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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W3536
審判 一部申立て  登録を維持 W3536
審判 一部申立て  登録を維持 W3536
審判 一部申立て  登録を維持 W3536
審判 一部申立て  登録を維持 W3536
管理番号 1378051 
異議申立番号 異議2020-900315 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-30 
確定日 2021-09-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6290006号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6290006号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6290006号商標(以下「本件商標」という。)は,「CIC」の文字を標準文字で表してなり,平成31年4月19日に登録出願,第35類「事業の管理,事業の運営の代行,事業の仲介及び助言,複写機による書類の複製,事務用機器の貸与,コワーキング施設における事務用機器の貸与,建築物における来訪者の受付及び案内,電話の受付代行,秘書」,第36類「事務所の貸与,コワーキング用事務所の貸与,土地・建物の管理」及び第43類「会議室の貸与,会議施設の貸与,会議・展示会及びミーティングのための施設の提供,ケータリング(飲食物),飲食物の提供,レストランにおける飲食物の提供,カフェテリアにおける飲食物の提供」を指定役務として,令和2年8月31日に登録査定,同年9月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議の申立ての理由において引用する登録第5075555号商標は,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL.CIC」の欧文字及び記号を横書きしてなり,平成18年5月2日に登録出願,第35類「事業の管理に関する指導及び助言,事業の評価,事業の能率化に関する診断・指導及び助言,事業の調査,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,商業又は工業の管理に関する助言,事業の管理に関する助言,事業の組織に関する指導及び助言」及び第36類「銀行業務,金融に関する個人信用情報の提供,金融・財務分析,賃借り満期購入方式の金融,証券投資信託受益証券の募集・売出し,投資,土地・建物担保付資金の貸付,保釈金の保証,債務の保証,両替,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,手形交換,有価証券の売買の媒介・取次ぎ又は代理,株式及び債券の売買の媒介・取次ぎ又は代理,財務評価,土地又は建物の鑑定評価,信託の引受け,資金の貸付け,財政の評価,財務管理,担保付資金の貸付け,質屋による資金の貸付,分割払い購入資金の貸付け」を指定役務として,同19年9月7日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである(以下「引用商標」という。)。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標はその指定役務中,第35類「事業の管理,事業の運営の代行,事業の仲介及び助言」及び第36類「事務所の貸与,コワーキング用事務所の貸与,土地・建物の管理」(以下,これらをまとめて「申立指定役務」という。)について,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL.CIC」の文字からなる商標であるところ(甲2),その商標の構成態様から,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL」の文字は申立人の商号であること,また,「CIC」の文字は,申立人の商号の略称であることが明らかである。
よって,引用商標の自他役務の識別力を発揮する部分は,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL.CIC」,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL」,「CIC」の三態様である。
一方,本件商標は「CIC」であるところ,これは引用商標の自他役務の識別力を発揮する態様である「CIC」と同一である。
また,申立指定役務は,引用商標の指定役務中,第35類「事業の管理に関する指導及び助言,事業の評価,事業の能率化に関する診断・指導及び助言,事業の調査,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,商業又は工業の管理に関する助言,事業の管理に関する助言,事業の組織に関する指導及び助言」及び第36類「土地又は建物の鑑定評価」と同一又は類似の役務である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は,1859年に設立されたフランスの金融グループである。そして,全世界に法人及び個人を含む513万8230の顧客を要する世界的な金融グループである。我が国においても,東京都新宿区に支店を有している。「CIC」の文字は申立人の略称として本国のフランスを始め広く世界中で使用されており,金融業務全般について周知な商標である。
一方,申立指定役務は,申立人の略称である「CIC」の文字が周知である金融に関する業務ではないものの,金融に関する業務とは関連性があり,需要者・取引者は申立人の提供に係る業務と直接的かつ間接的に混同を生じる業務である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記(2)のとおり,「CIC」の文字は,申立人の略称として本国のフランスを始め広く世界中で使用されており,金融業務全般について周知な商標である。
一方,本件商標は,申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用をするものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)「CIC」の文字の周知性について
申立人の主張によれば,申立人は,1859年に設立されたフランスの金融グループであり,全世界に法人及び個人を含む513万8230の顧客を要する金融グループであって,我が国においても,東京都新宿区に支店を有し,また,「CIC」の文字は申立人の略称として本国のフランスを始め世界中で使用されているとされる。
しかしながら,引用商標の構成中「CIC」の文字については,我が国及び外国における周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,「CIC」の文字を使用した申立人の業務に係る役務の売上高,市場シェア並びに広告宣伝の方法及び回数など取引状況を具体的に示す証拠は見いだすことはできず,我が国及び外国における客観的な使用事実に基づいて,「CIC」の文字の使用状況を把握することができないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時における「CIC」の文字の周知性の程度を推し量ることはできない。
そうすると,「CIC」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務を表すものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり,「CIC」の文字からなるところ,当該文字は一般的な辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものであるから,本件商標はその構成文字に相応して「シーアイシー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は,上記2のとおり,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL.CIC」の文字からなるところ,当該文字は,全体として一般的な辞書等に掲載がなく,我が国において特定の意味合いを有する語として知られているものとも認められないものであるから,一種の造語を表したものとして理解,認識されるものである。
そして,引用商標を構成する「CREDIT」,「INDUSTRIEL」,「ET」,「COMMERCIAL」及び「CIC」の各文字は,同じ書体,同じ大きさで,外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
さらに,上記(1)のとおり,「CIC」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,他に引用商標の構成中「CIC」の文字部分が,取引者,需要者に対し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りるべき事情も見いだせない。
してみれば,引用商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「CIC」の文字部分のみに着目することなく,本件商標の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,引用商標からは「クレジットインダストリエルエトコマーシャルシーアイシー」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
そうすると,引用商標は,その構成文字全体に相応して「クレジットインダストリエルエトコマーシャルシーアイシー」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,両者は,外観において,「CIC」のつづりが共通するとしても,「CREDIT INDUSTRIEL ET COMMERCIAL.」の文字及び記号の有無という明らかな差異があることから,外観上,判然と区別し得るものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「シーアイシー」の称呼と,引用商標から生じる「クレジットインダストリエルエトコマーシャルシーアイシー」の称呼とは,前半部における「クレジットインダストリエルエトコマーシャル」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから,それぞれを称呼するときは,明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念は生じないものであるから比較することはできない。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観においては判然と区別し得るものであり,称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,申立指定役務と引用商標の指定役務が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 「CIC」の文字の周知性について
上記(1)のとおり,「CIC」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
ウ 出所の混同のおそれについて
申立指定役務と申立人の業務に係る役務とは,互いに関連性を有する役務といえるとしても,上記アのとおり「CIC」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る役務を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,また,上記イのとおり,本件商標は引用商標とは非類似のものであって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれを申立指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
他に,本件商標が役務の出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり,「CIC」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務を表すものとして,我が国又は外国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。
また,上記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標である。
さらに,商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を与える目的,その他不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,申立指定役務について,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

異議決定日 2021-08-24 
出願番号 商願2019-54687(T2019-54687) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W3536)
T 1 652・ 262- Y (W3536)
T 1 652・ 263- Y (W3536)
T 1 652・ 222- Y (W3536)
T 1 652・ 271- Y (W3536)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
登録日 2020-09-09 
登録番号 商標登録第6290006号(T6290006) 
権利者 ザ ケンブリッジ インキュベーター,エルエルシー
商標の称呼 シイアイシイ 
代理人 朝倉 美知 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 山口 現 
代理人 田中 克郎 
代理人 佐藤 俊司 

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