できる(甲32の2)。JR西日本の京都駅上りホーム階段見附に高さ1.232メートル、幅4.232メートルの電照広告が掲示されており、当該電照広告に引用商標1及び引用商標6が付され(甲33の1)、当該電照広告も2020年1月頃から1年間にわたって掲示された。
2020年10月、申立人は申立人に係る商品「ローズテクニー DOCTOR CERA-SSS(ドクターセラ スリーエス)」についてインターネット上のバナー広告の配信を行った。当該バナー広告は、著名なスポーツ選手である吉田沙保里氏をイメージキャラクターとして需要者の注意・関心を強く惹くように制作され、引用商標1及び引用商標6が表示されている。当該バナー広告は、2020年10月9日から10月27日までという短期間の間に1,500万回表示され、4万回クリックされた(甲34)。
申立人は、「安心した眠りを約束する『西川の羽毛ふとん』のブランド価値、品質の高さを最大限にアピールする」ことを目的とした販売促進キャンペーンを企画し、2020年11月及び12月の2か月間にわたって様々な施策を実行した。同キャンペーンにおいては、引用商標1及び引用商標6を中央に大きく表示した広告ビジュアルを制作、動画配信、テレビコマーシャル、店頭のPOP、「YouTube」、SNS等のさまざまな訴求チャンネルを通じ、広告宣伝活動を行った(甲35)。
また、2020年11月16日から30日には、JR山手線の通勤車両をまるごと活用した「西川ドリームトレイン」による宣伝広告活動を実施した(甲36の1)。三浦知良氏、大谷翔平氏、中村アン氏等、人気・注目度の高い著名人を起用したポスターを掲示し、さらに、羽毛を充填した「布団」実物を使用した中吊り広告という斬新な広告物を使用したこの広告は随所に引用商標1及び引用商標6が目立つように表示され、実際に当該山手線車両に乗車した人々のみならず、その様子を「Instagram」「Facebook」等のSNSで配信し、極めて多数の需要者・取引者に訴求することができた(甲36の2)。
2019年2月から2020年10月頃にかけて、申立人の販売店において頒布された各種チラシ及び顧客向け封筒型ダイレクトメールの封筒外側に引用商標1及び引用商標6が付され、これらのチラシ及び顧客向け封筒型ダイレクトメールは、多数印刷、納品された(甲37?甲49)。
(カ)テレビコマーシャルの制作、放映について
申立人は2020年6月17日から30日までの期間、大谷翔平選手を起用したテレビコマーシャルを全国各国の放送網を通じて放映し、当該コマーシャルにおいて、同選手の映像とともに引用商標1及び引用商標6が表示された(甲50の1)。当該CMのGRP(延べ視聴率、ある一定期間に流した1本のCMの視聴率の合計)は5.998%であった(甲50の2)。
また、申立人は2020年8月から10月にかけても日本テレビ、TBS、朝日放送及び中京テレビを通じて、大谷選手や中村アン氏を起用したコマーシャル(甲50の2、甲50の3)及び「医師がすすめる健康まくら」のコマーシャル(甲50の4)を放映し、そのGRPは485.8%であった(甲50の5)。中村アン氏を起用したコマーシャルにおいて、引用商標1及び引用商標6が表示された。
さらに、2020年11月4日から17日にかけて「西川の羽毛ふとん総集編」のテレビコマーシャル(甲50の6)を全国各国の放送網を通じて放映し、当該CMでは引用商標1及び引用商標6を大きく表示し、「新しい羽毛は違うね。新しい羽毛は違うね。西川の羽毛ふとん」というナレーションとともに、申立人の羽毛ふとんの愛用者のコメントを画面に表示するという視聴者の記憶、印象に強く残る内容であり、当該CMのGRPは5.943%であった(甲50の7)。
(キ)SNSによる訴求効果
「西川公式Facebook投稿別リーチ数一覧表」(甲51の1)によれば、例えば、2020年11月29日の投稿は36,700人に閲覧され、2,300人が当該投稿をクリックしているが、クリックした閲覧者は、申立人の公式ウェブサイト中の当該記事画面に誘導され、遷移した画面の上部に表示された引用商標1及び引用商標2に接することになる(甲51の2)。同様に、2020年10月31日の投稿は30,000人に閲覧され、2,300人が当該投稿をクリックしているが、クリックした者に対しては、申立人のホームページが表示され、その冒頭に表示された引用商標1及び引用商標6に接したことになる(甲51の3)。2020年5月11日の投稿は53,400人に閲覧され、4,600人が当該投稿をクリックしているが、クリックした者に対しては、申立人のホームページが表示され、その冒頭に表示された引用商標1及び引用商標6に接したことになる(甲51の4)。
(ク)検索連動型バナー広告表示による広告宣伝
2021年1月現在検索エンジンサイト「Yahoo」「Google」と連動して配信されている様々なバナー広告には、引用商標1及び引用商標6が表示されている(甲52)。
(ケ)申立人の売上に係る資料
申立人の2019年2月1日ないし2020年1月31日の決算公告(甲53の1)によれば、申立人の当該年度における売上高は640億円であった。
また、2019年7月31日付日経MJに掲載された「18年度日本の卸売業調査(第48回)」の記事(甲53の2)によると「寝装品・インテリア」の分野において「西川」が売上325億円で4位にランキングされており、「寝装品」取扱事業者の中ではトップにランキングされている。
さらに、2020年8月12日付日経MJに掲載された「19年度日本の卸売業調査(第49回)」(甲53の3)では、「寝装品」取扱事業者の中でトップにランキングされている企業の売上高は127億円となっている。3社統合後の申立人の売上高は、上述の通り640億円であったから、このランキングで寝装品売上トップとされている企業の5倍の売上高となっており、申立人が寝装品の分野において圧倒的な市場シェアを有していることは明らかである。
(コ)テレビ放映されたニュース、バラエティ、情報番組などでの報道
申立人の活動や、寝具をはじめとする各種の商品は、テレビ放映されたニュース、バラエティ、情報番組などでも頻繁に紹介・報道され(甲56)、そこで引用商標1、引用商標5及び引用商標6が表示され、その周知著名性を補強し、一層高めている。
(サ)まとめ
以上のとおり、引用商標1及び引用商標6は2019年2月1日の三社統合後、申立人の取り扱いに係る商品について、大々的に使用され、様々な広告媒体を通じて、全国的に宣伝広告が行われているが、その内容や方法は、国民的な人気や著名度を有するスポーツ選手や女優を起用したもので、一般の注意・関心を強く惹き、消費者に対する訴求力が極めて強いものである。 そして現に、申立人が寝装品の分野において高い売上高を実現し、その金額が同業他社に比べても群を抜いている事実からすれば、引用商標5のみならず、申立人の商品について使用されている引用商標1及び引用商標6も需要者、取引者の間で広く認識されていることが推認できる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
西川総業は、引用商標1ないし引用商標4の登録商標を有している(甲2?甲5)。なお、西川総業は、申立人を中心とする「西川グループ」が使用する商標を一括して登録管理する法人であり、西川グループを構成する法人である。
これに対して、本件商標は「NISHIKAWA SLEEP LABORATORY」の文字を横書きにしてなる。このうち「SLEEP」の語は、「眠る、睡眠、眠り」を意味する英単語として、また、「LABORATORY」の語は、「研究所」を意味する語として、「ラボ」と短縮されるなどして、我が国の需要者、取引者の日常生活に浸透している英単語であり、これらに接した需要者、取引者は当然にそのような意味合いを有する語として認識する(甲54)。
そうすると、本件商標の構成中の「SLEEP LABORATORY」の文字部分からは「眠りに関する研究所」、「睡眠に関する研究所」といった意味合いが看取されることになる。これを本件商標の指定役務との関係でみると、「LABORATORY」の語について、「研究所」という観念に自他役務識別機能はなく、近時、睡眠研究が人々の注目・関心を集め、話題になっている世情を併せ考えると、「LABORATORY」の文字は、自他役務識別力を有しない語であることは明らかである上、「SLEEP LABORATORY」の文字部分を一体のものとしてみた場合であっても「寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について自他役務識別の機能を発揮しえないものであり、特許庁における過去の審査例に照らしてみても、寝具や寝具の小売といった商品や役務に関して「SLEEP」の文字から出所識別標識としての称呼や観念が生じるとはいえない(甲55)。
また、「被服・履物・身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についてみたときも、例えば「寝巻き類」「ナイトキャップ」「スリッパ」といった、「眠り、睡眠」と密接な関連性を有する商品の小売役務については、やはり自他役務識別の機能を果たし得ないというべきである。
そうすると、本件商標の構成中において、出所識別機能を果たすべき要部は「NISHIKAWA」の文字部分ということになり、この部分が強く支配的な印象を与えるから、本件商標からは「ニシカワ」の称呼が生じるというべきである。
そうすると、本件商標からは「NISHIKAWA」の文字部分に照応して「ニシカワ」の称呼が生じるものである。そしてこれに「SLEEP LABORATORY」の文字を結合した構成からは、ふとん等の寝具類の分野において周知著名な「西川」の「眠りに関する研究所」、「西川」の「睡眠に関する研究所」であるとの観念を生じる。
したがって、本件商標はその称呼において、引用商標1ないし引用商標4に類似し、本件商標より生ずる観念においても紛らわしいものであるから、本件商標は引用商標1ないし引用商標4に類似する。
そして、本件商標の指定役務は、その全てが引用商標1ないし引用商標4の指定商品又は役務と同一又は類似のものである。
してみれば、本件商標は引用商標1ないし引用商標4との関係において商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、申立人が「ふとん、寝具類」等の商品について永年使用し、周知著名な引用商標5及び引用商標6との間で出所の誤認を生じるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
本件商標の指定役務中、「寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の分野に関しては、「西川のふとん」との商標が指定商品「ふとん」について商標法第3条第2項の適用を受けて商標登録されており(甲4の1)、特許庁や裁判所の過去の判断例においても「構成中の『西川』の文字は、補正後の指定商品との関係においては、請求人(出願人)及びその関連企業が、1566年の創業以来永年にわたりふとん・寝具類を製造・販売しそれらの商品に使用し続けてきた結果、現在においては、我が国の老舗寝具メーカーを表示するものとして、取引者・需要者の間に広く知られているものと認められる。」(甲15)、「本件商標の構成中の『西川』の文字は、布団、枕等の寝具類の分野において、請求人(出願人)及びそのグループ企業により使用された結果、請求人等の取り扱いに係る商品を表す文字として、当該分野の取引者、需要者の間で相当程度知られているものといえる」(甲16)、「『西川』の表示自体、『ふとんの西川』として寝具業界では原告ないしこれと関連会社を一体としてみた西川グループの商品表示として周知性を有している」(甲17)と認定されている。
したがって、「ふとん・寝具類」の分野において、「西川」の周知著名性の程度は、極めて高いということができる。
また、引用商標6についても、その使用開始時期は2019年2月であって、比較的近時に係るものではあるものの、以降今日に至るまで寝具の製造、販売の分野において大々的に使用され、その年間売上高は640億円にも及び寝装品の分野において圧倒的な市場シェアを有していることからすれば、寝具、寝装品の分野においては既に広く認識されているものとみるべきである。
そして、本件商標の指定役務には「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれ、かかる小売等役務に類似する小売等役務を指定するものであるから、申立人が遅くとも明治20年以降130年という時間をかけて周知・著名性を蓄積してきた「ふとん・寝具類」とその性質、用途又は目的における関連性の程度が高いものであり、当然にその取引者及び需要者の範囲も共通するものである。
次に、本件商標の指定役務の需要者の注意力については、本件商標で指定された小売等役務に係る商品は、日常一般に使用される商品であり、その購入者には必ずしも商標について詳細な知識を持たない者も多数含まれ、需要者が商品購入時に払う注意力は高いものではなく、商標構成中の覚えやすく親しみやすい印象及び過去に購買した際の記憶に基づいてその商品を選択ないし購買すると考えられる。
したがって、本件商標「NISHIKAWA SLEEP LABORATORY」がその指定役務について使用され、かかる役務を提供した場合は、これに接した需要者、取引者は、それがあたかも申立人の「眠りに関する研究所」、布団・寝具類について周知著名な「西川」の「睡眠に関する研究所」に係るものであると誤信されるおそれが極めて高い。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標5及び引用商標6の周知性について
申立人の提出した甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人について
申立人は、西川産業、西川リビング及び京都西川の三社の合併によって当該三社の業務をそのまま引き継いで設立され、2019年(平成31年)2月1日に発足した法人であり、1566年(永禄9年)の創業から455年を数え、1887年(明治20年)以降は、一貫してふとんをはじめとする寝具類の販売を継続している企業である(甲6?甲12)。
上記の西川各社は、1887年(明治20年)以降、「西川」の漢字2字を丸くデザイン化した商標(以下「西川のロゴ」という。)を、西川グループを象徴するシンボルマークとして使用してきた。
当該シンボルマークは、1929年(昭和4年)6月27日に出願され、同年11月25日に商標登録された(甲13)。当該西川のロゴは、変更されながらも(甲14)、更新登録が繰り返され、平成31年2月、西川産業、西川リビング及び京都西川の三社統合による申立人の発足に伴い、新しい西川グループを象徴するシンボルマークとして、現行ロゴマーク(以下「西川の新ロゴ」という。)が採用され、使用されている(甲2)。
(2)引用商標5及び引用商標6の周知性について
申立人の会社案内(甲18の1)、申立人のホームページ、SNS(甲18の2、甲51の2?甲51の4)及び申立人が運営する公式オンラインショップ(甲18の4)、申立人の販売店に設置された看板やPOP(甲20)、テレビCM(甲27、甲50の1、甲50の3、甲50の4、甲50の6)、京急品川駅のJR連絡通路に掲示された看板(甲30の1)、JR東海の新幹線京都駅の電照広告(甲32の1)、インターネット上のバナー広告(甲34、甲52)、申立人の販売店において頒布されたチラシ等(甲37の1、甲38の1、甲39の1、甲43の1、甲44の1)の証拠には、「西川の新ロゴ」と「nishikawa」の欧文字が併記された態様の引用商標6が表示されていることが認められる。
そして、上記の「西川の新ロゴ」と「nishikawa」の欧文字が併記された態様の引用商標6が表示された申立人ホームページ及び申立人が運営する公式オンラインショップのページビュー数や閲覧者数(甲18の3、甲18の5)、申立人の販売店数の規模(甲19?甲20)、テレビCM放映の視聴率(甲50の2、甲50の5、甲50の7)、東京、京都等の主要駅の平均乗降人員数(甲30の2、甲32の3)、「寝装品・インテリア」の分野における申立人の業務にかかる商品の売上高ランキング等(甲53)の証拠を総合すると、「西川の新ロゴ」と「nishikawa」の欧文字が併記された態様の引用商標6は、様々な広告手段において、目立つ方法で表示されていることから、取引者、需要者に強く印象付けられるといえるものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、その取引者、需要者の間に広く認識されていたということができる。
しかしながら、引用商標6の構成中の「西川の新ロゴ」及び引用商標6の構成中の「nishikawa」の欧文字については、一部の証拠に単独で使用されている例(甲20、甲56の4ほか)が見受けられるものの、さほど多いとはいえない上、その表示方法も「西川の新ロゴ」と「nishikawa」の欧文字を併記してなる態様の引用商標6の表示のように目立つ表示方法とはいえないものである。
また、引用商標5の「西川」の文字については、単独で使用されている例は見いだせず、例えば、テレビコマーシャル等において使用されている例(甲56)は見受けられるものの、それらは、申立人企業や申立人商品の紹介、引用商標6が表示された店舗の映像等の情報とともに放送されており、「西川」の文字のみがテレビコマーシャルの視聴者に対し、強く印象付けられるものとはいえないものである。
さらに、「西川」又は「nishikawa」の各文字が申立人商品に使用されていることは認められるものの、「西川」又は「nishikawa」の各文字が単独で使用された申立人商品の売上高や宣伝広告等については確認できない。
そうすると、取引者、需要者は、「西川の新ロゴ」及び「nishikawa」の欧文字からなる引用商標6について、その構成全体をもって一体の商標として把握し、商品の出所標識として認識すると解するのが自然であるから、引用商標6は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたということができる。
しかしながら、引用商標5の「西川」又は引用商標6の構成中の「nishikawa」の各文字が単独で、商品の出所標識として、格別に強い印象を与えるものとはいえないことから、引用商標5の「西川」又は引用商標6の構成中の「nishikawa」の各文字が単独で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとまでは認めることができないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「NISHIKAWA SLEEP LABORATORY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する「NISHIKAWA」、「SLEEP」及び「LABORATORY」との各欧文字部分の間に1文字分の間隔があるとしても、各文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されており、全体として、外観上まとまりよく一体的に表された印象を与えるものであり、「NISHIKAWA」の文字部分のみが特に強調され強く印象付けられるように構成されているものではない。
また、本件商標の構成文字全体より生ずる「ニシカワスリープラボラトリー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標を構成する「NISHIKAWA」、「SLEEP」及び「LABORATORY」の文字が、それぞれ、「(姓氏の一つとしての)西川」、「眠る」、「研究所」等(甲54)の意味を有するものと理解させるとしても、かかる文字(語)を組み合わせた本件商標から、「SLEEP LABORATORY」の文字部分が直ちに指定役務の質、提供場所などを表示したものとして認識され捨象されるというべき事情は見いだせず、本件商標から「NISHIKAWA」の文字のみを捉えて取引に当たるとはいい難いものである。
したがって、本件商標は、その構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものと認識し、把握されるとみるのが相当である。
また、他に、本件において、本件商標構成中の「NISHIKAWA」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ニシカワスリープラボラトリー」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
そして、引用商標1は別掲1、引用商標2は別掲2、引用商標4は別掲3にそれぞれ示すとおりの構成からなり、引用商標3は、「西川のふとん」の文字を横書きしてなるところ、本件商標と引用商標1ないし引用商標4とを比較すると、称呼については、引用商標1ないし引用商標4から、「ニシカワ」の称呼が生じることがあるとしても、「ニシカワスリープラボラトリー」の称呼のみを生じる本件商標とは、「スリープラボラトリー」の音の有無により、構成音において明らかな差異を有するものであるから、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
また、外観及び観念については、外観の構成文字等において明らかに相違するものであるから、外観上、判然と区別し得るものであり、観念については比較することができないから、外観上及び観念上において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1ないし引用商標4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標5及び引用商標6の周知性について
上記1の認定のとおり、申立人提出の証拠からは、引用商標6は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、引用商標5の「西川」又は引用商標6の構成中の「nishikawa」の各文字が単独で、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものである。
(2)本件商標と引用商標5及び引用商標6との類似性の程度について
本件商標は、上記第1のとおり、「NISHIKAWA SLEEP LABORATORY」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標5は「西川」の文字からなり、引用商標6は別掲4のとおりの構成からなるところ、本件商標と引用商標5及び引用商標6とは外観上判然と区別し得るものである。
次に称呼については、引用商標5及び引用商標6から、「ニシカワ」の称呼が生じる場合があるとしても、「ニシカワスリープラボラトリー」の称呼のみを生じる本件商標とは、「スリープラボラトリー」の音の有無により、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、引用商標5及び引用商標6とは比較できず、観念上も相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標5及び引用商標6とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから類似性の程度は低いものといえる。
(3)小括
上記(1)のとおり、引用商標6は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、引用商標5の「西川」又は引用商標6の構成中の「nishikawa」の各文字が単独で、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標5及び引用商標6とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれはない非類似の商標であるから類似性の程度は低いものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、取引者、需要者が、申立人や引用商標5及び引用商標6を連想、想起することはなく、その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 申立人の主張について
申立人は、西川グループに係る「西川」の文字を構成中に含む登録例及び審決例(甲4、甲15、甲16)や判決例(甲17)を挙げ、引用商標5「西川」の文字は、ふとん・寝具類の分野において極めて高い周知性を有しているから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張している。
しかしながら、上記3のとおり、申立人提出の証拠からは、引用商標5の「西川」が単独で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものであり、かつ、本件商標と引用商標5の類似性の程度は低いものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないと判断すべきものであり、申立人が挙げる登録例及び審決例や判決例が、本件商標についての同号該当性の判断を左右するものではない。
よって、申立人の主張を採用することができない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当せず、その登録は、同条第1項の規定に違反してなされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1
引用商標1(登録第6241862号商標)



別掲2
引用商標2(登録第5209966号商標)



別掲3
引用商標4(登録第4727504号商標)


別掲4
引用商標6(色彩は原本参照)


及び



異議決定日 2021-10-01 
出願番号 商願2020-81672(T2020-81672) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W35)
T 1 651・ 263- Y (W35)
T 1 651・ 262- Y (W35)
T 1 651・ 261- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 河合 俊英 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
小田 昌子
登録日 2020-12-23 
登録番号 商標登録第6333841号(T6333841) 
権利者 昭和西川株式会社
商標の称呼 ニシカワスリープラボラトリー、ニシカワ、スリープラボラトリー、スリープ、ラボラトリー 
代理人 村瀬 純一 
代理人 田中 克郎 
代理人 廣中 健 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 千葉 尚路 
代理人 佐藤 力哉 
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