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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) W33
管理番号 1378075 
判定請求番号 判定2020-695004 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 判定 
2020-11-18 
確定日 2021-05-07 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第1174009号商標の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 商品「スパークリングワイン」に使用するイ号標章は,国際登録第1174009号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1174009号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,2013年1月30日にEUIPOにおいてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2013年(平成25年)7月29日に国際商標登録出願,第33類「Alcoholic beverages(except beers);brandy;peppermint liqueurs;rice alcohol;spirits[beverages];bitters;anise[liqueur];anisette[liqueur];aperitifs;arak[arrack];alcoholic beverages,except beer;alcoholic beverages containing fruit;pre-mixed alcoholic beverages,other than beer-based;distilled beverages;cocktails;curacao;digesters[liqueurs and spirits];alcoholic essences;alcoholic extracts;fruit extracts,alcoholic;gin;hydromel[mead];kirsch;liqueurs;nira[sugarcane-based alcoholic beverage];rum;sake;cider;perry;piquette;wine;vodka;whisky.」を指定商品として,平成26年8月1日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
2 イ号標章
請求人が商品「スパークリングワイン」について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は,別掲2のとおりの構成からなるものである。
3 請求人の主張
請求人は,結論同旨の判定を求め,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は,イ号物件目録記載の商品(以下「イ号物件」という。)を日本国内に輸入し,国内で販売していること(甲1)について,令和2年9月29日,本件商標の商標権者である被請求人より,前記商標登録の商標権を侵害するものである旨の警告を受領した(甲2)。
(2)イ号標章の説明
イ号標章は,全体をピンクゴールド色のフィルムで覆ったワインボトルの立体的形状であり,イ号標章目録に表される,イ号物件の容器であるワインボトルの全体をピンクゴールド色のフィルムで覆い,該ワインボトルの正面胴体部分に設けたピンク色の縦長長方形図形の中に,「EPSILON PINKGOLD」を横書き縦方向に二段で記載し,その上に欧文字「E」を配した態様からなる,立体的形状の標章である。
(3)イ号標章が本件商標権の効力の範囲に属しないことの説明
本件商標は,全体を金色のフィルムで覆ったワインボトルの立体的形状であり,該ワインボトルの正面胴体部分に瓜形の「炎図形」を配し,その上部に欧文字「B」をあしらった態様よりなるものである。
そして,本件商標中,ワインボトルを包むフィルムの色彩である金色及びワインボトルの立体的形状自体は,その指定商品である「wine」等との関係からすると,美観を追求する目的の色彩と商品の機能を果たすための通常の形状,すなわち,「wine」の保管及び商品の美感を発揮させる範囲内というべきであるから,本件商標の色彩及び立体的形状部分は,商品の形状等を表示したものと認識されるにとどまり自他商品識別機能を果たし得ない部分というべきである。
しかしながら,本件商標は,その形状中,瓶正面胴体部分に前述「炎図形」及びその上部に「B」の文字を図案化したB部分を有するものであって,これらの炎図形及びB部分は一般に用いられている図案化の域を超え,相当程度の創意考案に係る図案化というのが相当であるから,本件商標の要部は炎図形とB部分にあり,該部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしているとみるべきである。
そうすると,その立体的形状中の炎図形とB部分が自他商品の識別標識としての機能を果たしているとしても,本件商標のワインボトルのフィルムの色彩及びワインボトルの立体的形状部分自体は,商品の形状等を表示したものと認識されるにとどまり自他商品識別機能を果たし得ない部分であるから,商標法第26条第1項第2号に該当する商標権の効力が及ばない範囲といわなければならない。
他方,イ号標章は,全体をピンクゴールド色のフィルムで覆ったワインボトルの立体的形状であり,該ワインボトルの正面胴体部分に設けたピンク色の縦長長方形図形の中に,「EPSILON PINKGOLD」を横書き縦方向に二段で記載し,その上に欧文字「E」を配した態様からなるものであって,本件商標と同様に,そのワインボトル全体を包むフィルムのピンクゴールド色の色彩及びワインボトルの立体的形状部分は商品の機能又は美感をより発揮するために施された形状等と認められるもので自他商品識別機能を有しないものである。
ここで,イ号標章中造語である「EPSILON PINKGOLD」の文字及び図案化された欧文字「E」は商標としての識別力が認められるから,それぞれ「イプシロンピンクゴールド」及び「イー」の称呼が生じ得る。これに対して,本件商標の「B」部分からは称呼「ビー」の称呼が生じ得るものの,いずれもイ号標章から生じ得る称呼とはその長さ及び音において明確に聴別可能であり,称呼を異にする。また,イ号標章のピンク色の縦長長方形図形の中に,「EPSILON PINKGOLD」を横書き縦方向に二段で記載し,その上に欧文字「E」を配した態様は,本件商標の炎図形及びB部分と長方形図形,文字の有無,文字「B」と「E」が異なり,外観について著しく相違する。そして,イ号標章中「EPSILON」は造語であり,全体として特段観念を生じない一方,本件商標からは,炎図形に相応して「火,炎」の観念が生じ得る。
したがって,イ号標章の識別力が認められる部分と本件商標の識別力が認められる部分は,観念については比較し得ないものの,外観及び称呼において明らかに相違し,全体として混同のおそれが生じ得ない非類似の標章であるといえる。
なお,イ号標章の使用商品はスパークリングワインであり商品「ワイン」に属するから,本件商標に係る指定商品中,第33類「wine」とは,指定商品役務の区分上同一の商品である。
以上から,請求人がイ号物件について使用するイ号標章は,本件商標の指定商品「wine」と同一の指定商品「ワイン」について使用するものと考え得るものの,本件商標とは非類似の標章であり,本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
(4)むすび
よって,請求の趣旨のとおりの判定を求める。
4 被請求人の答弁
被請求人は,本判定請求に対し,何ら答弁していない。
5 当審の判断
(1)商標権の効力の範囲について
商標権の効力は,商標権の本来的な効力である専用権(使用権)にとどまらず,禁止的効力(禁止権)をも含むものであるから,指定商品と同一又は類似の商品についての登録商標と同一又は類似の商標の使用に及ぶものである(商標法第25条,第37条)が,同時に同法第26条第1項各号のいずれかに該当する商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には,及ばないとされており,同項第2号には,「当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称,産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状,・・・を普通に用いられる方法で表示する商標」と規定されている。
(2)本件商標について
本件商標は,別掲1に示すとおり,金色のボトルネックが細く底がすぼまったワインボトルの立体的形状であり,当該ワインボトルの正面胴体部分に瓜形の「炎図形」を配し,その上部にデザイン化した欧文字「B」をあしらった態様からなるものである。
そして,本件商標の立体的形状の特徴は,ボトルネックが細く底がすぼまったものであり,いずれも特徴的な印象を与えるものではなく,商品の機能又は美感を発揮させる目的以外により採択されたものとは理解し難い。
そうすると,本件商標の立体的形状は,「ワインボトル」の形状として,商品の機能又は美感に資することを目的として採用されたと,客観的に理解できるものであって,本件商標に係る商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきであるから,商標法第26条第1項第2号に該当するものである。
したがって,本件商標は,その構成中,瓜形の「炎図形」とデザイン化した「B」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を発揮する部分と認めるのが相当であり,炎図形からは特定の称呼は生じないものであって,「炎」の観念が生じるものである。
(3)イ号標章について
イ号標章は,別掲2に示すとおり,ピンクゴールド色のボトルネックが細く底がすぼまったワインボトルの立体的形状であり,当該ワインボトルの正面胴体部分の縦長長方形内に,「EPSILON」と180度回転させた「PINKGOLD」の文字を横書き縦方向に二段で記載し,その上にデザイン化した欧文字「E」をあしらった態様からなるものである。
そして,イ号標章の立体的形状の特徴は,ボトルネックが細く底がすぼまったものであり,いずれも特徴的な印象を与えるものではなく,商品の機能又は美感を発揮させる目的以外により採択されたものとは理解し難い。
そうすると,イ号標章の立体的形状は,「ワインボトル」の形状として,商品の機能又は美感に資することを目的として採用されたと,客観的に理解できるものであって,イ号標章に係る商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきであるから,商標法第26条第1項第2号に該当するものである。
したがって,イ号標章は,その構成中「EPSILON PINKGOLD」文字部分とデザイン化した「E」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を発揮する部分と認めるのが相当であり,「EPSILON PINKGOLD」の文字部分に相応し「イプシロンピンクゴールド」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(4)本件商標とイ号標章との類否について
本件商標とイ号標章は,それぞれ上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ,本件商標における商標権の効力が及ばない立体的形状以外の図形及び文字と,イ号標章の効力が及ばない立体的形状以外の各文字を比較すると,両者は,図形の有無及び文字の相違において明らかな差異を有するものであるから,外観において相紛れるおそれはない。
そして,称呼においては,本件商標からは,特定の称呼は生じないのに対し,イ号標章は,「EPSILON PINKGOLD」の構成文字に相応して「イプシロンピンクゴールド」の称呼が生じるから,称呼において相紛れるおそれはない。
さらに,観念においては,本件商標からは,「炎」の観念が生じるのに対し,イ号標章からは特定の観念が生じないものであるから,両者は,観念において相紛れるおそれはない。
してみれば,本件商標とイ号標章とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の標章というべきである。
(5)本件商標の指定商品とイ号標章の使用商品について
本件商標の指定商品「wine」とイ号標章の使用に係る商品「スパークリングワイン」は,類似の商品であると認められる。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標とイ号標章とは,非類似のものであるから,商品「スパークリングワイン」に使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって,結論のとおり判定する。
別掲 【別記】


判定日 2021-04-27 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (W33)
最終処分 成立  
前審関与審査官 林 圭輔 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 鈴木 雅也
平澤 芳行
登録日 2013-07-29 
商標の称呼 ビイビイビイ、ビイ 
代理人 大向 尚子 
代理人 齊藤 良平 
代理人 島田 まどか 

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