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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 取り消して登録 W07091011172542
管理番号 1378877 
審判番号 不服2020-17031 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-11 
確定日 2021-10-13 
事件の表示 商願2018-125762拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、平成30年10月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年10月31日付け:拒絶理由通知書
令和元年12月18日:意見書、手続補正書の提出
令和2年9月7日付け:拒絶査定
令和2年12月11日:審判請求書の提出
令和3年6月21日付け:審尋
令和3年7月28日:上申書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第7類、第9類、第10類、第11類、第17類、第25類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の手続補正により、別掲2のとおり補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、やや図案化するも普通に用いられる範囲を脱しない態様で表した『Green』及び『innovation』の文字を二段に書してなるところ、その構成中『innovation』の語が『革新』等の意味を有するものであり、本願商標を片仮名で表記した『グリーンイノベーション』の語が、『低炭素社会の実現を目指す技術的試み。および、低酸素産業を中心とした社会の在り方を変革し、発展・成長を遂げる戦略。』といった意味合いで使用されており、我が国において、新成長戦略として、グリーンイノベーションの促進等が、2010年6月に閣議決定されている。そうすると、本願商標は、我が国が目指す新成長戦略である『グリーンイノベーション』と同一又は類似するものであり、国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似するものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、これは、「Green」及び「innovation」の文字を、上下二段に、ややデザイン化して表したと理解させるものである。
ところで、当審における職権調査によれば、別掲3のとおり、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略 ?『元気な日本』復活のシナリオ?」において、「第3章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果」「強みを活かす成長分野」として「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」が挙げられているものの、「グリーンイノベーション」の文字自体は、「環境問題に関係する技術革新」ほどの意味合いをもって広く一般に使用されている事実がうかがえるものである。
そして、本願商標と同一のつづりからなる「Green innovation」及びその片仮名表記である「グリーンイノベーション(グリーン・イノベーション)」の文字が公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示するものとして、我が国において著名の程度に至っていると認められる事実を、見いだすことはできなかった。
そうすると、本願商標は、商標法第4条第1項第6号にいう「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」ということはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標、色彩については原本参照



別掲2 本願指定商品及び指定役務
第7類「化学機械器具,膜分離装置,バイオマスを原料に用いて化学品を製造するための化学機械器具,バイオマスを原料に用いる燃料製造装置」
第9類「高分子電解質膜,太陽電池製造用導電性ペースト,電気磁気測定器,電池およびその部品,導電性ペースト,発光ダイオード,光ファイバ,液晶ディスプレー用カラーフィルター,蓄電池用セパレーター」
第10類「医療用機械器具,医療用スポンジ」
第11類「家庭用浄水器,海水淡水化および水処理用の逆浸透膜,浄水装置」
第17類「電気絶縁材料,太陽電池製造用ペースト状電気絶縁材料」
第25類「靴下,手袋,保温用サポーター,履物,運動用特殊衣服」
第42類「科学・技術・生産に関する試験・検査・分析・調査及び研究,化粧品又は食品の試験・検査・分析・調査又は研究,建築又は都市計画に関する試験・検査・分析・調査又は研究,公害の防止に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気・電子に関する試験・検査・分析・調査又は研究,土木に関する試験・検査・分析・調査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査・分析・調査又は研究,工業用・科学用又は農業用の化学品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,塗料・着色料・顔料・印刷インキ・絵の具・塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉・塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉・防錆グリース・壁紙剥離剤・媒染剤・木材保存剤・カナダバルサム・コパール・サンダラック・シェラック・松根油・ダンマール・マスチック・松脂に関する試験・検査・分析・調査又は研究,洗浄剤に関する試験・検査・分析・調査又は研究,工業用油・工業用油脂・燃料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,薬剤に関する試験・検査・分析・調査又は研究,卑金属及びその製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,貴金属及び貴金属製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,紙・紙製品及び文房具に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気絶縁用・断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチックに関する試験・検査・分析・調査又は研究,金属製でない建築材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,プラスチック・ゴム・皮革・パルプに関する試験・検査・分析・調査又は研究,原料繊維・糸・布地及びその他の衣料用・工業用の繊維製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,加工機械・原動機その他の機械・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,科学用・航海用・測量用・写真用・音響用・映像用・計量用・信号用・検査用・救命用・教育用・計算用又は情報処理用の機械器具及び電気式又は光学式の機械器具・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,医療用機械器具及び医療補助品・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,照明用・加熱用・蒸気発生用・調理用・冷却用・乾燥用・換気用・給水用又は衛生用の装置・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,乗物その他の移動用の装置・これらの部品・付属品及び材料に関する試験・検査・分析・調査又は研究,電気・ガス・熱の供給技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,石油製品・石炭製品に関する試験・検査・分析・調査又は研究,印刷技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,防災技術・安全技術に関する試験・検査・分析・調査又は研究,化学及び応用化学・物理学及び応用物理学・生物科学・核科学・電気工学及び電子工学・金属工学・資源開発工学・農学・医学に関する試験・検査・分析・調査又は研究」

別掲3 グリーンイノベーションの使用事例(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)「『新成長戦略』について」「平成22年6月18日」「閣議決定」の「新成長戦略 ?『元気な日本』復活のシナリオ?」「第3章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果」において、「強みを活かす成長分野」として「(1)グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」「(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」、「フロンティアの開拓による成長」として「(3)アジア経済戦略」「(4)観光立国・地域活性化戦略」、「成長を支えるプラットフォーム」として「(5)科学・技術・情報通信立国戦略」「(6)雇用・人材戦略」「(7)金融戦略」との記載がある。
https://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/sinseichou01.pdf
(2)「iFinance」のウェブサイトにおいて、「グリーンイノベーションとは」の見出しの下、「グリーンイノベーションは、特に固定的な定義はありませんが、世界的な課題である環境問題に対して、社会の持続的な発展のために多様な科学技術や社会的な思考の変革を基に展開する多様な取り組みと言えます。これは、広範囲な分野を対象とするもので、具体的には、環境・資源・エネルギー分野の革新的な技術等の研究開発と成果の実用化のためのシステム転換の一体的推進、新たな発想(考え)を活用することによるライフスタイルやビジネススタイル等の転換、地域における農林業の再生や街づくり(緑のダム、コンパクトシティ等)などが挙げられます。」との記載がある。
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo090.html
(3)「芝浦工業大学」のウェブサイトにおいて、「グリーンイノベーション研究センター」の見出しの下、「研究センターでは、学内外の材料、デバイス、回路、システムの研究者の持つ基盤技術をグリーンイノベーションにつなげるため、 国内外における学会や論文発表の助成、海外との交流(派遣、招聘)、研究会やシンポジウムの開催、博士の助成等の事業を行います。」との記載とともに、「グリーンイノベーション概念図」と以下の図が使用されている。
https://www.shibaura-it.ac.jp/research/srl/green_innovation.html

(4)「電気新聞」(2014年08月14日)において、「関西電力が大阪府立大の環境人材育成プログラムに協力 社員が講義」の見出しの下、「関西電力は、大阪府立大学大学院が取り組む環境人材育成教育プログラムに協力している。」「同大学院の工学研究科教授は『環境人材育成教育プログラムでは関電をはじめとする企業、国際協力機構(JICA)など多くの学外関係者の協力を得ているのが特色。今後も各方面の協力を得て、グリーンイノベーションを担う環境人材の輩出に取り組みたい』と強調する。」の記載がある。


審決日 2021-09-27 
出願番号 商願2018-125762(T2018-125762) 
審決分類 T 1 8・ 21- WY (W07091011172542)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 和彦箕輪 秀人 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 杉本 克治
黒磯 裕子
商標の称呼 グリーンイノベーション、イノベーション 
代理人 橘 哲男 

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