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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W42 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W42 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W42 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W42 |
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管理番号 | 1378967 |
異議申立番号 | 異議2020-900096 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-04-03 |
確定日 | 2021-09-13 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第6218609号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第登録第6218609号の指定役務中、第42類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6218609号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、平成31年1月22日に登録出願、第35類「文書又は磁気テープのファイリング,事務処理の代行,通信販売に関する事務の代行,通信販売の注文・受注・発送に関する事務処理代行,商品のオンラインによる通信販売の事務の代行,商品の管理(在庫の管理も含む)及び販売に関する事務の代理又は代行,商品の受注・出荷業務に関する事務処理の代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行」及び第42類「電子商取引の分野で用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・電子商取引に係る事業の運営のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の事業者のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の分野で用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・運営のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、令和元年12月25日に登録査定され、同2年2月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は、次の5件であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第1884541号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BOSS」の文字を横書きしてなり、昭和58年2月7日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年8月28日に設定登録され、その後、指定商品については、平成18年9月27日に、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第16類及び第17類に属する商標登録原簿に記載の商品に書換登録がなされたものである。 2 登録第1884543号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和58年4月6日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年8月28日に設定登録され、その後、指定商品については、平成18年9月27日に、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第16類及び第17類に属する商標登録原簿に記載の商品に書換登録がなされたものである。 3 登録第1884544号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和58年4月28日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年8月28日に設定登録され、その後、指定商品については、平成18年9月27日に、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第16類及び第17類に属する商標登録原簿に記載の商品に書換登録がなされたものである。 4 登録第4547715号商標(以下「引用商標4」という。)は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、平成12年7月31日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,メトロノーム」を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである。 5 登録第6162217号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成30年9月5日に登録出願、第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),コンピュータソフトウェア,デジタル音楽ファイルのデータ処理用のコンピューターソフトウェア,音楽及び音響の制作及び編集用のコンピュータソフトウエア,ダウンロード可能な音楽制作用コンピュータソフトウェア」を含む第9類及び第15類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、令和元年7月12日に設定登録されたものである。 なお、以下、引用商標1ないし引用商標5をまとめて引用商標という場合がある。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定役務中、第42類「全指定役務」(以下「異議申立対象役務」という場合がある。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって、取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。 1 具体的理由 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標について 本件商標は、上記第1のとおりの構成よりなり、その構成文字より「ボス」の称呼が生じ、「親方、実力者、支配者」といった観念が生じる(甲7)。 イ 引用商標について 引用商標は、上記第2のとおりの構成よりなり、引用商標の登録出願日、登録日、指定商品及び指定役務は、商標登録原簿に記載のとおりであり、引用商標の商標権は、現に有効に存在しているものである(甲2?甲6)。 ウ 本件商標と引用商標の比較 本件商標と引用商標を比較すると以下のとおりである。 (ア)外観について 本件商標と引用商標4の外観は同一である。 また、本件商標と引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5は、用いられている書体が異なるものの、いずれも「B」、「O」、「S」及び「S」の欧文字を横一列に並べた態様であり、互いに類似している。 (イ)称呼について 本件商標と引用商標1ないし引用商標5からはいずれも「ボス」の称呼が生じ、本件商標と引用商標1ないし引用商標5は称呼において同一である。 (ウ)観念について 「BOSS」の語は、「親分。派閥・組織・党などの長」といった意味を有する英単語であるが、日本において比較的よく知られた言葉である(甲7)。 よって、本件商標と引用商標1ないし引用商標5からはいずれも「親分。派閥・組織・党などの長」といった観念が生じ、本件商標と引用商標1ないし引用商標5は観念において同一である。 (エ)指定商品及び指定役務について 本件商標の第42類の指定役務は、各種の「電子計算機用プログラムの提供」である。 一方、引用商標1ないし引用商標4の第9類の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」は、下位概念の商品として「電子計算機用プログラム」を含んでいる。 また、引用商標5は、第9類指定商品「コンピュータソフトウェア」を含んでいる。 ここで、類似商品・役務審査基準によると、「『電子計算機用プログラム』は、第42類『電子計算機用プログラムの提供』に類似と推定する」とされている。 よって、本件商標と引用商標1ないし引用商標5は、指定商品及び指定役務において類似している。 なお、「コンピュータソフトウェア」は、「電子計算機用プログラム」と同義であるものと思料する。 (オ)まとめ 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、1972年に創業した電子楽器、音響機器の製造事業者である(甲8)。1976年に商標「BOSS」を付したギター用エフェクターの製造販売を開始して依頼、商標「BOSS」をギター関連商品(エフェクター、アンプ、ケーブル、ヘッドホン、デジタルレコーダー、ワウペダル、アプリケーションプログラム)等(以下、「BOSS」ブランド商品という。)に使用している(甲9?甲12)。 2013年には、エフェクターの機種は累計100種を突破し(甲13)、2017年には「BOSS」ブランド使用開始から40周年を迎え、累計で119機種、全世界で合計1,500万台以上のセールスを達成している(甲14)。 「BOSS」が申立人の商品であることを示す標識として、日本国内において著名であることは以下の証拠より明らかである。 ア 売上高 公開されている情報に基づいた、2008年3月期ないし2014年3月期「BOSS」ブランド商品(ギター関連電子機器)の日本国内の売上高は、2008年3月期に3,487(単位:百万円。以下同じ。)、2009年3月期に3,201、2010年3月期に2,610、2011年3月期に1,961、2012年3月期に1,923、2013年3月期に1,785、2014年3月期に1,575となっている。 2008年から2014年までの「BOSS」ブランド商品(ギター関連電子機器)の日本国内売上高は、全世界のギター関連電子楽器売上高に、全商品全世界売上高における日本国内売上高の割合を乗じて算出したものである。 イ 市場シェア 島村楽器オンラインストアで販売されているエフェクター280件のうち、「BOSS」の商品が90件を占めている(甲15)。 また、「Guitar magazine」の記事によると、「デジマート」で売れたエフェクターにおいて、歪み系ペダルについては、50位までの商品中13種(ブランド別最高数)が、空間系ペダルにおいては20位までの商品中10種(ブランド別最高数)が「BOSS」ブランド商品である(甲16)。 さらに、フリー百科事典Wikipediaにおける「コンパクトエフェクター」の項目においては、「BOSS」の商品写真が掲載され、主なメーカー及びブランドとして「BOSS」が筆頭にあげられている(甲17)。 これらの事実より、ギター用エフェクターの分野において、「BOSS」ブランドの商品が高い市場シェアを占めていることが推認できる。 ウ 商標登録状況 先述の日本登録に加え、49もの国と地域において、計83の商標登録を有しており、「BOSS」の名は世界に広く知られている。 エ 宣伝・広告 1976年の商品発売から係属して、各種の専門誌に広告を掲載してきた(甲18)。 また、2016年から2020年4月の期間に、「GiGS」(発行部数:30万部)には21回、「YOUNG GUITAR」(発行部数:20万部)には14回、「Effector Book」(発行部数:不明)には10回、「Guitar Magazine」(発行部数:25万部)には12回、Digimart(リットーミュージックWEB)においては28回、雑誌やウェブ媒体での広告掲載を行っている。 なお、各誌の発行部数は、雑誌広告代理店株式会社HRKS掲載の資料による(甲19)。 また、リットーミュージックWEBサイト「Digimart」全体としての2020年1月から3月までの閲覧回数は、約870万回である(甲20)。 オ 紹介記事、出版物 「BOSS」ブランド商品は、多くのアーティストたちに愛用され、これまで数多くの雑誌やウェブサイトにおいて紹介されてきた。 例えば、“楽器探しのアシストメディ”を謳う、ウェブサイト「デジマートマガジン」において、ブランド名「BOSS」で検索をすると、114の記事が検出される(甲21)。 また、「ボス・コンパクト・エフェクターの総てを網羅。エフェクター・マニア垂涎の幻の名機を含む生産完了&現行モデル全83機種の知られざる開発秘話と詳細な仕様変遷を完全フォローした一冊」として、ムック「ボス・ブック」が2001年に、その第2弾が2006年に発行されている(甲25、甲26)。 カ 受賞歴 「BOSSコンパクト・エフェクター・シリーズ」は、「1977年の第1号機OD-1から、その完成度の高い基本形は現在まで不変」であるとして、2011年にグッドデザイン賞のロングライフデザイン賞を受賞している(甲27)。 キ SNS、ウェブサイト 申立人は下記のウェブサイトやSNSを通じて、「BOSS」ブランド商品に関する情報を発信している。 (ア)SNS 「FaceBook」における合計フォロワー数は、64万人である(甲28)。 YouTube「BOSS Channel」の視聴回数は、7,000万回、チャンネル登録数は、13.8万人である(甲29)。 Instagramの「boss_europe」のフォロワー数は、13.5万人、「bossfx_us」のフォロワー数は、12.9万人、「boss_jpn」…フォロワー数7,167人である(甲30)。 (イ)ウェブサイト オフィシャルウェブサイトにおける2020年1月から3月までの閲覧回数約184万回である(甲31、甲32)。 ク 商号としての使用 「BOSS」ブランド商品は、1979年から2018年までの間、申立人のグループ会社であるボス株式会社により製造販売されていた。 つまり、「BOSS」はボス株式会社の商号商標として、長年にわたり、日本国内で広く使用されてきた。 なお、ボス株式会社は2018年にローランド株式会社(申立人)に合併され解散した(甲33)。 ケ その他、考慮すべき事由 申立人は、スマートフォン等の内蔵マイクを使ってチューニングを行うことができる、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアを提供している(甲34)。 また、エフェクターやアンプといった電子楽器及びその関連商品は、近年、専用ウェブサイトからソフトウェアアプリケーションをダウンロードすることにより、機能を追加することができる仕様となっている。 申立人においても、ウェブサイト「BOSS TONE CENTRAL」を運営しており、「BOSS」ブランド商品ユーザーがアプリケーションソフトウェア「BOSS TONE STUDIO」をダウンロードすることができるサービスを提供している(甲35、甲36)。 このように、電子楽器や電子楽器用機器と、スマートフォンやパーソナルコンピュータ用のアプリケーションソフトウェアは、密接な関連を有するものである。 本件商標は、「電子商取引の分野で用いられる電子計算機用プログラムの提供」等を指定役務とするが、電子商取引が個人や小規模の小売店においても一般的に行われていることを鑑みると、当該役務は広く一般需要者に向けられたものであると考えられ、「BOSS」製品の対象も一般需要者であるため、両者の需要者は共通する。 してみれば、本件商標「BOSS」を指定役務に使用した場合、その出所について申立人と何らかの関係があるかの如き印象を需要者に与え、出所について混同を生ずるおそれがある。 コ 小括 引用商標は、申立人の商標として、広く需要者に知られているから、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の第42類の指定役務は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである。 第4 本件商標に対する取消理由 当審において、令和2年11月4日付け取消理由通知書をもって、本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)に対し、本件商標の指定役務中、第42類「全指定役務」と引用商標の指定商品は、互いに類似する役務と商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第5 本件商標権者の意見 本件商標権者は、前記第4の取消理由に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「BOSS」の文字を標準文字で表してなるところ、「BOSS」の欧文字は、「親方」等の意味を有する英語として、我が国においてよく知られていることから、本件商標は、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1について 引用商標1は、上記第2の1のとおり、「BOSS」の文字を横書きにしてなるものであるから、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、上記第2の2のとおり、別掲1に掲げるとおりの商標よりなるところ、引用商標2は、構成文字全体がややデザイン化され、各構成文字が横の文字と接触しているものの、「BOSS」の文字を横書きしたものと、十分に認識し得る構成態様であることから、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 ウ 引用商標3について 引用商標3は、上記第2の3のとおり、別掲2に掲げるとおりの商標よりなるところ、引用商標3は、最初の文字がデザイン化されているものの、「BOSS」の文字を横書きしたものと、十分に認識し得る構成態様であることから、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 エ 引用商標4について 引用商標4は、上記第2の4のとおり、「BOSS」の文字を標準文字で表してなるものであるから、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 オ 引用商標5について 引用商標5は、上記第2の5のとおり、別掲3に掲げるとおりの商標よりなるところ、引用商標5は、最初の文字を他の文字より大きく「BOSS」の文字を筆記体風に横書きしたものであるから、当該文字に相応して、「ボス」の称呼が生じ、「親方」等の観念が生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標と引用商標1との類否について 本件商標は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、他方、引用商標1は、「BOSS」の文字を横書きにしてなるところ、本件商標と引用商標1とは、互いに、構成文字を同じくすることから、両商標の外観は類似し、かつ、それぞれの構成文字に相応した「ボス」の称呼及び「親方」等の観念を共通にするため、これらは、互いに、類似する商標であると認められる。 イ 本件商標と引用商標2及び引用商標3との類否について 本件商標は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、他方、引用商標2及び引用商標3とは、「BOSS」の文字を横書きしたものと、十分に認識し得る構成態様であるところ、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、いずれも「BOSS」のつづりが共通していることから、これらの外観が明確に相違するものであるとはいえず、また、それぞれの構成文字に相応した「ボス」の称呼及び「親方」等の観念を共通にするため、これらを総合的に判断すると、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、互いに、類似する商標であると認められる。 ウ 本件商標と引用商標4との類否について 本件商標と引用商標4とは、いずれも「BOSS」の文字を標準文字で表してなるところ、本件商標と引用商標4とは、互いに、構成文字を同じくすることから、両商標の外観は類似し、かつ、それぞれの構成文字に相応した「ボス」の称呼及び「親方」等の観念を共通にするため、これらは、互いに、類似する商標であると認められる。 エ 本件商標と引用商標5との類否について 本件商標は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、他方、引用商標5は、「BOSS」の文字を筆記体風に横書きした構成態様であるところ、本件商標と引用商標5とは、いずれも「BOSS」のつづりが共通していることから、これらの外観が明確に相違するものであるとはいえず、また、それぞれの構成文字に相応した「ボス」の称呼及び「親方」等の観念を共通にするため、これらを総合的に判断すると、本件商標と引用商標5とは、互いに、類似する商標であると認められる。 (4)本件商標の指定役務中の第42類の「全指定役務」と引用商標の指定商品との類否について 本件商標の指定役務中の第42類の指定役務「電子商取引の分野で用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・電子商取引に係る事業の運営のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の事業者のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の分野で用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・運営のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供」は、いずれも、電子計算機用プログラムを提供する役務である。 他方、引用商標1ないし引用商標4の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」には、「電子計算機用プログラム」が含まれている。 また、引用商標5の指定商品中の「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。)」には、「電子計算機用プログラム」が含まれ、かつ、引用商標5の指定商品中の「コンピュータソフトウェア,デジタル音楽ファイルのデータ処理用のコンピューターソフトウェア,音楽及び音響の制作及び編集用のコンピューダノフトウエア,ダウンロード可能な音楽制作用コンピュータソフトウェア」は、「電子計算機用プログラム」に該当する商品である。 そして、別掲4ないし別掲6のインターネット検索情報によれば、「電子計算機用プログラム」を取り扱う業界においては、「電子計算機用プログラム」は、各種記録媒体に記録された形式で、店頭にて、あるいはインターネット等の通信回線を通じて、ダウンロードを行う形式により流通される商品として販売されるのみではなく、インターネット等の通信回線を通じ、電子計算機用プログラムを使用させる役務として提供されることも少なくないと考えられる。 そうすると、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」とは、役務の提供と商品の製造、販売とが同一事業者によって行われているのが一般的であり、用途及び需要者の範囲等が一致するものとみるのが相当であって、密接な関係にある役務と商品というべきである。 してみれば、本件商標の指定役務中の第42類「全指定役務」は、引用商標1ないし引用商標4の指定商品中の「電子計算機用プログラム」と、引用商標5の指定商品中の「電子計算機用プログラム,コンピュータソフトウェア,デジタル音楽ファイルのデータ処理用のコンピューターソフトウェア,音楽及び音響の制作及び編集用のコンピュータソフトウエア,ダウンロード可能な音楽制作用コンピュータソフトウェア」と類似する。 (5)まとめ 上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、類似する商標であり、かつ、上記(4)のとおり、本件商標の指定役務中第42類「全指定役務」と引用商標の指定商品は、互いに類似する役務と商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標の指定役務中の第42類「全指定役務」の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるから同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標2) 別掲2(引用商標3) 別掲3(引用商標5) 別掲4(富士通株式会社のウェブサイト) 富士通株式会社のウェブサイトにおける「ソフトウェアのクラウド対応」のタイトルの下、「利用形態」の項目の「Pay-as-you-go Software(従量課金)」の欄に「富士通製ソフトウェアをIasS(仮想サーバー)にインストールして、使った分だけお支払いいただく従量制料金でご利用いただけます。」の記載がある。 (https://www.fujitsu.com/jp/products/software/resources/theme/cloud/) 別掲5(日本電気株式会社のウェブサイト) 日本電気株式会社のウェブサイトにおける「NECクラウドソフトウェアストア」の欄の「ご利用料金」のタイトルの下、「料金タイプについて」の項目に「従量課金(月単位・時間単位)」の記載及び「利用時間にあわせて、月単位または時間単位で利用料をお支払いただくタイプです。月々の利用量に変動があるお客様向けの料金タイプです。」の記載がある。 (https://jpn.nec.com/cloud/software/price.html) 別掲6(日本マイクロソフト株式会社のウェブサイト) 日本マイクロソフト株式会社のウェブサイトにおける「Microsoft|Microsoft 365」のタイトルの「最適なソリューションを見つけてください。」の記載の下、「一般法人向け」の欄の「Microsoft 365 Business Standard」の項目に、「¥1,360 ユーザー/月相当(年間契約)」の記載、「このプランに含まれる常に最新バージョンのofficeアプリ」の項目に、「Word」、「Excel」等の記載がある。 (https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business/compare-all-microsoft-365-business-products) |
異議決定日 | 2021-08-04 |
出願番号 | 商願2019-14960(T2019-14960) |
審決分類 |
T
1
652・
265-
Z
(W42)
T 1 652・ 261- Z (W42) T 1 652・ 263- Z (W42) T 1 652・ 262- Z (W42) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小島 玖美、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 小俣 克巳 |
登録日 | 2020-01-22 |
登録番号 | 商標登録第6218609号(T6218609) |
権利者 | 楽天株式会社 |
商標の称呼 | ボス |
代理人 | 奥山 尚一 |
代理人 | 高橋 菜穂恵 |
代理人 | 特許業務法人栄光特許事務所 |