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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 審判 全部申立て 登録を維持 W32 |
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管理番号 | 1378070 |
異議申立番号 | 異議2021-900069 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-02-22 |
確定日 | 2021-09-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6324498号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6324498号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6324498号商標(以下「本件商標」という。)は,「BURN&BURN」の文字を標準文字で表してなり,令和2年1月10日に登録出願,第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として,同年11月9日に登録査定,同年12月3日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりであり,(以下,これらをまとめていうときは,「引用商標」という。)いずれも有効に存続しているものである。 1 登録第5031960号商標(以下「引用商標1」という。)は,「burn」の文字と「バーン」の文字とを上下二段に書してなり,平成18年5月19日に登録出願,第32類「清涼飲料のもと,飲料水,アイソトニック飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,同19年3月9日に設定登録され,その後,同年10月3日に指定商品中「乳清飲料,飲料用野菜ジュース」について,放棄による一部抹消の登録がされたものである。 2 登録第5411336号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成22年12月6日に登録出願,第32類「飲料水,香りを付けた飲料水,鉱泉水,炭酸水,栄養補助剤を添加した清涼飲料,スポーツ用の清涼飲料,飲料製造用のシロップ・濃縮液・その他の液状・粉末状の清涼飲料製造用調製品,その他の清涼飲料,液状・粉末状の果実飲料製造用調製品,その他の果実飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」を指定商品として,同23年5月13日に設定登録されたものである。 3 登録第5568560号商標(以下「引用商標3」という。)は,「バーン」の文字と「BURN」の文字とを上下二段に書してなり,平成24年6月21日に登録出願,第32類「飲料水,香りを付けた飲料水,ミネラルウォーター,炭酸水,エネルギー補給用の清涼飲料(医療用のものを除く。),スポーツ用の清涼飲料,飲料製造用のシロップ・濃縮液・その他の液状・粉末状の清涼飲料製造用調製品,その他の清涼飲料,果実飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」を指定商品として,同25年3月22日に設定登録されたものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は,標準文字の英文字で横書きした「BURN」の文字と「BURN」の文字を記号「&」で連結して,「BURN&BURN」と書した商標であり,第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」(以下「本件指定商品」という。)に使用されるものである。 引用商標1は,英文字で横書きした「burn」の文字と片仮名でその音訳を書した「バーン」の文字を上下二段に平行に表示したものである。 引用商標2は,黒塗りの縦長の長方形において,上段に炎の図柄を配置し,下段に「burn」の英文字を配置してなるものである。 引用商標3は,片仮名の「バーン」と英文字の「BURN」を上下二段に平行に表示したものである。 本件商標と上記の引用商標は,構成中に「BURN」又は「burn」の文字を包含する点で共通し,外観が類似する。 また,本件商標及び引用商標の構成中の「BURN」及び「burn」の文字は英語で「燃える」等を意味する「burn」の語(甲24)に通じるものである。本件商標の構成は「BURN」の語を2つ並べてその外観及び観念を強調したものとして把握されるから,「BURN」の文字部分が実質的な商品出所識別標識として認識され,機能する。したがって,本件商標からは「BURN」の文字部分に基づいて「燃える」の観念が生じる。引用商標からもその構成中の「burn」又は「BURN」の文字に基づいて「燃える」の観念が生じるから,両者は「燃える」の観念を共通にする類似のものである。 本件商標からはその構成文字全体に基づいて「バーンアンドバーン」の称呼が生じるほか,簡易迅速を旨とする取引市場では,実質的な商品出所識別標識として認識され,機能する「BURN」の文字部分に基づいて「バーン」の称呼も生じる。引用商標からもその構成中の「burn」又は「BURN」の文字に基づいて「バーン」の称呼が生じるから,両者は「バーン」の称呼を共通にする類似のものである。 よって,本件商標と引用商標は,外観,観念及び称呼のすべてにおいて類似する。 本件指定商品は,第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」であるから,引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人代表者による認証付の宣誓供述書(甲15)のとおり,「burn」,「BURN」又は「バーン」の文字からなる引用商標は,コーラ飲料をはじめとするソフトドリンクメーカーとして世界的に著名なコカ・コーラ社が2000年に採択したエナジードリンクのブランド「BURN(バーン)」を商標登録して権利化したものである。 「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクは,コカ・コーラ社によって2000年にまず北欧で販売を開始し,それ以降,ヨーロッパ,南アメリカ,アフリカ,中央及び東南アジアでも販売され,2012年からは日本国内でも販売を開始し,現在,世界の約85の国・地域で流通しているエナジードリンクである(甲5)。 コカ・コーラ社は,2015年に米国のモンスター ビヴァレッジ コーポレイション(Monster Beverage Corporation,以下「モンスター社」という。)と正式に業務提携契約を締結し,モンスター社の株式16.7%を取得して同社に資本参加することとなった。これに伴い,「BURN(バーン)」ブランドをはじめとするコカ・コーラ社が展開していたすべてのエナジードリンク事業及びそのブランドをモンスター社が承継し(甲15,甲16?甲19),コカ・コーラ社が日本を含む世界各国で所有していた「BURN(バーン)」ブランドに関する商標登録及び出願もまたモンスター社が承継し,さらにその子会社である申立人に権利移転されて現在に至る(甲2?甲4,甲15)。 コカ・コーラ社並びに同社からそのエナジードリンク事業を継承したモンスター社及び申立人は,「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクに関して,テレビコマーシャルの放映,2011年から開始した「BURNYARD Collective(バーン・ヤード・コレクティブ)」と呼ばれる芸術家,Flレーサー等のアスリート,音楽家が共同する音楽フェスティバルなどの音楽祭及びツアーに対するスポンサー提供,2012年から毎年スペインのイビサ島で本選が開催される「burn STUDIOS RESIDENCY(バーン・スタジオ・レジデンシー)」と呼ばれる世界規模のDJコンテスト及びその予選を含むプロモーションイベントの開催,世界各地でのサンプリング(サンプル配布)の実施,全世界的に非常に人気が高く日本でもテレビ放映がなされるF1レースやスノーボード,スケートボードの競技などのスポーツイベントの協賛,スノーボードやスケートボード界の有名人気アスリートが出演するビデオフィルムの制作,2013年のFlチーム「ロータス」とのスポンサー契約締結,並びに,YouTube,Facebook,Twitter,Instagramなどのソーシャルメディア及び「BURN」専用ウェブサイト(www.burn.com)を利用した全世界へ向けた動画を含む情報発信など,多様な形態の広告メディアを駆使して,2000年のブランド創設から現在に至るまで全世界規模での広告宣伝活動を継続的に展開している(甲15)。 日本国内では,2012年から「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクの販売が開始し,「burn」「BURN」「バーン」の文字を使用している。コカ・コーラ社は,2012年2月20日に「バーン エナジードリンク」及び「バーン エナジーブースト」の2種の「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクの新規発売予定を告知するニュースリリースを発行し,同年3月12日から全国で販売を開始(甲5)し,同年3月24日には日本発売記念のサンプリング(サンプル配布)イベントを実施(甲6),発売後わずか1月で導入当初の販売計画数の2倍以上を達成(甲7)し,海外では既にエナジードリンクの主要ブランドとして広く認知されていたことも相まって,国内市場参入後,急速に知名度を上げた。 翌年の2013年3月11日からはパッケージもリニューアルし,3月13日から全国で15秒間のテレビコマーシャル「KEEPburnING」篇のオンエアも開始した(甲8)。 2013年6月17日からは「バーン リフレッシュエナジー」を新発売(甲9)し,「burn」新キャンペーンを実施(甲10),翌年2014年4月7日からは「バーン エナジードリンク」をボトル缶入りでリニューアル発売し,同年6月23日からは「バーン リフレッシュエナジー」もボトル缶でリニューアルした(甲11,甲12)。 「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクは,2012年の国内での販売開始直後からの人気急騰により,本件商標の登録出願日の遥か以前から,「日経トレンディー」(2012年4月)や「マイナビニュース」(2014年4月)で世界の主要なエナジードリンクのブランドとして紹介されていた(甲13,甲14)。 これまでの全世界における「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクの総売上は,2014年までに6500万ケースを超えている(甲15)。2003年から2011年までの「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクの販売量及び推定小売販売額は,2003年が約1100万リットル,約7800万ユーロ(約88億9200万円),2004年が約1400万リットル,約1億ユーロ(約114億円),2005年が約2000万リットル,約1億4200万ユーロ(約161億8800万円),2006年が約2900万リットル,約2億600万ユーロ(約234億8400万円),2007年が約5400万リットル,約3億8500万ユーロ(約438億9000万円),2008年が約7000万リットル,約4億9900万ユーロ(約568億8600万円),2009年が約6900万リットル,約4億9200万ユーロ(約560億8800万円),2010年が約7600万リットル,約5億4100万ユーロ(約616億7400万円),2011年が約8500万リットル,約6億500万ユーロ(約689億7000万円)であり,その宣伝広告費として2011年だけで6000万ドル(約60億円)を費やした。日本国内の市場では,2015年後半2つの四半期のみで50万ドル(約5000万円)を超える販売額を達成した(甲15)。 これまでに,コカ・コーラ社及び申立人(「申立人ら」という場合がある。)は,「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクに使用する商標として,引用商標として示す日本国内の商標登録に加えて,アメリカ合衆国,欧州共同体,アブハジア,アフガニスタン,アフリカ連合の地域(OAPI)等世界の125を超える国及び地域において,「BURN」及び「BURN」の文字を包含する様々な商標を商標登録出願し,権利化している(甲15)。 以上のとおり,「BURN(バーン)」は,世界的著名な飲料メーカーのコカ・コーラ社及び申立人の業務に係るエナジードリンクの出所識別標識として諸外国では2000年から(国内でも2012年から)現在に至るまで継続的に使用され,また,テレビコマーシャル放映,F1チーム「ロータス」とのスポンサー契約締結をはじめとするスポーツイベント及び世界規模のDJコンテストなどの音楽イベントの主催やスポンサー提供,サンプリングイベント,ソーシャルメディア及び「BURN」専用ウェブサイトによる全世界に向けた情報発信などの様々な異なる形式のプロモーションの方法を用いて,大規模かつ継続的な広告宣伝活動を展開してきたのであり,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,コカ・コーラ社及び申立人の製造販売に係るエナジードリンクを表示するものとして取引者及び需要者の間で広く認識されていたものである。 (2)本件商標は,「BURN」の文字と「BURN」の文字を記号「&」で連結させた構成であることが一見して容易に認識理解できるものであり,「BURN」の文字部分が実質的な商品出所識別標識として認識され,需要者に強く支配的な印象を与える。先に詳述したとおり,本件商標と申立人の「BURN(バーン)」(引用商標)は,外観,観念,称呼のすべての点が共通し,その類似性の程度は極めて高い。 本件指定商品は,申立人の取扱いに係る「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクと同一又は類似のものであり,市場において競合することが明らかである。 本件指定商品の最終的な需要者は一般家庭の消費者であり,また,こうした商品は日常的に購入・消費されるものであって,その販売価格も200円前後(甲5)と安価であるから,本件指定商品の通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。 (3)このような事情の下で,本件商標がその指定商品に使用された場合,これに接した需要者は,構成中の「BURN」の文字に注目し,申立人らによって継続的に販売され広く認識されている「BURN(バーン)」ブランドのエナジードリンクを直観し,当該商品が「BURN」ブランドのエナジードリンクのシリーズ製品,あるいは,当該ブランドと提携した姉妹商品の飲料製品であると誤信し,その出所について誤認混同を生じるおそれがあるものである。 また,本件商標が,申立人と何ら組織的又は経済的関係を有しない商標権者によって本件指定商品に使用された場合,申立人らの長年の営業努力によって築かれたエナジードリンクの有名ブランド「BURN(バーン)」の強力な出所表示力が希釈化されるものであり,本件商標の使用は,「BURN(バーン)」ブランドの著名性,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第7号について 本件商標の使用は,その登録出願時に申立人の業務に係るエナジードリンク製品を表示するものとして外国及び日本国内で広く認識されていた「BURN(バーン)」ブランドの出所表示力を希釈化するものであり,また,申立人が当該ブランドについて獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ないものであり,申立人に経済的及び精神的損害を与えることが明らかである。 したがって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから,公の秩序を害するおそれがある。 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は,上記第1のとおり,「BURN&BURN」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「BURN」の文字は「燃える」の意味を有する語として知られているが,当該語を「&」で前後に連結した「BURN&BURN」は,我が国においては親しまれた語とはいえないことから,特定の観念を生じない一種の造語とみるのが相当である。 そして,本件商標を構成する各文字は同じ書体,同じ大きさで,外観上まとまりよく一体的に表されているものであり,本件商標の構成全体から生じる「バーンアンドバーン」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,無理なく一連に称呼し得るものである。 さらに,本件商標は,その構成中「BURN」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りるべき事情は見いだせない。 そうすると,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「BURN」の文字部分にのみ着目することなく,本件商標の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。 したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応して「バーンアンドバーン」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 ア 引用商標1 引用商標1は,上記第2の1のとおり,「burn」の欧文字と「バーン」の片仮名を二段に横書きしてなるところ,上段の欧文字と下段の片仮名は同じような書体により,外観上まとまりよく表されているものであり,かつ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識できるものであるから,その構成文字に相応して,「バーン」の称呼を生じ,また,「burn」の欧文字は,「燃える」の意味を有する語として知られているものであるから,「燃える」の観念を生じるものである。 イ 引用商標2 引用商標2は,別掲のとおり,黒塗りの縦長長方形内に,赤系と白系の色彩を基調とした炎と思しき図形とその下に「burn」の欧文字を白抜きで表してなるものであり,その構成中の図形部分は,これより直ちに特定の称呼,観念が生じるものではないから,これに接する取引者・需要者は,称呼しやすい「burn」の文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。 そうすると,引用商標2は,その構成中の「burn」の文字部分に相応して,「バーン」の称呼を生じ,「燃える」の観念を生じるものである。 ウ 引用商標3 引用商標3は,上記第2の3のとおり,「バーン」の片仮名と「BURN」の欧文字を二段に横書きしてなるところ,上段の片仮名と下段の欧文字は同じような書体により,外観上まとまりよく表されているものであり,かつ,上段の片仮名は,下段の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識できるものであるから,その構成文字に相応して,「バーン」の称呼を生じ,「燃える」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との対比 ア 外観 本件商標と引用商標1及び引用商標3とを比較すると,外観については,本件商標は,「BURN&BURN」の文字を表してなるのに対し,引用商標1は,「burn」の欧文字と「バーン」の片仮名を二段に横書きして,引用商標3は,「バーン」の片仮名と「BURN」の欧文字を二段に横書きしてなるものであるから,本件商標と引用商標1及び引用商標3とは,「&BURN」及び「バーン」の有無において明確な差異を有するものである。 そして,本件商標と引用商標2とを比較すると,本件商標は,「BURN&BURN」の文字を表してなるのに対し,引用商標2は,別掲のとおりの構成態様からなるものであるから,両者は,「&BURN」及び図形の有無において明確な差異を有するものである。 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観上明らかに相違するものである。 イ 称呼 称呼については,本件商標より生ずる「バーンアンドバーン」の称呼と引用商標より生ずる「バーン」の称呼とは,「アンドバーン」の音の有無の差異を有するものであるから,それぞれの称呼を一連に称呼した場合には,その語調,語感が著しく相違したものとなり,称呼上互いに紛れるおそれはないものである。 ウ 観念 観念については,本件商標は,特段の観念を有しないものであるのに対し,引用商標は,「燃える」の観念を生じるものであるから,本件商標と引用商標とは相紛れるおそれはないものである。 (4)小括 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)使用商標の著名性について ア 申立人の提出に係る証拠によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア)コカ・コーラ社は,2012年(平成24年)3月12日に,エネルギー補給飲料(エナジードリンク。以下「申立人商品」という。)「バーン エナジードリンク」及び「バーン エナジーブースト」の販売を日本全国で開始し,同年3月に渋谷において,同年4月に札幌,仙台,名古屋,大阪,福岡にある大学において,申立人商品の試供品配布のイベントを開催した(甲6,甲7)。これらの申立人商品には,引用商標2が顕著に表示されているほか,「バーン」の文字が表されている。 (イ)コカ・コーラ社は,2013年(平成25年)3月に,「バーン エナジードリンク」のパッケージをリニューアルし「バーン エナジードリンク」に関するテレビCMをオンエアし,全国で販売する旨,同年6月に,「バーン リフレッシュエナジー」を全国発売しエナジードリンク「burn」の新キャンペーンを行う旨,2014年(平成26年)4月に,「バーン エナジードリンク」のボトル缶をリニューアルし,全国で発売する旨,同年6月に,「バーン リフレッシュエナジー」のボトル缶をリニューアルし,全国で発売する旨のニュースリリースをそれぞれ行った(甲8?甲12)。これらの申立人商品には,引用商標2又は色彩が同一のものとすれば,引用商標2と同一の構成からなる商標が表示されており,ニュースリリース中では,「バーン」,「Burn」の文字が使用されている。 (ウ)2012年(平成24年)4月及び2014年(平成26年)4月に,コカ・コーラ社の「バーン(burn) エナジードリンク」は,「海外発エナジードリンク」として,引用商標2が顕著に表された申立人商品の写真や「burn(バーン)」の略称が用いられて,インターネットで紹介されるなどした(甲13,甲14)。 (エ)申立人は,モンスター社の傘下にある申立人が,申立人商品に付される「BURN」ブランドの所有権が,2015年(平成27年)に,コカ・コーラ社からモンスター社に譲渡されたのを契機に,「BURN」ブランドを使用したエナジー飲料の販売を開始した(甲15)。 イ 上記アの事実によれば,引用商標2並びに「バーン」及び「Burn」の文字(以下,これらをまとめて「使用商標」という。)は,我が国において,本件商標の登録出願日前である平成24年3月12日から申立人商品に使用され,申立人商品に関する試供品の配布,テレビCM,キャンペーン,ニュースリリース,雑誌への掲載において用いられていたことが認められる。 しかしながら,これらは,使用商標が付された申立人商品についての我が国における宣伝広告が,試供品の配布や,一時的なテレビCMやキャンペーンが行われたという程度にとどまるものであり,申立人が継続して使用商標を付した申立人商品の広告等を我が国において積極的に行ったという事実を明らかにする証拠の提出はないから,使用商標が,我が国においてどの程度知られていたかを把握することはできない。 また,申立人商品の日本における販売量,売上高等については,申立人の会長兼最高経営責任者の宣誓供述書(甲15)に,「2015年の後半の2四半期だけでも,当社は日本の販売業者に50万ドルを遙かに超える『BURN』製品を販売した。」との記載があるだけで,これを裏付ける証拠の提出はなく,さらに,申立人商品の我が国における清涼飲料等の分野でのシェアも明らかではない。 そうすると,申立人が提出した証拠からは,使用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る「エナジードリンク」を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)混同のおそれについて 上記(1)のとおり,使用商標は,申立人の業務に係る「エナジードリンク」を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 そして,本件商標は,上記第1のとおり,「BURN&BURN」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して,「バーンアンドバーン」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。 また,本件商標の構成態様において,殊更に「BURN」の文字部分が商品の出所識別標識として着目されるとすべき特段の事情は見あたらない。 さらに,本件商標は,引用商標とは,上記1のとおり,非類似の商標であって別異の商標というべきものである。 そうすると,本件商標は,その構成中に「BURN」の文字を含んでいるものの,本件商標をその指定商品に使用しても,本件商標に接する取引者,需要者が,その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,使用商標を想起又は連想することはなく,その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は,上記1(1)のとおり,その構成態様が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく,また,その構成において,「BURN」の文字を含むものの,上記2のとおり,使用商標は,申立人の業務に係る「エナジードリンク」を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできず,申立人提出の証拠からも,本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用し,申立人の使用商標を希釈化したり,使用商標が獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするなどの社会的妥当性を欠くというところがあるというべき事情は見いだせないから,それをその指定商品について使用しても,社会の一般道徳観念に反するということはできないし,国際信義に反するものということもできない。 したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないから,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2(色彩については,原本参照。) ![]() |
異議決定日 | 2021-09-14 |
出願番号 | 商願2020-3275(T2020-3275) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W32)
T 1 651・ 271- Y (W32) T 1 651・ 263- Y (W32) T 1 651・ 261- Y (W32) T 1 651・ 22- Y (W32) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 斉藤 康平、松浦 裕紀子 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 鈴木 雅也 |
登録日 | 2020-12-03 |
登録番号 | 商標登録第6324498号(T6324498) |
権利者 | ダイドーグループホールディングス株式会社 |
商標の称呼 | バーンアンドバーン、バーンバーン、バーン |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 柳田 征史 |