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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1378814 
審判番号 取消2020-300620 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-04 
確定日 2021-09-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第3134736号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3134736号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月28日に登録出願、第42類「うどん・とんかつ料理・ハンバーグステーキ・スパゲッティ等を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年3月29日に設定登録がされ、その後、同18年6月2日、同27年12月22日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和2年9月29日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成29年9月29日から令和2年9月28日までを以下「要証期間」という。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品(審決注:「指定役務」の誤りと認める。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実
本件商標権者の100%出資子会社である「日本商業施設株式会社」(乙1、以下「日本商業施設社」という。)は、その運営する店舗において、第42類「うどん・とんかつ料理・ハンバーグステーキ・スパゲッティ等を主とする飲食物の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)しており、日本商業施設社は、本件商標の通常使用権者である。
(2)本件商標の使用に係る役務について
日本商業施設社は、「MEGAドンキホーテ ラパーク成東店」の飲食店内において、本件商標と実質的に同一の商標(被請求人の主張において、以下「使用商標」という。)の使用をした飲食店を運営している。乙第2号証に示すとおり、千葉県山武市成東1808-1所在の「おあしすフードパーク成東店」において、店頭に使用商標を看板に付している様子がウェブサイト上にて掲載されているほか、店舗ロゴが掲載されている。
なお、乙第3号証に示すとおり、同店舗は少なくとも2020年2月28日現在、客席を伴う飲食店において指定役務に記載の各料理を提供している。
乙第4号証は、店舗開設時である1997年の設計図であり、店内に食材保管器具、調理器具を備え、店頭で飲食物を受け渡し、客席での飲食に供していたことが判る。このように商標権者ないし通常使用権者は、長年にわたって飲食物の提供事業を行ってきている。
乙第5号証は、同店舗における販売の記録を示すレシートであり、同レシートには使用商標が付されており、「冷し中華(醤油)」の提供を行っていることが明らかである。なお、同店舗は現在も継続して営業中であり、要証期間からは外れるが、同様に販売の記録を示すレシート(乙6)から「みそラーメン」「かけうどん」「東京屋台風ラーメン」の提供を今もなお継続して行っていることが明らかである。
(3)使用商標が本件商標と社会通念上同一であること
使用商標は本件商標とは、厳密には同一ではないが、本件商標の構成が、木陰を伴う広葉樹の図形と、特徴的な書体にて「お」「あ」「し」「す」の各文字が連なるように書された「おあしす」の文字、そして「おあしす」の文字の上に小さく役務の普通名称を表す要素として書された「ファミリー・レストラン」の文字の各要素が結合して成る。外観において、「ファミリー・レストラン」の文字と「おあしす」の文字の大きさの比率は1:4と、「おあしす」が極めて大きく、「ファミリー・レストラン」は業態を表す付記的表示として認識される。かつ観念的には、木陰を伴う広葉樹の図と「おあしす」の語とは、いずれも共通して「憩い、安らぎの場所」を想起させるものとの印象を看者に与えるものである。
そうとすると、本件商標における要部は木陰を伴う広葉樹の図と特徴的な書体で書された「おあしす」との結合部分にあり、使用商標は両要素を完全に踏襲しているものであるから、取引者・需要者において同一の出所を表すものとして自然に認識される。すなわち、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、商標権者ないし通常使用権者は、本件商標を、要証期間内に日本国内において請求に係る指定役務について使用(商標法第2条第3項第8号)をしていることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、日本商業施設社のウェブサイト(打ち出し日は、2020年11月20日)であるところ、会社情報の会社概要欄に「設立年月日 2001年11月26日」、「資本金 16億円(株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス100%出資)」及び「事業内容・・・7.飲食店、ゲームセンター等の娯楽施設、遊技場の運営」の記載があり、また、沿革欄に「2009年4月 株式会社長崎屋よりテナント事業を譲受し長崎屋店舗区画へのテナントリーシング及びテナント管理業務開始(14社/1500テナント区画)」及び「2011年2月 株式会社おあしすを吸収合併」と記載されている。
イ 乙第2号証ないし乙第4号証は、おあしすフードパーク成東店の店舗内写真及びMEGAドン・キホーテ ラパーク成東店1階の飲食店等の平面図等であるところ、上記店舗内写真(乙2:打ち出し日は、2020年11月20日)の店舗の入口とおぼしき写真の上部に、黄色の円弧状の図形内に表された木陰を伴う広葉樹の図形及びその下部に「おあしす」の文字を配した構成からなる商標(以下、これを「使用商標」 という。 )と、その右側に「FOOD PARK」、「フードパーク」及び「OASIS」の文字が表示された店舗看板があり、当該写真内の「CONCEPT」の見出しの下、「店舗運営では、・・・『麺・丼・スナック・デザート・カフェドリンク』等の幅広いアイテムを取り扱っております。」の記載とともに、店舗に上記記載に対応するとみられる丼物等の写真が掲載されている。
また、店舗情報として、STORE NAME欄に「おあしすフードパーク成東店」、ADDRESS欄に「〒289-1326 千葉県山武市成東1808-1 MAGAドン・キホーテ ラパーク成東店内1F」、TEL欄に「0475-82-1047」等が記載されていることから、「おあしすフードパーク成東店」は、上記場所において営業していることがうかがわれる。
そして、MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店1階平面図(乙3)には、「Project Title MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店」、「Date 2020.2/28」と記載され、平面図内に「おあしす」及び「ラーメン(宇喜多) 丼物(かさ丼)」等と記載されている。
また、「おあしすフードパーク成東店」の店舗開設時の設計図とする証拠(乙4)には、「年月日 1997.08.05」、「現場名 長崎屋 成東店 フードパーク」、「図名 厨房機器平面図」及び「厨房機器リスト表」の記載があり、当該図面に飲食店の運営に必要な厨房機器であるガスフライヤー、冷凍ストッカー等の機器配置が記載されている。
ウ 乙第5号証は、2020年9月3日付の上記店舗のレシートであるところ、レシート上部に「FOOD PARK」、「フードパーク」及び「OASIS」の文字と当該文字の左側に円弧状の図形内に表された木陰を伴う広葉樹の図形とその下部に文字とおぼしきもの(判読不可)が配され、「フードパーク成東店 千葉市山武市成東1808-1 MEGAドンキホーテ成東店内 電話番号:0475-82-1047」、「伝票番号 000036 1名様」、「冷し中華(醤油) ¥690」等の記載があり、当該住所及び店舗の名称は、乙第2号証のおあしすフードパーク成東店の住所と一致することから、おあしすフードパーク成東店において、冷し中華が提供されたことがうかがえる。
なお、乙第6号証のレシートにも、乙第5号証のレシートに記載されたものと同様の図形、文字とおぼしきもの(判読不可)及び店舗の名称等の情報の記載があり、当該住所及び店舗の名称は、乙第2号証のおあしすフードパーク成東店の住所と一致することから、おあしすフードパーク成東店において、みそラーメン、セットミニカレー、かけうどん、東京屋台風ラーメンが提供されたことはうかがえるが、当該レシートは、要証期間外の2020年10月29日付のものである。
(2)判断
上記(1)によれば、以下のことが認められる。
ア 使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、左側に緑色の木陰を伴う広葉樹の図形を配し、その右側に緑色の「ファミリー・レストラン」の文字を小さく、その下部に緑色の「おあしす」の文字を大きく二段に表してなるものであり、使用商標は、黄色の円弧状の図形内に表された木陰を伴う広葉樹の図形及びその下部に「おあしす」の文字が配された構成よりなるところ、本件商標の構成中の「ファミリー・レストラン」の文字は、請求に係る指定役務との関係において、店舗の業務形態を表す語として普通に使用されているものである。
そして、使用商標の構成中、円弧状の図形部分は単なる輪郭線と認識されるにすぎず、顕著に表された木陰を伴う広葉樹の図形及び「おあしす」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、色彩が異なるものの、木陰を伴う広葉樹の図形は同一の構成からなるものであって、外観において同視し得るものであり、当該図形の下に配された「おあしす」の文字についても、その構成は同視し得るものである。
また、使用商標の構成中の「おあしす」の文字から生じる「オアシス」の称呼及び「オアシス(砂漠の中の水と木のある緑地)」の観念も本件商標と同一であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
イ 使用者について
(ア) 日本商業施設社は、飲食業を事業の一としていること、2009年4月に株式会社長崎屋からテナント事業を譲受し、長崎屋店舗区画へのテナントリーシング及びテナント管理業務を開始していること、2011年2月に株式会社おあしすを吸収合併していること(乙1)、MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店1階の飲食店は、株式会社長崎屋が運営していたことからすれば、日本商業施設社がMEGAドン・キホーテ ラパーク成東店内において顧客に飲食物を提供していたこと(乙3、乙4)を推認し得るものである。
そして、当該店舗において、少なくとも2020年9月3日付のレシートの記載内容から飲食物の提供を行っていることがうかがえ(乙5)、また、当該店舗看板に使用商標が表示されている(乙2)。
以上よりすれば、日本商業施設社は、2020年9月3日に、千葉県山武市成東1808-1所在のMEGAドン・キホーテ ラパーク成東店内において、「フードパーク おあしす(FOOD PARK OASIS)」という名称の飲食店を経営していたとみるのが自然であり、かつ、同店舗の看板に使用商標を表示したといえる。
また、乙第1号証ないし乙第6号証を総合すれば、同店舗は、2020年9月3日はもとより、それ以前及び現在も営業を継続していると推認できるものである。
(イ)日本商業施設社は、本件商標権者の100%出資子会社として設立された者であること(乙1)からすると、本件商標権者と日本商業施設社には、密接な業務上の繋がりが認められることから、本件商標権者は、本件商標の使用について、日本商業施設社に黙示の許諾を与えていたものと見て差し支えない。
したがって、日本商業施設社は、本件商標の通常使用権者であるといえ、上記使用商標の使用者である。
ウ 使用時期について
上記(1)イのとおりの乙第3号証のMEGAドン・キホーテ ラパーク成東店の平面図の記載内容からすれば、通常使用権者は、要証期間の2020年2月28日時点で、ラーメン、丼物の提供を行っていたことが推認できるものであり、上記(1)ウのとおりの乙第5号証のレシートの記載内容からすれば、通常使用権者は、少なくとも要証期間の2020年9月3日にMEGAドン・キホーテ ラパーク成東店内の飲食店において、冷し中華の提供を行ったことが認められるものであるから、この時点で店舗看板に使用商標を付していたとみるのが自然である。
エ 使用役務について
上記(1)イ、ウ及び上記アないしウよりすれば、通常使用権者は、自身が経営する客席を伴う飲食店において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を使用し、ラーメン及び丼物(乙2、乙3)、冷し中華(乙5)を提供していたといえる。
そうすると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している役務は、「ラーメン、丼物及び冷し中華の提供」であり、これは、請求に係る指定役務「うどん・とんかつ料理・ハンバーグステーキ・スパゲッティ等を主とする飲食物の提供」の範ちゅうに含まれるものである。
オ 小括
上記アないしエによれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、日本国内において、請求に係る指定役務「うどん・とんかつ料理・ハンバーグステーキ・スパゲッティ等を主とする飲食物の提供」の範ちゅうに含まれる「ラーメン、丼物及び冷し中華の提供」に関する広告(看板)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、本件指定役務を提供したものと認められる。
そして、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者が、請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標、色彩は原本を参照)




審理終結日 2021-04-22 
結審通知日 2021-04-27 
審決日 2021-05-11 
出願番号 商願平4-238591 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 1996-03-29 
登録番号 商標登録第3134736号(T3134736) 
商標の称呼 ファミリーレストランオアシス、オアシス 
代理人 塩谷 信 
代理人 中山 俊彦 
代理人 前田 憲生 
代理人 大坂 尚輝 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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